内閣府男女共同参画局推進課暴力対策専門官 土 1 はじめに 夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買 春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー 真 知 か ら の 暴 力 」は「Spousa l Violence」に な っており、ドメスティック・バイオレンスで はない 。 ドメスティック・バイオレンスについては 、 行為等の女性に対する暴力は、女性の人権を 著しく侵害する社会的問題であるとともに、男 井 「 ド メスティッ ク・バ イオレンス =夫・パート 女の固定的な役割分担、経済力の格差、上下 ナーからの暴力 」と説明されることも多いが 、 関係など我が国の男女が置かれている状況等 様々な場面での用語の使われ方を見ると、夫 に根ざした構造的問題で、男女共同参画社会 やパートナー等の親密な関係にある男性が女 を形成していく上で克服すべき重要な課題と 性に振るう暴力のみに限って使用される以外 されている 。 にも、家庭内の女児に対する性的虐待を含め 女性に対する暴力の中でも、近年、注目さ たり、親やその他の親族が子どもに対して振 れているのが、夫・パートナーからの暴力で るう暴力等、家庭内すべての暴力を含めたり あ る 。こ の 問 題 に 関 し て は 、本 年10月13日 して使用される場合があるなど、使う人によ に「 配 偶 者 か ら の 暴 力 の 防 止 及 び 被 害 者 の 保 ってその定義は様々というのが現状のようで 護に関する法律 」が施行された 。この法律は、 あ る 。内 閣 府 で は 、 こ れ ま で 夫 ・ パ ー ト ナ ー 我が国において、配偶者からの暴力の問題を か ら 女 性 へ の 暴 力 に つ い て は「 ド メ ス テ ィ ッ 総 合 的 に 規 定 し た 最 初 の 法 律 で あ る 。法 律 で ク・バイオレンス 」という用語は使わず、 「夫・ は 、「 配偶者か らの暴力 」とい うことで 、対象 パ ー ト ナ ー か ら の 暴 力 」と い う 表 現 を 採 用 し とする被害者の性別に関しては限定していな てきたこともあり、本稿でもこの用語を使用 いが、現実には、配偶者からの暴力の被害者 する 。 は多くの場合は女性であることから、女性に 対する暴力に重点を置いたものとなっている 。 3 実態把握の難しさ 日本においては長い間、夫・パートナーか 2 夫 ・パ ー ト ナ ー か ら の 暴 力 と は らの暴力の被害の深刻な実態は把握されてお 夫・パートナーからの暴力に ついては 、「 ド ら ず 、 社 会 的 認 識 も 十 分 で は な か っ た 。犯 罪 メ ス テ ィ ッ ク ・ バ イ オ レ ン ス ( Domes t ic 統計における妻が被害者となった傷害事件・殺 Viol ence,DV)」とい う言葉で表 現されるこ 人事件の検挙件数や、最高裁判所の統計にお と が 多 い 。前 述 し た 「 配 偶 者 か ら の 暴 力 の 防 ける妻からの婚姻関係事件の申立ての動機と 止 及 び 被 害 者 の 保 護 に 関 す る 法 律 」も 、「DV し て 夫 が「 暴 力 を ふ る う 」こ と を 理 由 に 挙 げ 法」と略して報道されていることが多いが、参 た妻の数、厚生労働省の婦人相談所・婦人相 議院第三特別調査室の仮訳によると「配偶者 談員が受けた相談件数などから、夫婦間にお 1 け る 暴 力 の 存 在 が 明 ら か と な っ て い た が 、事 % )であった 。これに対して 、「 どんな場合で 柄の性質上被害が潜在する傾向があり、警察 も 暴 力 に あ た る と 思 う 」と い う 回 答 が 最 も 少 や裁判所、公的な相談機関に把握されていな なか ったのは 、『大声 でどなる』(29. 5% )で い件数は相当数あると予測されていた 。 あった 。 平 成11年5月27日 の 男 女 共 同 参 画 審 議 会 男女別に見ると 、「 どんな場合でも暴力にあ の答申「女性に対する暴力のない社会を目指 た る と 思 う 」と 回 答 し た 割 合 の 男 女 差 は 、 差 し て 」で は 、当 面 の 取 組 課 題 と し て 「 我 が 国 の最も大きい『平手で打つ』で、男性58. 5%、 における、女性に対する暴力の実態や、それ 女 性53. 4% と 、5. 1% の 差 と な っ て い た 。 に対する人々の意識を把握するための調査を 実 施 す る こ と 」が 挙 げ ら れ て い る 。こ の 答 申 を踏まえて実施されたのが「男女間における 暴 力 に 関 す る 調 査 」で あ る 。 (夫 や 妻 か ら 暴 行 等 を 受 け た 経 験 の 有 無 ) 現 在 、夫 や 妻 が い る 、 ま た は 、 過 去 に 夫 や 妻がいたが現在はいないという2, 797人に、夫 や妻から暴行等を受けた経験の有無を9項目に 4 「男女間における暴力に関する調査」の概要 平成11年度に総理府( 現内閣府 )が行った ついて聞いたところ 、『命の危険を感じるくら いの暴行をうける』経験が一度でもある人は 、 「 男女間における暴力に関する調査 」は 、我が 女 性で は4. 6%( 約20人に1人 )で ある のに 国における女性に対する暴力に関する初の全 対 し 、男 性 で は0. 5%( 約200人 に1人 )で 国規模の実態調査である 。この調査は全 国20 あった 。また 、その他の項目についても 、『何 歳以上の男女4, 500人を対象に行われ、3, 405 を 言 っ て も 無 視 さ れ 続 け る 』 以 外 は 、女 性 が 人( 女性1, 773人 、男性1, 632人 )から 有効 男 性 に 比 べ 、 よ り 高 い 割 合 に な っ て い た( 図 回答を得た 。 1)。 調 査 で は 、夫 婦 間 で の 暴 行 の ほ か 、 つ き ま とい行為、痴漢、性的行為の強要について聞 (配 偶 者 の 属 性 ) い て い る が 、こ こ で は 、 夫 婦 間 で の 暴 行 、特 『命の危険を感じるくらいの暴行をうける』 に 夫 ・ パ ー ト ナ ー か ら の 暴 力 に 着 目 し て 、そ 『医師の治療が必要となる程度の暴行をうける』 の概要を紹介する 。 『医師の治療が必要とならない程度の暴行をう ける』といった身体的な暴行を行った夫の属 (夫 婦 間 暴 力 と 認 識 さ れ る 行 為 ) 性を分析するため、年齢、職業、学歴、収入 夫婦(事実婚や別居中を含む 。以下同じ )の 別に該当者(「 現在配偶者がいる 、又は過去に 間で行われたことが暴力にあたるかどうかを 配偶者がいた 」 「 過去に現在と異なる配偶者は 11項目について聞いたところ、 「どんな場合で いない 」という条件に該当している女性 )と 、 も 暴 力 に あ た る と 思 う 」と い う 回 答 が 過 半 数 被害者( 配偶者から身体的暴行を受けた女性 ) を超えたのは 、『身体を傷つける可能性のある と を 比 較 す る と 、い ず れ の 属 性 に お い て も 該 物 で な ぐ る 』(88. 9% )、『 刃 物 な ど を 突 き つ 当者と被害者の間で大幅な傾向の違いはみら けて 、おどす』(86. 8% )、『足で蹴る』(76. 9 れ な か っ た 。つ ま り 、 暴 行 を 行 っ た 夫 ・ パ ー % )、『 相 手 が い や が っ て い る の に 性 的 な 行 為 ト ナ ー の 学 歴 、 年 収 な ど の 属 性 に は 、特 に 一 を強要する』(60. 0% )、『平手で打つ』(55. 8 定のタイプはなかった 。 2 (相 談 し な い 理 由 ) (相 談 の 有 無 ) 「 どこ( だれ )にも相談しなかった 」と回答 実際に暴行を受けた女性のうち、何らかの 相 人 は54. 7% と 、「 ど こ( だ れ )に も した女性は4割近くにもなるが、この理由とし 相談しなかった 」 (37. 8% )人を上回っている ては 、「 自分さえがまんすれば、なんとかこの が 、その内訳( 複数回答 )は、「 家族に相談し ままやっていけると思ったから」と「自分にも た 」(54. 7 % )と 「 友 人 ・ 知 人 に 相 談 し た 」 悪いところがあると思ったから 」が共に41. 2 談した (34. 2% )に集中し、警察などの公的機関をは じめとした相談窓口等へ相談した人は4. 0%に %と最も多くなっており、被害が潜在化してい る こ と が わ か っ た( 図3)。 すぎず、それぞれの機関に相談した人はいずれ も1% 以 下 と な っ て い た( 図2)。 図1 夫や妻から暴行等を受けた経験の有無 0.0 命の危険を感じるくらいの暴行を受ける 10.0 20.0 30.0 40.0 (%) 50.0 女性 男性 何度もあった 1、2度あった 医師の治療が必要となる程度の暴行を受ける 女性 男性 医師の治療が必要とならない程度の暴行を 女性 受ける 男性 あなたがいやがっているのに性的な行為を 女性 強要される 男性 あなたは見たくないのに、ポルノビデオや 女性 ポルノ雑誌を見せられる 男性 何を言っても無視され続ける 女性 男性 女性 交友関係や電話を細かく監視される 男性 「誰のおかげで生活できるんだ」とか、 「か 女性 いしょうなし」と言われる 男性 女性 大声でどなられる 男性 資料出所:内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成11年) 3 図2 身体的な暴行被害の相談の有無(複数回答) 0 警察に連絡・相談した 10 20 30 40 50 60 (%) 0.9 人権擁護委員に相談した(法務局、地方 法務局の人権相談窓口に相談した) 0.9 0.4 その他の公的な機関に相談した 0.9 民間の機関(弁護士会などに)相談した 0.9 医師にに相談した 1.8 家族にに相談した 54.7 友人・知人二に相談した 34.2 どこ(だれ)にもに相談しなかった 37.8 2.2 その他 該 当 数:女性225人 回答数計:女性271人 5.8 無回答 資料出所:内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成11年) 図3 身体的な暴行被害の相談しなかった理由(複数回答) 0 10 どこ(だれ)に相談してよいのかわからなかっ たから 20 20.0 4.7 2.4 自分さえがまんすれば、なんとかこのままやっ ていけると思ったから 41.2 10.6 世間体が悪いから 12.8 他人を巻き込みたくなかったから そのことについて思い出したくなかったから 4.7 41.2 自分にも悪いところがあると思ったから 32.8 相談するほどのことではないと思ったから 該 当 数:女性 85人 回答数計:女性170人 その他 3.5 無回答 3.5 資料出所:内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成11年) 4 50 16.5 相談しても無駄だと思ったから 担当者の言動により不快な思いをすると思っ たから 40 5.9 恥ずかしくてだれにも言えなかったから 相談したことがわかると、仕返しをうけたり、 もっとひどい暴力をうけると思ったから 30 60 (%) 5 調査結果が示す問題の潜在性 を 及 ぼ す も の 」と 定 義 し て い る 。 実 態 調 査 に よ れ ば 、夫 ・ パ ー ト ナ ー か ら 身 法律が制定されたことで注目されているの 体的暴行を受けた女性のうち4. 0%しか、公的 が、法律で規定された配偶者暴力相談支援セ な機関や民間の機関に相談していなかった 。こ ンター、医療関係者による通報、保護命令、職 のことは、公的な機関や民間の機関によって 務関係者に対する研修、調査研究の推進等で 被害が把握されておらず、潜在していること ある 。 を意味する 。 そもそも暴力は、性別や加害者、被害者の 間柄を問わず 、決して許されるものではない 。 (配 偶 者 暴 力 相 談 支 援 セ ン タ ー ) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護 しかしながら、夫・パートナーからの暴力に を図るため、法律では、都道府県は婦人相談 つ い て は 、 被 害 が 潜 在 し て お り 、公 的 な 対 応 所その他の適切な施設において、配偶者暴力 が十分になされてこなかった現状があること 相談支援セ ンター( 以下 、「 支援センター 」と から、夫・パートナーからの暴力を防止し、被 言う 。)の機能を果たすようにすることとなっ 害者を保護するための体制整備が急務である ている(この部分の施行は平成14年4月1日)。 という認識のもと 、「 配偶者からの暴力の防止 支援センターでは 、身体的な暴力だけでなく 、 及び被害者の保護に関する法律 」が成立した 。 精 神 的 な 暴 力 の 被 害 者 も 対 象 と し て い る 。業 務としては、①相談及び相談機関の紹介、② 6 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保 医学的又は心理的な指導その他の必要な指導 、 護に関する法律 ③被害者及びその同伴家族の一時保護、④自 「 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護 立して生活することを促進するための情報の に関する法律( 以下 、「法律 」と言う 。)」は平 提供その他の援助、⑤保護命令制度の利用に 成13年4月13日 に 公 布 さ れ 、一 部 を 除 い て ついての情報の提供その他の援助、⑥被害者 本 年10月13日 に 施 行 さ れ た 。法 律 は「 参 議 を居住させ保護する施設の利用についての情 院共生社会に関する調査会 」から提出された、 報の提供その他の援助を行うこととしている 。 い わ ゆ る 議 員 立 法 に よ る も の で あ る 。配 偶 者 からの暴力とあるように、夫から妻に対する (医 療 関 係 者 に よ る 通 報 ) 暴力だけでなく、妻から夫に対する暴力も対 法律では、配偶者からの暴力を受けている 象としているが、現状として問題となってい 者を発見した者は、支援センター又は警察官 るのは女性に対する暴力であるため、法律の に 通 報 す る よ う 努 め る こ と も 規 定 さ れ た 。医 前文で、配偶者からの暴力の被害者の多くは 師等の医療関係者は刑法の秘密漏示罪その他 女 性 で あ り 、こ の こ と が 男 女 平 等 の 実 現 の 妨 の守秘義務に関する法律があるが、今回の法 げ と な っ て い る こ と を 盛 り 込 み 、女 性 に 対 す 律で、配偶者からの暴力によって負傷し又は る暴力に重点を置いていることを示している 。 疾病にかかったと認められる被害者を発見し 配偶者からの暴力については 、「 配偶者( 婚 たときは 、守秘義務違反に問われることなく 、 姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と 支援センターや警察官に通報できることとな 同 様 の 事 情 に あ る 者 を 含 む )か ら の 身 体 に 対 っ た 。通 報 に 際 し て は 、 被 害 者 の 意 思 を 尊 重 する不法な攻撃であって生命又は身体に危害 することが前提となる 。 5 (保 護 命 令 ) とが規定されている 。 保護命令とは、被害者が更なる配偶者から の暴力により、生命又は身体に重大な危害を (調 査 研 究 の 推 進 等 ) 受けるおそれが大きいときに、被害者の申立 法 律 で は 、 国 及 び 地 方 公 共 団 体 は 、配 偶 者 てにより、裁判所が一定期間、加害者を被害 からの暴力の防止及び被害者の保護に資する 者から引き離すために発する命令で、接近禁 ため、加害者の更生のための指導の方法、被 止命令と退去命令がある 。接近禁止命令は、加 害者の心身の健康を回復させるための方法等 害 者 が 被 害 者 の 身 辺 に つ き ま と い 、 住 居 、勤 に関する調査研究の推進等に努めることとな 務先等の付近をはいかいすることを六月間禁 っている 。 止 す る 命 令 で あ り 、 退 去 命 令 は 、加 害 者 が 被 害者と共に生活の本拠としている住居から二 7 今後の調査研究に向けて 週 間 、 退 去 さ せ る 命 令 で あ る 。命 令 に 違 反 し 法律も施行され、配偶者からの暴力に関す た 場 合 は 、1年 以 下 の 懲 役 又 は100万 円 以 下 る調査研究は、今後ますます重要になってく の罰金という刑罰が科されることとなる 。 る と 思 わ れ る 。法 律 に 挙 げ ら れ た 調 査 研 究 以 この保護命令の制度においては、申立書中 外 に も 、平 成12年12月 に 策 定 さ れ た「 男 女 に支援センターの職員又は警察職員に相談し、 共 同 参 画 基 本 計 画 」に あ る よ う に 、 女 性 に 対 又は援助若しくは保護を求めた事実について する暴力について的確な施策を実施し、社会 記載がある場合には、裁判所がこれらに対し、 の問題意識を高めるため、定期的な実態把握 相談内容等を記載した書面の提出を求めるも を行うことも重要である 。 のとするなど、裁判の資料が速やかに整えら 先に紹介した平成11年度「 男女間における れるようにし、迅速な裁判に資するための工 暴 力 に 関 す る 調 査 」は 、 夫 ・ パ ー ト ナ ー か ら 夫 が な さ れ て い る 。支 援 セ ン タ ー の 職 員 や 警 の暴力の実態を明らかにしたが、一方で、暴 察職員に相談等を求めた事実がない場合は、公 力がどのような状況でふるわれているかや、暴 証人の面前で宣誓の上、認証を受けた書面を 力が女性の心身にどのような影響を与えるか 申立書に添付することとなっている 。 については明らかにされていない 。「命の危険 を 感 じ る く ら い の 暴 行 」と い う 項 目 に つ い て (職 務 関 係 者 に 対 す る 研 修 ) 配 偶 者 か ら の 暴 力 に 係 る 被 害 者 の 保 護 、捜 も、どのような暴行を受けて命の危険を感じ た の か は 不 明 で あ る 。ま た 、相 談 し な い 理 由 査、裁判等に職務上関係のある者は、その職 として挙がっている「 自分さえがまんすれば 、 務 を 行 う に 当 た り 、 被 害 者 の 心 身 の 状 況 、そ なんとかこのままやっていけると思ったから 」 の 置 か れ て い る 環 境 等 を 踏 ま え 、被 害 者 の 人 「 自分にも悪いところがあると思ったから 」と 権を尊重するとともに、その安全の確保及び いうことについても、なぜ被害者がこのよう 秘密の保持に十分な配慮をしなければならな に思うのかという点については明らかにされ い 。職 務 関 係 者 の 対 応 に よ っ て は 、 被 害 者 が ていない 。 二次被害を受けることもあり、研修は重要で そ のため 、総理府( 平成13年1月か らは内 あ る 。法 律 で は 、 国 及 び 地 方 公 共 団 体 は 、職 閣府 )では 、平成12年度に「 配偶者等からの 務関係者に対し必要な研修及び啓発を行うこ 暴力に関する事例調査 」として 、平成11年度 6 の調査をさらに深めるために、夫・パートナー から暴力を受けた経験を有する女性を対象に、 8 おわりに 夫 ・ パ ー ト ナ ー か ら の 暴 力 を 含 む 、女 性 に 調査員による個別面接聴取法にて実態調査を 対 す る 暴 力 に 関 す る 取 組 に つ い て は 、ま だ ま 行 っ た 。こ の 調 査 で は 、 暴 力 を 受 け た と き の だ不十分な点が多いと言われている 。夫・パー 状 況 や そ の 背 景 に つ い て 、 直 接 、当 事 者 か ら ト ナ ー か ら の 暴 力 の 防 止 の た め に は 、人 々 の 聴 き 取 る こ と に よ り 、夫 ・ パ ー ト ナ ー か ら の 理解を深めるための教育及び広報・啓発が重 暴力の全体像を多面的かつ包括的に把握し、暴 要である 。教育及び広報・啓発の際には 、夫・ 力根絶のための今後の施策作りに役立てるこ パートナーからの暴力の実態を把握した調査 と を 目 的 と し た 。こ の 結 果 を 基 に 、 暴 力 被 害 研究の結果を活用することにより、これらの の 実 態 や そ の 影 響 、 被 害 が 潜 在 す る 理 由 、加 こ と が ご く 一 部 の 人 の 問 題 で は な く 、多 く の 害 者 の 実 像 、求 め ら れ る 支 援 体 制 な ど に つ い 人にかかわる問題であることを明らかにして て考察することとしている 。この調査では、平 いくことが有効である 。女性に対する暴力は 、 成11年度「男女間における暴力に関する調査」 犯罪にも該当する決して許されないものであ で 挙 げ ら れ た「 命 の 危 険 を 感 じ る く ら い の 暴 るとの認識を、さらに広く社会に徹底するた 行 」に つ い て の 具 体 例 を 示 し 、 ま た 「 自 分 さ め に も 、今 後 も 調 査 研 究 を 推 進 し 、 的 確 な 施 えがまんすれば、なんとかこのままやってい 策 の 実 現 の た め 、一 層 の 努 力 を し て い く 必 要 けると思ったから 」 「 自分にも悪いところがあ があると考えている 。 る と 思 っ た か ら 」と 思 う よ う に な る 被 害 者 の 心理についてもその構造の一端を考察するこ ととしている 。 7
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