Regional Activation 地域が変わる── ★ 地域活性化の現場 心とした県内からの来訪が多かった一 方、京阪神や岐阜等から足を運んでく ださった方も結構いましたね」 と実行委 東近江 員長補佐の中嶋良樹さん。 ◎コトナリエ実行委員会 ▶ http://www.kotonarie.com/ 10年目を迎えた「真夏の光と環境の祭典」。 “湖東”を愛する人々の情熱が、 地域を動かすイベントを育てていく。 「夏のイベント」 の域を越え 地域愛を育む “文化” になった 始まりは2004年。東近江市への合併 を翌年に控え、 「湖東町」 という地名が 電飾用電力をまかなうバイオディーゼル燃料は地元回 収の廃油から精製される 東日本大震災の被災地、宮城県山元町との交流を深 める「鶴のオブジェ」 商工会青年部のメンバーたちが一念発 への啓発にも力を入れてきた。東近江 用する試みだ。八日市の冬の光の祭典 起。 神戸のルミナリエから着想し、 地域の 市の菜の花プロジェクトと連携して、06 「EastRainbow☆」 との連携、大津の 消えてしまうことを危惧した当時の湖東 夏祭りに合流する形でひばり公園を11 年から電飾用電力をバイオディーゼル 「あかりサミット」への参加など各地のあ 人々の心を照らし、 あたたかな気持ちにしてくれる 「あかり」。 このあかりをテーマにしたイベントが、大津や草津、長浜な 万球の電球で飾り 「コトナリエ」 と名付け 燃料でまかなっているのもその一環だ。 かりイベントとも活発に交流し、 「 湖東と ど湖国の街々に、にぎわいの灯をともしている。 その中の一つ、東近江市の夏を彩る 「コトナリエ」は、地域を愛する青年 た。 「イベント主催とはまったく縁のなかっ 実行委員会がコトナリエのための回収 各地をつなぐ祭典」への発展も目指し始 を中心とした実行委員会が、住民や地域の事業者の協力を得ながら、10年間手作りで続けてきたイベントだ。地域に た私たちが集まって、手探りで準備を進 を呼びかけると、限られた期間にも関わ めている。 根差した人々の視点と若い世代の発想が、地域をつなぎ動かす原動力となっている。 めました。電球が灯って大きな歓声が湧 らず会期中の燃料に必要な量の廃食 東日本大震災の被災地、 宮城県山元 きあがった時、 この感動を毎年届け続け 油が毎年集まる。 「これもコトナリエが地 町とも交流を深めている。震災直後、復 ようと実行委員会の皆で誓いました」。 域に定着し、愛されている証拠。 ゴミゼ 興支援のため中嶋委員長たちがボラン 約10日間で1万5,000人が訪れた初回 ロ運動のほか、模擬店の食器や花火も ティアで訪れたのがきっかけとなった。 そ に比べると、 今年の集客数は7倍以上に 土に還る素材を使うなど環境保護に努 の年、復興への思いを込めて制作した 真夏の光と環境の祭典「コトナリエ 増えた。 「湖東の名を残したいという思い めてきました。地域のエコ意識も向上し 大きな鶴のオブジェを山元町の小学校 2013」が、東近江市のひばり公園で8月 から生まれたコトナリエですが、 10年のう てきていると感じます」 と中嶋委員長。 コ へ寄贈し、復興イルミネーションフェス 3日から15日の13日間にわたって開催さ ちにその存在が地域愛を育み、世代間 トナリエは年間を通じて人々の心にある ティバルで、被災した人々の心を照らし れた。色とりどりにきらめくアーチやモ の交流を促す “地域文化” に育ったよう 「財産」 となり、地域の一体感を深めてく た。翌年には、被災地の子どもたちが ニュメント。光に包まれた公園の木々が、 に思えます」 と実行委員長の中嶋輝さん。 れる。 会場に彩りを添える。幻想的な会場を目 小学校でペットボトルを使った手作り照 そんなコトナリエを、東近江市商工会 ナリエで再展示。 この出来事が2つのま にし、大人も子どもも瞳を輝かせた。甲 明のワークショップを行ったり、 イルミネー 青年部湖東支部と湖東地区まちづくり ちの人々の心を結びつけ、 コトナリエ実 子園球場2.6個分の敷地いっぱいに飾 ションの飾り付け作業に地域の子どもた 協議会で構成する実行委員会は “東近 行委員会は今後の復興に役立ててもら られた25万球のイルミネーションが生み ちが参加するなど、 力を合わせ助け合う 江の存在感” を広く発信するためのブラ おうと山元町にイベント主催ノウハウを だす “真夏の夜の夢” に、訪れた誰もが ボランティアの精神を育む場ともなってい ンドへ育てようと奔走。WebサイトやSNS 提供している。今年のコトナリエには山 息をのむ。 る。 「コトナリエはもはや夏の数日間だけ を使っての積極的な情報発信、動画配 元町など被災地の小学生たちを招いた。 人々を魅了するのはイルミネーション のお祭りではなく、 地域の暮らしにさまざ 信ネットワークの活用、地元FM局とのコ 「コトナリエを軸に、 さまざまなムーブメン だけではない。地元出身バンドのロックラ まな影響を与える存在になっています」。 ラボ企画といった手段を駆使している。 トを起こし続けたい。交流の輪を広げ、 エコへの啓発に努める姿勢が 日常の住民意識を変え始めた 東北の被災地との交流をはじめ コトナリエは多様に広がり続ける 人を引き寄せた。 「風呂上がりに家族連 3回目を迎えた頃からは、地域だけで また、近江牛や地元産野菜を使った 地域愛を未来にリレーしていくことにつ れでぶらりと楽しむ夏の宵の祭典。 そん なく環境にも配慮する 「コトナリエTOエ “地産メニュー” も模擬店で販売。 コトナ ながります」 と中嶋委員長は未来への なコンセプト通り、地元の東近江市を中 コナリエ」 というコンセプトを掲げてエコ リエを、 新たな地産品の創出と発信に活 感動と興奮に酔いしれる イルミネーションの祭典 イブやダンスイベントに、夜空を焦がす 打ち上げ花火。 さまざまなイベントを満載 し、若者や家族連れを中心に11万5,000 10年目を迎えた真夏の光と環境の祭典「コトナリエ2013」 Regional Activation 12 かけはし 2013.9 あきら メッセージやイラストを加えたものをコト 注目されていけば、東近江市や湖東地 域はもっと元気になるでしょう。 コトナリエ を次世代へとバトンタッチしていくことが、 思いを熱く語る。 HIG A SHIO M I 2013.9 かけはし 11
© Copyright 2024 Paperzz