災害復旧支援のための浜松市デジタル地図の整備

災害復旧支援のための浜松市デジタル地図の整備
−水道管網図と防災地図−
Arrangement of Hamamatsu City Digital Maps for Disaster Restoration Support System
岩崎一孝†
望月絵美‡
Kazutaka Iwasaki† Emi Mochizuki‡
阿部圭一†
Keiichi Abe†
†
静岡大学情報学部
†
Faculty of Information, Shizuoka University
小川陽子†
Yoko Ogawa†
‡
鈴与商事
‡
Suzuyo Corporation
1. はじめに
本報告は ReSIA プロジェクト[1]の一環として行っ
た、浜松市水道管網図と防災地図のデジタル化について
述べる.ReSIA プロジェクトでは、ライフライン(水道
管網)復旧支援システム構築をめざすことがひとつの課
題となっているが、このシステム構築に不可欠な水道管
網デジタル地図がこれまで整備されていなかった。
本研究では,水道管網デジタル地図の整備に加え、デ
ジタル防災地図を作成し、地域検索機能を加えた地理情
報システム(GIS)の構築をめざした。
2. 水道配水管デジタル化の資料
浜松市水道配水管網 2747km のうち、口径 350mm 以
の幹線部分 275km と幹線沿いに併走する副管をデジタル
化した。配水管原図として、2500 分の1浜松市配水管網
図(全市域で 300 枚)を利用した。入力用のデジタル地
形図としては、デジタル化された種々の 2500 分の1地
図を検討した結果、もっとも精度がよい浜松市作成のデ
ジタル都市計画基本図をベースマップとして採用した。
図1
入力した配水管幹線網
3. 水道配水管デジタル化
デジタル配水管網図の精度を、原図の精度(あまり精
度がいいわけではなく、配水管位置が道路の中央・右
側・左側とわかる程度の精度)程度を保つこととして、
入力方法を検討した。デジタイザーの利用、原図をスキ
ャナーで取り込んだ画像の利用、目視による位置合わせ
の3つの方法を検討した。その結果、目視による入力方
法は、作業が簡単で入力時間が短く短縮でき、かつ十分
な精度を確保できることがわかった。したがって本研究
では、配水管位置を目視により入力することとし、全幹
線の入力(副管は除く)を 80 時間で終了することがで
きた(図1)。 入力した配水管の属性として、幹線名、
配管口径、配管延長、配管標高を付加した。
図2
4. 復旧支援地理情報システム構築に向けて
配水管網の地盤を表示させるために、浜松市作成の3
万分の1防災地図(市域の微地形分類図上に避難所など
の公共施設位置や広域避難地位置を掲載した地図)のデ
ジタル化を行った(図2)。両者を重ね合わせることに
より、配水管網の軟弱地盤通過箇所が特定でき、災害時
の破損箇所特定に有効な資料となることが予想される。
また、任意の町丁目部分の表示が可能となるように、地
域検索表示機能も付加した。
5. まとめ
我々は、復旧支援地理情報システム構築に向け、基本
デジタル化した浜松市防災地図
要素の整備を完成することができた.これをもとに災害
データ入力や、災害データ検索・データ発信の可能なシ
ステム構築の研究を継続していく予定でいる.
謝辞 通信・放送機構平成12年度地域提案型研究開発
制度の助成を受けて実施した。関係者に深く感謝する。
参考文献
[1]阿部、渡辺:画像処理とアドホックネットワークを利用する
災害復旧支援システム-ReSIA プロジェクトの全体構想-,電子
情報通信学会 2004 年総合大会(本大会)(2004).