花ボランティアわすれな草 - 宮前区まちづくり協議会

<先輩インタビュー
第8回>
花ボランティアわすれな草
(平成 18 年度~平成 24 年度資金支援)
(訪問日
【インタビュー:花ボランティアわすれな草
平成 27 年 5 月 14 日)
代表 荒牧富美江氏】
◆多くの人の心の中にいつまでも咲き続ける活動
“花ボランティアわすれな草”の代表を務める荒牧富美江さんは、華道教授、茶道助教授、栄養士、パフ
ォーマンス教育(注:自己表現教育)協会認定インストラクター等の資格を持ち、外国からの留学生を対象
としたビジネスマナー講師を務められるなど、とても多才で聡明な方。そして“わすれな草”の名のとおり
謙虚で控えめ。明るくてお話ししていると、楽しくなる素敵な方でした。
その活動の成果は、きっと多くの方の心の中でそっと咲き続けていることでしょう。
◆温かい蒸しタオルが私の人生観をかえた
私がボランティアを始めるきっかけとなった出来事は、31 歳のとき。札幌へ転居す
る前に喉の手術のため入院していました。もう声が出せなくなるかもしれないと沈ん
でいたんです。その時、同室の同年輩の方、その方は余命幾ばくもないと宣告されて
おられたんですが、私を気遣って点滴の腕に温かい蒸しタオルをあててくださったん
です。
間もなくその方はお亡くなりになったと聞きました。でもあの時の温かさがいつま
でも心に残りましてね…。
その時から私の人生観がかわりました。
人間って、どんな時でも命があれば、生きていれば、誰かを励ましたり、喜ばせた
り、役に立ったりできるんですね。
それ以来、私もそうありたいなぁ、私にも何かできるかなぁと思うようになりました。
◆生け花を活かしたボランティアができないかしら
栄養士の資格をもっていたもので、札幌にいる間は社会福祉協議会から
の派遣ボランティアとして、骨粗鬆症の方の食事のケアをしていました。
夫の転勤で川崎に戻りまして、仕事もしましたが、生け花を教えたりも
していました。お花って日々の暮らしの中で心を癒してくれますよね。
それで生け花を活かしたボランティアができないかしらと思い立った
んです。
◆最初は1人で始めたんです
老人ホームの入居者の皆さんに、生け花の手ほどきに伺ってみました。最初は私1
人で不安でしたが、やってみたらとても喜んでいただけて、嬉しかったですね。
当時やっていた通信添削の仕事仲間に声をかけてみたら、一緒にやってみたいとい
って数人が参加してくれました。その時の仲間が今もずっと、10 年以上一緒にこのグ
ループを支えてくれています。
◆元気をいただいているのは私たちなんですね
ベッドで寝たきりだった方が、起き上がって鋏を手にとられたり、嚥下も
困難な方のベッドの脇まで伺ってお茶を点てて差し上げた時は、茶碗をご自分
の手で持って、ゆっくり、全部飲みほされました。
傍で見守る介護士さんの驚きの言葉と優しい目。
また、いつも怒ってばかりいらした方が、ギュッ
と手を握って、涙を浮かべて「ありがとう!ありが
とう!」って言ってくださったんです。
こんなに喜んでいただけるなんて…心が震える思いがしました。
皆さんいろいろな形で喜びを表現してくださってね。
そんな風にホームの方たちに喜んでいただけることが自分たちの喜びにもなるし、
次への意欲も湧いてくるんです。やっているうちに元気をいただいているのは自分
たちなんだなぁと思うようになりました。
◆生け花、お茶会、ときにはマナー教室も
“花ボランティアわすれな草”の会員数は現在 15 人です。
あまり増減はありませんね。
以前キルギスの大
統領夫人が来訪され
毎月1回集まって学び合っています。老人ホームには現在
た時に、生け花の手
2ヶ所のホームに、それぞれ毎月1回訪問しています。生け
ほどきをさせていた
花の手ほどきが基本ですが、ご要望に応じて時々お茶会を開
だいたんですよ。
いています。お茶会のときはきちんと和服を着ます。
生け花以外のイベントを行う時にも、準備は毎月の集まり
でしています。
“花ボランティアわすれな草”は、長く続いているけれど、
特に「組織」って意識していなくって、役割なども分担を決
大勢の取り巻きの
方々がおられ、緊張
してコチコチでし
た。(笑)
めていないんです。その時々テキトウに皆で手分けしています。
そもそも“花ボランティアわすれな草”っていうグループ名も、まちづくり協議会の助成金を申請するのに必
要だったので、急いで皆で相談してつけたんです。それまでは名無しでね。(笑)
助成金をいただいたお陰で、道具を揃えることができ、あちこちで出張体験講座
をすることができました。老人ホームの他に、障害者の施設に出向いたりもしてい
ました。
生け花やお茶会の他に、マナー教室だとか、風呂敷の包み方教室を開催すること
もあります。
マナー教室はね、私がある学校でビジネスマナーの講師をしているので、依頼が
あればマナー教室も開いたりするんです。
「あってないのがマナー」って言われますけれど、その時々皆が気持ちよく過ご
せることを大切にするのがマナーなんですよね。
◆どなたでもご参加大歓迎!
特に募集したりはしていませんが、もし一緒にやってみたいという方がいらしたら、
大歓迎ですよ。茶道や華道の心得なんて全くなくって大丈夫。月一度の集まりでちょ
っと要領を覚えれば、すぐ一緒に活動できるようになりますよ。流儀などの壁もナ
シ!です。(笑)
長くやってきましたけれど、その間にあまり困ったり苦労したこと……ないですねぇ。
あら、どうしよう!って思った時でも、いつも誰かが助けてくれて困りごとではなくな
っちゃうんです。(笑)運が良かった、ラッキーだったですね。
「私にできること」それがボランティア活動の原点
市民活動にはいろいろな活動の形があります。そんな中で「私にできる
こと」から始める。
誰かが喜んでくれることを自分の喜びと感じる。
それは誰もができるボランティア活動の基本形ではないでしょうか。
こうして誰もがお互いを支え合っていけたら、きっと地域の問題も解決し
ていけるのではないでしょうか。
◆質問コーナー
① 宮前区まちづくり協議会の助成金はどのように役立ちましたか
“ちゃんとやらねば”と意識が変わりました。助成金は茶道具、花道具の購入にあてました。おかげで出張
体験講座や出先での茶会ができるようになりました。
② その後、また現在どのように資金調達しておられますか
謝礼金ほか、その時々に材料費や会場費も含め、参加者から実費を集めています。
③ 地域や他団体との交流、協力体制について教えてください
団体として行っているわけではないですが、メンバーそれぞれの個人的な交流を通して活動が広がっています。
④ 現在抱えている問題、課題がありましたら教えてください
できれば小学校などで子ども達に、お茶やマナーなどを伝えていけたらいいなと願っています。
◆生け花、イベントの画像は“花ボランティアわすれな草”様からお借りしました。
担当:山田知子
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