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総合重機 - 格付投資情報センター

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業種別格付方法
公表日:2013 年 8 月 9 日
総合重機
この格付方法は、複数の主力事業を持つ複合事業体であるいわゆる総合重機メーカーを対象とする。
社会インフラ・プラントビジネス、造船、航空機部品、その他量産品ビジネスなど、事業ポートフォリ
オは各メーカーで様々である。
I.事業リスクの評価
1.産業リスクの見方
総合重機メーカーは、歴史的に、事業の総合化、多角化を進めてきた。総合化のメリットは特定の事
業の好不調を他の事業で和らげることができる点にある。他事業のキャッシュフローを活用できる点も
プラス材料で、コングロマリットメリットを享受することが可能だ。
総合重機メーカーの手掛ける事業は、大型物件が主体で、その多くが受注ビジネスである点も大きな
特徴だ。そのため、発注サイドの設備投資計画や、公共投資の動向に受注額が影響を受けやすい。また、
大型で資材コストが大きいことや海外案件のウエートが高まっていることから、契約内容にもよるが、
原材料価格や為替の動向にも収益は左右されやすい。
工期が長期にわたることもリスク要因だ。得意とするコンポーネントだけであれば、リスクをある程
度コントロールできるが、EPC(Engineering:設計、Procurement:調達、Construction:建設)契
約を結んでプロジェクトの元受けになる場合は、完工リスク等、様々なリスクを抱えることになり、リ
スク管理能力が不可欠だ。また、労働集約的な事業の側面を持つため、一定の仕事量を確保する必要が
ある。受注時の採算管理など入り口から、引き渡しの出口まで適切に案件をコントロールしていくこと
が重要だ。
これらの点を総合的に勘案し、総合重機の産業リスクは中程度と評価している。
(1)市場規模、市場成長性、市場のボラティリティー
複数の事業を営むことが総合重機メーカーの最大の特徴で、取り扱う製品は多岐にわたる。主力の社
会インフラ・プラント以外にも、造船、航空機部品など、総合重機メーカーが特徴的に手掛けるビジネ
スも、一定の市場規模を有している。発祥の地域を地盤とするが、ワールドワイドでビジネスを展開し
ているため、市場規模は大きいとみている。
市場の成長性は比較的高い。中核ビジネスの社会インフラ・プラントは市場成長が期待できる分野だ。
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翻訳及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管することは禁止されています。
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航空機部品市場についても、一定の成長が見込める。造船市場が当面停滞する可能性を考慮しても、総
合重機メーカーの手掛ける事業は、全体としてある程度の成長を続けるものと考えられる。
総合重機メーカーの主力ビジネスは、社会インフラ・プラント、造船など受注型のビジネスである。
そのため、景況感や取引先の設備投資の動向といった外部環境の影響を受けやすく、ボラティリティー
は比較的大きい。
(2)業界構造(競争状況)
受注ビジネスが主体であり、案件獲得のためには、海外メーカーを含めた同業との競合を勝ち抜く必
要がある。国際競争入札が条件となるなど受注競争は比較的激しい。固定費を賄うために一定の受注残
高を確保する必要があり、これが赤字受注などにつながりかねない。また、実績作りのため、不採算案
件を手掛けることになる傾向もあった。
受注獲得に際しては、品質や実績なども評価され、価格だけで決まるわけではない。特に先進国のイ
ンフラ関連などでは、これまでの実績などが重視される傾向が強い。一方、需要が旺盛な新興国では、
国際的な入札が実施されることが多く、受注競争が激しくなりやすい。航空機部品の分野においても、
実績が重視される傾向が強い。
また、技術的なハードルが高いことに加えて、大型の EPC 案件、フルターンキー案件(コントラク
ターが設計、製作から据え付け、試運転指導、保証責任までの全てを請け負う方式)などでは、プロジェ
クトの管理能力も必要である。運転資金負担も重く、相応の経営体力が不可欠なことも、一種の参入障
壁となっている。
(3)顧客の継続性・安定性
社会インフラ・プラントや企業向けの設備機器などの量産品の分野においては、基本的に売り切り型
のビジネスであるが、一旦納入すれば、メンテナンス需要や交換品などアフター需要があるため、その
後も比較的安定した取引が続くことが期待できる。航空機部品においても、エンジン関連では、アフタ
ーパーツ需要やメンテナンス需要があり、顧客の継続性は高い。一方、造船などは、大型プラント等と
同じく、売り切り型のビジネスが中心で、アフター市場もあまり期待できない。継続性について、それ
ほど高い評価はできない。
トータルで見た場合、顧客の継続性・安定性は比較的高いと評価することができる。
(4)設備・在庫投資サイクル
新規分野、ビジネスへの参入時を除き、高水準の投資負担が発生する可能性は高くない。少なからず
投資を必要とする航空機部品等での新規部品の取引初期は収益性が低い半面、比較的安定した取引が継
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続的に行われ、また、補修部品などが安定収益源となることで、投資回収の確度は相応に高いと評価し
ている。プラント関連においては、大部分は外部からの調達であり、売り上げの規模と比較して、設備
投資の負担は小さい。
一方で、運転資金負担は重い。大型構築物が主体であることから売上債権や在庫が膨らみやすく、総
資産と比較しても運転資金の水準は相当のウエートを占める。売上債権の回収リスクは、それほど高い
とみていないが、仕掛品等の在庫に関しては、完工、納入が確定するまで、工事のやり直しなどで損失
が発生する可能性がある。この点を考慮し、設備・在庫投資サイクルについては、あまり高い評価はし
ていない。
(5)保護・規制、公共性
造船、航空機部品の分野において一部官公庁を顧客として抱えるほか、社会インフラ・プラントなど
では官公需に対応するものがあるが、信用力に影響を与えるような保護や規制はない。
(6)コスト構造
一般に外注品や資材費などの外部調達品が売上原価の大部分を占めることが多い。その一方で、労働
集約的な要素も強く、人件費など固定費負担も相応に発生するほか、生産設備や製品開発にかかわる費
用である減価償却費や研究開発費負担もある。売り上げの変動に伴い、比較的利益水準が振れやすい。
また、契約から完工、納入まで長期にわたるものが多い。性能面での手直しが必要となったり、完工
が遅れることで、契約時点と比較して外部調達の資材の価格が大きく変動するリスクを抱える。その面
から、特に大型案件に関しては、プロジェクト管理の巧拙が収益性を左右することになる。
2.個別企業リスクの見方
産業リスクが対象企業の属する標準的なリスクを示すのに対し、以下のような個別企業リスクにより、
各社の事業リスクは相違する。個別企業の事業ポートフォリオの違いや、リスクの大きい独自のビジネ
スを手掛ける場合も個別企業リスクとして評価する。
(1)安定収益源の分散
手掛けるそれぞれの事業で、どれだけの利益・キャッシュフロー創出力を持つか、また、その安定性
を確認する。実際に利益、キャッシュフローを生み出している事業をどれだけ多く持っているかが重要
で、収益の規模が相当に大きくても、特定の事業のみに依存している場合には高く評価できない。
安定性の評価に際しては、その事業、製品のワールドワイドでのシェア、競争力を確認する。実績が
重視される業界で、シェアは重要なチェックポイントだ。世界的に見て、競争力が強く、シェアの高い
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事業を持てば評価は高くなる。技術力も高く、他の追随を許さないようなポジションにあれば、特に高
く評価する。社会インフラなどでは地盤とする国でのシェアも重視する。一定の市場地位を確保してい
れば、収益面での安定性も高まるとみている。
(2)事業領域の広さ
取扱製品、サービス分野のほか、地域的な分散を確認する。事業の相関性は、公共投資への依存度や
特定業界への利益集中度を確認する。官公需、民需それぞれに顧客基盤を持ち、また、民需においても、
様々な業界を事業の対象としていれば、高く評価する。地域的な分散に関しては、先進国、新興国それ
ぞれで事業をどの程度営んでいるかを確認する。地盤とする先進国以外に、新興国で競争力のある事業
を営んでいるかが、評価の重要なポイントになる。
なお、競争力が強く、利益貢献度が高い量産品ビジネスを持っていれば、収益の下支えを期待できる。
(3)リスク管理体制
受注審査段階から引き渡しに至るまで、適切なチェック体制が構築されているか、また、しっかりと
運用されているかなど、リスク管理体制を確認する。もっとも、一定のリスク管理体制が構築されてい
ることが事業を営むうえでの前提条件と言える。
リスク管理体制に加え、外部環境の変化への備えが十分かも評価する。原材料価格や為替の変動など
を価格に転嫁できるエスカレーション条項などが付与される案件が多ければ、環境変化時の影響を軽減
することが可能となり、高く評価する。
(4)技術力、研究開発力
先端分野において、自社の技術や経営資源をベースに事業展開できるかどうかを確認する。競争に耐
えうる先端分野の製品の市場投入が可能な技術・開発力を有するメーカーかどうかが、BBB ゾーンの
目安となる。先端分野への対応を確認したうえで、将来の収益源育成に向けて、新規分野に対する研究
開発への対応を進めていれば、さらに高く評価する。
II.財務リスクの評価
財務リスクの分析では、財務データといった定量要因に加えて、財務運営方針や流動性リスクなども
評価している。総合重機業界では、複数の事業を手掛ける事業特性を踏まえ、以下のような財務指標を
重視している。収益変動リスクの高いビジネスや新規ビジネスのウエートなど、事業ポートフォリオの
特徴も踏まえる。
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(1)収益力
EBITDA(利子・税金支払い前、償却前利益)マージン、売上高営業利益率、EBITDA/総資産平均
売上高に対するマージンは、全般的な競争力、収益性を示す指標として重視している。EBITDA/総
資産平均(ROA)は、社会インフラ・プラント、造船など工期が長く、固定資産に加え、運転資金負担
が重く資産が膨らみやすいビジネスが中核であることから、資産効率を確認するためにも、注目してい
る。
(2)規模・投資余力
EBITDA、自己資本
コングロマリットとしての相乗効果を得るためには、一定の規模が必要で、規模・投資余力を重視し
ている。EBITDA はキャッシュフローを代替的に示す指標として、横比較も容易である。自己資本は、
赤字計上時の損失吸収のバッファーとして重要だ。
総合重機メーカーの特徴は、複数の収益源を持つことにあり、競争力を維持、強化するための投資に
他事業のキャッシュフローを活用することが可能な点にある。そのため、分散効果を考慮する。
(3)債務償還年数
純有利子負債 EBITDA 倍率、(純有利子負債-運転資本)/EBITDA 倍率
一定の有形固定資産を持つことから、純有利子負債とキャッシュフローのバランスは、資産効率や収
益性を含有する重要な指標である。もっとも、最先端技術を用いたものを量産するときを除き、総合重
機メーカーの設備投資は更新投資がメーンとなることが多く、設備投資見合いの有利子負債は低く収ま
るとみている。
運転資金負担が重い点も特徴だ。運転資本は年度により変動しやすく、特に業容拡大時には増加しや
すい。有利子負債から運転資本を差し引いた設備投資見合いの有利子負債とキャッシュフローのバラン
スも重要になってくる。経年変化や同業他社との比較においても有用だ。官公庁や大手企業など、信用
力が高い販売先が多いことから、回収リスクが比較的軽微であることも、運転資本を控除した有利子負
債を重視できる要因の背景にある。
(4)財務構成
自己資本比率、ネット D/E レシオ(純有利子負債の自己資本に対する倍率)
受注環境の変化により、収入が変動しやすいことに加え、受注から引き渡しまでに時間を要する事業
については、当初想定していた収益を確保できない可能性を抱える。利益水準は変動しやすく、財務バ
ッファーとして自己資本の厚みを重視するとともに、自己資本比率、ネット D/E レシオなどに示され
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る財務構成も資金調達余力を見るうえで、重要な要素となる。
(5)流動性リスク
運転資金負担の重い業態であり、安定的に資金を確保する能力は重要である。銀行等、金融機関との
関係を確認するほか、調達方法の多様化などにいかに取り組んでいるかなどを評価する。
III.総合重機業界の格付
発行体格付
個別企業リスク
安定収益源の分散
事業領域の広さ
リスク管理体制
技術力、研究開発力
財務リスク
指標
収益力
売上高営業利益率
EBITDAマージン
EBITDA/総資産平均
規模・投資余力 EBITDA
自己資本
債務償還年数
純有利子負債EBITDA倍率
重要度
◎
◎
◎
○
(純有利子負債-運転資本)/EBITDA倍率
財務構成
自己資本比率
ネットD/Eレシオ
重要度
○
◎
○
◎
◎
○
◎
○
○
産業リスク 中程度
注) 重要度は、◎極めて重視 ○重視 △比較的重視
*これまで公表した同種の格付方法は、本稿に代替されます。
R&I が格付対象の評価に用いる格付付与方針及び格付方法(以下「格付付与方針等」と総称します)は、R&I が独自の分析、研究等に基づいて作成し
た R&I の意見にすぎず、R&I は、格付付与方針等の正確性、適時性、網羅性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、明
示・黙示を問わず、何ら表明又は保証をするものではありません。また、R&I は、格付付与方針等の開示によって、いずれかの者の投資判断や財務等に
関する助言を行い、又は投資の是非等の推奨をするものではありません。R&I は、格付付与方針等の内容、使用等に関して使用者その他の第三者に発生
する損害等につき、請求原因の如何や R&I の帰責性を問わず、何ら責任を負いません。格付付与方針等に関する一切の権利・利益(特許権、著作権そ
の他の知的財産権及びノウハウを含みます)は、R&I に帰属します。R&I の事前の書面による許諾無く、格付付与方針等の全部又は一部を自己使用の目
的を超えて使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管することは禁止されています。
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