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紙パルプ - 格付投資情報センター

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業種別格付方法
公表日:2016 年 4 月 28 日
紙パルプ
本格付方法は、主として日本国内でパルプから紙まで一貫で生産する製紙会社に適用する。
I.事業リスクの評価
1.産業リスクの見方
紙は軽量で安価な基礎素材として、新聞、雑誌・書籍、広告チラシなど印刷メディアに多く使用され
る。もう 1 つの大きな用途は包装資材で、段ボールや紙器、紙袋製品などに加工され、幅広い分野に使
用される。製紙会社はこの他、産業用途の加工原紙や絶縁紙といった特殊紙、不織布やフィルターなど
の機能材、紙パルプ製造技術やノウハウを活用した化学品などの産業資材も手掛ける。ティッシュペー
パーやトイレットペーパーといった衛生用紙は国内の紙・板紙生産量の数%を占めるに過ぎないが、紙
おむつや生理用品を取り扱う製紙会社もあり、衛生用紙と衛生用品をまとめて生活資材として捉えると
一定の市場規模になる。R&I では、製紙会社の事業ポートフォリオを踏まえ、紙パルプ製品を「印刷メ
ディア」「包装資材」「産業資材」「生活資材」の 4 分野に大別して評価している。
紙パルプ製品は、製品価格に比して輸送費の負担が大きいことから長距離の輸送には向かず、地産・
地消される傾向が強い。特に日本では紙流通や古紙回収のシステムが長い歴史の中で確立されてきたこ
ともあり、国内紙パルプ産業は閉鎖性が高いといえる。このため本格付方法は、主として日本の製紙会
社の評価に適用する。日本以外で事業展開する製紙会社を評価する際は、対象とする市場規模や成長性、
競争状況、需給バランスなどの動向を精査する必要がある。
国内の紙パルプ業界は成熟市場で新規参入は見られない。ただ業界再編のスピードは緩やかで、プレ
ーヤー数はなおかなり多い。特に印刷メディアでは、輸入紙の存在感の高まりもあって競争が激しくな
っている。生活資材は日用品メーカーなど異業種を含め、競争はもともと厳しい。包装資材は安定した
需要がある上、段ボール原紙メーカーの上位集約が進んだこともあり競争は緩やかだ。産業資材は紙の
電気特性(絶縁性)、化学特性(耐油性、透湿性)などを生かした特殊な製品が多い。各製品の市場規
模は総じて小さく、競争も限定的なものが多い。
印刷メディアや包装資材は典型的な装置産業で、スケールメリットが働くため設備投資負担が重い。
一方、産業資材や生活資材の設備投資負担はそう重くないが、産業資材では継続的な研究開発を通じた
新製品の投入が必要である。生活資材は対象が一般消費者向けのため顧客獲得競争が激しく、販売促進
費などが膨らみがちだ。紙パルプ製品は産業資材の一部を除くと、付加価値が高いとは言えないものが
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〒103-0027 東京都中央区日本橋 1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング(お問い合わせ)インベスターズ・サービス管理部
TEL 03-3276-3511
当サイト、当サイトの内容その他当サイトに含まれる情報に関する一切の権利・利益(著作権その他の知的財産権及びノウハウを含みます)は、特段の記載がない限り、株式会社
格付投資情報センター(以下「R&I」といいます)に帰属します。R&I の事前の書面による許諾無く、これらの情報等の全部又は一部を使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、
翻訳及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管することは禁止されています。
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多い。競争状況により異なるが、収益性は総じて低く、原燃料価格が大きく上昇する際には採算割れと
なるリスクがある。印刷メディアや包装資材は、需要が落ち込み操業度が低下した際のダメージも大き
い。コストの柔軟性はやや低い。
紙パルプの産業リスクは 4 分野でそれぞれ異なる特徴があるが、全体として見ると中程度と評価して
いる。
(1)市場規模、市場成長性、市場のボラティリティー
経済産業省が発表した 2014 年工業統計調査によると、国内パルプ・紙・紙加工品の出荷額は約 6 兆
7800 億円。主力の紙・板紙生産量は過去 3000 万 t を超えていたが、リーマンショック後の世界的な景
気悪化の影響を受け大きく落ち込んだ。2012 年には 2600 万 t を割り込むなど厳しい状況が続いており、
今後も大幅な回復は期待できない。産業資材に属する製品の市場規模を正確に把握することは難しいが、
新規分野向け製品開発などにより一定の成長が期待できる。生活資材も大きな成長は望めない半面、景
気変動への耐性は強い。だが、いずれも紙パルプの市場規模を底上げするほどのインパクトはない。中
長期的には国内市場の需要縮小が避けられない見通しで、持続的成長には海外市場の開拓が重要な課題
となっている。
紙パルプ製品は印刷物や副資材として消費される割合が大きく、資本財や耐久消費財に使用される他
の基礎素材に比べ需要の変動性は低い。その度合いは製品によって異なる。電子化の急速な進展によっ
て広告宣伝や情報媒体としての紙の地位が低下していることを背景に、印刷メディアの需要は縮減傾向
が続く。国内は閉鎖的な市場であるとはいえ、塗工紙を中心に輸入品が一定のシェアを獲得しており、
国内市況は海外市場や為替の影響を受けやすくなっている。包装資材は食品、飲料、日用品など多様な
物資の輸送や保存用に使われ、不況下でも安定した需要がある。古紙価格の変動影響を受けるが、段ボ
ール原紙メーカーの上位集約や原紙メーカーによる段ボールメーカーの系列化が進んだ結果、大手を中
心に市況形成力を高めている。産業資材の各製品は単品単価の世界であり、市況品と比べボラティリテ
ィーは小さい。生活資材は異業種も含めて競争が激しいうえ、大手スーパーやドラッグストアなど小売
業者の価格交渉力が強い。需要は安定しているとはいえ、販売価格には下押し圧力がかかりやすい。
(2)業界構造(競争状況)
製品分野によって業界構造は異なるが、全体として競争はやや厳しいとみている。
<印刷メディア>
印刷・情報用紙や新聞紙を手掛ける製紙会社は、大小取り混ぜ多くの企業が存在する。成熟分野であ
るだけに新規参入こそ見られないものの、業界再編のペースは遅く、プレーヤー数は依然として多い。
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また、塗工紙やコピー用紙では、2009 年以降の円高時に流入した中国やインドネシアからの輸入紙の
存在感が高まっている。新聞用紙をみれば上位 3 社で 8 割超のシェアを押さえるなど上位集約が進んで
いるが、ボリュームゾーンである印刷・情報用紙の競争はやや厳しい。
<包装資材>
段ボール分野には、段ボール原紙を製造する原紙(板紙)メーカー、段ボール加工を手掛ける段ボー
ルメーカー(原紙を貼り合わせるシートメーカー、シートを段ボール箱状態にするボックス(製函)メ
ーカー)がある。各工程の専業メーカーと原紙から製函を手掛ける一貫メーカーが存在する。段ボール
原紙では大手 3 社が約 6 割のシェアを押さえるなど、メーカーの上位集約が進んでいる。段原紙メーカ
ーによる段ボールメーカーの系列化が進んだことや、中小の段ボールメーカーまで採算重視の経営が浸
透したことを背景に、業界全体として市況形成力を強めてきたが、2012 年に公正取引委員会が価格カ
ルテルの疑いで複数のメーカーに立ち入り検査を実施した前後から、業界秩序にやや綻びがみられるよ
うになっている。一方で、板紙の輸入比率はなお 3%程度で推移し、中でも段ボール原紙の輸入紙比率
は 1%前後にとどまる。包装用紙は上位 3 社が約 5 割、白板紙は上位 3 社が 7 割近いシェアを握る。印
刷メディアに比べ、包装資材の競争は緩やかといえる。
<産業資材>
産業資材は技術的なハードルが高く、市場規模がさほど大きくないこともあり、プレーヤーはある程
度限られる。ユーザーのニーズに対応した機能を付加することによる製品分野の細分化や取引先との関
係強化も可能だ。ただし、ライフサイクルが短い製品が多く、先端分野の開発競争が熾烈であるという
点で、競争はやや厳しい。
<生活資材>
生活資材は技術的な参入障壁が低く、特に衛生用紙は古紙パルプを原料とする中小・零細企業が乱立
する。既存メーカー間におけるシェア変動はさほど大きくないが、これは販売促進費や新製品の継続的
投入など顧客獲得に大きなコストをかけた結果でもある。紙おむつや生理用品は日用品メーカーなど異
業種との競合もあり、他分野に比べて競争は厳しい。
(3)顧客の継続性・安定性
紙は、一次販売店である紙専門商社(代理店)を通じて、新聞社・出版社・印刷会社などの大口ユー
ザー向けには直接に、小口ユーザーには二次販売店である紙問屋(卸商)経由で販売されるという流通
経路が確立している。近年、代理店の再編やメーカーによる系列化が進み、紙流通業界は大手代理店 3
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社の寡占が続いている。ただ、紙パルプ製品の多くはもともと汎用性が高く、品質面の差別化が図りに
くいため、全体として顧客の継続性・安定性はやや低い。
<印刷メディア・包装資材>
ボリュームゾーンである印刷・情報用紙は品質面での差別化が難しく、顧客の継続性・安定性はやや
低い。段ボールは原紙メーカーによる段ボール会社の系列化が進んだことで安定した販売先を確保でき
るようになった。顧客の継続性・安定性は、原紙からシートの段階までは概して高いが、ケースの販売
先である最終顧客に近づくほど低くなるという特徴を持つ。
<産業資材>
製品の特殊性を高め、個別ユーザーに対応した特殊機能を付加するほど、乗り換えが難しくなり、顧
客の継続性・安定性は高くなる。一方で、エレクトロニクス分野など技術革新のスピードが速く、ライ
フサイクルが短い製品では、短期間で顧客を失うリスクがある点には注意が必要だ。
<生活資材>
衛生用紙を中心に機能面で明確な差別化を図ることが難しいうえ、一般消費者向けの製品であること
から価格競争に陥りやすい。顧客の継続性・安定性は低い。
(4)設備・在庫投資サイクル
事業・製品によって保有する設備の規模や仕様、在庫サイクルは異なる。ただし、紙パルプ産業の主
力設備であるパルプ製造設備、抄紙機、段ボールの製造機械であるコルゲーターなどを中心に、全体と
して設備・在庫投資サイクルは長い部類に属する。
<印刷メディア>
スケールメリットが働く事業だけに、かつては生産インフラを最大限に活用すべく製造設備の新増設
に多額の資金を投じてきた。設備の維持・更新投資にも多額の資金が必要だ。ただ、製造設備の実耐用
年数はかなり長く、古い設備でもうまく活用すれば戦力になる。国内市場は成熟しており、今後は能力
増強投資が実施されにくいことを考え合わせると、設備投資サイクルは長い。
在庫水準は景気変動に伴って循環する。不況期に入ると流通段階も含め製品在庫が過剰となり、その
調整が市況に悪影響を与えることになりかねない。減産局面では原料在庫も積み上がりやすい。製品、
原料とも陳腐化のリスクはないが、運転資金負担が増す点には注意が必要だ。
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<包装資材>
段ボール原紙や紙器用板紙の抄紙機新設には一定規模の投資が必要だが、印刷メディア用の抄紙機と
比べると投資額は相対的にみて小規模にとどまる。段ボールの製造設備は、段ボール原紙(ライナーと
中芯)を貼り合わせてシートにするコルゲーター、シートからケース状態にする製函機、印刷機などが
ある。投資負担は相応にあるが、抄紙機と比べると小規模で済む。包装資材は地産地消の傾向が強いた
め、需要立地に合わせた製造拠点を構築・展開することで、的確に市場の需要を捕捉することが重要と
なる。
製品、原料ともに陳腐化のリスクはほとんどない。需要が安定していることもあり、製品在庫が過剰
に積み上がるリスクもあまり大きくない。
<産業資材>
製品により異なるが、設備投資負担は印刷メディアや包装資材と比べて軽い。製品の開発・改良のほ
か、顧客ニーズに適切に対応していくには、研究開発費の継続的投入が欠かせない。
製品によってライフサイクルは異なるが、短期間での投資回収が必要とされるものも少なくなく、在
庫の陳腐化リスクは比較的高い。
<生活資材>
加工機械への投資負担は、印刷メディアや包装資材に比べ軽い。需要が安定しているうえ、製造設備
の多くは長期にわたり使用可能なものが多い。ただし、価格競争に陥りがちな製品であり、投資回収リ
スクは小さくはない。
製品、原料とも陳腐化リスクはないものの、流通在庫の動向には注意が必要。流通在庫が過度に膨ら
むと、過剰在庫一掃のために販促費負担が増すほか、安易な価格競争に陥るような場合には、ブランド
力を毀損するリスクがある。
(5)保護・規制、公共性
一部の国で補助金制度や保護貿易政策等が採られることがあるが、日本国内では信用力に大きな影響
を及ぼすような保護や規制、公共性はない。
(6)コスト構造
設備・在庫投資サイクルと同様、分野によってコスト構造も異なるが、全体としてコスト構造の柔軟
性は低い部類に入るとみている。
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<印刷メディア・包装資材>
製造設備の導入には一定規模の投資が必要なことから、減価償却費や修繕費など固定費の負担が重く
なりがちで、コスト構造の柔軟性は総じて低い。木材チップなどの主原料や、重油・石炭・LNG など
燃料の大部分を輸入に依存しているため、国際的な商品市況や為替変動の影響を受けやすい。このため
製紙各社は回収ボイラー(パルプ製造工程で排出される黒液を燃料とするボイラー)やバイオマス(化
石燃料以外の生物資源)ボイラーを設置・稼働することで、燃料価格の変動による影響を緩和する方向
にある。
DIP(脱墨古紙パルプ)設備のみ保有する場合、製造設備や周辺インフラにかかる投資はチップから
のパルプ一貫工場と比べてはるかに少なく済むため、固定費負担が相対的に軽くなる。古紙は中国など
に活発に輸出されており、価格は日々変動するため、製品価格との値差を十分確保できるかが重要だ。
<産業資材、生活資材>
製造設備の投資額は印刷メディアや包装資材のそれと比べてかなり小さく、減価償却費など固定費負
担は比較的軽い。産業資材の場合、売上高の増減に関係なく、一定水準の研究開発費が必要となる場合
が多く、これが固定的なコストとなる。生活資材では、販売促進や広告宣伝に係るマーケティング費用
など販売費の負担が重くなりがちだ。
2.個別企業リスクの見方
各社の事業リスクは、紙パルプ業界の産業リスクを踏まえたうえで、個別企業が抱えるリスクを加味
して決まる。
(1)収益源の分散
一口に紙パルプ製品といっても、
「印刷メディア」
「包装資材」
「産業資材」
「生活資材」の 4 分野でそ
れぞれ需給構造が異なり、収益性も製品・原料市況や為替動向によって変化する。景気変動の影響や特
定製品分野での需給構造の変化を緩和し、全体として安定的に利益・キャッシュフローを確保するため
にも、収益源が特定分野に偏らずに広く分散していることが重要となる。
(2)営業基盤(市場地位、顧客基盤)
スケールメリットが効く装置産業では生産能力を高めようとするインセンティブが働くが、それに見
合う販売量を確保できなければ、固定費負担が利益圧迫要因となる。販売量を確保し、安定した稼働率
を維持できれば、比例してコスト競争力も強くなる。対象市場における地位や販路の構築状況、価格支
配力など営業基盤の評価が重要となる。ただし、国内市場だけにとどまる場合、将来的に縮小均衡が避
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けられない。日本国内での営業基盤の評価に加えて、海外市場、特に新興国を中心とする成長市場でど
のような事業展開をできているかも重要な視点となっている。
(3)コスト競争力(製造面、原燃料面)
印刷メディアや包装資材は装置産業であり量産効果が大きい。特に印刷メディアでは、生産能力並び
に生産性に優れるマシンを備えた大規模臨海工場であれば潜在的なコスト競争力は強い。安定した稼働
率を維持できればそれだけコスト競争力は強くなる。包装資材は製品価格に占める古紙のウエートが高
いだけに、古紙調達の安定性も含めて総合的なコスト競争力を評価する。
(4)研究開発力
印刷メディア、包装資材を中心に紙パルプ製品は全般的に差別化を図ることが容易ではないが、産業
資材の一部では付加価値の高い製品を開発・市場投入することで単純な価格競争を回避することも可能
だ。このため、紙パルプ事業で培ってきた技術・ノウハウの蓄積状況から、新規製品の開発能力などを
推測する。
II.財務リスクの評価
財務リスクの分析では、財務データといった定量要因に加えて、財務運営方針や流動性リスクなども
評価している。紙パルプ業界では、事業特性から以下のような財務指標を重視している。
(1)収益力
総資産事業利益率(ROA)、EBITDA(利子・税金支払い前、償却前利益)/総資産平均
収益力を測るうえでは、装置産業の側面が強いことを踏まえ、ROA や EBITDA/総資産平均を重視
している。一定期間でならした数値や、景気循環による影響を捨象した実力値がどの程度かを見極め、
評価に反映していく。
(2)規模・投資余力
EBITDA、自己資本
製造設備の維持・更新や補修・修繕のために恒常的な投資が一定程度必要となるほか、戦略投資を機
動的に行うには、十分な水準のキャッシュフローを安定して生成する能力が求められる。キャッシュフ
ロー創出力の把握には、運転資本変動の影響を受けず、時系列比較や他社比較がしやすい EBITDA を
重視している。
投資に必要な資金を適切なタイミングで調達するには、一定水準以上の自己資本を備えていることが
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必要だ。リスクバッファー(投資余力)の観点から、資金調達余力を測るうえでも自己資本の金額が重
要になる。
(3)債務償還年数
純有利子負債 EBITDA 倍率、純有利子負債営業キャッシュフロー(CF)倍率
有利子負債を返済原資であるキャッシュフローにより何年で返済できるかは、負債の負担感や債務償
還能力を見るうえで極めて重要な指標である。
(4)資本負債構成
ネット D/E レシオ(純有利子負債の自己資本に対する倍率)、自己資本比率
需要構造の変化に対応した事業再構築や、予期せぬ収支悪化等に備えて財務基盤を強化し、財務耐久
力を高めておくことが重要だ。そうした観点から、ネット D/E レシオを重視する。自己資本の金額に
加えて、ネット D/E レシオや自己資本比率の水準が財務耐久力を測る重要指標となる。
III.紙パルプ業界の格付
発行体格付
個別企業リスク
収益源の分散
営業基盤(市場地位、顧客基盤)
コスト競争力(製造面、原燃料面)
研究開発力
重要度
◎
収益力
下図参照
規模・投資余力
債務償還年数
営業基盤
コスト競争力
研究開発力
印刷メディア
◎
◎
△
包装資材
◎
◎
△
産業資材
◎
△
◎
生活資材
◎
○
○
財務構成
財務リスク
指標
EBITDA/総資産平均
ROA
EBITDA
自己資本
純有利子負債EBITDA倍率
純有利子負債営業CF倍率
ネットD/Eレシオ
自己資本比率
重要度
○
○
◎
◎
◎
○
◎
○
産業リスク 中程度
注) 重要度は、◎極めて重視 ○重視 △比較的重視
*これまで公表した同種の格付方法は、本稿に代替されます。
R&I が格付対象の評価に用いる格付付与方針及び格付方法(以下「格付付与方針等」と総称します)は、R&I が独自の分析、研究等に基づいて作成し
た R&I の意見にすぎず、R&I は、格付付与方針等の正確性、適時性、網羅性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、明
示・黙示を問わず、何ら表明又は保証をするものではありません。また、R&I は、格付付与方針等の開示によって、いずれかの者の投資判断や財務等に
関する助言を行い、又は投資の是非等の推奨をするものではありません。R&I は、格付付与方針等の内容、使用等に関して使用者その他の第三者に発生
する損害等につき、請求原因の如何や R&I の帰責性を問わず、何ら責任を負いません。格付付与方針等に関する一切の権利・利益(特許権、著作権そ
の他の知的財産権及びノウハウを含みます)は、R&I に帰属します。R&I の事前の書面による許諾無く、格付付与方針等の全部又は一部を自己使用の目
的を超えて使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管することは禁止されています。
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