公債費負担適正化計画

公債費負担適正化計画
平成19年11月
北 海 道 滝 川 市
1
1.はじめに
滝川市では、平成10年度を「行財政改革元年」と位置づけ、積極的な行財政改革に取り組んだ結果、平成14年度までの累計で16億円超の削減効果
を生み出すなど、一定の成果をあげ、平成15年度からは第2次行財政改革をスタートしたところですが、長引く景気低迷による市税収入の減や地方交付
税の縮減などにより厳しい財政運営を強いられてきたことから、財政危機からの脱却と持続可能な財政基盤の確立を図るべく、平成16年度から5年間の
計画として「滝川市財政健全化計画」を策定し、さらに、平成17年度から5年間の計画として市民とタッグを組んで活力あるまちづくりを推進するため、
「滝川市活力再生プラン」を策定し、改革に取り組んできました。
「滝川市財政健全化計画」が目指していた基本の考え方を継承した「滝川市活力再生プラン」の「健全財政への道」では、人件費の抑制をはじめとする
様々な歳出の抑制と歳入の確保を目指しており、公債費負担の適正化については、計画策定時の起債制限指標であった起債制限比率の低下を目標に、建設
事業の厳選による計画的な起債発行を図ってきたところですが、普通会計のみではなく、市全体を対象とした新たな起債制限指標である実質公債費比率の
3カ年平均(16~18年度)が18.9%となり、起債許可団体となったことから、ここに、公債費負担適正化計画を策定し、公債費負担の適正な管理と
計画的な取り組みを実施していくこととします。
2.実質公債費率が高い要因
過去に行われた建設事業を中心とする大型公共事業により借り入れた起債額が多額であったことと、市税の収入減や地方交付税の縮減等により標準
財政規模が大きく減尐していることにより、普通会計における公債費負担が高い状況にあり、また、高い普及率にある下水道事業における公債費の負担額
が大きいことなどが要因としてあげられます。
3.計画期間
平成19年度から平成25年度(7年間)
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4.公債費負担適正化計画の概要
計画目標
公債費負担の軽減のため、今後の普通建設事業(起債事業)を必要最小限とし、繰上償還の実施やさらなる事務事業の見直しによる歳出削減、
後述する具体的な見直しを行い、実質公債費比率(3カ年平均)を早期に18%未満にし、今後7年間で16%台とすることを目標とします。
目標推計表
(単位:%)
<実質公債費比率推移> 18年度
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
実質公債費比率(単年度)
18.4
18.3
17.2
17.6
17.9
16.5
14.9
16.6
実質公債費比率(3カ年平均)
17.9
18.9
18.6
18.0
17.7
17.6
17.4
16.4
(単位:百万円)
<今後発行予定起債額>
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
一般会計
212
361
339
364
380
345
336
下水道事業会計
700
746
795
762
754
655
604
病院事業会計
219
1,039
6,367
1,659
112
50
50
3
(単位:百万円)
<公債費償還額の推移(今後発行予定債及び公的資金繰上償還効果額含む)>
19年度
一般会計
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
繰 上 償 還 前 償 還 額 (A)
2,589
2,469
2,458
2,464
2,317
2,142
2,087
繰上償還による効果額 (B)
0
△1
△9
△ 12
△9
△9
△9
2,589
2,468
2,449
2,452
2,308
2,133
2,078
繰 上 償 還 前 償 還 額 (A)
1,728
1,725
1,759
1,726
1,701
1,613
1,559
繰上償還による効果額 (B)
0
△9
△ 48
△ 89
△ 62
△ 52
△ 118
計
1,728
1,716
1,711
1,637
1,639
1,561
1,441
額
283
253
245
751
190
503
469
計
283
253
245
751
190
503
469
償
下水道事業会計
20年度
償
還
額
還
額
償
合
合
還
計
病院事業会計
合
公債費償還額推移
3000
一般会計
2500
2000
下水道会計
1500
1000
病院会計
500
0
H19
H20
H21
H22
4
H23
H24
H25
今後の地方債
発行等方針
(3)今後の地方債発行等に係る方針
○事業の優先度を十分に検討し、計画的な予算措置を講じるとともに、市民ニーズを的確に把握し、費用対効果も検証したうえで、地方債の
発行額を最小限に止めます。具体的な柱は
過年度において既に発行している起債については繰上償還やより低利に借換を行う
ことを検討、実施します。
新規借入による起債については、建設事業の厳選により発行額の抑制を図ります。
より安定した財政基盤の確立を図り、「滝川市」の市場評価を向上させ、有利な条
件での起債発行が可能となるよう努めます。
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財政状況の
現状分析等
近年の財政状況
滝川市の財政状況は、人口の減尐や景気低迷による産業の衰退などにより、歳入の根幹をなす市税収入の減尐が続き、平成14年度の46億円から
平成18年度では42億9千万円と3億1千万円の減収となり、地方交付税においても、国・地方の行財政改革である「三位一体の改革」などにより、
平成14年度の83億9千万円(臨時財政対策債含む)から平成18年度では73億7千万円と10億2千万円もの大きな減収となり、今後もさらなる
減尐傾向が続くものと推測されます。
また、歳出では、公債費償還のピークは過ぎ、償還額は減尐傾向ではあるものの、依然として多額な償還額が必要な状況は続き、加えて高齢化率の
上昇による医療費の増加や公共建築物の老朽化に伴う改修費等、大きな支出を伴うものも想定されているところであり、基金残高も今後においては
安定的な推移を維持することは困難であることも想定されています。
しかしながら、先にふれた「滝川市活力再生プラン」において、徹底した人件費や物件費等の抑制を掲げ、着実に実行した結果、人件費については
平成14年度に対し、平成18年度では9億2千万円、物件費については6憶4千万円も減尐し、さらに、平成18年度決算においては約4億3千
万円にものぼる繰越金がでるなど、大きな成果も残しているところであり、引き続き、歳出削減に積極的に取り組んでいくものであります。
市税収入推移
交付税推移
百万円
百万円
480
850
460
800
440
750
420
700
400
650
H14
H15
H16
H17
H18
H14
6
H15
H16
H17
H18
財政状況の見直し
1.既往債等に基づく実質公債負担の将来推計及び各年度の財政状況等
別紙参考様式1・3及び別紙各年度の財政状況等のとおりです。
2.計画期間における財政状況や地方債の見直し等
(1)歳入の確保
①市税収入の確保 ○収納率の向上
○滞納者対策の強化(納税者の公平性確保の観点から積極的に差押えを行う)と換金化の推進(インターネット公売等の活用)を図ります。
○固定資産税(H18より実施)および軽自動車税(H17より実施)の税率引き上げによる歳入増につとめます。
②受益者負担の適正化
○受益者負担適正化の観点から、使用料・手数料等の見直しについて、適正な見直しを行います。
③財産収入の確保
○市有財産の積極的な売却処分を行い、財産収入の確保をめざします。
④その他
○有料広告収入など、新たな財源の確保につとめます。
(2)歳出の見直し
①人件費の抑制
○定員管理の適正化のため、活力再生プラン策定時の473人から平成23年度までに353人(△120人)に削減し、一層の人件費の抑制
につとめます。
②物件費の見直し
○施設運営の見直しや単独事業の見直しにより抑制を図ります。
③事務事業の見直し
○指定管理者制度の活用による施設運営の効率化と「事業仕分」による事務事業の見直しで行政運営の効率化を図ります。
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④繰出金の見直し
○特別会計・企業会計の各計画に基づく収支改善を前提とした一般会計からの繰出金を抑制につとめます。
⑤普通建設事業費の抑制
○大規模な建設事業は概ね整備済みであることを踏まえ、普通建設事業の大幅な抑制を図り、将来の公債費負担増を抑えます。
5.おわりに
疾風怒濤・・・。地方自治体を取り巻く環境は、日々、変化をしておりますが、とりわけ、財政面については先行き丌透明な状況にあり、将来負担の
あり方を的確に捉えていかなければなりません。こうした中、将来の公債費負担増による財政悪化を防ぎ、次世代へ過大な負担をかけないために、今回、
実質公債比率の低減を図る計画を策定しました。
今後、公債費負担の適正化に向け、事務事業の見直しや受益者負担額の検討など、さまざまな課題に全力で取り組み、将来負担軽減の強化を図る
とともに持続可能な財政基盤の確立に向け、進んでいくものとします。
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財政用語解説
公債費
借入金返済に要する元金および利子の合計
地方交付税
地方財源保障制度の主体。地方自治体が必要な経費と徴収が見込まれる税収額を算定し、収入が経費と比
較して丌足する 場合に国が交付するもの
実質公債費比率
平成18年度からの地方債協議制への移行に伴い、新たに導入された指標。
市税、交付税にように使途が特定されず、毎年度経常的に収入される財源のうち、公債費や公営企業(下
水道、病院事業等)に対する一般会計からの繰出金、一部事務組合(消防、中空知衛生施設組合など)へ
の負担金などの公債費に準ずるものを含めた実質的な公債費相当額(普通交付税が措置されるものを除く)
に充当されたものの占める割合であり、公債費比率等に比べ、負債の状況をより広範囲に捉えた指標。
地方債協議制の下では、比率が18%以上になると地方債の発行に際し許可が必要となり、さらに25%
以上になると一定の地方債の発行が制限される。
公的資金繰上償還
旧政府資金・簡保資金・公営企業金融公庫資金のうち、年利5%以上のものについて平成19年度から平
成21年度までの3年間で繰上償還(補償金免除)できる制度。繰上償還により、これまで高金利で償還
していたものが、銀行等からの借換が可能なことから、低金利で償還でき、金利分の効果が発揮されるこ
ととなるが、繰上償還終了年度以降3年間については、政府資金の借り入れは停止される制度のため、病
院事業会計については、建替計画を鑑み、繰上償還を実施しない。
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