AAS NEWS (Vol.38) 発行日 平成26年7月7日(年2回発行) 国際緊急援助隊 南海トラフが百年以上の永い眠りから目覚めるとして、防災減災意識が高まっています。平 成 15 年に参加したアルジェリア地震‐国際緊急援助隊(JMTDR)の記録を掲載します。 1.経緯 JMTDRの参加のために「導入研修」に参加する必要があります。この 2 泊 3 日の研修はグ ループミーティングを中心に実際の活動を想定した問題解決の手法を学び、ほかに基本的な 医療知識やテント設営実習など盛りだくさんの内容です。研修後は必要な予防接種を受ける など、参加までの待機期間も準備が必要です。協力隊経験者として第二の協力隊活動ととら えて、準備をしていました。 今回は、アルジェリア地震を受けた緊急援助隊レスキューチームの派遣決定を 5 月 22 日夜 の TV ニュースで知った直後、自分から JMTDR に問い合わせをし、その後の医療チーム派遣 決定前に参加意志を伝えました。 2.出発まで 参加の最終打診は 24 日(土)の昼、娘の小学校の運動会で応援をしている最中の携帯電話 でした。仕事は都合がつく状況でした。電話を終わったとたんに、数日前から気になっていた 奥歯が痛みだしたので、運動会終了後、知り合いの歯科医に電話して無理矢理に応急治療を 頼みました。「2週間だけは痛まないようにしてください」。 そして日本政府が最終的に医療チーム派遣を決定し、2週間の援助活動調整員として正式 な参加要請があったのがその夜 8 時で、翌 25 日の夜 7 時に成田空港に集合という指示でし た。 詳細が分かるにつれて次第に心配を始める妻を横目に、出発準備を進めました。ファックス のインクカートリッジ交換もアルジェリア情報をもらうために必要で忙しい思いをしました。翌 25 日は豊橋ラグビースクールの指導に行き、中学生たちに「先生はこれからアルジェリアに行く ので来週はいません」と伝えるが、彼らの反応は鈍く、分かっていない様子。その後、妻と娘に 送られ新幹線で成田空港へ出発。 成田空港での結団式の TV 映像は愛知県に流れなかったようです。エアーフランスのビジネ スクラスでパリへ 12 時間のフライト。機内では長男から借りた「すぐ分かるフランス語」を使い たまたま隣に座ったニューカレドニア在住のフランス男性を相手にフランス語の勉強をしました。 フランス語の不安を持ちながらもとりあえず挨拶だけはマスターしました。現地での実際の通 訳は英語しか使いませんでしたが…。 3.被災民キャンプへ エアーフランスで着いたパリのシャルルドゴール空港からアルジェリア航空機に乗り換え、 青い地中海を飛び越えて、初めてのアフリカの地、首都アルジェへ。 アルジェ空港はフランス始め各国の援助隊が援助機 材や捜査犬シェパードのオリを並べる混雑の中、JMTD Rの合計 100 個以上の荷物の受け取りにほぼ半日を費 やしました。アルジェ市内のホテルまでは損壊した建物 は特に見あたらず、その夜のミーティングでキャンプサ イトの状況が説明され、今回の直下型地震の被害状況 が具体的に分かり始めました。今後の任務を全うするた め、1 週間前から始めた禁酒を続ける決意をしました。 1 26 日朝、日本大使館がチャーターしたバスに現地通訳たちと乗り込み、ようやくスムーズに 流れ出したという幹線道路を 1 時間あまり、目的地のゼムリ市に移動。ゼムリ市に隣接するブ ーメルデス市も被災地で、倒壊したビルディングや四 方八方に傾くアパート群が連続して視界に飛び込み、 その被害の大きさにショックを受けました。マグニチュ ード 6.7、死者 2,200 人以上 20 万人が家を失った被災 地です。ただ、ほとんどがゴーストタウン化しているこ ともあり、初めての被災現場体験にも関わらず映画ロ ケのように現実感がありません。 その後、医療活動を行うサッカー場に到着し、グラ ンドを埋め尽くすテント群と食糧配給の列に並ぶ避難 民を目にして、活動開始の緊張からアドレナリンが大 量に分泌されました。 4.11 日間の医療活動 4 名の医師と 6 名の看護師、1 名の薬剤師を中心に救急救命士 2 名と調整員 6 名ほか外 務省・JICA職員あわせ 22 名のチームが 11 日間で 1600 名の避難民を治療しました。 サッカースタジアムに作られたゼムリキャンプには JMTDR 以外に宗主国フランス、赤新月社 ほか各国の医療テント設営されました。精神的なケアが必要な人、皮膚病やダニ対策、化膿し た傷跡の治療、抗生物質が足りなくなり、錠剤を 半分に割る作業や外科手術助手などいろいろや りました。抗生物質の処方についてキャンプ毎の 相違があった事が印象に残ります。 平成 13 年アルジェリア洪水被害に対する日本 からの物的援助を記憶している親日的な国民が 多く、今回、人的援助に対して当然ながら前回以 上の感謝の言葉を、マスコミを始めいろいろな機 会にもらいました。現地通訳のアルジェリア人たち は献身的な協力姿勢がすばらしく、日本に対して の感謝の念から参加していると言う彼らの活動に は感動を覚えました。 英語、フランス語に加えアラブ語にも精通している彼らは、被災地の衛生キャンペーンの呼 びかけのチラシやポスターづくり、避難キャンプ管理者との交渉事など幅広く積極的な協力を してくれました。 初日のサッカー場医療テント設営の後、アルジェにバスで戻る途中に震度5の強烈な余震 がありました。バスの中にいたのに強いショックを受け、道を歩いていた人たちがあわててバ スにしがみつきました。道に倒れ込むおじいさんの姿もありました。一度バスは日本大使館の 救援本部に帰りましたが、その後余震に対応する医療体制を作ることになり初日から徹夜の 緊急医療体制となりました。サッカー場へ戻ったのが夜中になり、朝まで待ちましたが軽傷者 が数人来ただけ。しかしこの対応が地元民から JMTDR への信頼につながり、翌朝からは多く の避難民でキャンプは忙しくなりました。 医療活動が一区切りついた時に、避難キャンプとなったサッカー場の周辺を通訳のロットフィ ー青年と歩きました。家々の軒が傾いたり、バルコニーや屋根が落ちていたりという街角に、 アラブ人の若者が三々五々たむろしています。その彼らから殺気を感じました。それはアラブ 人と民族対立するベルベル人のロットフィーに向けたものだと後から知りましたが、この国の 複雑な民族関係を知らされました。 2 この緊張感を持った周辺調査で被災小学校のトイレの出入口のドアを利用したキャンプのト イレ新設設計案が浮かびました。 医療活動支援以外に調整員としての自分に与えられた任 務は「トイレ作り」です。日本から持参した JMTDR 用簡易トイレ の制作がその初仕事でした。このときすでに被災民のトイレは 排泄物で足の踏み場がないほどになって、避難民たちの使え るトイレがほとんど無い状態でした。自分は協力隊時代に、水 道プロジェクトのネパールの村の人にユニセフの簡易トイレ作 りのキャンペーン活動をやっていました。そこで収得した、コン クリートスラブを使った浸透式トイレを避難キャンプの管理者 であるフランス軍に提案しました。そのドアは周辺調査で見つ けた小学校の廃材を利用したのです。アルジェの建設業者は 信頼が置けない、約束を守らないという事前情報から、トイレ 建設の実現が危ぶまれていたのですが、フランス軍からの強 い指示があったのでしょうか、最終的にこのトイレがアルジェリア政府により正式決定されまし た。JMTDR の隊長と大喜びです。ただし、我々が帰国後、危惧された工事の遅延が始まり、活 動終了までには完成しませんでした。ロットフィーからのメールではその後下水道が復旧してト イレが使えるようになったそうです。 アルジェ市内の建材屋などの調査結果をふまえて、現地で調達可能な材料を使った日・英・ 仏・アラブ語のトイレ設計図と見積書の成果は JMTDR の今後の衛生分野の活動資料になった ものと考えています。右上の手書きトイレ設計図は帰国してからの忙しさの中、CAD で仕上げ ました。 5.帰国して 一週間たち時差ぼけも徐々に回復、会社の仕事に完全に戻りました。JMTDRからはサニ テーションについての講座を受け持つよう言われましたが、仕事優先にしたかったのと、AAS 活動と重なるため残念ながら調整できず。また、東京のアルジェリア大使館からの夕食の招 待がありましたが、こちらも平日だったので仕事優先、残念ながら辞退しました。新宿御苑の 園遊会には妻と行くべきだったかな。老年になったらいい思い出になったかも。 「JMTDR」 JICA では諸外国で地震や洪水などの自然災害が発生した場合に、国際的な災害援助協力を行うため に国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief Team)を組織している。 (1)国際緊急救助隊 災害時において主に生存者の救出を行う(レスキューチーム)。消防庁職員など日ごろプロとして訓練 を受けているメンバーが派遣される(アルジェリアでは2回に分けて計61名派遣)。 (2)国際緊急援助隊医療チーム Japan Medical Team for Disaster Relief。被災者の医療援助が必要な場合に医師、看護婦を中心とした 医療チームを派遣する(アルジェリアでは22名:過去最高)。現在の登録数は全国で500名以上だが、 緊急時に2週間の海外活動が対応可能な人数は限られるため、さらに登録隊員を募集しているという。 導入研修(経費自己負担なし)や中級研修(交通費半額負担)を定期的に行っている。医療資格がない 場合、業務調整員として通訳やロジスティックを担当する(協力隊 OB が多い)。業務調整員としてほぼ プロ的な JICA・JOCA 職員がおり、彼らのサポート的な業務であるとも言える。 (3)専門家チーム 主として被害を受けた建築物の耐震診断や道路、上下水道などのインフラ復旧のための調査などを行 う専門家チーム(アルジェリアでは7名派遣)。 (2003.5.10 作成、加筆) 3 ソニー・グルン 四年生進級 学費領収書 会員のみなさまのおかげでパタン医科大学 (PAHS)ソニー・グルンさんは、進級試験をパスし て4年目のクラスで勉強中です。会話の中の医学 専門用語がだんだん難解になってきました。翻訳 が間に合わずメール通信は次号に載せます。AA Sは4年目の学費支援分 234,000 ㍓(252,062 円) を5月2日に国際送金、ソニーさんは自己負担分 を足して4年目学費 273,000 ㍓を6月16日に納 付しました。寮費は基本的にソニーさん(家族) の自己負担ですが、今はソニーさんの兄が国外か ら仕送りしているそうです。今年の面接で大学寮 の食事サービスが無くなるなど、最近になって変 化がある修学環境を確認して、追加支援が必要か どうか判断します。募金は当初目標額(約 192 万 円)に達成しています。円―ネパールルピーはだ いたい 1Rs=1 円程度を推移していますので、ソニ ー奨学金の募金は終了しています。 学費(5 年間)160 万ルピー=約 192 万円 初年度 85.6 万ルピー =102.72 万円 2年目~ 20~26 万ルピー =約 24~31 万円(預託金、寮費を除く)(1Rs=1.2 円計算) ヒマラヤの女医さん誕生まであと送金1回 募金目標額 1,920,000 円 募金現在額 (2014/6) 2,067,080 円 送金済額 (~2014/6) 1,723,995 円 マーチャープッチャレ 4 Comuni StationVol.97 から転載 お願い 眠っている文房具はありません か? ~ネパールの子どもたちに手渡し ます~ ※ 鉛筆、ノート、消しゴム、定規 などなど ※ 8月5日までに事務局に送っ てください。 会員の工藤隆久先生とネパール 学校訪問でプレゼントします。 送り先 440-0862 豊橋市向山大池町 17-11 ㈱東海コンサルタンツ気付(中沢) 080-5293-3400 5 AAS会計報告 1.平成25年度 AAS 活動報告 平成 25 年 平成 26 年 6 月 25 日 7 月 13 日~21 日 9 月 14 日 10 月 15 日 AAS ニュース VOL.36 発行 60 部 ネパール出張調査(ジリ、カトマンズ市ほか) 豊橋市通訳ボランティア普通救命講習参加 COMMUNI STATION Vol.97 豊橋市国際交流協会会報 国際交流活動団体紹介記事作成 AAS ニュース VOL.37 発行 65 部 1月 3日 2.平成25年度決算報告書 (平成25年4月1日~平成26年3月31日) [費 目] 決算(円) [収入の部] 繰り越し 会費収入 寄付金 寄付金 利息 基金から組み入れ 摘要 合計 5,860 52,000 47,000 110,400 231 192,280 407,771 合計 306,801 39,624 20,478 57 9,600 9,500 10,500 11,211 407,771 [支出の部] 奨学金 旅費交通費 会議費・事務用品費 租税公課 通信費 支払手数料 外注加工費 平成 26 年度に繰越し 23 名(2 年分が 3 名) AAS 6 名 7 件, AAS+2 1 名 中沢真三(渡航費) $2,000 残高$28,000 HRD-H24 精算分(32,739 円) 送金・入金分(248,862 円)AAS+2(2,400Rs) 面接奨学生交通費含む AASNEWS 印刷費ほか AASNEWS 海外送金 HP 管理 3.AAS年会費納入のお願い AASは新会員を募集中です。平成26年度の年会費(2千円)は同封の振替票でご送金を お願いします。複数年度の会費を頂いた方には同封していません。寄付金を頂いた会員の方で、 年会費未納の場合は会費分を繰り入れさせて頂きます。皆様のご協力をよろしくお願いします。 また、本年のネパール活動調査は 8 月 8 日~16 日の予定です。 ※ 奨学金の送金方法を今後変更します。格安の資金移動業者(国際送金会社)[Kyodai Remittace]を利用 します。新規の登録部門、ベンチャービジネスにより手数料の大幅削減が可能になります。 ※ AAS10+2 はパルパティ・KC、杉江貞子さん支援。 ※ HRDの担当者は Ms. Arati Thapa さんに交代しています。次号で紹介します。 で す 。 ※ 新奨学生の WEB 申請の受付を開始しました。URL はhhttttpp::////wwwwww..kkkkaann..nneett//aaaass//iiwweebbで です す。 。 AICHI-ASIA-SCHOLARSHIP 愛知・アジア・スカラーシップ 〒440-0862 豊橋市向山大池町 17-11 AAS TEL 080-5293-3400(中沢) FAX 0532-53-3401 郵便振替口座 00830-6-18218 加入者名 AAS E-mail aaaaaasss@@@sssaaalllaaa222...dddtttiii...nnneee...jjjppp HP hhhttttttppp::://////wwwwwwwww...kkkkkkaaannn...nnneeettt///aaaaaasss///iiiwwweeebbb 6
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