HOTEL CALIFORNIA

HOTEL CALIFORNIA
August 25, 2011
Harry Hilfield
「イーグルスは12弦ギターを使っているし、キーもBmだ、多重録音をやっているし、
エコライジングだって専門家がやっている。それを5人編成の素人がやるんだから、音づ
らだけ真似たってどうせだめだよ」
緒方は、バンドメンバーに言う体を取ったが、実際はリードギターの姫島に言ったつもり
だった。姫島はとにかくコピーしなければ気が済まないタイプで、家でレコードを聴きな
がら延々と練習し、メロディラインを覚えてくるが、それがいい時もあれば、この曲のよ
うに、聞くものにスカスカに聞こえてしまう場合もある。いっぽう緒方はコピーを全くや
らないタイプで、やはりいい場合もあるが、悪い場合もある。音の厚みとかアンサンブル
を重視するので、聞いた感じはいいが、原曲とはかなり離れてしまう。聞くほうはどうし
てもレコードが頭にあるので、失望するのである。その中間を緒方はいつも狙っていた。
緒方にとって、曲とは素材に過ぎず、どう料理するかは自分たち次第であった。
来月のステージでバンドスタンド(競演)があるのでホテルカリフォルニアをやってくれ
ないかという要求がパブのマスターから入り、ただでさえ難しい曲ばかりやっていたバン
ドは、また一つ難題を抱えてしまった。バンドは店の要求を入れ、TOTO やドゥービーブ
ラザース、ポリス、エリック・クラプトン、それに最近のバンドとしてハードロックのデ
ィープパープル、ヨーロッパ、スターシップなども演奏した。プリンセス・プリンセスを
やれと言われたときは、困り果てたが、ボーカルを店のおネエちゃんに任せ、緒方がしゃ
にむに1曲だけキーボードを覚え何とかこなした。そのため、緒方は「ファイナルカウン
トダウン」と「ダイヤモンド」だけはキーボードが弾けたが、にわかピアニストで、ほか
は全く駄目だった。だが緒方は曲のコード展開に非常に敏感で、全く知らない曲でもサイ
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ドギターなら難なくこなした。キーボードも和音の理屈は同じである。
ホテルカリフォルニアは最初12弦ギターのイントロが入る。この部分を変えると客が承
知しない。だが12弦のエレキギターなどどこに売ってあるかもわからず、たった一曲の
ため買う余裕もなかった。緒方は、ボーカルの藤田のキーに合わせ、キーをBmからAm
に下げた楽譜を書き、イントロにコーラス(効果音の一つ)と軽いオーバードライブをか
けたギターアルベジョ(分散和音)を自分が入れることにした。リバーブ(残響)や音色
の調整が難しかったが、何度もやるうち、なかなか渋い音が出来上がった。練習の時、緒
方がそれを聞かせると、皆が「オオいいじゃん」と歓声を上げた。それはイーグルスとは
違うものであったが、同じような雰囲気を醸し出した。姫島はせっかくBmで覚えてきた
のにと不満そうであったが、緒方には姫島の演奏ではスカスカになることが分かっていた
し、Bmで出来るものが、Amでは出来ないというのも不思議であった。それにBmでは
キーが高すぎてボーカルが歌えない。緒方はボーカルの藤田にキーボードでAm和音を入
れながら歌ってみるように言った。藤田の困ったところは、歌はなかなかうまいのだが、
声質に和製ポップス向きの甲高さがあり、Bmから尐しキーを下げないとロックにならな
い。また実際には英語ができず、ほとんどの曲にムニャムニャが入ることであった。しか
しどうせ聞くほうも歌詞なんかわかっていなかった。緒方は、メリハリをつけるため、一
番の出だしにベースとバスドラも一緒に入るように、キーボードはイントロの2コーラス
目からまず単音で入るようになど、原曲にはないアレンジの細かな指示を出して練習を始
めた。
このバンドに名前はなかったが、敢えて言えば職業をもじって Sarah Leeman であった。
全員サラリーマンだが、あるきっかけで大手のライブパブのアンサンブルバンドの口がか
かった。普通のバンドがやらない七面倒くさい曲ばかりやっていたからである。演奏料は
一人2000円で小遣いにもならない金額であったが、人前で演奏する面白さに、メンバ
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ーは金曜の夜を楽しみにしていた。曲数の尐なさはブルースやロックンロールでごまかし
た。店も、バンドメンバーの知り合いがかなり来店するようになり、喜んだ。練習は市内
の有料スタジオか開店前の店を使い、その費用はほとんど緒方が出した。アンプやキーボ
ードも緒方が買った。アンプに関し、姫島はフェンダーなど特定のブランドにこだわった
が、緒方は無視してヤマハとピーヴィに統一した。回路をばらしてみると、ヤマハが断然
よくできていることを緒方は知っていた。保護回路に金をかけてあり、ハンダつけ部分を
減らし、コネクターを多用してあった。それに比し、外国製は箱の中をワイヤーがブラン
ブランしている場合が多く、品質劣悪であった。練習が進むにつれ問題が出てきた。姫島
のリードギターが、原曲にこだわるあまりAmでは全く冴えないことと、全体のアンサン
ブルが、恐れていた通りスカスカであることであった。練習を見に来た店のマスターも不
満顔であった。緒方はベースの音を一音増やし、原曲にはないサイドボーカルでハーモニ
ーをつけてみたが、全体のメリハリの要であるリードギターに元気がないと隠せないもの
があった。緒方は、原曲にはないフレーズを各所に入れ、弦を2本一緒に弾く方法などを
提案しやって見せたが、原曲にないことをやることに姫島は抵抗した。彼の頭の中にはイ
ーグルスが鳴り響いており、客にどう聞こえているかは頭になかった。緒方がリズムギタ
ーをやりながら要所にリードも入れるという変則アレンジになって行った。だがこれでは
エフェクター(足で踏みながら切り替えるシンセサイザー)のスイッチ切り替えをやりな
がらサイドボーカルもやることになり、曲よりも手順のほうが煩雑になり緒方はさじを投
げ、ギターの役割を交代するよう提案した。
Amからの展開はギター奏者にとっては最も楽な展開の一つである。緒方は姫島にレゲェ
風のカッティングを入れリズム感を出すように頼んだが、普段やらないことをやらされる
とプレーヤーの弱点が露出する。姫島はリードギターを外されたことが不満で、ガシャガ
シャと汚いリズムを入れてきた。緒方は、そうじゃなくてと実演して見せた。姫島は、お
かしいと言った。どこがおかしいと緒方がきくと、イーグルスはこうなっている、これが
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正しいと姫島は抵抗した。あまりの馬鹿さに緒方は内心腹が立ったが、要はリードを外さ
れたことが気に入らないだけであった。姫島は緒方のリードギターにも盛んにケチをつけ、
原曲はそうなっていない、その一点張りであった。このままではバンドが壊れてしまう。
そのため緒方は、リードギターソロの前半、つまり聞くほうが原曲通りであることを期待
する部分は姫島に任せることにした。だが中半から姫島のギターはあやしくなるので、後
半を緒方が自己流でやり、最後は原曲通り、ツインギターでやることにした。姫島の機嫌
はたちどころに直り、ドラムとベースのカプリングがもうひとつだなど、ベースが引っ込
みすぎているなど緒方が指摘しようと思っていたことを言い始めた。
ホテルカリフォルニアに挑戦するバンドは時々あった。だが緒方の見るところ、原曲にこ
だわりすぎ、どのバンドもスカスカに聞こえた。しかし演奏している本人たちはイーグル
スになりきっており、そのギャップに気付いていなかった。そういうバンドの中で緒方が
嫌いなバンドがあった。リードギターが曲芸的テクニックを持っており、他のメンバーも
粒ぞろいであった。コンテストに出れば上位に入るタイプのバンドであった。だが何とな
く楽しくなく、それはリスナーのためというより、自分たちの満足のため演奏するバンド
であったからのように緒方には思われた。そのバンドの連中も時々店に現れ、ニヤニヤし
ながら緒方たちの演奏を聴いていた。そういう時、姫島は相手の向こうを張って音量を上
げ目立とうとした。どうだうまいだろうと言わんばかりである。だがオーバードライブの
かかったギターだけが、やたらとバリバリ聞こえ逆効果であった。ポリスの曲に、普段い
れない臭いフレーズを入れ、ぶち壊した。連中は途中でわざと演奏を無視するそぶりを見
せた。いやな奴らだと思ったが、こちらの姫島もいやなことをしている。
緒方のスタイルはいわば即興演奏なので、それはそれなりにある程度覚えておかないと、
毎回内容が変わり、どこをどう弾いたかわからなくなる。一方イーグルスはそもそも緒方
がギターを覚えたカントリー系であり、緒方が担当するギターソロの後半部分はもっとも
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聞かせどころである。緒方は、コード展開はそのままに、カントリーのテクニックとヘビ
メタの音色を導入しソロの内容を大幅に変えた。だがその部分だけ良くても全体はスカス
カになってしまう。一般の人間にはわからないかもしれないが、店には音楽関係者が多く
来ていた。緒方は原曲にないバックコーラスをつけたり、シンセサイザーを箇所によって
もう尐し前に出す、ドラムやベースの音を増やす、サイドギターのカッティングにメリハ
リをつけるなど、曲想を壊さず、全体の厚みにこだわった編曲を行った。練習を重ねるう
ち、イーグルスとはサウンドの作りが違うが、よくまとまったサウンドになり始めた。メ
リハリをつけるため、ピアニシモの部分はギターとボーカルだけが残るようにした。ベー
スの常石も、所々にチョッパー(弦をバチンとたたく方法)を入れ始め、それは原曲にな
い、いいアクセントになった。こうやって練習を重ねていくと、全体に何とはない余裕と
ツヤが出てくる。聞くものが聞くと工夫だらけの演奏であるが、全体はまぎれもなくイー
グルスであった。スタジオミュージシャンが遊びで弾いているようなそのスタイルにアメ
リカンが強く匂った。
パブのマスターから、当日は外人がいっぱい来ると連絡があった。外人ってどの国ですか
と緒方が聞くと、海兵隊だからアメリカだろうということであった。緒方は困った、こち
らのボーカルの英語はムニャムニャである。だが今更ボーカルを代わることはできなかっ
た。担当の藤田は一向に気にしていないようで、一人で歌わせてみると、やはりムニャム
ニャであった。オナダークデザハイエー・・・・On a dark dessert highway、ま、いいか。
「この歌、どういう意味ですかぁ」あくまで呑気である。
「アメリカ文化の没落を歌ったとなっているけど、歌詞をよく見ると麻薬だね」
緒方は、同じイーグルスの Take it easy を自分のボーカルで入れ、ギターにバンジョー奏
法を取り入れた。またアメリカ人向けに英語のコミックソングを作曲した。
ジェニファー、ああジェニファー
君は優しく僕の手に触れる
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触れてもらいたくない時に
君は僕の耳元でささやく
こっちが忙しい時に
だ~か~ら
Kiss my ass,
Get the fuck out of here and don’t come back
と続くもので、全部英語なのでメンバーはどこがいいのかわからないようだったが、歌い
ながら緒方のほうが笑ってしまった。全体は軽快なロックンロールであった。
その日がやってきた。パブ「12番街」は相当大きな店で、細いビルの12階全部を占め
ていた。真ん中にステージがあり、従業員だけでも20名くらいいた。夕方になると出演
バンドとその取り巻きだけで、店の半分近くが埋まっていた。ステージではおネエちゃん
バンドがすでにリハーサルを行っており、レベッカのようだった。緒方のバンドは店の専
属バンドなので、5バンドの最後であった。例のいやなバンドがその前であった。7時前
にはぞろぞろと客が入り、アメリカ人のグループも到着した。店は殺到する注文で大忙し
となり、蝶ネクタイをしたマスターが走り回っていた。だが7時半になると注文が一巡し、
最初のバンドがステージに上がった。見ただけでビートルズと分かる格好をしていた。
Twist and Shout など5曲を披露した。なかなかよく練習しており、外人客が騒いだ。次は
おネエちゃんバンド、その次は日本語のオリジナル曲を歌う3人組であった。オネエちゃ
んバンドは曲そのものより、派手な格好で受けた。物怖じしないステージマナーは緒方が
見ても気持ち良かった。日本人客も入り、店は満杯になった。
例のバンドが上がり、洗練されたサウンドを聞かせ始めた。最初の曲は Stand by me であ
った。外人客が一緒に歌っていた。2曲目はビートルズの When I saw her standing there、
3曲目は Johnny B. Goode であったが、4曲目に英語オリジナルを入れてきた。ボーカル
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の勝山が作った曲だと言うが、君は僕の妹、君は母、君は恋人という英語の歌詞で、外人
連中は黙ってしまった。これじゃ変態の歌である。静かになったことを受けたと勘違いし
たのか、涙を流さんばかりに歌い上げた。勝山はコピーライターという職業上、英語もこ
なすというところを見せたかったのであろう。練習のとき、歌詞が韻を踏んでないので、
何なら俺がやろうかと持ちかけると、勝山は最近の外国の音楽はそうですからと言って、
不機嫌に緒方の申し出を断った。だが、韻を踏もうと思えば踏めるのに、それを無視する
外国のアーティストと、そもそも踏む能力のない場合とでは基本が異なる。この男はダメ
だと緒方はそれ以後相手にしていなかった。拍手はまばらであった。あきれたことに、そ
のバンドは最後にホテルカリフォルニアを持ってきた。緒方のバンドがやっていることを
連中は知っているので、明らかな挑戦である。普通、礼儀上こういうことをしてはいけな
い。演奏は精密にイーグルを模したもので、ボーカルもそれらしく歌っていた。個々のプ
レーヤーの実力は緒方のバンドよりはるかに上である。だが彼らも自分たちがどう聞こえ
るかということについて思い違いをしていた。得意になって弾くほどイーグルスになって
いないのである。レコード通りの音でやるとスカスカになってしまう。それでも客席から
は大きな拍手があった。
緒方は曲順を入れ替えた。客席はすでにバンド演奏に飽きかけていた。まず最初に英語の
オリジナル曲「ジェニファー」を持ってきた。これは軽快なロックンロールなので、緒方
のバンドはこなれた音を出した。緒方は、男と女は時として分かりあえないものですとス
ピーチを入れた。アメリカ人たちは、緒方の英語に一挙に興味をそそられた。やがて、「俺
のケツにキスしてさっさと出ていけ」の個所に来ると、普通のラブソングだと勘違いして
いたアメリカ人の間に大爆笑が起こった。女性兵士も爆笑していた。やがて彼らは立ち上
がり踊り始めた。作戦は成功した。緒方のバンドものった。
2曲目は思い切り編曲したクラプトンの I short the sheriff、3曲目はスターシップの
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Nothing’s gonna stop us をいれた。この曲も客に受けた。次に Working class man という
曲を予定していたが、緒方はそれをやめて「ホテルカリフォルニア」を指示した。予定に
ない行動であったが、即座に藤田がシンセサイザーでAmから始まるコード展開を静かに
流し始め、客席に程よい緊張と静寂が広がった。こいつやるじゃないかと緒方は思った。
知っている人間は、そのコード展開を聞いただけでホテル・カリフォルニアだと分かる。
姫島も、それらしいギターフレーズを尐し入れ、雰囲気を盛り上げた。例のバンドの連中
が一斉にこちらを見た。シンセはやがて E7 の個所まで来て、ドラムスティックがカウント
を入れた。乗っているときは全く打ち合わせがなくてもこういうことができる。緒方は音
量を多尐上げ、イントロのピッキングを開始した。物悲しげな分散コードが店内に広がっ
た。ふた回り目から原曲にないシンセの音が静かに混じり、なかなかいい音をバンドは出
していた。ベースがバイオリン奏法で重低音を入れてきた。これも原曲にはない。
藤田が1番を歌い始め、ジャキジャキというリズムギターの音量を姫島が多尐絞った。こ
れは良い、緒方は思った。全体に厚みがあり、音量のバランスが取れていた。Welcome to the
Hotel California, コーラスもピタリと揃った。よく聞くと、藤田はやはりムニャムニャと
言っており、緒方は尐し笑った。緒方は要所に慎重にサポート音を入れながら、自分のパ
ートが来るのを待った。3番は緒方のギターとボーカルだけが残る原曲のパタンを取り入
れてあった。姫島は自分のパートが来ると、いつもよりはるかに情熱的にソロを始め、ビ
ブラートを利かせたそのハードロック系の奏法は、3周りまで客席を支配した。次の3周
りは緒方のソロであった。
緒方はウィ~ンとチョーキングを入れソロに入った。緒方は低音弦から高音まで走らせ、ソ
ロの構成をできるだけ大きく取った。原曲と全く違うメロディラインで、カントリーのフ
ィーリングを入れ、ブレーキをかけたり、二つの弦をいっぺんに弾くなど、これみよがし
の編曲であった。緒方は原曲をまねる必要は全くないと言いたかった。例のバンドの面々
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が、ホウ、とでも言いたげな目つきで見ていた。やがて姫島と緒方のツインギターの終盤
に差し掛かり、バンドは音量を上げ始め、ドラムが派手にリフを入れ始めた。ツインギタ
ーは完ぺきに揃った。店内の全員がこちらを見ていた。長い曲が終わり、客席からかなり
の拍手が沸き起こった。例のバンドの連中も憮然とした表情で手を叩いていた。バンドは
最後に同じイーグルスの Take it easy をやり、アメリカ人たちが大声で歌った。その日の
バンドスタンドは別にコンテストではなかったが、ホテルカリフォルニアに関する限り緒
方のバンドが圧倒した。曲そのものをイーグルスと離れて処理した方法論の故であった。
緒方のバンドはほどなく解散した。ドラムの家業が忙しくなり、サラリーマンである以上、
それを超えて練習はできないし、姫島が例のバンドにこっそり移っていた。
End
世にコピーバンドというのがある。六本木辺りでは、今でもビートルズ完全コピーバンド
がある。きちんとした英語でなかなかたいしたものである。ここまで徹底すると感心して
しまう。また、カントリーというとカウボーイハットをかぶり、発声までそれらしく変え
るのがカントリーバンドの常である。彼らは阿蘇山あたりに集まり、オクラホマなどのダ
ンスに興じている。だがあれは、カビの生えた懐メロを引っ張り出して、形だけまねたも
のである。あれでは一般人は誤解する。アメリカのカントリー音楽はブルーグラスでさえ
かなり進歩しており、技術的にはものすごく高度で、ロックミュージシャンでは太刀打ち
できないほどである。またそのオリジンはアイルランドなどにあり、奥ゆかしいものであ
る。ボンジョヴィでさえ濃厚にカントリー色を持っている。野っぱらでダンスなんかやっ
てごまかしている場合ではない。
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