の ぞ み 七夕伝説の星たち

の
ぞ
み
平成27年度7月号
No.503
『イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人とに愛された。
』
ルカによる福音書 2 章 52 節
『聖書』には、イエス誕生の物語(クリスマス物語)は数多く記されていますが、イエス
の少年時代の物語は、唯一ここに記されているだけです。その物語の結びの言葉が、上の言
葉です。この言葉だけを読むと、イエスは何の問題もなく、すくすくと成長したような印象
を受けますが、実際はどうだったのでしょうか。
少年イエス(当時 12 歳)の物語は、家族でエルサレム巡礼に出かけた時の物語です。イエ
スの育ったナザレの村とはかけ離れた大都会エルサレムで、少年イエスは迷子になってしま
います。両親は大あわてで捜し回り、三日目にしてようやく少年イエスを神殿の境内で見つ
けます。その時のマリアの言葉が記されています。
「なぜこんなことをしてくれたのです。ご
覧なさい。お父さんもわたしも心配して捜していたのです」。この言葉を見る限り、聖母マリ
アも普通のお母さんです。心乱しながら愛する我が息子を叱ったことでしょう。ところが、
この心を痛めている母の言葉に対して、少年イエスは、次のように答えるのです。
「どうして
わたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家(神殿)にいるのは当たり前だということ
を、知らなかったのですか」。これは神学的にはとても深い意味のある言葉なのですが、この
場面では、母マリアにとって“わが子”の言葉です。何と生意気な言葉でしょうか。もしわ
たくしだったら、声を荒げて叱りつけたのではないかと思います。このように少年イエスの
物語は、私たちが普段経験している子育てとまったく同じ「てんやわんや」
「すったもんだ」
の子育ての物語なのです。そして、そんな子育ての物語の結論として「イエスは知恵が増し、
背丈も伸び、神と人とに愛された」と結ぶのです。
わたくしたちの子育ても、
「てんやわんや」「すったもんだ」であるなら、きっと同じ結論
へと導かれて行くことでしょう。聖アウグスティヌス(345~430年)は、自らの経験に
基づいて「涙の子は滅びない」との名言を残しました。子育てに、もし心痛めることがある
なら、わが子を思って眠れぬ夜を過ごし涙を流すことがあるなら、私たちの愛する子は、決
して滅びることはないのです。
『早起き早寝』 さて、基本的な事ですが、幼児の生活は「早寝早起き」ではなく「早起き
早寝」、早く起きるから早く眠るのです。子どもたちは朝目覚め、よく遊び、よく笑い、夜8
時を過ぎればくたくたになって心地よく寝る・・・まずはそのような子どもの時間を守って
あげたいと思います。幼稚園は、子どもたちの『よく遊び、よく笑い』の時間を保育として
支えている場ですが、遊びの中での、転んでも起き上がり、ぶつかっても受け止め乗り越え
たりする経験を大人が取り除き過ぎないように配慮しながら、子どもたち自身が心を動かし
て『やってみよう!もっとやってみよう!』という思いに至るまでのプロセスを、しっかり
見守る存在になりたいと思います。
『夏を感じて』
2015年度の幼稚園での生活も 3 カ月が過ぎ、4 月新入園・転入の子どもたちはそ
れぞれ自分の好きな場所、好きな遊び、好きなお友達ができ、担任の先生が大好きで、
楽しく毎日を過ごしています。進級した子どもたちも、それぞれの新しい環境にあって、
より一層、のびのびと園での生活を送っています。どの学年もそれぞれに活発なクラス
活動が展開されていることを嬉しく思います。
この間、保護者の皆様にもたくさんのご協力をいただき、わたくしたち職員と共に、
子どもたちの育ちゆく『のぞみ幼稚園』の歩みを見守ってくださっていますことを、感
謝しております。また『父の日礼拝』には、お忙しい中ご参加くださいまして、ありが
とうございました。落ち着いてきた保育の様子をご覧いただけたことと思います。
さて7月は子どもたちと『夏を感じて』過ごします。夏ならではの遊びを充分楽しみ、
心を開放する心地良さを感じて欲しいと思っています。そしてまた、外でダイナミック
に遊んだ後は、ほっと一息心落ち着ける時間を確保する事の大切さも覚えたいと思いま
す。どうぞご家庭でも意識してみて下さい。健康に過ごすためには、疲れ過ぎない配慮
も大事ですね!
園長 堤 陽子
七夕伝説の星たち
天帝の怒りをかい、天の川の両岸に引き裂かれてしまった彦星と織姫。そんなふたり
が1年に1度だけ逢うことを許された夜、それが7月7日の七夕です。では、その彦星
と織姫は・・・
天の川を隔ててひと際明るく輝いている、わし座のアルタイル(牽牛星)が彦星、こ
と座のベガ(織女星)が織姫です。この2つの星は非常に明るいので肉眼でも見つけるこ
とができます。
笹の葉さーらさら軒端にゆれる・・・・・・この“懐かしい歌”をうたう子どもたち
の声に誘われて、保育室をのぞいて見ましたら、三角つなぎ、輪つなぎ、あみ飾りなど、
五色の色紙を折ったり、切ったり、繋げたり、子どもたちは、星ならぬそのつぶらな美
しい瞳をきらきら輝かせて、七夕製作に余念がない様子でした。★“七夕”と聞くと夏
の夜空に輝く天の川を思い浮かべます。残念ながらのぞみ幼稚園の園児たちの生活環境
は、大都会の街の照明が星のひかりを消し、濁った大気が薄雲のように星々を隠してし
まっています。けれども、子どもたちの濁らぬ心は、天空にひろがる壮大なロマン:天
の川に出会う彦星と織姫の永遠に美しい姿を見ています。その素直な感動は、神への願
いとなり、祈りとなって、香(こう)の如く天に向かってたちのぼるように思われます。
たとえ天の川は見えなくても、星は夜空の奥で輝いています。天気がよければぜひご家
族で夜空を眺めてみてくださいね。
七夕製作を持ち帰りましたら、お子様とご一緒に笹竹を飾って七夕をお楽しみ頂き、ほ
っとするひとときをお持ちいただければ幸いです。