みなと木更津再生構想

みなと木更津再生構想
〜みなとを活かしたまちづくり〜
本構想は木更津市基本構想を補完する上位計画として
平成 16 年 12 月 10 日、決定したものである。
木
更
津
市
目
序
次
章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1章
みなと木更津の将来像・・・・・・・・・・・・・・・3
第2章
みなと木更津の核となる3ゾーンのまちづくり方針・・3
第3章
みなと木更津4地区の整備方針・・・・・・・・・・・6
序
章
木更津市は、古くから海上交通の要所として海岸部を中心に発展を続けてきま
した。江戸時代には、上総地方からの物資輸送の特権を与えられた木更津船(五
大力船)が湾内を行き交い、街は「江戸の台所」をまかなう物資の集積地とし
て、また江戸の文人、文化、物品が流入する港町として大いに栄えました。明
治から大正にかけ、千葉方面や久留里方面とを結ぶ鉄道線のターミナル駅とし
て木更津駅が置かれたことにより、
「西の港」と「東の駅」を結ぶ市街地は一段
と活況を呈し、港を中心に宿場町として発達しました。昭和40年代には、君
津市へ新日本製鐵君津製鐵所が進出し、木更津港湾の開発が進む中、人口が急
増し、中心市街地には百貨店や多数の商店街が形成され、商業都市としての繁
栄を築いてきました。
その後、臨海工業の発展や郊外への住宅地開発の進捗により、市街地外延部
に広域交通網が整備され、モータリゼーションの急激な進展などの影響により、
市民のライフスタイルに変化が生じ、現在では、中心市街地における空洞化が
深刻化し、まちの活力は徐々に衰退しています。
このような中で、木更津市基本構想(目標年次:西暦2015年)で定めた
本市の位置付けや役割に基づき、新しい時代への主要な課題として掲げた「中
心市街地の活性化」に対応することが急務となっております。
一方、木更津港南部地区である築地地区や木材港地区の工業用地は、今日の
産業構造の変化に伴い、長らく未利用地となっており、中心市街地に隣接する
地域でもあることから、その有効活用が課題となっています。
本市をとりまくこのような状況を踏まえ、中心市街地に隣接し、相互に波及
効果が期待できる木更津港や臨海部未利用地等の遊休地を活用して、都市活力
の維持・再生に向けた、多様で活発な経済活動を実現する新しい木更津のまち
づくりを推進するために、
『みなと木更津再生構想(以下、
「本構想」とする。)』
を策定しました。
なお、本構想は木更津市基本構想を補完する上位計画として位置付けたもの
であります。
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本構想は、築地地区や木材港地区周辺において、複合的な都市機能を持つ土
地利用への弾力的な転換を図り、内港においては、親水空間を活かした憩いの
場等を創出するとともに、回遊性の誘発により中心市街地の賑わいを呼び戻し、
市内外からの多くの来街者に対しホスピタリティー(もてなしの心)あふれる
触れ合いのあるまちづくりを進め、木更津発展のシンボルである『港』を活か
し、人・物・情報の集積地となる「現代の船着場」としての『みなと』の再生
を目指します。
また本構想は、市内に展開する様々なプロジェクトと関連しつつ、歴史や自
然豊かな木更津に多くの人々が交流し、生活する、魅力あるまちづくりへの指
針となるものであり、市民、企業、行政等とが連携し、東京湾岸地域における
広域連携都市にふさわしいまちづくりへの取り組みを明らかにしています。さ
らに、地域が自ら考え自ら行動する先導的な都市再生活動として実施した全国
都市再生モデル調査(平成15年度実施)の成果を踏まえ、地域における自由
な発想と創意工夫に基づいた内容となっています。
本構想の区域は、多様な都市的サービスを享受できる居住空間と広域からの
集客力ある交流空間とを併せ持った地域を創出するため、JR木更津駅周辺の
中心市街地と木更津港に広がる臨海部未利用地を一体的にとらえることとしま
す。なお本区域は、既存の土地利用や特性から次の4地区とします。
1.駅西口地区…富士見通りの両側に位置する商店・住宅街
2.内港地区……木更津港内港とその周辺
3.木材港地区…木材港貯木池及び東側埋立地
4.築地地区……木材港地区に隣接する大規模未利用地
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第1章
みなと木更津の将来像
「みなと木更津」のまちづくりは、中心市街地に隣接する港湾や遊休地を活用
して、広域的な交流機能の展開と、木更津のシンボルである穏やかな海に親し
みながら、多世代が生活することのできるまちづくりを目指し、本構想におけ
る地域の将来像を次のとおりとします。
豊かな生活と賑わいの交流空間を創出する みなと木更津
また、この将来像を実現するため、3つの目標を定めます。
目標
1.都市の新たな賑わいを創出する交流拠点づくり
2.安らぎと快適さに満ちた生活拠点づくり
3.海と親しみ潮風を感じるマリンリゾートづくり
第2章
みなと木更津の核となる3ゾーンのまちづくり方針
「みなと木更津」を構成する4つの地区のうち、これまで駅西口地区と内港
地区は、商業地域として、木更津市中心市街地活性化基本計画(平成12年3
月策定)、TMO構想(平成14年3月策定)により、商業の活性化を基本とし
て、様々な施策・事業の展開や検討が進められてきました。
また、築地地区は、国の低・未利用地有効活用促進臨時緊急調査(平成13
年度実施)において、地域住民とともに土地利用に関する活用策が検討され、
工業専用地域からの土地利用転換を円滑に図る地域としています。
一方、これらの地域をつなぐ木更津港では、内港地区と木材港地区において、
千葉県の木更津港港湾計画(平成10年7月策定)に基づき、親水性の高い港
湾整備が進められていますが、貯木池の埋立中止により新たな都市的土地利用
の方針が検討されているところです。
本構想では、これらの隣接する地区を「みなと木更津」の核となる3つのゾ
ーンとして位置づけ、互いに連携し機能を補完することにより来街者の回遊性
を誘発し、特性を活かした特徴ある魅力的なまちなみを形成する新たな都市拠
点として、以下の方針に沿った一体的かつ先駆的なまちづくりを目指し、市民、
企業、行政等とが連携し、推進します。
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1.複合産業振興ゾーン
これまで位置付けられてきた工業、流通、研究開発などの産業機能や港湾機
能に加え、新たに地域雇用や経済活性化に資するショッピング、レジャー、レ
クリエーション、アミューズメント、スポーツ等の機能を付加し、広域集客力
を持った複合的な産業機能の集積を図り、本市の新たな交流拠点を創出します。
2.都心居住促進ゾーン
歴史、文化の集積する懐古性や海、港、河川等の親水性を活かしたまちづく
りを進めるとともに、駅前における交通利便性の高さに加え、商業施設、公益
的施設、社会福祉施設、文化施設等の多様な都市的サービスが集積し、世代を
越える様々なライフスタイルに対応可能な質の高い居住環境を提供する、快適
な生活拠点を創出します。
3.海洋性レクリエーションゾーン
港湾機能に加え、親水性を活かす都市的な土地利用として、マリンレジャー
需要の高まりへの対応や、漁業生産地の特質を活かした、特色ある海洋性レク
リエーション機能を集積し、市内外からの来街者が、楽しみ、安らげる空間を
演出し、本市の新たな観光スポットとなる魅力的なウォーターフロントを創出
します。
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みなと木更津再生構想
概念図
都心居住促進ゾーン
駅西口地区
■親水性のある
■多様な都市的
港湾空間の形成
■海洋性レジャー
スポットの整備
木材港地区
・
連
完
補完
・補
携
連
連携
携・補完
サービスの集積
■質の高い居住
木 更 津 駅
海洋性レクリエーションゾーン
内港地区
環境整備
・
連
完
補完
・補
携
連
連携
携・補完
■周辺環境や産業ニーズに対
応した土地活用促進
■貯木池を活かすマリン活動
環境整備
・
連
完
補完
・補
携
連
連携
携・補完
築地地区
■にぎわいを創出する交流拠点
■商業・アミューズ系大型集客
回遊性の誘発
〜明確な機能のコントラスト化による
回遊の動機付け〜
『人工的⇔自然的』『新しさ⇔懐かしさ』
『ドライブ⇔散策』『来街者⇔住民』etc
施設の誘致促進
複合産業振興ゾーン
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第3章
みなと木更津4地区の整備方針
みなと木更津を構成する4地区の整備は、各地区の現状や都市計画道路中野
畑沢線の整備進捗により、東京湾アクアラインを通じ東京や神奈川方面からの
アクセス性が高まり、広域的交通機能の更なる向上が図られるなどの新たな動
向を踏まえつつ、相乗効果を生み出すよう一体的に推進していくものとします。
1.駅西口地区
駅西口地区には、街の歴史を今に伝える神社や仏閣が多く存在するほか、近
年、映画やドラマの収録地としての効果で、横丁の風情を懐かしみながら街な
かを散策する若い観光客も増加していることから、街なかに点在する観光スポ
ットをめぐる既存ルートに加え、江戸前の味を提供する食べ歩きコース等の新
たな散策ルートを開発し、徒歩・貸し自転車等による回遊の楽しみ方を提供し
ます。
また、近年地方都市においても都市型マンションの需要が伸びており、当地
区においても医療機関、金融機関、市出張所等の公共公益施設がおおむね徒歩
圏内に集積していること、鉄道・高速バス等の公共交通機関が充実しているこ
と、さらに港を眺望することができる地理的優位性を持つなど、駅周辺の快適
な居住空間が見直されていることから、店舗等生活利便施設との複合機能を持
つ都心型集合住宅の整備を促進するとともに、当地区は高齢化が進んだ地区で
あることや、郊外に居住する高齢者の中心市街地への回帰を望む声の高まりが
あることから、高齢者の生活に配慮したバリアフリー対応型住宅の整備を促進
します。
さらに、駅西口からのアクアライン高速バス木更津東京線が開設され、多く
の利用があり、今後も増便や新たな路線の開設が見込めること、駅前再開発ビ
ル(アクア木更津)のリニューアルオープンにより生鮮食品や日用買回り品を
求める近隣住民やアミューズメントコーナーに立ち寄る学生の姿等、駅前にに
ぎわいが戻ってきたことから、都心型バスターミナル等の整備とともに、生活
者や来街者にゆとりとやすらぎを醸しだす富士見通り沿いの植栽やポケットパ
ーク等の整備を促進します。
そして、街に暮らす人々の多様化したライフスタイルをサポートする、シニ
ア世代のための福祉施設、子育て世代のための子育て支援施設、学生や生涯学
習に取り組む人々のための教育施設のほか、コミュニティを育てる地域交流の
ための施設等の整備を促進します。
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2.内港地区
人々が親しめる憩いの空間として存在する内港は、本市の特性であり周辺市
との差別化が図れることから、親水緑地を中心にくつろぎのあるアメニティ施
設を配置し、広場を利用したイベント開催等を進めるとともに、漁業生産地と
しての特質を活かした賑わいのある港湾空間の形成を図ります。
また、内港の賑わい空間を補完し、魅力ある景観を創出するため、内港のシ
ンボルである中の島大橋や内港周辺の遊歩道整備等、港としての演出を施し魅
力を高めます。
さらに、クルージングやマリンスポーツ等の海洋性レジャー需要の高まりと
ともに、東京湾内での木更津港の立地特性が注目されており、プレジャーボー
ト等の停泊場所としての活用が期待できることから、海からの来街者に配慮し
た港湾整備を図るとともに、海釣りや潮干狩り等のレジャーに関する情報発信
の充実を図ります。
3.木材港地区
貯木池周辺に集積する木材関連産業に対応した土地活用を促進するとともに、
築地地区と一体となり広域からの集客を促し、継続的な交流人口の増加につな
がるマリンサービス施設、観光対応型工場や商品展示場誘致など新たな都市的
土地利用方策を検討します。
また、年間を通して静穏な環境を有する貯木池においては、マリンレジャー
の活用を容易にするとともに、利用客の利便性と親水性に配慮した施設の整備
を図ります。
さらに、木更津駅東口地区との連続性を図り、中心市街地へのアクセス性の
向上や新たな開発に伴う交通環境の変化に対処するため、市道127号線の延
伸整備を推進します。
4.築地地区
築地地区は、木更津南インターチェンジに近く、国道16号及び国道127
号とのアクセス性に優れた場所であり、新たな人の流れを生み出すきっかけと
なる商業・アミューズメント等の機能を有する大型集客施設の誘致を促進する
ことにより、本市の新たな交流拠点となるよう土地利用の転換を図ります。
また、他地区との共同イベント実施や市街地への適切な誘導を図る案内表示
など、築地地区の集客を積極的に市街地等へ回遊させるための連携を強化し、
その方策を推進します。
さらに、東京や神奈川方面からの集客数を増加させるために、高速バスルー
トの再編について検討します。
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