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タイヤ - 格付投資情報センター

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業種別格付方法
公表日:2015 年 3 月 13 日
タイヤ
この格付方法は、乗用車やトラック、二輪車など輸送機器のゴムタイヤを製造・販売する企業を対象
とする。タイヤ業界は重要な自動車部品の 1 つであると同時に、合成ゴムや天然ゴムを主要原材料とす
るゴム製品であり、独自の産業リスクや事業リスクの特徴を持つ成熟した市場であることから、自動車
部品とは格付方法を分けている。また、ゴム製品の技術優位性を生かし自動車以外の分野に事業展開し
ている場合も、この格付方法で評価する。
I.事業リスクの評価
1.産業リスクの見方
タイヤは地上を移動する輸送用機器の多くに使用されている部品である。完成車メーカーの海外展開
に対応した製品供給体制の構築や市販用(補修用)タイヤの販売・サービス体制の拡充が求められる。
研究開発や生産設備への投資負担は比較的重いが、生産本数の大半は市販用が占めるため、市場のボラ
ティリティーは自動車や自動車部品と比べて小さい。高度な技術力に加え、幅広い製品をグローバルに
相応の規模で供給していけるだけの投資余力が必要とされることもあり、業界構造は世界的に寡占にな
っている。
市場は高性能品と汎用品に二極化し、アジアメーカーの台頭など競争環境は厳しくなりつつあるが、
中・高価格帯の市販用タイヤでは一定のブランドロイヤルティーが存在している。原材料の需要動向に
よって収益を圧迫されるリスクはあるものの、寡占市場となっていることもあり、原材料価格高騰分の
価格転嫁は一定程度浸透している。中長期的には、新興国を中心とする自動車向けの需要拡大もあり、
一定の市場成長が期待できる。タイヤ業界の産業リスクは全産業の中で中程度と判断している。
(1)市場規模、市場成長性、市場のボラティリティー
グローバル市場規模は比較的大きい。リーマンショックなどの一時的な影響を除けば、比較的高い成
長を続けてきた。新興国を中心に新車用・市販用ともに需要の拡大が見込める。タイヤの生産量は自動
車生産台数の動向に影響を受ける。もっとも、グローバルの本数ベースでは全体の 7 割以上を市販用が
占め、残りを新車用が占める。市販用は新車用に比べて需要変動が小さく、収益の安定性は比較的高い。
市販用が新車用の落ち込みを補えるので、市場のボラティリティーは自動車や自動車部品と比べて小さ
いといえよう。
株式会社格付投資情報センター
Copyright(C) 2015 Rating and Investment Information, Inc. All rights reserved.
〒103-0027 東京都中央区日本橋 1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング(お問い合わせ)インベスターズ・サービス本部
TEL 03-3276-3511
当サイト、当サイトの内容その他当サイトに含まれる情報に関する一切の権利・利益(著作権その他の知的財産権及びノウハウを含みます)は、特段の記載がない限り、株式会社
格付投資情報センター(以下「R&I」といいます)に帰属します。R&I の事前の書面による許諾無く、これらの情報等の全部又は一部を使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、
翻訳及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管することは禁止されています。
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(2)業界構造(競争状況)
国内では 4 社が寡占市場を形成している。グローバルでは上位 3 社のシェアが高い。大部分のタイヤ
メーカーは主に自国のマーケットで一定のシェアを確保するにとどまっている。安価な中国、韓国製品
の台頭により、競争環境は厳しくなっている。もっとも、日本メーカーは高い製品品質や技術力を強み
に環境対応製品などの拡販を進めており、高付加価値分野では比較的高い地位にある。
(3)顧客の継続性・安定性
新車用タイヤの場合、顧客である完成車メーカーが強い交渉力を持っており、乗り換えコストは低い。
ただし、建設機械や航空機向けなどの特殊用タイヤは価格よりも製品の耐久性や信頼性が重視され、顧
客の継続性・安定性は高いといえる。
市販用タイヤの場合、顧客はタイヤディーラーから購入するため、タイヤディーラーの推薦やサービ
スが購入に大きく影響する。中・高価格帯の市販用タイヤでは一定のブランドロイヤルティーが存在し
ており、高級品になればなるほど新車用と同じメーカーの製品を買う傾向がある。一方、中間価格帯で
は固定客の割合は比較的少なく、顧客の継続性・安定性は低いといえる。
(4)設備・在庫投資サイクル
需要サイクルは乗用車やトラック・バスなどの業界の影響を受ける。乗用車および商用車メーカーの
海外生産拡大に伴い、設備投資額は拡大傾向にある。研究開発や生産設備への投資負担は重いものの、
乗用車のモデルチェンジサイクルの影響は受けにくく、製品のライフサイクルは比較的長い。開発・生
産プロセスを一新するような技術革新の可能性は限定的であり、生産設備は回収期間を超えて利用が可
能だ。
また、タイヤの販売本数の大半は市販用が占めており、景気動向によって買い替え期間に多少の変動
はあるものの、需要動向は安定しており、回収確度は高い。投資の回収期間は自動車や自動車部品と比
べてやや長い。ただし、タイヤは生産工程が長く、在庫回転期間はやや長いため、景気後退局面では一
定の在庫リスクを抱える。
(5)保護・規制、公共性
米国政府が、中国製タイヤに対して特別セーフガード(緊急輸入制限)を実施したように、各国は自
国の雇用を確保するために地元を優遇する支援策を取ることも見受けられるが、政府からの制度的な支
援は存在しない。
また、自動車の騒音軽減や環境対応として、タイヤの材質や溝の形状など、タイヤへの規制は強化さ
れる傾向にある。
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(6)コスト構造
合成ゴムタイヤの主要原材料であるブタジエンは、石油化学原料ナフサの分解によりエチレンやプロ
ピレンと同時に生産される。石化製品の需要が減少すればブタジエンの供給も減少するため、ブタジエ
ンの価格は石化製品の需要動向に左右されやすく、タイヤメーカーの収益を圧迫する要因となる。
生産本数の大半を占める市販用タイヤでは比較的値上げを行いやすいが、新車用タイヤは原価低減要
求の厳しい完成車メーカーとの交渉となるため、原材料の価格転嫁は一定の割合にとどまる。原価に占
める減価償却費の占める割合も比較的高く、コスト構造の柔軟性は低いと判断している。
2.個別企業リスクの見方
産業リスクが対象企業の属する業界の標準的なリスクを示すのに対し、個別企業リスクにより各社の
事業リスクは相違する。
(1)新車用タイヤの顧客基盤
タイヤメーカーの業績は、販売先である乗用車、トラック・バス、建設車両、農業機械、産業車両、
二輪自動車などの需要動向に大きく影響を受ける。このため、大手完成車メーカーとの取引関係(親密
さ、資本関係を含む)の強さや販売実績の有無などの顧客基盤が信用力をみるうえで重要な判断材料と
なる。新車用タイヤは中級から高級品になればなるほど、新車用と同じメーカーの商品を買う顧客の割
合が増える傾向にある。このため、市販用で高いシェアを確保するうえでも、新車用タイヤの顧客基盤
の確保は重要だ。
(2)市販用タイヤ・アフターサービスの収益基盤
新車用タイヤに比べ、市販用タイヤは市場規模が大きく収益性は高い。市販用タイヤは、タイヤの性
能やデザインといった要素に加え、タイヤ販売店の品揃えや商品の提案、メンテナンスのアドバイスな
どが顧客の購入に大きく影響する。このため、市販用タイヤの顧客囲い込みおよび拡販には、販売店網
の展開や販売チャネルと協力した販売・サービス体制の構築が重要となる。リトレッド(再生)ビジネ
スは収益性が高く、新品タイヤやメンテナンスと組み合わせたソリューションとしても重要性が高い。
(3)高付加価値製品への技術対応力と競争力
新車用では乗り換えコストが低く、タイヤの選定に当たっては完成車メーカーが強い交渉力を持つた
め、価格低下圧力は強い。また、原材料の価格転嫁は、市況連動となっている一部を除いて完成車メー
カーとの交渉で決まるため、価格転嫁は一定の割合にとどまっている。このため、相応の利益・キャッ
シュフローを確保するためには、製品の付加価値の向上や、低コスト生産体制の確立によって製品競争
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力・コスト競争力を高めることが欠かせない。また、環境対応などタイヤの燃費性能面での競争は一段
と激化している。低燃費タイヤなど高付加価値商品の拡販を進め、中期的に安定した収益を確保できる
かも信用力を判断する重要な要素となる。
(4)グローバル製品供給体制
完成車メーカーは国内から海外へ生産拠点のシフトを進めており、タイヤメーカーにとって海外の製
品供給体制の構築は、現地メーカー向けの受注はもちろん、グローバル戦略車のように生産台数の大き
な車種の受注を獲得するうえで不可欠となる。国内市場の成長は頭打ちであり、成長が見込まれる新興
国市場などで供給体制を確立できなければ、競合他社が受注を獲得してシェアを伸ばす可能性が高く、
中長期的に収益基盤に与えるマイナス影響は大きい。
(5)用途の分散及び事業の多角化
用途や製品ポートフォリオを分散させることで、安定した収益を確保できるかが信用力を判断する重
要な要素となる。乗用車やトラック・バス以外の用途にも収益源を分散することで、乗用車用の需要が
落ち込んだ場合でも、他の製品で全体の収益の落ち込みを補うことができる。また、ゴム製品の技術優
位性を生かし自動車以外への産業に一定の収益基盤(ベルト・ホースをはじめとする工業資材や免振ゴ
ムや断熱材などの建築資材等)があれば、タイヤの需要変動リスクを軽減できる。
II.財務リスクの評価
財務リスクの分析にあたっては、様々な財務指標の検討に加え、財務運営方針や流動性リスクなども
評価している。
(1)収益力
EBITDA/総資産平均、ROA(総資産事業利益率)、EBITDA マージン、営業利益率
設備投資負担が比較的重い産業だけに、資産規模に見合った収益力・キャッシュフロー創出力を確保
できているのかを重視する。償却前段階でどれだけの収益を確保できているかを国内外のタイヤメーカ
ーと相対的に比較する観点で、EBITDA/総資産平均をみている。
投下資本を効率的に回収できるかを判断する指標として、ROA(総資産事業利益率)も重視している。
EBITDA マージンや営業利益率も確認している。
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(2)規模・投資余力
EBITDA(利子・税金支払い前、償却前利益)
、自己資本
投資回収の原資になるとともに、継続的な設備投資や将来への戦略投資が行えるだけの投資余力を測
る指標として EBITDA を重視している。グローバルな製品供給体制の構築や運転資本としての資金調
達が相応に必要であり、事業規模、資産規模に比例する形で自己資本の規模が求められる。
(3)債務償還年数
純有利子負債 EBITDA 倍率、純有利子負債営業 CF(キャッシュフロー)倍率、
(純有利子負債-運転資本)FFO(運転資本増減を除く営業キャッシュフロー)倍率
有利子負債とキャッシュフローのバランスである債務償還年数はタイヤメーカーの安全性を評価す
るうえで最も重要な指標である。収益力や規模・投資余力の項目で EBITDA を重視しており、横比較
の観点からも、純有利子負債 EBITDA 倍率に重きを置いている。また、運転資本を考慮した債務償還
年数も重視している。
(4)財務構成
自己資本比率、ネット D/E レシオ(純有利子負債の自己資本に対する倍率)
研究開発や設備投資、運転資本の調達を円滑に行うためには、資本負債構成に余裕が必要であり、業
績悪化局面でも事業規模に応じた一定の自己資本比率を確保することが重要である。
新興国市場における生産能力増強などの際には、資金調達を有利子負債に依存するケースが想定され
るため、純有利子負債と自己資本とのバランスであるネット D/E レシオも重要な評価指標となる。
III.タイヤ業界の格付
発行体格付
個別企業リスク
新車用タイヤの顧客基盤
市販用タイヤ・アフターサービスの収益基盤
高付加価値製品への技術対応力と競争力
グローバル製品供給体制
用途の分散及び事業の多角化
重要度
◎
◎
◎
◎
○
収益力
規模・投資余力
債務償還年数
財務構成
財務リスク
指標
EBITDA/総資産平均
ROA
EBITDAマージン
営業利益率
EBITDA
自己資本
純有利子負債EBITDA倍率
純有利子負債営業CF倍率
(純有利子負債-運転資本)FFO倍率
自己資本比率
ネットD/Eレシオ
重要度
◎
◎
○
○
◎
○
◎
○
◎
◎
○
産業リスク 中程度
注) 重要度は、◎極めて重視 ○重視 △比較的重視
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*これまで公表した同種の格付方法は、本稿に代替されます。
R&I が格付対象の評価に用いる格付付与方針及び格付方法(以下「格付付与方針等」と総称します)は、R&I が独自の分析、研究等に基づいて作成し
た R&I の意見にすぎず、R&I は、格付付与方針等の正確性、適時性、網羅性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、明
示・黙示を問わず、何ら表明又は保証をするものではありません。また、R&I は、格付付与方針等の開示によって、いずれかの者の投資判断や財務等に
関する助言を行い、又は投資の是非等の推奨をするものではありません。R&I は、格付付与方針等の内容、使用等に関して使用者その他の第三者に発生
する損害等につき、請求原因の如何や R&I の帰責性を問わず、何ら責任を負いません。格付付与方針等に関する一切の権利・利益(特許権、著作権そ
の他の知的財産権及びノウハウを含みます)は、R&I に帰属します。R&I の事前の書面による許諾無く、格付付与方針等の全部又は一部を自己使用の目
的を超えて使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管することは禁止されています。
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