5 社会資本の整備 社会資本整備状況の国際比較 下水道普及率 水道普及率 78('99) 126('96) 120('95) 103('95) 79('90) 93('92) 150 10万人当たり 病床数 100 100('98) 103('97) 103('97) 103('97) 95('84) 96('97) 136('98) 62('88) 114('87) 134('87) 101('79) 53('87) 50 国鉄複線化率 (日本はJR) 1人当たり 都市公園面積 16('99) 147('97) 150('95) 65('94) 62('73) 159('97) 45('00) 55('96) 107('97) 133('97) 80('97) 180('96)自動車保有台数当たり 85('98) 112('96) 111('98) 112('97) 112('96) 66('98) 67('90) 153('88) 96('99) 104('99) 79('98) 道路舗装率 高速道路延長 日本 イギリス ドイツ フランス イタリア アメリカ (注) 1. 数値は日・英・独・仏・伊・米6カ国の平均を100とした場合の指数。 2. ( )内は調査年。 3. 1人当たり都市公園面積は、東京23区、ロンドン、ベルリン、パリ、ローマ、 ニューヨークの数値による。 資料出所:国土交通省等 わが国は、急速な経済成長により、消費や投資などフローの面では世界のトップクラスにランクされ るに至ったが、国民生活においてはゆとりや豊かさが十分実感されているとは言いがたい。 その原因のひとつは社会資本などストック面での整備の立ち遅れにある。人口の高齢化が進む中、必 要とされる社会資本の早期充実が望まれる。 26 都市インフラの問題点 一人当り住宅床面積 平均旅行速度 (km/h) 40 60 60 36 50 38 40 38 33 30 37 28 30 20 19 20 20 10 10 0 日本 (’ 98速報) 京浜葉 京浜葉 大都市圏 大都市圏借家 (’ 98速報) (’ 98速報) アメリカ (’ 93) イギリス (’ 91) ドイツ (’ 93) フランス (’ 92) 0 東京 23区 (注)壁心換算値。ただし、アメリカは長屋建て・共同住宅を含まない。 一般国道 資料出所:国土交通省 資料出所:国土交通省等 環状道路の整備状況 都心3区への通勤・通学時間 0∼29分 30∼59分 1975 60∼89分 90分以上 40 18 39 36 1985 (%) 100 41 99 96 80 74 60 21 40 31 1995 0 10 20 42 30 40 50 25 60 70 80 90 100 (%) (注)都心3区は千代田区、中央区、港区 資料出所:国土交通省「大都市交通センサス」 20 0 20 東京 ロンドン ベルリン パリ (注)首都圏における環状道路の整備について今後概ね10年以内に整備を進める区間 等の供用により、圏央道内側の渋滞ポイントの約6割が解消され、走行時間の短 縮、走行経費の減少等による便益(直接効果)は年間約2兆円と推定される。 資料出所:国土交通省 東京の国際競争力 (対欧米都市) (対アジア都市) 生活環境 800 生活環境 800 600 400 東京 その他 600 ロンドン 0 シンガポール 400 200 オフィス環境 その他 200 オフィス環境 -200 0 -400 -200 -600 -800 東京 -400 香港 ビジネス環境 市場 ビジネス環境 市場 ニューヨーク 情報 情報 (注)東京都の外資系企業へのアンケート調査(94年実施)による。「ビジネス環境」は経営コスト、空港へのアクセス等 大都市では、インフラ整備の遅れが効率的な経済活動や快適な都市生活を妨げている。また、国際都 市としての機能の不備も指摘されている。大都市インフラ整備の一層の推進が望まれる。 27 公共事業予算の推移 一般会計公共事業費(当初予算) (兆円) (%) 12 同(補正予算) 15 10.5 一般会計公共事業費 (当初)伸び率 5.1 10 10 8 4.5 4.9 6 4.9 4 4.0 4.1 1.3 2 2.0 0.2 5 ▲0.1 0 ▲2.0 ▲2 ▲4 ▲6 ▲7.8 0 1989 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 ▲8 2000 2001(年度) (注)1. 補正予算による公共事業費追加は、93年度は3回、94年度、95年度及び98年度は2回行われた。 2. 99年度以降の当初予算には公共事業等予備費(99年度、2000年度は5000億円、2001年度は3000億円)を含む。 3. 2001年度は当初予算のみ示す。 資料出所:財務省 一般会計公共事業費(当初予算)は90年代半ばまで増加が続いたが、財政の悪化に対応して97年 秋に成立した財政構造改革法に沿って、98年度当初予算は厳しく抑制された。しかし、経済危機の 深刻化により政府は政策転換を余儀なくされ、わずか半年で財革法を改正、その後凍結し、98年度 事業費の大幅追加、99年度当初予算の増額、公共事業等予備費の計上等、景気刺激、金融安定化に 向けて財政を積極化した。一方、財政状況の一層の悪化等を背景に公共事業予算に対する抑制圧力は 強まっている。2001年度の場合は、当初予算は前年度並みを維持したが、予備費は減額された。 地方単独事業の計画と実績 (兆円) 25 107.7 110.6 115.3 107.8 96.7 91.8 20 87.7 計画額 (%) 120.0 実績額 達成率 100.0 83.3 76.9 75.9 66.8 15 80.0 60.0 10 5 0 1989 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 2001 (年度) (注)1. 計画額は「地方財政計画」による当初予算ベース。 2. 地方単独事業は地域のニーズに応じた生活関連インフラの整備を中心に実施される。量的には補助事業を上回り、公共事業全 体の4割程度を占める。 資料出所:総務省 地方自治体が実施する公共事業は国からの補助金の有無により、補助事業と単独事業とに分類され る。単独事業は、国の計画(地方財政計画)ベースでは、生活関連インフラの整備、景気刺激等の政 策目標達成のため96年度まで一貫して増加していたが、実績額は地方財政悪化を背景に94年度以 降は減少が続いている。計画と実績の乖離幅は年々拡大しており、99年度の実績額は計画額の2/3 程度となっている。 28 中小企業向け官公需契約率の推移 (%) 44 44.1 43 42.5 42 41.5 目標 40.9 41 40 39 39.9 39.9 39.8 39.8 39.7 38.6 39.9 実績 39.9 39.9 39.9 39.6 38.5 39.9 38.7 38 37.3 37.4 37 39.9 41.6 41.3 1988 89 90 91 37.9 37.7 92 93 94 95 96 97 98 (注)官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)に基づき、政府は中小企業向け官公需 (建設を含むサービス、物品の調達)の契約目標を毎年定めている。 [ 契約率=中小企業契約額/総契約額] 中小企業 (建設業の場合) :資本金3億円以下 (99年12月2日以前は1億円以下)、従業員300人以下 99 2000 (年度) 資料出所:中小企業庁 公共事業の執行に当たっては、従来から中小企業の受注機会確保の措置がとられているが、近年、不 況の深刻化を背景に中小企業優先の度合が一層強まっている。 一方、こうした動きに対しては、発注工事の過度な細分化による非効率等の問題点が指摘されている。 入札・契約方式の多様化 従 来 価格のみの競争により 落札者を決定 総合評価方式 新たな入札・契約方式 価格以外の工期、安全性等を重視すべき工事を対象として 、価格以外の要素も総合的に評価 して落札者を決定 設計・施工一括発注方式 設計と施工を分離して 発注することが原則 特殊な施設等について、設計技術が施工技術と一体で開発されるなどにより、個々の業者等が有する特別な設計・施 工技術を一括して活用することが適当な工事を対象として、概略の仕様に基づき、設計と施工を一括して発注 入札時VE〈価格競争型〉 発注者の示す設計図書 に基づいて入札 民間において施工方法等に関して固有の技術を有する工事等を対象として、入札時に設計図書による施工方法等の限 定を少なくし、指定されない部分についてコスト縮減可能な技術提案を受け付け、提案に基づいて入札 契約後VE 受注者は設計図書に従 って施工 主として施工段階における現場に即したコスト縮減可能な技術提案が期待できる工事を対象として、契約後、技術提 案を受け付け、設計図書と契約額を変更。その際、提案のインセンティブを与えるため、契約額の縮減額の一部に相 当する金額を受注者に支払う (注)1. 従来、国発注の公共工事への総合評価方式採用には大蔵大臣との個別協議が必要であったが、2000年3月に適用範囲や評価 方法等についての包括協議が成立したことにより、個別協議なしに同方式採用が可能となった。 2. VE(Value Engineering)とは、目的物の機能を低下させずにコストを低減する、または同等のコストで機能を向上させる ための技術。建設工事におけるVEは、実施する段階に応じて、設計VE、入札時VE、および契約後VEに分類される。 資料出所:中央建設業審議会 財政逼迫が深刻化する中、公共事業の効率化が重要な課題となっている。政府は、公共工事のコスト 縮減対策を実施するとともに、より一層の効率化に当たっては建設会社等民間の総合力を広く活用す ることが重要であるとの認識から、公共工事の入札・契約方式の多様化を図り、対象工事の特性等に 応じて民間の技術力が発揮されるような新たな方式を採用することとし、試行を実施している。 29 発注方式とコスト低減効果 大 コ ス ト 確 定 部 分 小 コスト低減効果 コスト確定部分 設計・施工 一括発注方式 設計VE 入札時VE 構想 企画 基本設計 契約後VE 実施設計 大 コ ス ト 低 減 効 果 小 施 工 入札・契約 資料出所:建築業協会「建築コスト低減と環境整備」 (98年3月) 建築工事の場合、コストの8割強は企画・設計段階で決まると言われている。従って、民間の技術力 の活用については、建設の初期段階で行うことがコスト低減の点でより効果的である。 PFI事業スキームの一例 政府(国・自治体) 、 公社、公団等 (公共施設等の管理者等) 出資者(民間) (建設会社、 メーカー、 銀行、機関投資家など) 出資/配当 プロジェクトファイナンス 銀行団 保険契約 保険会社 事 業 契 約 ︵* 対1 価 支 払 い ︶ 民間事業会社 (SPC) サ ー ビ ス 提 供 ︵* 対2 価 支 払 い ︶ 公募・契約管理契約 アドバイザー (コンサルタント) 評価・管理 建設コンソーシアム (施設のエンジニアリング、 設計・施工、機器の 供給など) 設計・施工契約 保守管理契約 運営・管理会社 住民・施設等利用者 (注)*1 政府・自治体等が対価を支払い公共サービスを購入する場合 *2 住民・施設利用者が直接対価を支払う場合 99年9月の「PFI法」施行をうけて2000年3月に「基本方針」が告示され、さらに2001年1月 には事業プロセスおよびリスク分担に関する「ガイドライン」が公表された。制度面の整備が進む 中、地方自治体においてハコモノを中心にPFI事業がスタートしており、また、多くの事業が検討段 階にある。一部の事業では施設が完成し運営が開始されるなど、PFIは具体化の段階に入っている。 30
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