(53) 遠心送風式風洞の流線現出法について 岡崎良書・藤田輝昭 (物理教室) (昭和30年10月1日受理) Ry6kichi OKAZAKI&Teruaki HUZITA ;On the Methods to expresss Stream−Line of Centrifugal blower type Wind−ChanneI l.緒 閂 扁平な密閉空間内に吸引式回転羽根を用ひて気流を作り,その流線を現出する方法は従来既に 行ほれている。また開放式立体的空間内での流線現出法としてほ1951年奈良学芸大学紀要第1巻 第1号に発表し,エツプエル型風洞での流線を示した。これは2つの整流格子の間に線香を点火 端を気流に向けておいたものであるが,この場合風速が少し大きくなると明瞭な洗練が現ほれに くい欠点がある。この改良法について試みた案を述べる。 2.実 験 第1図は遠心送風式風洞で(1)は金網,(2)は整流格子,(3)は吹出口である。気流が 整流格子(2)を通過する前に発煙剤(4)をおくと,写真(1)のように可成美しい流線が得 られる。またこれでは煙が整流格子で分散せられるため,現ほれている流線の数は,使用した線 香の本数よりもずつと多い。しかしこれは風速毎秒1.5m前後までのことで,毎秒3m程度にな ると,煙がうすくなって流線は現ほれない(写真2)。気流が整流格子を通った後,吹出口の中 (5)に発煙剤をおくと写真(3)(4)(5)(6)のような流線が現ほれる。これでは,風速が 6mになづても,まだ相当現ほれている。しかし現ほれる流線の数は少く,その分布状態は前者 はど均一にはならない。 第2図は吹出口(3)の中に細いノズル(6)から煙をおし出す式のものである。穫(7)の 中に点火した線香を入れ,ふいごから空気を送って,煙をノズルの方に送るのであるが,ふいご の断続送風を除くため,途中にダンパー(8)をおき水圧で圧力を調節するようにしたら結果は 非常によかった。この方法による流線は写真(7)(8)(9)に示した。写真中の白線の間隔は 5cmであった。流線は風速6.7mにましても,まだよく現ほれている。また翼型を入れたときの 写真(10)(11)(12)でわかるように風速がましても,翼型の後方の渦流がよく現ほれている。 この方法ではふいごからの送風速度,即ちノズルから出る煙の噴出速度を気流の速度に合せる必 要がある。速度の調節出来る動力送風機を使へばよいものと思はれる。 第3図はレニ1リーレン法による方法である。(10)は吹出口の中に装置した電熱線,(11)は その前の試料,(12)は光源,(13)はピンホール,(14)は凹面鏡,(15)はカメラである。電熱 線(10)はニクロム線を深い波状に往復してまげたものを幾片もならべ,気流方向に並行におい て,なるべく長い距離にわたって気流が熱せられるように試みた。気流の状態は写真(13)に示 した如くである。この風速は1.2mである。風速が多少ましても,電熱線の温度を上昇すれば, 現はれる流線は余り変化しない。この実験では試料にも小さい電熱器を入れて熱気を出すように した。それでも流線は先に行くにつれて冷却され消えている。これに使用した凹面鏡は焦点拒離 (54) 岡 崎 良 書・藤 田 輝 昭 30こmの小さいものであるがら充分な結果は望まれない。 別に軸流送風式風洞について実験して,第1図(1)の金網の代りに整流格子を用い,(4)の 位置に線香をおいたところ,全く流線が出なかった。もしこのように整流格子2個を使い,吹出 口(3)の中の(5)の位置に発煙剤をおけば,遠心送風の場合に近寄ってくる。 レユリーレンを除く何れの場合もバックを暗くし,側面上方よりやや後方でフラジユ電球をた いて撮影した。 3.結 び n)開放式立体的空間内での流線現出法としては,遠心送風式風洞がよい。 佗)流線現出には線香の点火端を気流に向けておくのが最も簡便である。 β)発煙剤の位置は風速2m以下では,気流が最後の整流格子を通る手前,風速2m以上では 気流が最後の整流格子を通った吹出口の中がよい。 絶)抵抗の少い細いノズルから煙を同じ速度でおし出せば,風速が6m以上にましても流線が よく現ほれる。 伍)ジュリーレン法は本実験では不適当であった。 参 考 文 献 奈良学芸大学紀要1951 第1巻第1号
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