10 21 1 2 研修の充実を願って 校長 北川洋一 いよいよ戦後最大の教育改革が始まった。平成18年末からの教育基本法,学校教育法,教育行政に関 する法律改正に始まり,いよいよ高校の学習指導要領も改正となった。また,昨年度末からの政権交代に よって,教育をめぐる環境も大きく変わろうとしている。高校授業料無償化,全国一斉の基礎学力テスト の見直し,科学予算の削減など,教育はどう変わっていくのだろうか。広島県の高校生の学力は,大学入 試センター試験の平均点もようやく全国平均以上になり, あと少しで全国で10位以内になりそうである。 ところで,これからの21世紀の社会は,新しい知識,情報,技術が,政治,経済,文化を始め社会の あらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要度を増し, 「知識基盤社会」となると言われている。その 特質は 3 つ。 ①知識は国境がなくグローバル化のなかで進む。 ②知識は日進月歩であり,競争と技術革新が,絶え間なく進む。 ③知識の進展は,旧来のパラダイムの転換を伴うことが多く,幅広い知識と柔軟な思考に基づく判断力が 必要となる。 このことから,本校は21世紀のリーダーを育成するため,次の3点を重点課題として取り組んできた。 ① 基礎基本的な知識,技能を確かなものにする。本校では基本的な語彙力が不足している。例えば理系 の大学に進学したい生徒は,日本の古典や歴史(日本史はもちろん世界史も)は当然のごとく知らな ければならない。自国の文化を正しく理解していない人は,世界では信用されない。 ② 基礎的な知識や技能を活用して,じっくりものごとを考える,矛盾のないように論理的にものごとを 組み立てる,自分の考えを表現する,お互いの意見が合わないとき議論したり調整したりするなど解 決策をみつけたりする,相手にわかるように説得するなどの,思考力,判断力,表現力を身に付けて いく。 ③ 家庭での予習→ 授業 → 家庭での復習といった学習サイクルを確立させ学習意欲を向上させるこ と,変化の激しい21世紀の社会を生きていくためには, 「生涯にわたって学ぶ」 「高校では学び方を 学ぶ」ことが大切である。 この研究紀要は1年間の研究の記録であるとともに,次年度以降の教員の指導力の向上につながるもの である。これまで個々の教員がもっている経験知が共有知になり,文化になることを切に願っている。 3 平成21年度授業改善への取組計画 1 授業改善の取組みの基本的な考え方 生涯にわたって自律的に学習するための基礎基本の育成 生涯にわたって学習するための基盤としての基礎基本の学力を付ける 自律的に学習する高校生の育成 教科マネジメントを徹底させ,自主的に学習に取り組ませる めざす授業 予習-授業-復習の学習サイクルを機能させる授業 論理的思考力・判断力・表現力を高める指導 方策 ・3年をサイクルに共通テーマを設定し,教科マネジメントが機能する授業研究 ・年2回の公開授業旬間及び年1回の公開研究授業による相互研修 ・各教科の目標を明示(検証・修正・達成が可能な具体の方策) ・個々の目標を自己申告書に明示(検証・修正・達成が可能な具体の方策) ・定期考査分析による生徒の現状把握と取組みの検討 ・年2回の授業アンケートによる検証 2 授業研究のテーマ「自律的学習態度の育成」 3年間を通した目標を設定し授業力の向上を図る取り組みを行う。学習意欲を高めるとともに,学び 方を身に付けさせることにより,主体的に目標を設定し自律的に学習する態度を育てることを目標とす る。 年次 各年次の授業研究テーマ 公開研究授業の形態 1年目:平成21年度 学ぶ意欲を高め,学習サイクルを確立させるため 校内を主とする校内研 (2年目以降は1年生対象) の指導方法の工夫改善 修の充実 2年目:平成22年度 言語活動を充実し論理的思考力を高める指導方法 地域へ公開,指導主事に (3年目以降は2年生対象) の工夫改善 よる研修 3年目:平成23年度 判断力・表現力を高め,課題設定解決能力を習得 県内へ公開,成果の普 (3年目は3年生対象) させるための指導方法の工夫改善 及,指導主事による研修 3 検証方法としての授業アンケート (1)実施時期・回数 7月と1月の年2回実施。 (2)結果の活用 各教員は,中間アンケート結果を受けて,授業改善の方向性を明確にするとともに,実践する。年度 末には,年度末アンケートをもとに,取組みの成果と課題を明確にする。学校評価の自己評価(中間 評価・年度末評価)に活用する。 4 (3)具体的実施方法 LHRにおいて,全教科について一括して1枚の回答用紙(マークシート)に回答させる。責任を 持った回答とするために,記名とする。アンケート結果は教務部が集計する。結果のまとめは個人票 を作成し,管理職から個々の教職員に配布する。 (4)アンケート項目 (熱意)授業に対する教員の熱意が感じられる (説明)要点を明確にした説明で,分かりやすい (板書)板書は,授業の要点が整理されており分かりすい (程度)授業内容の程度(レベル)がちょうど良い (対応)質問や発言への対応が適切である (言葉)言葉がはっきりしていて,聞き取りやすい 4 1年間の流れ 月 取組み 4 ・公開授業旬間 ・目標の明示 5 7 10 11 12 1 3 ・定期考査 ・定期考査 ・授業アンケート (中間) ・定期考査 ・指導案作成 ・公開授業旬間 ・公開研究授業 ・目標の修正 ・定期考査 ・授業アンケート (年度末) ・定期考査 ・達成状況の検証 内容 ・本校の授業実践状況の把握 ・各教科の目標を教科会議で決定 ・教科目標に対して各自の目標設定⇒教科会議において検証・修正・ 達成が可能な具体の方策であるかを検討,修正,自己申告書に明示 ・定期考査分析による生徒の実態把握と具体の取組み方法の検討 ・定期考査分析による生徒の実態把握と具体の取組み方法の検討 ・生徒による評価をもとにして,自身の授業の検証と改善に向けての方策 の検討 ・定期考査分析による生徒の実態把握と具体の取組み方法の検討 ・テーマに沿った授業指導案の作成,実践,検証 ・テーマに沿った公開授業の実施 ・教科目標の達成状況を検証し,修正の方向を協議 ・各自の目標について達成状況を検証し,修正の方向を検討,中間自己申 告に明示 ・定期考査分析による生徒の実態把握と具体の取組み方法の検討 ・生徒による評価をもとにして,中間からの改善の方策の有効性を検証, 成果と課題の明確化 ・定期考査分析による生徒の実態把握と具体の取組み方法の検討 ・各自の目標について達成状況を検証し,成果と課題の明確化 5 目 次 ● 学習指導案 国語科学習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 地歴公民科学習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 数学科学習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 理科学習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 保健体育科学習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 芸術科学習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 英語科学習指導案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 ● 個人研究 『人を伸ばし,組織を変えるために』・・・・・・・・・・・・・・37 6 国語科学習指導案 教諭 篠原 祐木 1 日 時 平成21年11月6日(金) 6校時 2 場 所 2-1教室 3 対 象 2年1組 41名(男子15名 女子26名) 4 科 目 現代文 5 教 材 桐原書店「探求 現代文 改訂版」 6 単元名 小説『山月記』 柔道 7 単元設定の理由 (1)教材観 『山月記』は33歳で夭折した作家・中島敦の実質的なデビュー作である。また,本作は唐代の歴 史小説『人虎伝』に依拠した作品であり,中国の史実・古典をもとに多くの作品を書いた中島敦らし い作品である。 文体に関しては,漢語の多様が特徴的である。音読するとたいへん迫力がある。しかし漢語ゆえに, その意味を捉えようとするとき,生徒にとっては馴染みのないことがほとんどである。生徒が漢語の 迫力を自分なりの言葉で噛み砕く必要のある作品である。 内容は人が虎に化けるという一見突飛な変身譚だが,虎になってしまった主人公の苦悩や生き方に 触れるうち,かえって『人間』とは何なのか深く考えさせられる作品である。 (2)生徒観 四月から指導している文型クラスである。小説の指導については,前回の単元が大岡昇平の『靴の 話』であったが,作者の言わんとするところを読み取ろうとする意欲的な態度は見て取れた。評論に おける論旨の把握よりも,ドラマ性の流れの中で授業を受けることのほうが,興味・関心が高いよう に思われる。 (3)指導観 『山月記』は人間が虎になるという虚構を通して,主人公の孤独・苦痛・悲しみを中心に展開され ている。主人公・李徴の心理を読み取らせることで,作品に描かれた主題を導き出したい。また, 『山 月記』の力強い文章と,多く用いられている漢語など,主人公の悲劇的な 運命を伝える表現技巧の 巧みさに気づかせたい。 8 単元の目標 ア 登場人物の心情をストーリーの展開に即して的確に読み取る。 (読む能力) イ 表現に即して内容を読み味わおうとする。 (関心・意欲・態度) ウ 漢文調の文体に接し,豊かな語彙力を身に付ける。 (知識・理解) 9 単元の評価規準 関心・意欲・態度 読 む 能 力 知 識 ・ 理 解 表現に即して内容を読み味わい,登場 主人公の心情を的確に読み取り,人 漢語,表現技巧について理解し, 人物のものの見方,感じ方,考え方を 物像に迫ることで,ものの見方,考 豊かな語彙力を身に付けている。 読み取ろうとしている。 え方を豊かにすることができる。 7 10 単元の指導計画(全8時間) 評 次 1 学習内容(時数) 関 話 書 読 知 価 評価規準 評価方法 ・漢字の読みに注意して ◎ 音読する。 おおまかなあらすじを読み取れて ・初読の感想を書く。 いる。 プリントの点検 (1) 2 ・李徴の人柄を簡単に捉 李徴・発狂までの経緯が読み取れて 発問への取り組み方 える。 本 ・展開に沿って,主人公 時 が発狂するまでの経緯を 読み取る。 3 ○ ◎ いる。 提出プリント 再会の際の李徴の心理が読み取れ 行動の観察 (1) ・虎と化した李徴の心情 ◎ を読み取る。 ている。李徴の告白の中の心情語を 抜き出せる。 発問への取り組み方 客観的な語りと主観的な語りが区 別できている。 (1) 4 ・李徴の詩への執着を読 「頼んでおきたいこと」の内容が理 行動の観察 み取る。 解できている。 ・李徴の詩に対して袁傪 李徴にかけている部分を考えてい ◎ が感じたことをまとめる る。 。 七言律詩であることを確認する。 ・詩の形式を確認する。 発問への取り組み方 ノートの点検 ○ (1) 5 ・李徴の内心にあったも 「臆病な自尊心」 「尊大な羞恥心」 行動の観察 のについて考える。 がどのようなものか理解できてい ・李徴の虎と化した運命 ○ ◎ る。 の分析をまとめる。 「胸をやく悲しみ」とはどこから来 ・李徴の悲しみを読み取 たものなのか考える。 発問への取り組み方 る。 (2) 6 ・李徴の依頼と「自嘲」 妻子のことを頼む李徴の心情が読 の心情を読み取る。 ・惜別の場面を読み取る。 行動の観察 み取れている。 ◎ 結末の描写の効果について考えさ せる。 ・感想を書く。 初感に比べて読みが深まっている。 (2) 8 プリントの点検 11 本時の目標 李徴の発狂までの経緯を捉えることができる 12 本時の展開 指 導 内 容 学 習 活 動 評 価 の 観 点 導 ○前時の復習 入 ・前時の感想文をもとに振り返る。 自分の感想を振り返る。感想文・添削をもとに意 欲的に振り返っている。 4 ・李徴の人柄に触れておく。 分 展 ○意味段落1を音読する。 開 ○本文の語彙や展開をもとに, 若き日の李徴の人柄と心情を 4 捉える。 3 ・「狷介」や「恃む」から,李徴の 指導上の留意点 全体の傾向を簡単に 評 価 方 法 行動観察 説明する。 つまずく読みは適宜, 支援する。 人柄を考える。 分 ・「賤吏に甘んずるを」から,李徴 本文に即して,調べて の心情を考える。 きた語句の意味をもと に考え,答える。 ○「官を退い」た際の李徴の心 情を捉える。 ・本文に即して捉える。 ○逆接に着目した後,詩人とし てうまくいかない李徴の心情 本文から抜き出し,答 を捉える。 える ・心情を把握させる。 ・若い頃の李徴とは,対照的な表 情の違いを捉えさせる。 ○一地方官吏となった原因と 自尊心を傷つけられた原因を 捉える。 本文から抜き出す 語の意味を自分なりの 言葉で言い換える。 対照的な表現を本文中 から探す 李徴の立場の変化を しっかり捉えさせ る。 ・ 「一地方・・」の周辺部分を探す ことを指示する。 ・李徴にとって最も苦痛だったこ 本文中から抜き出す 原因とみなすことの 本文をもとにじっく とを考える。 できる文を捉えてい り考えさせる。 る。 〈読む能力〉 ノート 原因を自分なりの言 ○読み取った経緯から,発狂の 原因を自分なりの言葉で書く。 本文中の語の意味等か 葉で捉えている。〈読 む能力〉 ら考え,答える。 ノートや本文を参考に意 はっきり表現させる。 行動の観察 ノートや本文をもとに 書く。 9 欲的に書いている。 〈関心 ・意欲・態度〉 プリント ま ・本時のまとめをする。 と ※発狂までの経緯を書くことができ め なければ,宿題とする。 3 ・次時の予告をする。 分 13 まとめ Ⅰ 研究授業 (1)導入 導入では図書だより「せせらぎ」を用いた。今回,偶然ではあるが,生誕百年を迎える中島敦が 取り上げられていた。生徒にも日ごろから読書に対するアンテナをもってほしいとの願いからで授 業のはじめで取り上げた。本単元を授業だけではない角度から紹介することができ,生徒の関心を 高めることもできたのではないかと考える。 次に,一人の生徒の感想文をそのまま板書し,本時間の考えるきっかけとした。しかし,授業で の読みの深まりとの関係をあまり考えることなく引用してしまったことから,生徒の感想文を生か しきれなかった。今後の反省点である。 (2)展開 本文を順当に追うだけの授業になってしまった。協議で他の国語科の先生から御指導いただいた 部分でもあるが,いわゆる授業の【ヤマ】をうまく作ることができなかった。今後もっとも課題で あるのはこの【ヤマ】までの組み立てである。生徒に考えさせる大きな山場に向かって,授業を組 み立てるということだが,今後すべての授業でこれを意識して取り組んでいきたいと考えている。 (3)まとめ 最後, 「読み取ったことを書く」場を設定した。これを交流させるなどの活動をもう少し増やせ ば,ひとつの山場を作ることができたのかもしれない,と思っている。本時の目標は大半達成でき たと思うが,今後活動に関してももっと次のことを考えて仕組んでいきたい。 Ⅱ 全体 現在,研究授業での経験を踏まえてその後の授業を展開している。具体的には①山場を意識した授業の 組み立てと,②読みの深まりを意識した活動の充実である。とくにこの小説の第五段の読み取りでは,先 の①,②を意識した授業を展開したいと思っている。明確な目標を持てた点で大変有意義な研究授業とな ったと考えている。 10 国語科 研究協議のまとめ 国語科部長 1 日 時 2 対象授業 平成21年11月 6日 金曜日 授業者 篠原祐木 授業日時 平成21年11月6日(金) 科目・クラス 現代文・2年1組 3 参加者 三次教頭,竹内,市川,篠原,花本,門田,矢野 4 研究授業に ついて 5 研究協議 竹内 智己 現代文。中島敦の小説『山月記』を扱った授業で,本時は2時間目,小説の冒頭部分 の読解に取り組むものである。主人公,李徴の発狂までの経緯を読み取る中で李徴の人 柄を捉えることを目標とする。日時の制約があったため,小説のクライマックスに研究 授業を持ってくることができなかったのが残念ではあるが,小説『山月記』の世界にい かに生徒を導くかという方向付けをするのが最初の1,2時間である。生徒は前回の単 元で扱った大岡昇平の『靴の話』で小説の読解に関心を高めつつあるところで,趣は異 なる作品であるが『山月記』との出会いによってさらに小説の奥行きを味わってくれる ことを期待して授業者が取り組もうとしているのが今回の単元である。 授業者は今年度の初任者で,初任者研修の一環として指導主事を招いての公開研究授 業を行うべきところ,主事の都合により校内のみでの公開になったので,終了後,国語 科を中心に成果と課題を明らかにするため研究協議会をもち,授業を振り返った。 〈感想・意見〉 ○漢語を多用した文章で,わかる生徒にはわかる,わからない生徒には難しいというよ うな理解に差の出るところを,よく理路整然と説明されたが,授業に「山」が欲しかっ た。 ○もう少し考えさせる発問があってもよかったのではないか。例えば,本文を抜き出し, それを根拠に李徴の性格を考えさせてもよかったのではないか。 ○宿題プリント(切り取って,半分を提出し,半分をノートにはるサイズで,考えさせ るワークシートのようになっている)がよかった。 ○授業の最初に取り上げ,板書した生徒の感想を生かして「李徴の発狂の原因」として まとめることもできたのではないか。せっかく取り上げた生徒の感想なので,もっと生 かしてもよかった。 ○落ち着いた授業展開で,予定のところまでまとめることができたのはすばらしい。 ○生徒が予習課題をきちんとやって授業に臨んでいた。意欲の現れ,学習サイクルが確 立されていることでもあるが,同時に生徒との関係をうまく構築しているということの 表れでもある。6時間目であったが,よく生徒が頑張っていた。 ○先に李徴の経歴を整理して,その時々の心情やそこで起こったことをまとめてもよか ったのではないか。生徒全員に考えさせる時間が欲しい。また,1時間の中で生徒をも う少し動かしてもいいのではないか。 ○“せせらぎ”の記事の紹介はタイミングがよかった。現代文ではいつもアンテナを張 って情報を取り入れるのは大切であろう。 ○授業運びはうまいのだが淡々としているので,何かポイントになる動き(グループ・ ペアワークなど)を取り入れてはどうか。 〈まとめ〉 現代文の授業は,展開に際しては授業者の個性が顕著に表れるところであり,落ち着 いた授業展開は堂々としたものであった。また,宿題プリントや“せせらぎ”の記事紹 介,感想文を使っての導入など,授業者の工夫は大いに参考となった。一方,全員に考 えさせる授業,動きを取り入れた授業などは,私たち皆の課題とも言えるところであり, さらなる研究によりお互いに授業を磨いていきたいと考える。 11 地理歴史科学習指導案 教諭 山本浩正 1 日 時 平成21年11月6日 金曜日 2校時 2 場 所 2年1組教室 3 対 象 2年1組(41名) 4 科 目 日本史B 5 教 材 改訂版詳説日本史B,最新日本史図表,精選日本史史料集 6 単元名 鎌倉文化 7 単元設定の理由 (1)教材観 鎌倉時代には, 武家社会の成立や庶民の経済活動が活発になったことなどの社会変化を背景にして, 文化に新しい気運が生まれた。鎌倉新仏教や,武士や庶民を題材にした文学や絵巻物,時代の精神を 反映した力強く写実的な彫刻などである。文化には,その時代の特徴が反映されるのである。鎌倉文 化をみていくことにより,中世がどのような時代だったのか,また東アジア世界との関わりはどうだ ったのか,その時代背景と文化の関わりについて考えさせたい。 (2)生徒観 真面目に授業を聞くクラスである。黒板に書かないことでも,授業で強調するところは自分でプリ ントに書き込む生徒が多い。前向きな姿勢で,徐々に力をつけつつある。 (3)指導観 まずは授業を集中して聞くことが大事だと考えている。そのために,授業のなかで大事なところを 自分でどんどんプリントに書き込むよう,指示している。集中して聞いていないと,そのようなこと はできないからである。授業をしっかり聞いたうえで,歴史事象の因果関係について自分で考えられ るような力を身につけさせたいと考えている。 8 単元の目標 鎌倉文化にみられる特徴を理解する。その新しい気運が,中世の時代的背景や東アジア世界とどのよ うに関連しているか考察する。 9 単元の評価規準 関心・意欲・態度 鎌倉文化に対する関心を 高め,その背景である中 世社会や東アジア世界と の関わりについて意欲的 に追究している。 思考・判断 資料活用の技能・表現 知識・理解 鎌倉文化の特徴や,中世 社会との関わり,東アジ ア世界との関わりについ て,多面的・多角的に考 察することができる。 鎌倉文化に関する文献や 写真等の諸資料を収集・ 活用し,歴史的事象を追 究する方法を身に付けて いる。 鎌倉文化に関する基本的 な事柄を総合的に理解 し,その知識を身に付け ている。 10 指導計画(全15時間) 第2部 中世 第4章 中世社会の成立 1 院政と平氏の台頭 4時間 12 2 3 4 5 鎌倉幕府の成立 2時間 武士の社会 3時間 蒙古襲来と幕府の衰退 3時間 鎌倉文化 3時間(本時は1時間目) 11 本時の目標 鎌倉文化のなかでも重要な鎌倉新仏教の特徴を理解させ,その時代的背景や東アジア世界との関 わりについて考察させる。 12 本時の展開 時間 指導内容・学習活動 導入 ・小テスト実施 10分 ・これまで登場してきた仏教の宗派 は何か。現在,身の回りにみられる 仏教の宗派には何があるか。 指導上の留意点 ・基礎基本を身につけさせる。 ・鎌倉時代に新しい仏教の宗 派が成立し,現在までつなが っていることを理解させる。 評価規準(方法) ・知識・理解(小テスト採 点) ・知識・理解(観察) 展開 35分 ・受験に対応できるよう,キ ーワードを強調する。 ・関心・意欲・態度,知識・ 理解(観察・プリント記入) ・鎌倉新仏教の宗派,およびそれぞ れの開祖,特徴について理解する。 ・思考・判断(観察) ・鎌倉新仏教全体の特徴は何か。 まとめ 5分 ・武士や庶民に広まった背景 についても考察させる。 ・中国から禅宗が伝えられた ことをおさえ,東アジアとの 関連についても確認させる。 ・次時の予告(史料の確認,旧仏教 の動き,鎌倉時代の文学・学問) 。 13 まとめ 相次ぐ戦乱や社会不安,および東アジア世界との交流などの中から鎌倉新仏教が成立した。鎌倉新 仏教は武士や庶民にも門戸を開いたため,全国のあらゆる階層に受け入れられ,現在へと続いている。 そのような歴史事象の因果関係や背景・展開について,常に考察させたい。 13 地歴・公民科 研究協議のまとめ 地歴・公民科部長 1 日 時 2 対象授業 3 参加者 4 研究授業 について 5 研究協議 前岡 泰成 平成21年 11月 6日 金曜日 授業者 山本 浩正 授業日時 平成21年11月6日 科目・クラス 2年1組(41名) 山本 浩正(授業者) 三次 至和教頭 前岡 泰成 植田 宏明 徳山 博一 内容:鎌倉文化(鎌倉新仏教の登場) 鎌倉新仏教の特徴を理解させることで,その時代的背景や東アジアとの関わりについ て考察させることがテーマ。授業の最初に,生徒の基本的な知識について確認,定着化 をはかる目的で最初の10分間で小テストを実施している。 導入は,東アジアにおける宋と日本との関わりといったこれまでの学習の振り返りか ら投げかけをおこない,鎌倉時代以前の仏教との比較を含めて,現代における自分たち の宗派と鎌倉仏教とのつながりを認識させることからスタートした。その後は,プリン トに従って6つの宗派をとりあげ,その特徴について説明していくという講義形式のも のであった。 学ぶ意欲を高め,学習サイクルを確立させるための指導方法の工夫改善について ・小テストの効果について,授業の最初にすることで,語句を覚えようという意識は高 まっている。しかし,自宅での学習の増加には繋がってはおらず,授業の直前に覚え るというのが現実である。基本的な事項の定着化には効果があると考えられるが,1 時間の授業の内容を生徒に伝えていくうえで,小テストを実施するのであれば,40 分 の中で内容の精選をおこなったり,テーマを明確にしていく必要があるのではないか。 (今回の授業も6つの宗派のうち,5つまでの説明で終わってしまっている。 ) ・鎌倉新仏教の特徴を押さえる上で,6つの宗派を同列に取り扱うよりも,念仏系と座 禅系といったように構造化していくほうが,生徒も理解しやすいし,内容も定着化し ていくのではないか。限られた時間のなかで内容を終わらせるためには,板書の内容 を少なくして,ポイントを押さえていくとよいのではないか。また,語句を記入させ るだけでなく,生徒の思考を促す意味においても,文章で記述させる部分もあったら よいのではないか。 (プリントの工夫) ・1 時間の授業のなかで貫かれている主題(メインクエッション)をもっと明確にして いくとよいのではないか。幹となる部分がはっきりしていくことで,より授業内容に メリハリが生まれるし,生徒にこの 1 時間で「○○について学んだ」という達成感を 持たせることができる。今回の授業では, 「なぜ,鎌倉新仏教が現在までつながってい るのか。→簡単,誰にでも出来る,楽しい,救われる=旧仏教との違い」ということ を主題として授業内容を組み立てていけば,よりその特徴も明確になったのではない かと考えられる。 ・メリハリをつけるということであれば,日本史はちょっとした余談のなかに歴史の楽 しさが隠れていることが多い。余談ばかりでは授業は進まないが,一方で,生徒の知 識を定着化させるためには効果的に活用していくことが求められる。 ・資料集や史料の活用について,後でまとめてやることで復習につながるが,その場で 提示してやったり,資料や史料をもとに考えさせることも必要ではないか。 「悪人正機 説」の部分などは補足説明があったほうがよい。悪人の定義が明確になっていなかっ た。定期考査の分析においても,本校の生徒の実態として特に史料問題に弱いという 現実がある。繰り返し復習して定着化させていくことも重要であるが,授業のなかに おいて,いかに生徒に考えさせ,意識付けることができるかが今後の課題である。 14 数学科学習指導案 広島県立三原高等学校 教 諭 和木 康修 1.日時・場所 平成 21年 10月 29日(木) 6限目 2.学年・学級 第1学年1・2組(30名) (1-2教室) 3.単元名 数学 A 「1章3節 確率」 ( 「改訂版 数学 A」数研出版 ) 4.単元について (1)教材観 中学校における確率では,樹形図などを利用して起こりうるすべての場合を求める ことができる程度の事象を扱っている。本単元では,中学校で扱った基本的な内容 に加え,順列や組合せの考え方を利用すればやや複雑な事象の確率も数で表現でき ることを理解する。また,身近にある事例を基にして,数学的に考察・処理するこ とで数学的な見方や考え方の良さを実感し,それを実生活で活用・判断できるよう にする。 (2)生徒観 このクラスは,3クラスを基礎クラス,標準クラス,発展クラスの3展開に分けたうち の標準クラスである。 2学期中間考査後に行った意識調査では, 数学に対して否定的な印象をもつ生徒が 70%, 確率に対して否定的な印象をもつ生徒が 63%,という結果が出ている。しかし一方で,全 ての生徒が「基本をしっかり」学び, 「数学ができるようになりたい」という結果も出て いる。授業内では進んで発言する生徒も存在するため,数学に対する学習意欲はある程度 高いと思われる。 (3)指導観 文字や記号といった数学的な表現に苦手意識をもつ生徒が多くみられるため,具体的 な数値や簡単な図をもとに数学的表現を納得させ,考え方を習得させる。加えて,具体的 な事例を用いる機会を多く取り入れることで数学を身近に感じさせ,苦手意識の克服,数 学が身近な存在であることを実感させる。 また,日々の課題に既習内容を取り入れることで学習の定着度を高めるとともに,現 在学習している内容との関係性も意識させる。 5. 単元の目標 確率の定義や基本性質について理解を深め,様々な事象の確率を考察・処理できるようにする とともに,確率の考え方が実生活に精通していることを認識させる。 6.単元の評価規準 ア 関心・意欲・態度 イ 数学的な見方や考え方 ウ 表現・処理 事象の確率を数で表 1 確率の加法定理や余 事象の有用性を認識 せることに興味・関心 し,活用することがで をもち,進んで確率を きる。 求めようとする。 2 具体的な場面におい 2 反復試行の確率を求 める式を導く過程を考 て期待値が活用できる 察することができる。 ことに関心がもてる。 3 具体的な場面におい て期待値の考えを活用 することができる。 1 1 同様に確からしい場 合の確率を正しく求め ることができる。 2 余事象の確率を求め ることができる。 3 独立な試行の確率を 正しく求めることがで きる。 4 反復試行の確率を正 しく求めることができ る。 15 エ 知識・理解 1 確率の意味・試行や事 象の定義を理解してい る。 2 確率の基本性質・確率 の余事象について理解 している。 3 独立な試行の確率に ついて理解している。 4 期待値の意味とその 計算方法を理解してい る。 7.指導と評価の計画(全13 時間) 評 次 学習内容 1 事象と確率(2) 2 確率の基本性質(3) 3 独立な試行の確率 (3) 4 反復試行の確率(2) 5 関 期待値(3) (本時はその 2 時間目) 見 ○ ○ ○ ○ ○ 表 価 知 評価規準 評価方法 ア 1 事象の確率を数で表せることに興味・関心をもち, 進んで確率を求めようとする。 ○ ○ ウ 1 同様に確からしい場合の確率を正しく求めること ができる。 エ 1 確率の意味,試行や事象の定義を理解している。 イ 1 確率の加法定理や余事象の有用性を認識し,活用 することができる。 ○ ○ ウ 2 余事象の確率を求めることができる。 エ 2 確率の基本性質・確率の余事象について理解して 観察 いる。 応答 ウ 3 独立な試行の確率を正しく求めることができる。 ○ ○ 小テスト エ 3 独立な試行の確率について理解している。 毎日課題 イ 2 反復試行の確率を求める式を導く過程を考察する ことができる。 ○ ウ 4 反復試行の確率を求める式を導く過程を考察する ことができる。 ○ ア 3 具体的な場面において期待値が活用できることに 関心がもてる。 イ 3 具体的な場面において期待値の考えを活用するこ とができる。 エ 4 期待値の意味とその計算方法を理解している。 8.本時の展開 (1)本時の目標 期待値の考えが判断基準として利用できることに関心をもち,具体的な場面で活用し,選択の有 利・不利を考察できる。 (2)本時の評価規準 ・具体的な場面において期待値が活用できることに関心がもてる。 (ア 2 関心・意欲・態度) ・具体的な場面において期待値の考えを活用することができる。(イ 3 数学的な見方や考え方) (3)準備物 「改訂版 数学 A」(数研出版) 「サクシード 数学Ⅰ+A」(数研出版) 演習プリント (4)参考資料 「改訂版 数学 A」(数研出版) 「サクシード 数学Ⅰ+A」(数研出版) 「改訂版 数学 A」教授資料(数研出版) 高等学校学習指導要領解説 数学編 理数編(実教出版) (5)本時の指導過程 過程 導入 (3 分) ○指導過程・●学習活動 指導上の留意事項 ○期待値の求め方を復習し,本時の学習内容 について話す。 ①期待値の意味と計算方 法を簡単に復習。 ②宝くじの損得を判断す ることを伝える。 16 評価[方法] ●どの選択が有利か予想し,期待値を用いて 確かめる。[例題 21・改] ○期待値が選択の有利・不利の判断基準にな ることをまとめる。 ・予想とその理由を数人 に発問した後,期待値を 活用すれば判断できるこ とを伝える。 ●練習 68 を考える。 ・正しく期待値を求め, 判断できているか確認。 必要に応じて確率分布表 をかき,確率の和が1に なっているか確認するよ う指示。 (特に[3]) ●期待値の考えを用いて,年末ジャンボ宝く じの損得を考察する。[演習プリント] (毎日課題の配布) ○演習終了後,次の2点を話する。 ① 高額な賞金が当たる確率は“サイコ ロをふって1の目が8回連続出る確 率”に近い。 ② 毎年,同程度の期待値で発売されて いる。 ①年末ジャンボ宝くじの 仕組みを簡単に説明 ②損得を判断するために 何を利用すべきか問い, 問題文の下線部を埋めた 後に演習にうつる。 ③計算ミスをしないよう 呼びかけながら机間指導 する。 ④早くできた生徒には, 毎日課題を提示する。 ○本時のまとめ/次回の予告 ☆賭け事はしない,本時 の学習を家族に伝えるよ う指導する。 ・期待値は選択の際の判 断材料となること。 ・期待値,新しい単元に ついて 展開 (44 分) まとめ (3 分) ・具体的な場面において期 待値が活用できることに 関心がもてる。 (ア 2 関心・意欲・態度) [生徒の反応] ・具体的な場面において期 待値の考えを活用するこ とができる。(イ 3 数学的 な見方や考え方) [発問・プリント観察] 9.まとめ 研究協議で頂いた以下の指摘を今後生かしていきたい。 ・ グループ活動や生徒同士の相談・確認する時間を取り入れることで授業にメリハリが付ける。 ・ 期待値の計算方法だけでなく,定義の理解や,なぜ期待値で損得が判断できるかなど,前時または導 入でしっかり復習・確認をすべきであった。 ・ ワークシートにおいて,あらかじめ計算方法の例を提示することで生徒の計算段階における混乱を回 避できたかもしれない。生徒がどんな計算方法をとるか,どこでつまづくか,計算にどれだけ時間を 費やすかをもう少し予想しておくべきだった。 ・ 今回授業したクラスのレベルを考慮すると,単に期待値を求めるだけでなく, 「値段設定をさせる」な ど,売り手の立場で考えさせるような工夫を授業に取り入れても面白かったもしれない。今後はその ような教材の工夫にも挑戦していきたい。 17 数学科 研究協議のまとめ 数学科部長 1 日 時 2 対象授業 藤原 通則 平成21年 10 月 29 日 木 曜日 6限 第1学年1・2組(30名) (1-2教室) 3 参加者 本越指導主事 校長 教頭 西村 池田 丹 仲 藤原 丸山 和木 水野 4 研究授業に ついて 数学 A 「1章3節 確率」 5 研究協議 学ぶ意欲を高め,学習サイクルを確立させるための指導方法の工夫改善について 今回の授業研究は本越指導主事を迎えて行われたので,本越指導主事,校長,教頭の講 評で研究協議の意見を代表する。なお,出席者全員が意見を出したが割愛する。 [教頭先生] ・ 10 の○乗の計算が生徒にできるか,あらかじめ調査(理科と相談) ・ 単位を付ける際は必ずカッコで表現 ・ 期待値を計算する際,式をカッコで分割しないと分からないレベルの生徒なのか? (アンダーラインでも良いのではないか。 ) [校長先生] ・ 教材を提示するタイミング。 ・ 画像とくじの年度を一致させる。 ・ なぜ「さいころで8回連続1が出る確率」と宝くじの高額が当たる確率が同じなの か,根拠を示す。 ・ どうすれば計算が速くできるか,方法を生徒に議論させる。 (生徒の頭の中が計算 のみになってしまう。 ) [本越指導主事] ・ 上手くやろうとしない。 ・ グループ活動を通し,メリハリをつける。 ・ 定義を確認し,なぜ期待値で損得が判断できるのか理解させる。 ・ 運の要素についての話をしても良いのではないか。 ・ 生徒の計算方法を予測し,あらかじめ対処法を考えておく。 ・ ワークシートに計算例を載せるなどの工夫する。 ・ 金額設定を生徒にさせる。 18 理科学習指導案 教諭 1 2 3 4 5 6 日 時 場 所 対 象 科 目 教 材 単元名 西村 洋子 平成21年10月27日 火曜日 5校時 化学実験室 3年5組(男子30名,女子12名) 化学Ⅱ 高等学校 化学Ⅱ 改訂版(啓林館) ,自主作成プリント 反応速度と平衡 「電離平衡」 7 単元設定の理由 (1)教材観 化学変化に関する基本的事項の一つである化学平衡について扱い,物質の変化の基本に関する認 識を深めさせることができる単元である。特に,化学Ⅰの分野で学習した「塩の水溶液の性質」や 「弱酸の遊離」などの現象を理論的に明らかにすることができ,生徒の本質的な理解を深めさせる のに適している。既習事項との関連が多く扱われ,知識の総合化を図り,論述させることで論理的 思考力・表現力を育成することができる分野である。 (2)生徒観 高い意欲を持ち化学の学習に自ら取り組む生徒がいる反面,主体的な復習の取組みが不十分で 一定の基礎的事項の理解が不足している生徒も多く,生徒の学力差が大きい。また,知識を身に 付けていても単元ごとの断片的な理解にとどまっており,総合的に活用する能力の育成が課題で ある。 (3)指導観 化学Ⅰの既習事項「弱酸の遊離」を検証させることで,知識の定着を図り,物質の変化のしくみ を考察させていくことができる。学力差が大きいためグループ活動を取り入れ,互いの知識を補い 合ったり認識を深め合うことができると考える。また,実験観察を通して,実験操作を具体的に考 え,表現し,理論的に思考させていくことで,思考を深めていくことができると考える。 8 単元の目標 可逆反応における化学平衡とその移動,電離平衡のしくみを理解する。 化学平衡と化学工業の関連,電離平衡と身近な物質や現象との関連を考察する。 9 単元の評価規準 A 関心・意欲・ B 思考・判断 態度 ①化学平衡に興 ①化学反応式から,平衡状態での平衡定 味をもち,電離 数を導く式を考えることができる。 平衡や溶解平衡 ②ルシャトリエの原理から,反応におけ について調べる る平衡の移動方向を予測し,その理由を 態度が育ってい 考えることができる。 る。 ③化学平衡の移動の実験から,温度・圧力 を変化させたときに,化学平衡がどのよ うに移動するかを考えることができる。 ④弱酸の電離平衡と電離定数の実験か ら,電離度とモル濃度が反比例し,電離 定数が一定であることを考えることがで きる。 ⑤弱酸・弱塩基の遊離における化学平衡 19 C 観察・実験の技能・ 表現 ①弱酸の遊離の実験操 作を自ら考え行い,変化 について調べることが できる。 D 知識・理解 ①可逆反応における化 学平衡の概念と平衡定 数について知り,化学 平衡の法則が成り立つ ことを理解する。 ②ルシャトリエの原理 を知り,化学物質の工 業的製法において濃 度・圧力・温度などの適 切な反応条件が定まる ことがわかる。 ③化学Ⅰで扱った現象 の原理を化学平衡と結 とその移動のしくみについて考えること ができる。 びつけて理解できる。 10 単元の指導計画 学習内容 時間 第1節 化学平衡と平衡定数 (1) 可逆反応と化学平衡の概念を理解する。 (2) 平衡状態で質量作用の法則を理解し,計算する。 第2節 平衡移動 (1) 化学平衡の移動について,ルシャトリエの原理を導入し,移動の 方向を考える。 (2) 化学平衡が工業にどのように活用されているかを理解する。 第3節 電離平衡 (1) 水のイオン積から水素イオン濃度・pH を導入し計算する。 (2) 弱酸弱塩基濃度と pH の関係を理解し,計算する。 (3) 緩衝液,塩の加水分解,弱酸の遊離,また溶解平衡につ いて理解を深める。【本時 6時間目】 4 A 評価規準 B C D ① ① ① ② ③ ② 3 8 ① ④ ⑤ ① ③ 11 本時の目標 弱酸・弱塩基の遊離における化学平衡とその移動のしくみを理解する。 12 本時の展開 時間 指導内容・学習活動 導入 ・実験目的の確認 5分 ・実験方法の確認 ・実験中の注意 展開Ⅰ 20分 展開Ⅱ 20分 指導上の留意点 ・自分たちの考えた操作が適切であるかを検 証するだけでなく,現象の起こるしくみを 考えて表現することが目的であることを 確認させる。 ・前時に各グループごとに作らせた実験プリ ントで操作と必要な器具を確認させる。 ・役割分担させ,役割を自覚し主体的に取り 組ませる。 ・安全に実験を行うための注意を徹底させ る。 ・実験 ・各グループごとの実験プリントに従って行 炭酸カルシウム,ナトリウムフェノ わせる。 キシド,アニリン塩酸塩か ・操作や使用器具に誤りがある場合は,気付 かせるよう声がけをする。 ら弱酸弱塩基を遊離 させ,検出反応によ ・実験操作,廃液処理が安全に行われている か留意させる。 り確認する。 ・考察 ・各グループごとに弱酸・弱塩基の遊離のし 観察された現象の くみを考察し文章に表現させる。一文を短 内,フェノールとアニリンの遊 く,簡潔な表現にするよう注意する。 ・全体に対して説明するのに必要な事項を検 離を理論的に考察 討し,模造紙に書かせる。 し,表現する。 ・発表 ・代表の班(2つ)が発表し,内容を互いに 評価させる。 20 評価規準〔方法〕 A 積極的に活動に参加 している。 〔行動観察〕 A 積極的に活動に参加 している。 〔行動観察〕 C 正確な実験操作によ り現象を観察すること ができる。 〔行動観察〕 B 反応のしくみについ て考えることができる。 〔プリントへの記入状 況〕 D 反応のしくみと化学 平衡を結びつけて理解 している。 〔発表・資料〕 まとめ 5分 ・本時の内容確認 ・課題指示 ・弱酸弱塩基の遊離のしくみを確認する。 A 積極的に活動に参加 ・課題プリントに取り組むことで個人の理解 している。 〔行動観察〕 を深めさせる。 13 まとめ ・事前の実験操作を考えさせる時間や実験後の考察では, グループで積極的に意見を出し合っていた。 グループ活動によって,互いの考えを伝えあい認識を深めることができたと考える。 ・生徒は各自の役割を自覚し,積極的に実験・考察活動に参加していた。グループ編成を生徒に任せ, 互いの意見を言いやすいグループ編成にしたためと考えられる。 いろいろな人間とコミュニケーショ ンをとることも大事であるが,まず,互いに意見を表現しあえることを優先した。 ・他の実験においても,操作方法から考えさせていくことが理解を深めることにつながると考えられ る。 ・時間的に少し無理があり,最後の発表の場面で生徒の意見を十分に引き出すことができなかった。 時間配分は再考すべきだと考える。 ・酸の強弱を考えて試薬を選択させる条件をつけたのだが,理解できていないグループがあった。 21 理科 研究協議のまとめ 理科 1 日 時 平成21年10月27日 火曜日 2 対象授業 授業者 西村 洋子 授業日時 平成21年10月27日 火曜日 5校時 科目・クラス 化学Ⅱ・3年5組(男子30名,女子12名) 丸川 晋一 3 参加者 西村(授業者),校長,教頭,塩崎,高杢,下川,加藤,丸川 4 研究授業に ついて 化学変化に関する基本的事項の一つである化学平衡について扱い,物質の変化の基本 に関する認識を深めさせることができる単元である。化学Ⅰの分野で学習した「塩の水 溶液の性質」や「弱酸の遊離」などの現象を理論的に明らかにすることができ,生徒の 本質的な理解を深めさせるのに適している。本時は,実験を通して,論理的思考力・表 現力を育成することを狙ったものである。実験を通して,実験操作を具体的に考え,表 現し,理論的に思考させていくことで,思考を深めていくことができると考える。 研究授業後には,成果と課題を明らかにするため研究協議会をもち,授業を振り返っ た。なお,研究協議会には,多角的な研究のため当該教科以外からも積極的に参加を募 り,内容の深化を図った。実際には他教科教員の参加はなかったが,校長,教頭から, 的確な助言をいただくことができた。 5 研究協議 (感想等) ・生徒は班全員で協力しながら実験を行うことができていた。 ・生徒の笑顔も多く見られた。やはり実験は生徒も教員も生き生きさせる。 ・生徒だけでなく化学以外の教員にとっても難しい分野だが,実験を行うことで理解が 深まった。教員にとっても勉強になった。 ・実験の方法を考えさせた前時の授業が重要である。そこでうまく展開できたからこそ 本時の成功がある。前時の授業も参観したかった。授業者と,実習助手のチームプレー の意義も大きい。本時の内容の復習を適切に行うことで,実験を中心とした学習サイク ルの確立の好例になりえる。 ・1時間に盛りだくさんの内容で,チャレンジスピリットがみられる授業であった。内 容は豊富だが,計画的に行えたからこそできた授業である。 ・班のメンバーは自由に組んでいるので,仲良しグループでよい雰囲気でできた。一方 で,だらしない班もあったことは課題でもある。 ・生徒と教師との関係ができていたため,指示が通り大半の生徒はしっかりと活動でき ていた。ただし,教員の説明を聞かずおしゃべりなどを続ける生徒も少数見られた。化 学教室の構造上の問題もあるが,生徒の注意を引く工夫も必要ではないか。 その他,本授業の枠を飛び越し,理科教育や実験のあり方,思考力を高める指導のあり 方等,広範な話題について話し合った。結論が出ないことも多々あるが,話し合うこと で互いの意識が高まった。今後は,参加者各自の教科指導に,この研究授業および研究 協議の成果を生かせることだろう。 22 保健体育科学習指導案 教諭 前田 秀樹 1 日 時 平成21年 10月 30日 金曜日 4校時 2 場 所 格技場 3 対 象 2年4組 男子生徒 4 科 目 保健体育 5 教 材 武道 6 単元名 柔道 7 単元設定の理由 (1)教材観 柔道は,わが国固有の文化として伝統的な行動の仕方が重視される運動で,相手の動きに対応した 攻防ができるようにすることをねらいとし,自己の能力に応じて課題の解決に取り組んだり,競い合っ たりする運動である。また,礼儀作法を尊重して練習や試合ができることを重視する運動である。 したがって,柔道では,相手の動きや技にたいして,自己の能力に応じて自ら工夫して攻防する技 を習得した喜びや,競い合う楽しさを味わうことができるようにするとともに,柔道に対する伝統的 な考え方を理解し,それに基づく行動の仕方を身につけることが大切である。 (2)生徒観 このクラスの生徒は,柔道の経験者は2名ぐらいで,ほとんどの生徒は柔道のことをあまり知らな い。しかし,まじめで柔道への興味関心はあり積極的に取り組んでいる。 (3)指導観 授業の内容に飽きさせず,新しい技の習得に対する意欲や,トレーニングをやりこなそうとする態度 を引き出したい。また,礼儀作法についてはその都度指導する。 8 単元の目標 ア,立ち技,固め技の技能を身につける。 イ,相手の動きにあわせて技をかける技能を身につける。 ウ,簡易な試合ができる(審判法の習得) エ,柔道の礼儀作法を身につける。 9 単元の評価規準 関心,意欲,態度 思考,判断 運動の技能 知識,理解 伝統的な行動の仕方に留 自分の能力に応じた技を 柔道の特性に応じた技能 武道の特性や学び方,技 意して互いに相手を尊重 習得するための課題を設 を見つけるとともに,そ 術の系統性,構造,合理 し,安全に留意して,進 定し,その解決を目指し の技能を高め,相手の動 的な練習の仕方を理解す んで練習や試合に取り組 て,練習の仕方や試合の きに対応した攻防を展開 るとともに,試合や審判 もうとするとともに,勝 仕方を工夫している。 して練習や試合ができ の方法を理解し,知識を 敗にたいして公正な態度 る。 身につけている。 をとろうとする。 10 単元の指導計画 1期 1年次の復習 5時間 2期 立ち技の習得 10 時間 3期 簡易な試合 7 時間 11 本時の目標 新しい立ち技の習得をする。 ( 内股 ) 相手の動きにあわせて技をかける技能を身につける。 12 本時の評価規準 (ア) 関心,意欲,態度 互いに相手を尊重し,安全に留意して,進んで練習に取り組もうとしている。 23 (イ) 思考,判断 新しい技のかけ方を理論的に考え工夫している。 (ウ) 運動の技能 新しい技を意欲的に習得する。 相手の動きにあわせて技をかける。 (エ) 知識,理解 技のくずし方,さばき方,かけ方を理解する。 13 本時の展開 時間 指導内容 学習活動 導入 15 分 体育委員の指示に従ってラジオ体操 第1を行う。 2,正座,挨拶, 体育委員の号令で正座,黙想し,教 出欠,点呼 員の合図で挨拶をする。 みんなで号令をかけ元気良くしっ かりと体をうごかせる。 健康観察を行う。 心を落ち着かせ,授業に臨む心構え を持たせる。 3,本時の説明 説明を聞く。 授業への意欲を喚起し,安全に留意 するよう指導する。 4,補強運動 腕立て,腹筋,背筋,馬とび,ブリ 十分に体を温め,各関節をしっかり ッジを決められた回数行う。 と動かしておく。 各自のスピードで正確にやらせる。 1,準備体操 5,受身 展開 30 分 まと め 5分 指導上の留意点 受身の練習を行う。 頭を打たないように指導する。 1,内股の投げ 内股の投げの示範を見る。 の説明 投げの説明を聞く 組み方,くずし方,さばき方,かけ 方について説明を聞く。 2,内股の投げ 約束稽古で投げの練習をする。 マットに投げる。 の練習 畳になげる。 生徒に良くわかるようにみせる。 3,立ち技の乱 立ち技の攻防をする。 相手の動きに対して投げるタイミン 取 グを学習する。 1,集合,正座 柔道衣の乱れを直し集合して正座す る。 2,反省,予告 本時の反省と次時への心構えを持 つ。 相手を尊重し礼儀作法を重んじる。 積極的にお互い攻防させる。 3,挨拶 評価 規準 ア イ ウ エ 相手を投げるにはくずし,さばきが 必要なことを理解させる。 投げる者は相手の引き手を離さな いように,投げられる者は受身を正 確にとるように指導する。 怪我の有無の確認をする。 技術,安全への態度等の気付きを伝 える。 次時に興味,意欲を持たせる。 心を落ち着かせ,練習相手,道場,先 体育委員の号令で黙想し,教員の合 生に感謝の気持ちを持つことを教 図で挨拶をする。 える。 13 まとめ 生徒が意欲的に取り組み予定通り授業を進めることができた。 内股の投げ方の説明が不足だった。 立ち技の乱取の時間が少なかった。 24 ア エ 保健体育科 研究協議のまとめ 保健体育科部長 1 日 時 平成21年 10月 30日 金曜日 2 対象授業 授業者 前田 秀樹 授業日時 4時間目 科目・クラス 体育(柔道) ・2-4男子 3 参加者 校長,教頭,森藤,村上,濱田 森藤 和夫 4 研究授業に ついて 新しい立ち技の習得ということで「内股」について授業を展開した。 (詳細は学習指 導案を参照) 5 研究協議 《授業の感想等》 ・ 技についてとてもていねいでわかりやすい説明であり,生徒もよく理解できてい た。 ・ 大きな声で号令をかけ元気いっぱい準備体操をしていた。授業への意欲が感じられ た。授業規律が保たれ,そのことを大切にしていることが伝わる。ここでこのよう に素晴らしい事ができるのだから,他の授業においても実行してほしい。 ・ 規律を重視し,生徒が自主的に活動する緊張感のある授業だった。 25 芸術科(音楽)学習指導案 教諭 林 稔 平成 21 年 9 月 28 日 (月) 4 時間目 音楽室 1年5組選択者 23名(女子 14名,男子 9名) 音楽Ⅰ ・鑑賞ビデオ ・クラシック・ギターをはじめよう ~初歩のソロから弾き語り・アンサンブルまで~ (音楽之友社) 6 単元名 クラシックギターを楽しもう 7 単元設定の理由 (1)教材観 クラシックギターによる演奏の鑑賞によりその美しい音色を味わい,実際の演奏を通じて楽器の 特徴を理解し,将来クラシックギターの作品や演奏を愛好する心情を育てるとともに,器楽による 表現の能力を伸ばしたい。 (2)生徒観 バンドに興味を持ち始める年代であることから,エレキギターのようなピック(弦をはじくプラス チックの器具)を使用した奏法は多くの生徒が知っているものと思われる。しかしながら5本の指を 使い,旋律と伴奏を同時に演奏するクラシックギターについてはなかなか触れる機会は少ない。本 単元ではそういったクラシックギターの音色の美しさや演奏方法を通じ,今まで知らなかった楽器 の魅力を生徒に味わわせたい。 尚,コードを使用する教材はある程度の手の大きさを必要とするため,女子生徒の多い本校では 不向きであると考えられる。また,楽譜を読むことが苦手な生徒も見受けられる。本単元では女子 生徒,音符を読むことが苦手な生徒に対応するため,指を押さえる箇所や弾く弦が記号で記された 教材,練習課題は多くの生徒が知っている童謡を用いて授業を進める。 (3)指導観 鑑賞作品は生徒の関心をひくよう,どこかで聴いたことはあるがクラシック音楽とは思っていな かったであろう「アランフェス協奏曲」を選んだ。 練習課題は生徒の技術の差や進み具合に対応し,かつ生徒の自主性を育てるために,敢えて「こ の日までにこの曲を」といった固定された目標設定はせず,練習の進み方やテストで演奏する曲は ある程度生徒の自主性に任せている。 1 2 3 4 5 日 場 対 科 教 時 所 象 目 材 8 単元の目標 (1) 身近で親しみやすいクラシックギターに興味・関心を持つ。 (2) クラシックギターの名曲,名演奏を鑑賞し,美しい音色や表現力の豊かさを感じられる。 (3) (2)で感じられた事を自らの演奏に活かせる。 (4) 基本的な構え方,奏法について理解し,実践できる。 (5) 自主的・積極的に課題をこなせる。 9 単元の評価規準 関心・意欲・態度 芸術的な感受や表現の工夫 創造的な表現の技能 鑑賞の能力 ・授業中に熱心に鑑賞・練習 ・作品に相応しい表現を考 ・楽器の奏法を理解し, ・作品の美しさを深く味 え,創造的に表現を工夫出 している。 実践出来る。 わうことが出来る。 ・自ら計画的に練習し,積極 来る。 的に次のレベルの課題に挑 戦している。 26 10 単元の指導計画 時 ねらいと主な学習活動 1 ・クラシックギターの演奏上の特徴や構え方,各部 の名称について理解する ・クラシックギターの名曲をVTRで鑑賞すること により,演奏法や音色について更に理解を深める。 2 レッスン1~3 3 ・正しい持ち方や構え方で練習する。 ・右手の使い方(奏法)について理解し,練習する。 4 レッスン3~4 (本 ・正しい持ち方や構え方で練習する。 時) ・右手の使い方(奏法)について理解し,練習する。 5 6 レッスン4~ 7 ・曲頭から最後まで同じテンポで演奏できる。 8 ・レッスン4で音色や音量の変化をつけられる。 9 テスト 評価基準 ・クラシックギターに興味を持てる。 【関心・意欲】 ・クラシックギターの持つ美しい音色や表現の豊かさ を感じ取れる。 【鑑賞の能力】 ・正しい姿勢,構え方,奏法で演奏できる。 【技術】 ・正しい姿勢,構え方,奏法で演奏できる。 【技術】 ・鑑賞で感じたことを自らの表現,奏法の工夫に活か せる。 【鑑賞の能力】 【表現,技術】 ・自主的,積極的な目標設定ができる。 ・高い目標に対する積極性を持てる。 【意欲・態度】 ・演奏態度(ステージマナー) 【態度】 【表現】 【技術】 11 本時の目標 (1)正しい姿勢,構え方,奏法で演奏できる。 (2)鑑賞で感じたことを自らの表現,奏法の工夫に活かせる。 12 本時の展開 学習の展開 過程 学 習 活 動 導入 鑑賞 (10) クラシックギターの作品を鑑賞する。 鑑賞曲「アランフェス協奏曲(抜粋)」 (ロドリーゴ) 展開 (38) 指導上の留意点 評価の観点 ・静かに関心を持って聴かせ ・自分が取り組んでいる楽器とし る事により,集中して,意欲 て,奏法や表現方法など,関心を 的に学習に取り組む雰囲気を 持って鑑賞出来ているか。 【関心・意欲・態度】 【鑑賞の能 作る。 力】 ピアノに合わせて全員でチューニングを ・出来るだけ自分の耳を使っ 【意欲・態 する。 てチューニングを行うよう ・私語をしていないか。 度】 指示する。 (第6弦→第5弦→第4弦→第3弦→第 ・他の弦を弾いていないか,明 ・正確にチューニング出来ている 2弦→第1弦) らかに異常のある音が無い か。 【技能】 かチェックしながら行う。 本時の内容を確認する。 本時の目標と授業の流れを把 握させる。 「きらきら星」 「チューリップ」をピアノ ・他の弦を弾いていないか,明 ・私語をしていないか。 に合わせて全員で弾く。 らかに異常のある音が無い ・集中出来ているか。 【意欲・態度】 かチェックしながら行う。 ・全体的な練習の進み具合を チェックする。 27 ・教室を回りながら,以下の点 練習開始 をチェックする。 ●個人練習① ・チューニング ・自分のペースにあわせて練習を行う。 ・姿勢 ・出来たら次のレベルの曲の練習に移 ・構え方 る。 (特に姿勢の悪い生徒 には足置き台の使用 を勧める) ・右手(親指だけで弾い ていないか) ・曲の進み具合 ●全体練習 ・全体で合わせて周囲と比較すること ・ピアノで伴奏をしながら,練 習の進行状況を把握する。 により,自分の練習に活かす。 ・苦手な者に諦めの態度が見 られないかチェックする。 ・ここでの個人練習の目的を ●個人練習② ・全体練習での反省を基に,個人練習を 伝える。 ・教室を回りながら,個人練習 する。 ①でのチェックポイントと共 に,個人練習②の意図を理解 しているかをチェック。 ● ギターの片付け,机・椅子の整頓 まとめ (2) ・練習の仕方,進度,次回の目標について 把握する。 ・私語をしていないか。 【意欲・態度】 ・出来た者が積極的に次のレベル に挑戦しているか。 ・諦めの態度が見られないか。 【意欲】 ・正しい奏法で弾けているか。 ・伴奏とテンポが合っているか。 【技能】 ・美しい音色を感じ取れているか。 ・表現に工夫が見られるか。 【表現】 ・諦めの態度が見られないか。 【意欲】 ・目的意識を持って練習出来てい るか。 ・諦めの態度が見られないか。 【意欲】 ・練習の仕方についてアドバ イス等を行い,本時の進度及 び次時の目標を伝え,今後へ の意欲を高める。 13 反省と課題 練習中に席の移動を許可したことに関しては良い評価を頂いた。仲間同士で相談し合いながら,また楽 しみながら練習する雰囲気を作るためであり上達も速かったが,これは「練習は本番のような気持ちで」 という楽器練習の心得を犠牲にしているという側面も持っている。その為かテストで力を発揮できない生 徒も多い。本番で力を発揮できる為の練習方法,授業方法が今後の課題である。 また「説明が分かりやすかった」という評価を頂いたが,生徒の中には親指のみで演奏してしまう 者も多く,その結果,曲の難易度が上がると意欲が下がる生徒も現れた。親指のみでも演奏可能な初 歩の段階から,基本的な演奏法を徹底して指導する必要があった。 ※参考 ●本時の鑑賞曲について 「アランフェス協奏曲」ロドリーゴ作曲 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:C.アッバード ギター独奏:J.ウィリアムズ ●練習課題について レッスン1「夕やけこやけ」 「一番星見つけた」 レッスン2「てるてる坊主」 「牧場の子牛」 レッスン3「きらきら星」 28 レッスン4「チューリップ」・・・・・・最低目標 ( 実技試験必須課題 ) レッスン5「いとしのクレメンタイン」 レッスン6「かっこう」 レッスン7「蛍の光」 中級編 「子守唄(シューベルト) 」 29 芸術科 研究協議のまとめ 芸術科部長 1 日 時 2 対象授業 3 参加者 4 研究授業に ついて 岡田 睦生 平成 21年 9月 28日 月曜日 授業者: 林 稔 授業時限: 4 時限目 クラス・科目: 1 年 5 組 音楽Ⅰ 校長,教頭,林,岡田 器楽演奏の実技ということで,ギターを使用した授業を展開した。 (詳細は学習指導案を参照) 5 研究協議 ≪授業の感想等≫ ・説明が分かりやすく丁寧である。 ・グループでの練習は良い。 ・ビデオを用いてギター楽曲の鑑賞を行い,生徒の興味・関心を掻き立てる工夫は良い。 ・学習指導案において、評価の観点も書くこと。 ・生徒の人生が豊かになるように音楽を位置づけてやって欲しい。 30 外国語(英語)科学習指導案 広島県立三原高等学校 木戸口 恭子 1 2 3 4 日 時 学年・学級 科 目 教材・単元名 平成 21 年 10 月 30 日(金)5 時間目(13:20~14:10) 1 年 3・4 組発展クラス(30 名) 英語Ⅰ 英語Ⅰ POLESTAR (数研出版) Lesson8Rice and Ducks: A Winning Combination 5 単元について ○ 教材観 本課は題材として,日本発祥の有機農法であるアイガモ農法について取り上げている。農場経営者であ る福永さんの取り組みを通して,アイガモ農法のしくみやその魅力と特徴が紹介されている。生徒は本課 を通して,有機農業や,食品の安全,環境問題などについて考えを深めることができる。 また,文章の形式は説明文であり,論理的な文章の流れを理解させ,段落ごとの意味を捉えさせるのに 適した教材である。中でもアイガモ農法の留意点の説明に「列挙」の手法が用いられており,生徒がこの 手法を用いて表現する力を育成することができると考える。言語材料としては,S+知覚動詞+O+現在分 詞,仮定法過去完了,助動詞+受け身などが扱われている。 ○ 生徒観 生徒間の理解度・到達度の差はあるが,意欲的に取り組もうとする生徒が多い。特に毎時間の予習や課 題については全員の生徒が取り組んでいる。しかし一方で,文章を訳して読むことができるが,概要や要 点をまとめたり,学んだ知識を活用したりするのが苦手な生徒が少なくない。また特定の分野に苦手意識 を持つ生徒もいる。毎週実施している単語テスト(8 割取れたら合格)では平均 81 パーセントの生徒が合 格している。暗唱例文テスト(7 割取れたら合格)ではほぼ合格率 100 パーセントである。 ○ 指導観 本課では,食品の安全や有機農業に触れ,生徒の興味付けを行いながら,本文の内容の理解を図ってい く。その際には,論理的な文章の流れを理解させ,段落ごとに意味を捉えさせるようにし,本文の内容を まとめさせたい。またそのためには音読活動で語彙と表現を定着させて,さらに内容理解を深める。 この 1 年の目標としては、①生徒が自分の力で予習すること,②音読活動を通して,内容の理解を深め, 知識を定着させること,③既存の知識や学んだ言語材料を使って,読んだ内容をまとめること,この 3 点 ができるようになるように指導してきた。今後もスラッシュリーディングなど読解の進め方を示して,音 読練習の中にサイトトランスレーションを取り入れるなど言語活動を工夫し,理解度を高める指導をした い。 6 単元の目標 (1) 発問に対する応答や,ペア活動などの学習活動に積極的に取り組んでいる。 (2) 本文の内容が相手に伝わるように音読することができる。 (3) 学んだ言語材料を用いて,正しい文を書くことができる。 (4) 英文を読んで,その内容の概要や要点を正しく理解することができる。 (5) 学んだ言語材料を用いて,自分の伝えたいことを英語で話したり,書いたりして表現できる。 (6) 読むことに必要な文法事項について理解している。 (7) 有機農業,食の安全,環境問題などについての知識や考えを深める。 31 7 単元の評価基準 ア 関心・意欲・態度 イ 表現の能力 ウ 理解の能力 エ 知識・理解 ①読んだ内容に関する ①本文の内容が相手に ①書かれた内容につい ①読むことに必要な文 質問に対して積極的に 伝わるようにリズムや て正確に読み取ること 法事項について理解し 答えようとしている。 イントネーションに注 ができる。 ている。 意して音読することが ②Sight Translation や できる。 ②英文を読んでその内 ②有機農業,食の安全, 音読活動などのペアで 容の概要や要点を理解 環境問題などについて の学習活動に積極的に ②学んだ言語材料を用 することができる。 知っている。 いて,正しい文を書くこ 取り組んでいる。 とができる。 ③必要に応じて辞書な どを活用し,積極的に読 ③学んだ言語材料を用 み進めようとしている。 いて,自分の伝えたいこ とを英語で話したり,書 いたりして表現できる。 32 8 指導と評価の計画(全7時間) 時 学習内容(時数) Lesson 8 全体 背景知識と導入 1 Part 1 ・内容理解 ・言語材料の理解 評 関 表 理 知 価 評価規準 評価方法 ウ②英文を読んでその内容の概要や要点を理解す ることができる。 ○ ◎ ○ エ②背景知識を理解し,自分の考えを深めることが 観察法 できる。 ワークシート ア③必要に応じて辞書などを活用し,積極的に読み進めて いる。 ア②Sight Translation や音読活動などのペアでの 2 ・音読 ・表現活動 ○ 学習活動に積極的に取り組んでいる。 ◎ イ②学んだ言語材料を用いて,正しい文を書くこと 観察法 ワークシート ができる。 Part2 ・内容理解 3 ・言語材料の理解 ・音読 ・表現活動 Part 3 4 ・内容理解 本 ・言語材料の理解 時 ・音読 ・表現活動 ア①読んだ内容に関する質問に対して積極的に答 えようとしている。 ○ ◎ ○ ウ①書かれた内容について正確に読み取ることが できる。 観察法 ワークシート エ①読むことに必要な文法事項について理解して いる。 ア②Sight Translation や音読活動などのペアでの学習活 動に積極的に取り組んでいる。 ○ ◎ イ③学んだ言語材料を用いて,自分の伝えたいこと ○ を英語で話したり,書いたりして表現できる。 観察法 ワークシート ウ②英文を読んでその内容の概要や要点を理解す ることができる。 イ①正しいリズムやイントネーション等を用いて, 本文の内容が相手に伝わるように音読すること Part4(前半) ・内容理解 5 ・言語材料の理解 ・音読 ができる。 ○ ○ ◎ ウ②英文を読んでその内容の概要や要点を理解す ることができる。 観察法 ワークシート エ①読むことに必要な文法事項について理解して いる。 Part4(後半) ・内容理解 6 ・言語材料の理解 ・音読 ・表現活動 本課(全体)のまとめ ・ 言語材料の確認 7 ・ 表現活動 ・ 内容理解 ・ 背景知識の整理 ア①読んだ内容に関する質問に対して積極的に答 えようとしている。 ○ イ②学んだ言語材料を用いて,正しい文を書くこと ◎ ができる。 観察法 ワークシート イ③学んだ言語材料を用いて,自分の伝えたいこと を英語で話したり,書いたりして表現できる。 イ②学んだ言語材料を用いて,正しい文を書くこと ができる。 ○ ◎ エ①読むことに必要な文法事項について 観察法 理解している。 ノートブック エ②背景知識を理解し,自分の考えを深めることが できる。 33 9 本時の展開 (1) 本時の目標 ① Sight Translation や音読活動などのペアでの学習活動に積極的に取り組んでいる。 ② 学んだ言語材料を用いて,自分の伝えたいことを英語で話したり,書いたりして表現できる。 ③ 英文を読んで,その内容の概要や要点を理解することができる。 (2) 観点別評価基準 〔ア 関心・意欲・態度〕 ② Sight Translation や音読活動などのペアでの学習活動に積極的に取り組んでいる。 〔イ 表現の能力〕 ③ 学んだ言語材料を用いて,自分の伝えたいことを英語で話したり,書いたりして表現できる。 〔ウ 理解の能力〕 ② 英文を読んでその内容の概要や要点を理解することができる。 (3) 学習の展開 学習活動 導 入 (5) ○あいさつ ○本時の目標の確認 ○導入 ○読解のポイントを確認する ○速読をする ○本文の読解 ・新出語彙の確認 ・英語の表現や意味の確認 ・重要文の理解 展 開 (40) ○音読 ・リピート ・ペアで音読 (Read and Look-up) ・ペアで Sight Translation 評価の観点・評価規準 (評価の方法) ・英語を使って,考えなどを伝え合う場 面を作る。 (Part1, 2 の復習) ・本時の目標を伝える。 ・アイガモ農法について問いを与える。 ・設問を与え読み取りのポイントを明確 にさせる。 ・ワークシートを活用する。 ・単語や表現の意味を確認し発音練習さ せる。 ・ワークシートを活用し,段階的に理解 させる。 ・スラッシュを意識しながら音読させる。 ・リズムやイントネーションに注意させ る。 〔ウ理解の能力〕 ②英文を読んでその内容 の概要や要点を理解する ことができる。 (観察) 〔ア関心・意欲・態度〕 ②Sight Translation や音 読活動などのペアでの学 習活動に積極的に取り組 んでいる。 (観察) ・意味のポイントのみを解説する。 ○英問英答と True or False 内容に関する問いに,英文で答 ・机間指導をし,必要に応じて支援する。 ・状況に応じて,ヒントを与える。 える。 ○要約 ・プリントを用いて,概要をま とめる。要約文を完成させる (日本語・英語) ・ペアで確認・発表 ま と め (5) 指導上の留意点 ○まとめ 学習内容を振り返る ○宿題の提示 ○あいさつ 〔イ表現の能力〕 ・生徒の躓きや質問を取り上げ,柔軟な ③学んだ言語材料を用い 解答を示す。 て,自分の伝えたいことを ・段落ごとのトピックセンテンスやキーワード 英語で話したり,書いたり を意識させる。 して表現できる。 (ワークシート) ・黒板,ワークシート,ノートを見て, 学習内容を振り返る。 ・メモを取るように指示する。 34 10 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ まとめ ペア活動での音読練習では,生徒は意欲的に取り組んでいてよかった。 年度当初から生徒は毎時間の予習が継続して取り組めているのがよかった。 生徒が考える前にヒントや答えを与えていたので,生徒が自ら気づき, 「わかった」と思う機会を増や すように、発問を工夫するとよかった。 ワークシートを使う際には英文を読ませる活動につなげるとよいとわかった。 内容理解の時間を有効に使って,活動の時間をとるようにし、内容理解と表現活動のバランスを考え る。 新出表現を示した後で,生徒自身に表現活動をさせると生徒の理解も深まるとわかった。 「訳せる」ではなく, 「活用できる」レベルにするために指導を工夫するとよいとわかった。 生徒の間違いを大切にし,どうして間違えたのかを整理する必要がある。 生徒の実態に合わせて学習形態の工夫を図り,課題の内容を精選する必要がある。 35 外国語科 研究協議のまとめ 外国語科部長 1 日 時 平成21年10月30日 金曜日 2 対象授業 授業者 木戸口 恭子 授業日時 平成21年10月30日(金) 科目・クラス 1年3・4組発展クラス 3 参加者 小野指導主事,教頭,半田(世羅高) , 兼島,中須賀,中村,西山,船倉,山岡,山下,船木(定時) 4 研究授業に ついて 5 研究協議 山下 直子 本課では,食品の安全や有機農業に触れ,生徒の興味付けを行いながら,本文の内容 の理解を図っていく。また文章の形式は説明文であり,論理的な文章の流れを理解させ, 段落ごとに意味を捉えさせるのに適した単元である。中でもアイガモ農法の留意点の説 明に「列挙」が用いられている。本時は,段落毎に概要や要点をまとめることによって, 論理的に思考し表現する力を育成することができると考える。 研究授業後には,成果と課題を明らかにするため研究協議会をもち,授業を振り返った。 授業後の感想をふまえて,それぞれの教員が日々の授業を振り返り,以下の点を確認し た。 ・ 最初にヒントや答えを与えすぎず,生徒が考える機会を増やす(生徒が自ら気づき, 「わかった」と思う機会を増やす) ・ ワークシートの使い方を工夫する(英文を読ませる活動につなげる) ・ 内容理解の時間を有効に使って,活動の時間をとる(内容理解と表現活動のバラン スを考える) ・ 新出表現を示した後で,生徒自身に表現活動をさせる( 「訳せる」ではなく, 「活用 できる」レベルにする) ・ 生徒の間違いを大切にし,どうして間違えたのかを整理する さらに,指導主事から助言をいただき,以下の点を再確認した。 ・ 授業の軸となるもの ① 基礎的・基本的な知識・技能の習得 ② 思考力・判断力・表現力の育成 ③ 学習意欲の向上や学習習慣の定着 ①については,基礎的・基本的な知識を運用できるレベルまで上げること ②については,要点は何かを考えさせる等,ものを考える力を育てること ③については,生徒の実態に合わせて学習形態の工夫を図ること ・ 文法の扱い方について ① 文法の力と読解のバランスをどうするか ② 学年が上がるにつれてどのような目標設定にするか(短期・長期) ③ 日本語を授業の中でどのように扱うか 本授業の枠を飛び越し,英語教育や 3 年間を見据えた目標設定と指導,思考力を高め る指導のあり方等,広範な話題について話し合った。今後は,参加者各自の教科指導に, この研究授業および研究協議の成果を生かせると思われる。 36 人を伸ばし,組織を変えるために ~ ファシリテーションのすすめ ~ 三原高等学校 三次至和 1 ファシリテーションについて (1)定義 人と人との相互作用を活発にし,創造的なアウトプットを引き出すもの facilitate:物事をやりやすくする。容易にする。促進する。 facilitater:進行役,司会,容易にする人,世話役 例:会議ファシリテーション,組織ファシリテーション,教育ファシリテーション等々 (2)効果 ① チームが課題を共有し,効果的に考えを交流させ,創造的な答えを導き出す。 ② 動機が内在化し,自発的で活力にあふれた行動が生まれる。 (1+1が2以上になるようなポジテ ィブな化学反応が現れる。 ) ③ 自分が変わる。 (傾聴,事実ベースで分析的に物事を捉える視点,多面的な観察力,バランスのと れた思考力,情緒的な安定,説得力,エネルギッシュな行動力等々) 2 ファシリテーションの進め方 (1)ファシリテーションを進めるために必要なこと ① 人と人との相互作用を活性化させるために,人間関係に付きまとうさまざまなマイナスの感情, 不必要な遠慮や配慮を排除し,積極的なプラスの感情を横溢させること。 ② チームが同じ波長で思考するための納得性のある議論のフレームワークを提供し,効率的なグル ープ指導を促すこと。 ③ ファシリテーションを進める人(ファシリテーター)は,メンバーの話をよく聴き,場を選び, 目的を見据えて最適なパスを選択すること。 (2)タックマンモデル ( フォーミング → ストーミング → ノーミング → パフォーミング ) 組織が動くには,形成(フォーミング)された後,すぐに機能しはじめるのではなく,混乱・対立(ストー ミング)があり,統一(ノーミング)が進んで機能(パフォーミング)しはじめる。ストーミングを省くと,いく ら筋の通った議論をしてもハートに響かない。 (3)ファシリテーションスキル ①参加者が具体的なイメージを描けるような問いかけをする力 質問 全体を意識させる質問 分散(多様性)を意識させる質問 方法 自分の役割だけでなく,それがシステム全体でどういう役割を 果たしているかを考えさせる。 平均値で議論せず,特別なケースを意識させる。 「いつもそうなっていますか?」 自分たちがコントロールできるものとできないものを意 両方を挙げ,コントロールできるものに議論を向けていく。 識させる質問 責任転嫁を防ぐ。 時間軸を意識させる質問 基準を意識させる質問 事実ベースで議論する 「昔からそうですか?」 「今回だけではないのですか?」 「繰り 返し起こることですか?」 「将来はどうなっていますか?」 「ベンチマークはあるのか?」 「あるとすれば,それは一定のも のか?」 「なければ,それを作るべきではないか?」 「もっと他に同じようなことはありませんか?」 「逆の場合は?」 ②質問・意見の出やすい雰囲気作り:リーダーは退席して,メンバーが意見を言う。 ③浮力の原理:出来ない理由をとことん挙げる → どうやったら出来るか考え始める ④ファシリテーションの道具箱:適切な方法により効果を上げる。 37 (4)ファシリテーションの道具箱 機能 ※ 基本ツール:ブレーンストーミング,KJ法 アイデア出し 優先順位づけ・合意形成 トレーニング・ (発散) (収束) エグゼキューション 目的 1 ビジョン・ミッションの策定 タイムマシン(リアビューミラー)法 投票法 More or Less 加重投票法 キーワード法 ペイオフ・マトリックス チェックリスト法 ダブル・ペイオフ・マトリックス マインドマッピング 目的・手段ツリー ウィッシュリスト 2 戦略・事業計画の策定(ビジ ョン・ミッションは所与) SWOT分析 投票法 フェーズ管理 期待と課題のマトリックス 加重投票法 スコア・カード フォース・フィールド・ダイアグラム ペイオフ・マトリックス ダッシュボード ステークホールダー・アナリシス ダブル・ペイオフ・マトリックス ボトルネック解析 パレート分析 目的・手段ツリー ディシジッションツリー 階層化 3 プロセス プロセスマッッピング 投票法 フェーズ管理 ボトルネック解析 加重投票法 スコア・カード 管理図 ペイオフ・マトリックス ダッシュボード システム・ダイナミックス ダブル・ペイオフ・マトリックス パレート分析 目的・手段ツリー ディシジッションツリー 階層化 4 チームビルディング リーダーズ・インテグレーション 他己紹介 ジョハリの窓エクササイズ ラボラトリートレーニング(Tセッション) 各種アイスブレーク ジョハリの窓エクササイズ 5 セールス・ エフェクディブネス 6 製品開発・技術開発 ニーズ・マッピング 投票法 品質機能展開 加重投票法 要素(技術)分析 ペイオフ・マトリックス フィッシュボーン ダブル・ペイオフ・マトリックス パレート分析 ディシジッションツリー 階層化 7 原因解析 プロセスマッピング パレート分析 フィッシュボーン ボトルネック解析 管理図 階層化 ヒストグラム 8 リスク分析・管理 リスク・アセスメント・テーブル 投票法 ペイオフ・マトリックス 加重投票法 ペイオフ・マトリックス ダブル・ペイオフ・マトリックス パレート分析 ニュースペーパーテスト 9 人事評価 フォースドランンキング ペア・コンパリズン 38 フェーズ管理 3 学校におけるファシリテーターの育成 (1)主任を活性化させるために,教頭がファシリテーターを務める。 (2)分掌を活性化させるために,主任がファシリテーターを務める。 4 ファシリテーションは手段 ファシリテーションは職務を円滑に進めるための手段であり,目的ではない。メンバーの職務に対す る意欲を高めるとともに,自分に対して自信を持って職務を遂行していく職員の育成を目指して,ファ シリテーションを活用してことが重要である。 参考文献:森時彦著「ザ・ファシリテーター」 (ダイヤモンド社) 39
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