経営管理情報システムの活用について

経営管理情報システムの活用について
はじめに
JAの広域合併による経営規模の拡大にともない、支店・事業所の費用・収益の把握が難しくなっ
てきており、JAの経営管理機能の強化が求められています。
経営管理情報システムは、事業毎の人員配置、固定資産運用、事業取扱高、事業管理費等について
次年度計画を登録することにより、計画対比や前年度対比を含めた支店・事業所の各事業実績や共通
管理費等を配賦処理した月次決算資料を提供するなど、経営にかかる意思決定および経営改善に資す
る情報を的確かつ、迅速に提供するシステムです。
経営管理情報システム活用方法
1.
システム利用開始
○経営管理の環境設定を行います。
① 経営管理単位(場所ごとの事業部門)を設定します。
② 基幹支店等、経営管理単位を集計した責任単位を設定します。
③ 職員の部門ごとの従事割合や共通管理費の配賦ルールを設定します。
2.
年度末までに次年度計画の策定
○次年度計画を策定し、経営管理情報システムに登録します。
① JA全体での、部門別要員、固定資産、目標利益、総合財務損益を策定します。
② 大部門、責任単位、月別に、事業管理費、指導事業収支、事業外・特別損益を策定します。
③ 責任単位、月別に、各事業の取扱規模、事業総利益を策定します。
○次年度損益計画書(大部門別、月別)を作成します。
(図1参照)
3.
毎月の運用で実績検討資料、月次決算資料を作成(月初〜15日)
○作成指示により実績検討表を作成します。
(図2参照)
① 責任単位別の実績検討表や損益計算書が作成できます。
② 事業別に計画実績を対比した実績検討表が作成できます。
③ 計画・実績、前年度実績との差異分析が可能になります。
○共通管理費について個別勘定修正、配賦等を入力します。
・共通管理費について、必要な個別勘定修正や配賦・付替を行います。
○配賦処理等を完了し月次決算資料を作成します。
(図3参照)
・部門別や責任単位別の期間損益が把握できますので、単位ごとの業績評価が可能
になります。
1
経営管理情報システムの活用について
経営管理情報システム 帳票例
●図1 次年度損益計画書
●図2 事業実績検討表
2
●図3 月次決算 損益計算書
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経営管理情報システムの活用について
システム利活用事例紹介
それでは、実際に利用されているJAに訪問して、利用組合の生の声をご紹介します。今回はJ
Aびほくに訪問しました。
事例
JAびほく
「部門ごとの収支状況を把握し職員の意識改革」
システム活用の取り組みについて
経営管理情報システムの活用は、経済事業改革をすすめるなかで低コストで部門ごとに費用・収
益の実態を把握することを主眼としてすすめました。
現在の活用範囲は、月次決算管理システム機能で、事業利益、労働生産性
等の実態を把握しています。
なお、共通管理費の自動配賦は実態に合わないケースがあり、JA独自の
基準により個別勘定修正しています。たとえば、人件費の配賦について人頭
割りとした場合、従事割合が含まれない等があるためです。
システム活用のメリットについて
財務会計を集約することができ、低コスト(活用前に比べ5分の1の費用)で部門ごとに費用・
収益の把握ができるようになり、当初の目的を達成できていると考えています。また、経済事業計
画策定時に事業・事業所ごとの損益分岐点の把握が容易にできるメリットがあります。
月次決算管理システムで処理した結果を基に、月次で経営検討資料を作成し、部門ごとの収支状
況を把握しています。また、この資料を見ることにより職員の収支改善に対する意識改革につなが
っており、その効果も徐々に出ています。
今後の対応等について
共通管理費の配賦精度を上げることが必要と考えています。
そのため、事業計画登録から月毎の配分機能等について活用したいのですが、事業計画システム
が積み上げ方式で集計するため、登録、修正作業にかなりの時間がかかり、活用できてないのが現
状です。
システムへの要望等
センターの各システム(固定資産管理システム、給与計算システム)で処理した結果を経営管理
情報システムにデータ連携してもらえば、共通管理費の配賦精度があがり、入力軽減にもつながると
思います。
また、数字だけの表示でなくグラフで表示される機能が追加されれば、一目でわかるようになる
と思います。
電算センターの対応について
各システムとのデータ連携等について検討します。
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JAびほくにおける月次決算処理の作業概要
年度当初
・財務会計事業所での計上業務の確認(58事業所)
・管理会計の設定確認(255事業所)
・配分割合の決定
a)従事割合については、年間の従事時間を原則とし本人申告・所属長修正・本店修正の3段階
で確認調整を行います。
b)事業管理費の配分については、科目ごとに、また内容によって、配分基準の設定を行います。
日 次
・事業管理費の入力や管理会計事業所への配分については、発生ごとに各事業所で行い、月次ごと
に本店で確認し修正等を加えます。
月 次
・①〜⑥について作業を行います。
第1段階
第2段階
第3段階
第4段階
第3〜15日
①損益検討表
作成指示
受付
OACSPC
③個別勘定修正
・一括登録
検討表
作成処理
付替・配賦
処理
損益検討表
月次決算
エラー一覧表
期間終了
処理
④付替・配賦
指示
②エラー修正
損益計算書
損益計算書
⑤内容確認
修正
⑥内容確認
修正
決算・仮決算
・決算修正処理のあったものについて確認し、前項⑥の作業を行います。
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経営管理情報システムの活用について
JAびほくで作成する帳票例
18年度事業所別管理会計損益一覧表(H18.04.01〜H18.09.30)
×××総合センター(事業所コード×××)
0200
0195
0193
0192
0191
管理会計事業所
購買・農業 購買・生活 販売・農業 利用・農業 指導・営農
部門
-15
348
25,032
2,322
7,597
1.事業総利益
0
0
0
16,162
60,499
(5)購買事業収益
0
0
0
16,162
60,497
購買品供給高
0
0
0
0
0
購買手数料
0
0
0
0
0
修理サービス料
0
0
0
0
2
その他の収益
0
0
0
13,840
52,902
(6)購買事業費用
0
0
0
13,840
52,405
購買品供給原価
0
0
0
0
3
購買品供給費
0
0
0
0
0
修理サービス費
0
0
0
0
494
その他の費用
0
0
0
2,322
7,597
購買事業総利益
0
0
0 322,804
0
(7)販売事業収益
0
0
0 261,550
0
販売品販売高
0
0
7,847
0
0
販売手数料
0
0
53,407
0
0
その他の収益
0
0
0 297,772
0
(8)販売事業費用
0
0
0 261,550
0
販売品販売原価
0
0
17,729
0
0
販売費
0
0
18,493
0
0
その他の費用
0
0
25,032
0
0
販売事業総利益
0
5,801
0
0
0
(13)利用事業収益
0
5,453
0
0
0
(14)利用事業費用
0
348
0
0
0
利用事業総利益
0
0
0
0
0
(31)指導事業収入
15
0
0
0
0
(32)指導事業支出
-15
0
0
0
0
指導事業収支差額
4,951
1,443
15,037
5,564
5,393
2.事業管理費
4,173
564
4,392
4,290
4,077
(1)人件費
177
58
378
374
326
(2)業務費
187
27
234
200
274
(3)諸税負担金
412
794
10,030
698
713
(4)施設費
2
0
3
2
3
(5)その他費用
-4,966
-1,095
9,995
-3,242
2,204
事業利益
0.00
0.00
0.35
1.50
1.00
従事者数(雇用)
1.42
0.20
1.43
1.22
1.88
従事者数(正職)
1.42
0.20
1.78
2.72
2.88
従事者数(合計)
14.37
13.38
利益率
-11
1,740
14,063
854
2,638
労働生産性
(企画部企画課
6
(単位:千円)
計
33,284
76,661
76,659
0
0
2
68,742
68,245
3
0
494
9,919
322,804
261,550
7,847
53,407
297,772
261,550
17,729
18,493
25,032
5,801
5,453
348
0
15
-15
32,388
17,496
1,313
922
12,647
10
2,896
2.85
6.15
9.00
13.58
3,920
●●
●●)