黄熱の歴史 CDC: History of Yellow Fever 黄熱は、アフリカで3,000年以上前に発生した。 17世紀に奴隷貿易によって米国へ持ち込まれた。 1648:米国ユカタン半島と仏領グアドループで最初の記録 ニューヨーク(1668)、ボストン(1691)、チャールストン(1699)で流行 18世紀にヨーロッパに侵入 1730:スペインで2,200人が死亡し、フランスと英国へ拡大。さらに、波及 19世紀に西インド諸島、中央アメリカとアメリカ合衆国を含むアメリカ大陸の熱帯・亜 熱帯地域で流行。この時代までは、黄熱は接触感染すると信じられていた。 1839–1860:ニューオリンズで26,000人以上が感染。 1848:米国人Josiah Clark Nott医師が蚊によって媒介されると主張。 1898:スペインとの戦争で多数の米軍兵士が黄熱で死亡。軍による研究推進。 1900年、黄熱はネッタイシマカが媒介することが明らかにされた。パナマで蚊の撲 滅活動が功を制し、1906年の運河完成に漕ぎつけた。 1935年、5黄熱ワクチン完成。ただし、当時は動物の脳内接種によってしかウイルス を増やせなかったので、精製ワクチンに残る脳成分が接種者に脳炎を引起した。 その後、発育鶏卵での増殖により副作用が減った。 1950年代、中央アメリカおよびメキシコで大流行。 1960年代、西アフリカおよびエチオピアで大流行。 1980年代、アフリカで大流行し、ナイジェリアだけで24,000名の死亡を含め120,000 症例が記録された。ジャングル黄熱の循環が激化したためだった。 ジャングルに生息する 様々な霊長類がそれぞ れを好むヤブカ属 (Ades)との間でウイル スを維持している。 人口密度が低い 農村部では、蚊 が発症者を刺す 機会が少ない。 森に入ったヒトが偶発的に刺されて都市部に ウイルスを持ち込む。 ヒトを好むネッタイシマ カとヒトの間でウイル スが循環し、爆発的流 行を引起す。 黄熱は、フラビウ イルス属のウイル スによる霊長類の 病気である。 黄熱(yellow fever)の要点 WHO Fact sheet December 2009 黄熱は、蚊に媒介される急性の出血熱であり、「黄」は肝臓障害 による皮膚の黄変に由来する。 ● 顕著な出血と血圧低下に陥った重症例では、致命率が50%を越 えることがある。 ● ● 全世界で毎年20万人の患者と3万人の死亡が推定されている。 アフリカとラテンアメリカ(総人口9億人)の熱帯地方で風土病化し ている。 ● 集団免疫の低下、熱帯雨林の伐採、都市化、人口移動、気候変 動の影響により、過去20年間で症例数が増加した。 ● ● 治療法はない。症状を緩和する対症療法のみである。 ワクチンは最も重要な唯一の予防法である。ワクチンは、安全性 が高く、手頃な値段で、効果が高く、 30~35年以上防御効果が持 続する。接種後1週間で95%が免疫を獲得する。 ● :症例数 出典 予防接種率(%) :政府発表 :WHO/UNICEF推定 症 例 数 予 防 接 種 率 黄熱の症例数と予防接種状況の推移、1980~2014 1960年代の流行以降減少していたが、1980年代にアフリカで流行し、ナイジェリ アだけで24,000名の死亡を含め120,000症例が記録された。ジャングル黄熱の 循環が激化したためだった。その後予防接種率の向上とともに減少したが、 2011~2012年には、コートジボワール、ウガンダ、中央アフリカ、シエラレオネ、 スーダンで発生があった。 アンゴラにおける黄熱流行が世界各地に飛び火、2016 2016年1月にアンゴラで黄熱が確認され(発症は2015年12月)、急速 に拡大した。2016年9月までに、372名の死亡を含め4,065名の疑い症 例が発生した。この内検査で確認されたのは、121名の死亡を含め 884症例(致命率13.7%)。予防接種されていなかったことが原因。 出典 2016年2月~4月:アンゴラから戻った中国人労働者11名の感染が確 認された。アンゴラ入国時に黄熱ワクチンを接種していなかった。 2016年4月~6月:ケニア(2名)とコンゴ民主共和国(59名)でアンゴラ から輸入症例。ウガンダでアンゴラとは別の流行。 出入国に関わる黄熱の予防接種 出典 1. 黄熱ウイルスの国内への侵入と拡大のリスクを防ぐことによって、この病気の国 際的広がりを防止する。<各国が入国者を規制> ● ● ● 予防接種の証明書を要求する国:媒介蚊と保有動物種が存在する黄熱の発生 がない国。感染した旅行者によるウイルスの持込は、増殖と定着、さらにヒトで の流行を起こす可能性がある。証明書は、伝播のリスクがある国からの旅行者 だけでなく、そのような国を経由した旅行者を含むことがある。ただし、12時間 未満の通過は、必要としない。これらの情報は、WHOに知らせなければならな い。 証明書の要求は国際保健規則に準じて実施し、証明書の有効性は「接種後10 年間とする。 国が予防接種を要求しないことは、黄熱伝播のリスクがないことを意味しない。 2. 旅行者個人が黄熱に暴露する可能性を防ぐ。<WHOが旅行者に推奨> ● WHOは、ヒトや動物の症例の診断に基づいて、伝播のリスクがある地域を指 定する。 ● 常在または間欠的伝播の証拠がある地域への9ヶ月齢以上の全ての旅行者に 対して予防接種を推奨する。 ● 黄熱ウイルスへの暴露の可能性が低い場合は推奨しない(ヒト症例がこれまで 報告されていないか、過去にウイルスの軽度の循環があっただけの場合)。 出典:厚労省検疫所 渡航先についての最新のリスク評価に基づく予防接種の必要性を検疫所に確認する ウガンダ コンゴ 0 ケニア ガボン コンゴ民 主共和国 アンゴラ 国際保健規則に基づく黄熱に関する緊急委員会 2016/5/19 都市型黄熱が発生しているアンゴラ・コンゴ民主共和国からの入国 者に黄熱の予防接種証明書提示を求めるよう勧告した。 WHO:世界的な警戒と対処 1. 以下のことを通して、高い罹患率と死亡率を緩和し、国際的に広がるのを防ぐた め、黄熱の発生に適時に効果的に対処することを確保する。 ● ● ● ● 黄熱の発生動向調査の強化: 発生の発見を改善するため品質の改善と範囲 の拡大 ⇐ 衛生行政システムが弱い 特定集団においてこの疾病が蔓延するリスクと影響の可能性を査定するため、 証拠に基づく基準と手段の検討 ⇐ 科学に基づく政策決定の欠如 「ワクチン供給のための国際的協力グループ」が世界的危機に対するワクチン 備蓄ならびに必要な国々を支援するための適切なワクチン配布を効果的に管 理するための標準作業手順の策定 ⇐ 予防接種費用がない 発生対策のため、良く練られた活動の枠組み内における協力者間の連携の改 善 ⇐ 東京都や日本以上に、部局間の連携がない 2. 以下のことを通した、 黄熱を制御するための発生対策の連結と長期戦略 ● WHOと協力者の間の連携の仕組みの吟味 ● 高リスク地域における日常的黄熱対策の強化 ⇐ 基礎的知識がない ● リスクがある地域における準備対策計画の改善 ● 黄熱制御における力量と弱点を特定するための発生後の評価
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