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平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠
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バックナンバーは、当事務所のホームページで参照できます。
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
業務主宰役員給与の損金不算入

業務主宰役員給与の計算例

複数会社の社長の場合

役員報酬の日割計上
特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入
→この取り扱いは、平成 22 年度税制改正により廃止されました。
平成 22 年 4 月 1 日以後に終了する事業年度から、適用が廃止されます。
1.概要
平成 18 年 5 月より会社法が施行され、いわゆる「法人成り」が従来より簡単に行えるようになりました。このため、個
人事業主が法人成りをして租税負担を回避することを防止する趣旨で「社長1人会社」についてこの制度が出来まし
た(法法 35①)。この制度は、いわゆる「社長1人会社」の年間役員報酬のうち給与所得控除額は損金不算入にする
というものです。業務主宰役員とは個人 1 名を指します。給与所得控除額の計算は、以下の通りです(法令 72 条の
2)。
A:給与収入(年間)
給与所得控除額
360 万円超~ 660 万円以下
(A-360 万円)×20%+126 万円
660 万円超~1,000 万円以下
(A-660 万円)×10%+186 万円
1,000 万円超~
(A-1,000 万円)×5%+220 万円
※例えば、社長の年間給与収入が 2,400 万円の場合は(2,400-1,000)×5%+220=290 万円が給与所得控除額として損金不算入と
なります。
2.特殊支配同族会社の定義
この制度の適用対象となる特殊支配同族会社とは、オーナー社長及び特殊の関係のあるもの(同族関係者等、関
連者)が株式等の 90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占めている同族会社をいいます。
(1)同族関係者等とは(法令 72)
① オーナーの親族 ※
② オーナーと婚姻の届出をしていない内縁関係者
③ オーナーの使用人・従業員
④ オーナーから受ける金銭等で生計を維持している者
⑤ 上記②~④と生計を一にする親族
⑥ ①~⑤が支配している同族会社(90%以上所有)
⑦ その他一定の会社等
※親族とは、「6 親等内の血族・配偶者及び 3 親等内の姻族」を言います(民法 725)
したがって、この特殊支配同族会社規制の対策としては、①より身内(親族)に株式を 11%移動させても意味があり
ません。つまり、業務主宰役員とその親族以外の従業員持株会や顧問税理士、取引先との持ち合い、取引金融機関
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等の第三者に、自社株式を譲渡する必要があります。また、「同一の内容の議決権を行使することに同意している者」
かどうかは、契約や合意の有無で判定することとされています(法基通9-2-55、1-3-7)。また、持株割合が
11%以上の株主には、法律上は取締役の解任請求権や会計帳簿の閲覧請求権等が認められているため、慎重な
経営判断が必要です(会 854、433)。
(2)対象会社
この制度の特殊支配同族会社とは、会社法上の株式会社(特例有限会社は含む)や合同会社・合名会社・合資会社を対象としていま
す(法法 2①十)。よって、(一人医師)医療法人や監査法人・税理士法人・財団法人・社団法人・社会福祉法人・中間法人では、適用対象
外です。
3.適用除外基準
この制度の適用除外基準として、以下の条件を満たせば給与所得控除額を損金算入できます。
①基準所得≦年 1,600 万円
または
②1,600 万円<基準所得≦3,000 万円かつ
基準期間の業務主宰役員給与の合計額≦基準所得×50%
上記の基準所得とは、会社がオーナー社長に役員報酬を支払わなかったと仮定した場合の課税所得の過去 3 年
間の平均額です。具体的な定義は、以下の通りです。
基準所得金額=(調整所得金額-調整欠損金額-過年度欠損金額の調整控除額)÷3
要するに基準所得とは、「法人課税所得+社長の給与」です。つまり、所得税の計算でいう「事業所得」となる金額
です。社長の給与が 3,000 万円で会社の課税所得が 0 円だったら基準所得は 3,000 万円です。平成 19 年 4 月 1
日以降に開始する事業年度ならば 1,600 万円超で課税されます。
平成 19 年度税制改正で、この「基準所得金額」が 800 万円から 1,600 万円となりました。年間で 800 万円以下の役
員報酬しか確保できなければ、一家の生計も成り立たないという声が大きかったためです。社長の役員報酬が年間
3,600 万円の場合は、この制度で給与所得控除額 350 万円が法人税の計算上は損金不算入となります。赤字が続い
て繰越欠損金がある場合は、次節のように一定の調整計算をします。
4.以下のような場合は、個別の検討が必要です。
資 本 構 成 の変 更 と株 式 の持 合
役 員 構 成 の変 更
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特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入の計算例
1.設例
平成 20 年 3 月 31 日決算の会社で基準期間あり、業務主宰役員報酬は年間 2,400 万円、平成 17 年 3 月期以降の
数値は以下の通り。
(金額単位:万円)
項目
17/3
所得金額(欠損金利用前)
欠損金額
繰越欠損金利用額
業務主宰役員給与額
18/3
19/3
0
0
5,800
1,000
3,200
0
0
0
5,800
2,400
2,400
2,400
赤字は平成 14 年 3 月期で 800、平成 15 年 3 月期で 1,000、平成 16 年 3 月期で 1,200、累計で 3,000 万円の繰越
欠損金があった場合です。
(1)各年度の調整所得金額の計算
17/3 期の調整所得金額=2,400-1,000=1,400
18/3 期=3,200-2,400=800
19/3 期=5,800+2,400+5,800=14,000
解説
・所得金額がプラスの場合(19/3 期)は、
調整所得金額=所得金額(欠損金利用前)+業務主宰役員給与額+欠損金当期利用額
・所得金額がマイナス(赤字)の場合は、
業務主宰役員給与額>欠損金額(17/3 期)なら調整所得金額=業務主宰役員給与額-欠損金額
業務主宰役員給与額<欠損金額(18/3 期)なら調整欠損金額=欠損金額-業務主宰役員給与額
と計算します。
(2)過年度欠損金額の調整控除額の計算
調整繰越欠損金額=3,000(平成 16 年 3 月期の累計欠損金額です)
17/3 期の欠損金額の調整控除額=17/3 期の調整所得金額=1,400
18/3 期の欠損金額の調整控除額=0
19/3 期の欠損金額の調整控除額=1,600
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解説
過年度欠損金額の調整控除額とは、業務主宰役員給与の支払がもし無かったと仮定した場合の所得の金額(=調整所得金額)で利用で
きる調整繰越欠損金額のことです。
・17/3 期
調整繰越欠損金額 3,000 万円から 17/3 期の調整所得金額 1,400 万円を控除して、残り 1,600 万円。
・18/3 期
調整所得金額がマイナスなので、0。
・19/3 期
19/3 期の調整所得金額 1.4 億円から調整繰越欠損金額 1,600 万円を控除。
17/3、18/3 期に発生している欠損金額は関係ありません。
よって、過年度欠損金額の調整控除額=1,400+1,600=3,000 となります。
(3)20/3 期の基準所得金額
20/3 期の基準所得金額=(1,400-800+14,000-3,000)÷3≒3,866 万円
→基準所得金額が 1,600 万円超なので①、②の適用除外要件を満たしません。したがって、損金不算入の適用を受
けます。
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複数会社を経営している場合
1.設例
一人のオーナー社長が、複数の会社を経営している場合がよくあります。この場合は、通常は各社の年収を合計し
た金額で判定されます。
例えば、以下のように建設・不動産関係の会社を複数経営している場合です。
(両社とも 3 月 31 日決算、オーナー個人が 100%株主)
東京建設株式会社
2,000 万円
東京土地株式会社
1,800 万円
以上のように役員報酬があった場合は、役員報酬の給与所得控除額はいくらが損金不算入になるでしょうか。
2.通常計算(旧・法令 72 条の 2①)
以下の( )内の金額が、役員報酬に対応する給与所得控除額です。
東京建設株式会社
2,000 万円(270 万円)
東京土地株式会社
1,800 万円(260 万円)
合計
3,800 万円(530 万円)
このため、各社の課税所得は( )内の金額だけ増加します。各社の課税所得が黒字の場合は、増加した所得に税率
を掛けた分だけ法人税・住民税・事業税が増加します。
3.合算計算の特例(旧・法令 72 条の 2②)
一定の書類を確定申告書の提出日までに税務署に届出すれば、役員給与の損金不算入額を節約することができま
す。合算計算の特例というものです。
(当社の役員報酬/役員報酬合計)×役員報酬合計に対応する損金不算入額
を各社の損金不算入金額にすることが出来ます。役員報酬合計 3,800 万円では、360 万円が給与所得控除額として
損金不算入です。よって、各社の損金不算入額は以下のようになります。
・東京建設株式会社
(2,000/3,800)×360 万円=1,894,737 円
・東京土地株式会社
(1,800/3,800)×360 万円=1,705,263 円
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東京建設株式会社
2,000 万円(270 万円→1,894,737 円)
東京土地株式会社
1,800 万円(260 万円→1,705,263 円)
合計
3,800 万円(530 万円→360 万円)
役員報酬が高額になるほど、給与所得控除額は割合が低下します。このため、複数会社のオーナー社長は合算
計算する方が各社の法人税の計算上有利となります。上記の数値例では、170 万円の課税所得の削減に成功してい
ます。適用するためには、確定申告までに「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入額の特例計算に関する明
細書」を税務署に提出する必要があります(法規 22 条の 4、法基通 9-2-58)。
4.明細書の記載事項
・事業年度、法人名称、納税地、合算対象給与額
・発行済株式数、出資の総額
・常務に従事する役員の氏名、役職名
・他の特殊支配同族会社が作成した合算対象給与額の支給金額を証明する書類等
5.東京土地の基準所得金額が 1,600 万円以下の場合
仮に東京土地の基準所得が 1,300 万円でも、合算計算の特例を適用することが出来ます。また、他の会社から役
員報酬を受けていた場合でも、合算対象給与額に該当します。
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役員報酬の日割計上
1.締め後給与の未払計上
従業員給与は、例えば 10 日締めの 20 日支払ならば、締め後期末日までの 20 日分の給与は会計上は未払費用に
計上します。税務上も、損金計上できます。失念すれば、課税所得が大きく増加して不利になります。
一般使用人の給与については、雇用契約を前提に労働基準法上もその労働の対価として、例えば 1 日だけの労働
の従事であるとしても当然に賃金を支払うべきものとされています。したがって、その事業年度の損金に算入する給
料の額を日割計算によって算定することは、債務確定の三要件を満たすため当然損金計上が認められます(法法 22
③二、法基通 2-2-12)。また、未払給料の実務上の算定方法ですが、未経過分の給料を各個人別に計算しなくて
も、翌月支給する給与総額に基づき日割計算で求めても問題有りません。
なお、使用人賞与について会計上は当期の費用として賞与引当金を設定すべきです。しかし、法人税法上は別段
の定めがあるため、実際の支給日時点までは損金計上は出来ません(法令 72 条の 3①三)。
2.社会保険料の未払計上
厚生年金保険料や健康保険料、厚生年金基金の掛金等の社会保険料も、会計上は未払費用に計上すべきです。
社会保険料は 3 月分の保険料が、4 月末に支払われます。したがって、決算月の社会保険料は翌月末に支払われま
すので、何も経理処理をしなければ、決算月の社会保険料の内会社負担分は翌月の損金となってしまいます。しか
し、社会保険料もその月の末日で支払義務が確定することから、決算月の社会保険料の会社負担分を未払計上して、
会社の損金とすることができます(法基通 9-3-2)。また、3 月末日が土・日曜日など金融機関の休業日の場合は、
社会保険料の口座引き落としが 4 月になります。このため、2 月分の保険料(納期は 3 月末日)のうち事業主負担分に
ついても、未払計上することで 3 月期の損金に算入することができます。
なお、決算で計上した賞与引当金に係る社会保険料のうち会社負担分は、上記と同様の理由で損金計上できませ
ん。つまり、社会保険料は計算対象月の末日で支払義務が確定しますので、賞与支払月の末日でないと未払計上
で損金に算入することはできません。
3.役員報酬(給与)について
取締役報酬や監査役報酬といった役員給与は使用人給与と異なり、株主から包括的委任を受けて会社の業務執
行をする対価であり、勤務時間や勤務場所の制限も無く使用人の労働の対価とは根本的に異なります。したがって、
原則的には日割計算による未払役員報酬の損金計上は認められません。
Reference Purpose Only
本レターに掲載している情報は、一般的なガイダンスに限定されています。この文書は、個別具体的ケースに対する会計・税務のア
ドバイスをするものではありません。会計上の判断や税法の適用結果は、事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます。
また、解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります。実際に企画・実行される場合は、当事務所の担当者にご
確認ください。
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