英国EU離脱の影響 - マニュライフ・アセット・マネジメント

ご参考資料
(投資環境レポート)
2016年6月27日
マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン株式会社
英国EU離脱の影響
短期的には悪影響、長期的にも暗雲
英国の有権者はEU離脱を選択しました。マニュライフ・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト/
ミーガン・グリーンが、直後の市場反応を読み取り、今回の決断が英国、ヨーロッパ、世界経済の将来
にどのような影響を与えるかについて考察しています。マニュライフ・アセット・マネジメントは、カナダ・
トロントを本拠地とする総合金融グループのマニュライフ・ファイナンシャル社の運用部門です。
私どもは、結果は僅差になるだろうと予想していましたが、離脱派による僅差の勝利は予想外でした。これ
は強烈な記憶として残り続ける出来事の1つと言えます。私が以前、主張したように今回の結果は英国に
とっては軽減できない惨事ではありませんでしたが、否定的なものであることには変わりありません。EUお
よび世界経済への影響は、おそらく、より大きなものになるでしょう。
直後の反応
英ポンドは、米ドルに対して大きく下落しました。私どもは、さらに対米ドルで1.25水準まで下落すると予想し
ていますが、長続きはしないだろうと考えています。ユーロも英ポンドに追随して急落した一方で、円は大き
く上昇しました。また、欧州の銀行株は大きく下落し(特に英国の銀行株で、バークレイズ、RBSなど)、同時
に、日本、ドイツ、米国の国債利回りは急低下しました。
日本銀行の黒田総裁は、中央銀行間の通貨スワップ枠を活用しつつ英国での市場流動性を確保する準備
ができていることを中央銀行として最初に表明し、G7各国はこれに追随しました。私は中央銀行の流動性対
策は、資金供給にとどまらず、このような政策的な対応になるだろうと考えています。英国のEU離脱とリーマ
ンショックは多くの類似性があるとされてきました。しかしながら、リーマンショックは市場の不意を襲ったの
に対して、今回は、数ヶ月にわたり英国のEU離脱に関する議論を徹底的にしてきました。特に、銀行は何週
間も危機管理計画の緻密化を図ってきました。今後、相場の乱高下が多くなるでしょうが、リーマンショック
の再来ではありません。
72%の投票率および残留派に対して100万票以上の差をつけた離脱派の勝利であったことから、今回は離
脱派の完勝であったといえます。キャメロン首相はEU離脱の判定が出た数時間後に辞意を表明し、10月の
保守党党大会までに新たな首相を選ぶべきだと語りました。
このことは、新しい首相が英国と貿易相手国との関係を再交渉する必要があることを意味します。私の考え
では、保守党は対抗勢力がない中で完全に麻痺しています。英国は新首相が就任するまでEU離脱手続き
を開始するための基本条約(リスボン条約)50条の行使を待つでしょう。これにより、英国政府は条約50条
に定められている新しい貿易関係を交渉するための2年間の経過期間が始まるまでに戦略を立てる時間を
かせぐことができます。
離脱の方法については、ノルウェー、トルコ、スイスなどによって確立されている実在の方法を採用する、あ
るいは全く新しい方法を採用する、世界貿易機関(WTO)のルールにのみ従うなど、さまざまな方法があり得
ます。離脱派の主張が移民問題中心であったことを勘案すると、単一市場から離脱し、英国で働くEU市民
の権利を制限する可能性があります。このことは離脱方法のうちでは相対的に良いとされるノルウェー方式
(EUに拠出金を負担するが、政策に関与できず。「人の移動の自由」は受け入れ。)が採用されそうにないこ
とを意味します。
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(投資環境レポート)
長期的な影響
国民投票結果を受けた市場の動きは大きなものでしたが、英国およびEUに与える離脱の中長期的な影響
は、さらに大きなものになるでしょう。EUが英国の離脱決定に対してどのような制裁を加えるかが問題となり
ます。もし市場が暴落した場合には、不安定な隣国を金融危機にさらさないことがEUの利益に資することか
ら、英国に対して寛大な措置が取られるかもしれません。一方、もし市場の反応が冷静であれば、私はEU
がモラルハザードを避けるために見せしめとして英国に制裁を加えると考えます。
離脱派の勝利の直後、オランダの自由党党首のヘルト・ウィルダースやフランスの極右政党、国民戦線党
首のマリーヌ・ルペンはそれぞれEUに関する国民投票を求めました。アイルランドの民族主義党シン・フェイ
ン党は統一アイルランドに関する国民投票を求めました。スコットランド国民党党首の二コラ・スタージョン
は、英国からの独立に関する住民投票を再度行う方針であることを表明しました。英国のEU離脱は、英国
だけでなくEUに対しても存続を脅かす事柄といえます。最近の世論調査(イプソス社調べ)によれば、フラン
スやイタリアにおいて半数近くがEU離脱を選択するとされており、もし、他のヨーロッパ諸国がEU離脱を選
択した場合には、世界経済への悪影響は著しく増幅することになります。
政策についていえば、英国のEU離脱問題は中央銀行の考え方を大きく変えうるものです。私は長い間、日
銀が最初に市中に資金を直接供給し続ける「ヘリコプターマネー」政策を導入すると予想してきましたが、イ
ングランド銀行が最初になるかもしれないと考えています。もし、英国がヘリコプターマネー政策を導入した
場合には、他の中央銀行もおそらく追随するでしょう。日銀は、もし残留派が勝利していたとしても、年内に
は間違いなく踏み込んだ金融緩和を実施していたことでしょう。英国のEU離脱は日銀の黒田総裁の介入を
より激しくさせることになるにすぎません。ECB(欧州中央銀行)についても同様で、一層の金融緩和、マイ
ナス金利幅の拡大、株式購入など、どれもこれまで予想されていましたが、今となっては既定路線となった
と考えられます。
私どもはFRBの次回利上げは12月にあると予想していましたが、来年に延びるかもしれません。イングラン
ド銀行、日銀、ECBによる積極的かつ一貫した金融緩和を受けて、米ドル高になるでしょう。米国はデフレ圧
力を受け続けることになり、インフレ目標の達成については不透明な状態が続くと考えられます。英国のEU
離脱が米国の景気後退につながるかという点については、回復をけん引してきた米国の個人消費が本件
の影響を受けるとは、短期的には考えにくいです。しかしながら、悪影響がヨーロッパ諸国に波及した場合
には、米国の景気後退もあり得るでしょう。
英国は、深く細分化された社会を目覚めさせてしまいました。不安定な政治情勢および不透明な経済状態
を受けて、英国のリーダーは、今後直面する山積した難題に対するさらなる社会混乱を回避するために、ど
のように国を纏め上げていくか考える必要があります。
これは難問です。さらに悪いことに離脱派は過去数ヶ月間にわたり数多くの真実ではないことを発信してき
ました。例えば、離脱派は英国が毎週、350百万英ポンドをEUに対して拠出していると論じてきましたが、こ
れは明らかに間違っています。離脱派がどのようなことについて投票したかを正確に理解することを期待す
るとともに、最終的に残留派と離脱派の双方が失望に終わることのないように期待したいと思います。
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1.変更日
2016年7月1日
2.変更点
項目
変更後
変更前
商号
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登録番号
関東財務局長(金商)第433号
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