歴史地理学 1 7 8 OO~OO 1996.3 京都大学文学部博物館所蔵 ボルトラノ型地中海図に関する一考察 多国祐子 1.はじめに I I . ポJレトラノ型海図の特徴 I I I . 京都大学文学部所蔵「地中海図 j の特色 しはじめに ポルトラノ型海図とは,方位盤 c o m p a s sr o s eとそ I V .r 地中海図」に記された地名 こから放射状にのびる航程線 r humbl i n eが織りなす v .r 地中海図 Jの作成年代 幾何学紋様でもって特徴的な,中世を代表する海図 14~16 図 l ポルトラノ型地中海図 c r京都大学文学部博物館J所蔵) -1- !?1ll である。羊皮紙などに描かれたこの海図は, 世紀にかけて地中海沿岸地域において大量に生産さ ー VI . お わ り に れ,地中海の航海者に重宝されたものである。中世 束し,またそこから分散する直線であり,相互に複 においてはキリスト教的世界観に基づくマツパエム 雑に絡み合っている。航程線が収束する点は一見乱 ンディ mappaemundiも重要な地図であったが,ボル 雑に打たれているようにみえるが,中心にーっと, トラノ型海図とマツパエムンディとではその性質を 6,併せ それを中心とした円周上にあたるところに 1 パイプル 全く異にする。すなわち,マツパエムンディは「聖書」 て1 7点を数えることができる。これらの収束点には, の記述内容をも表現した地図であって現実離れした しばしば美しい図柄の方位盤が描かれており,これ 部分も見られるが,これに対して,ポルトラノ型海 2方向へ放射する らの方位盤からそれぞれ等間隔に 3 図は地中海の実情を知り得る限り正確に表現した, 3 2本の航程線が方位を指し示している。なお,方位 航海者にとってはまさに「パイプル」に相当する地 盤は羅針盤をモチーフにして描かれているが,中に 図であった。 は見事な装飾を施したものもあり,ポルトラノ型海 ところで,ポルトラノ型海図は海上で使用された 図の最も魅力的な特徴をなしている。また,色分け だけではない。航海の際に航路を決める指標となっ された航程線は,方位の判断を敏速・確実にするた たことはいうに及ばないが,陸上においても有用で めのものであった。 ( 2 )海岸線の形状は,特に地中海・黒海については あった。すなわち,ポルトラノ型海図は,その特徴 である方位盤や航程線網が織りなす幾何学紋様と, かなり正確で,現代の地図と比較してもそれほど遜 彩り豊かな地囲内容とがあいまって,美術品・装飾 色がない。ウッドワード ( D .Woodward1 9 8 5 )の研 品としても高く評価され,船主や豪商の注文を受け 究によると,マツパエムンディの代表であるへレフォー て製作された九よって需要も多く,かなり大量に生 ドH e r e f o r d図 ( 1 2 9 0年頃)の海岸線と,ほぽ同時代の 産されたと考えられる。そのため今日,欧米各地の 代表的なポルトラノ型海図の一つぺトルス・ヴェス 公的機関などによって所蔵されているボルトラノ型 .V e s c o n t e図 ( 1 3 1 1年)の海岸線との比較に コンテ P 海図も少なくない。 おいても,後者の正確さは一目瞭然であるとされ ポルトラノ型海図はわが国にも若干の点数がもた る九製作目的が異なるこれら 2系統の地図を比較す らされているが,京都大学文学部博物館にそのうち ることに若干の問題はあろうが,教会関係者(陸上 の 2葉が所蔵されている。うち 1葉は地中海全域を 生活者)の空間認識と,海上生活者の空間認識との 対象にしたもの(図 1)であり,他の 1薬はエーゲ 聞には相当の隔たりがあった事実は否定できない。 海を扱ったものである。筆者はヨーロッパにおける ( 3 )ポルトラノ型海図では,海図という性格上当然 地図発達史にかねがね興味を抱くものであるが,い であるが,海岸線沿いの地名は隙間なく詳しく書き まだ本格的には取りあげられていないこれら 2葉の 込まれている。一方,内陸部については,現代の海 ポルトラノ型海図を閲覧する機会をもった。本稿で 図と同様,航海と直接関係がないために地名はほと r I I章以下, 地中海図 J は,そのうち地中海全域図(第 I んど見られない。また,海岸線沿いの地名の数は, とする)を対象とした考察の結果を述べる。 同縮尺の現代の海図のそれに比べてはるかに勝って いる。地中海で当時主役だった手漕ぎのガレー船の I I . ボルトラノ型海図の特徴 航海能力では,頻繁に沿岸の各地に寄港する必要が ところで,ポルトラノ型海図には,ほぽ共通して あったのがその理由である九 次のような表現上の特徴がみられる。 ところで,多くのボルトラノ型海図においては地 ( 1 )まず,従来の地図にはみられない表現としては 名の記入に当っては黒・赤の 2色が使い分けされて 前記の航程線網がある。航程線は幾つかの箇所で収 いる。大部分の都市が黒インクで記されているなか - 2ー で,赤インクで示された地名は,当時の主要港およ の一枚の羊皮紙 9)に,地中海を中心とする地域が描か び主要都市を意味していた。すなわち,赤色で示さ れている。その範囲は,西は地中海西端(ジプラルタ れた地点に寄港すれば,より容易に食糧やその他の J レ海峡付近)にはじまり東は黒海(東部を欠く)・小ア 物資の補給を受けることができたのである 4)。 ジアにまで及ぶ。この海図は二つ折りにされる機会 (4)現代の海図とは異なる特徴として,ポルトラノ が多かったためか,図の中心部分に上下に,すなわ 型海図には「水深」に関する指示がない。それに代 ち南北方向に折りぐせによる染みが生じている。そ わって,海底の情報をユニークな表現記号で伝えて のため,特に図の中央に当たるイタリア半島の南部 いる。すなわち,沿岸海域のところどころには岩礁 は,海岸線・地名ともにほとんど判読不可能である。 の存在を示す点描がみられ,また,同じく沿岸に散 また,そのほかにも,用いられたインクが羊皮紙の りばめられた赤い小片は浅瀬の存在を指示してい 色に同化・退色した結果,とりわげ海岸線は復元し る九航海上の危険は大海原よりもむしろ港を間近に がたい箇所も多い。 した港湾内にあるともいわれるが,これらの記号は, ( 2 ) 黒インクで描かれた海岸線の形状についてみれ 港と目と鼻の先の海域での海難事故を警告する意図 ば,一言でいって,今日われわれが認識している地 3 世紀初めのフランス で描かれたのであろう。事実 1 中海の輪郭がほぽ正しく表現されている。もちろん, には,船の喪失の原因が航海者にあると認められた 微細にみれば,コルシカ島・クレタ島・キプロス島 際には,その者を死刑に処すという法律 6)があり,航 などの形状は幾分いびつであり,マグリプ地方東部 海者には海難回避に関するかなりの専門的な知識が (今日のチュニジア)の海岸線の北への膨らみなど 要求されていたのである。 もやや異常である。ただ,この程度の歪みはポルト ( 5 )ポルトラノ型海図には,地図の記載内容が航海 ラノ型海図においてはむしろ常態であり,また,他 に必要な海岸部に偏る傾向があったなかで,ほとん のポルトラノ型海図との類似関係からすれば,筆者 どそれに徹する形式のものと,内陸部にもその空白 6 0 1年のクレッセンティオ C r e s c e n t i o の知る限りでは 1 を避けて装飾的な図柄を描入する形式のものとがあっ 図 10)の海岸線の形状に酷似しているといえる。 た。これらの形式は,それが主として製作された地 ( 3 )図 2 (トレース図)にも示したように,海岸線 域と関連づげて,前者はイタリア型,後者はカタロ から内陸に向かつては,それに対してほぽ垂直に, ニア型と呼ばれる。端的に言うと,イタリア型が海 紺色の太い線の切り込みによって数多くの河川が描 上での実用性をより強く志向していたのに対して, かれている。それらの河川名の書き込みはないが, 3 7 5年に製作されたカタロニア図 カタロニア型は, 1 ヨーロッパ側の河川は,西から順にまさしくエプロ C a t a 1 a nm a p 7 )に代表されるように,陸上での使用目 a ) l l ),ローヌJlI(b),ヴアールJlI(c),アルノ川 川( 的,たとえば装飾としての使用にむしろかなったも (d),テヴェ vl I/(e),ネレトヴァ J I /(f),ヴアル のであった。なお,イタリア型とカタロニア型の製 ダJレJ I I(g),ドナウ}I/ ( h )である。しかし,アドリ 4世紀の後半 作者の聞で情報交換が行われた結果, 1 ア海北部に注ぐ河川は限定しがたい。これに対して にもなると,どちらにも属さない融合型とでもいう アフリカ側は,西からムルヤ 1 1 /(i),ナイル J I I(j) べきタイプが出現する 810 が同定できるが,今日のチュニジアからリビア北岸 に描かれた 4本の川はいずれとも決しかねる。ある I I I . 京 都 大 学 文 学 部 所 蔵 「 地 中 海 図 jの特色 いはワジを恒常河川として表したものかもしれない。 「地中海図」の全般的な特色は次の通りである。 r ( 1 ) 地中海図」は縦 52.5cmX横 7 2.0cmの大きさ また,小アジアからレヴァント地方にかけてはセイ ハン J I /(k),ジェイハン)1/(1),オロンテス川 (m) -3- EVROPA D-LMA TlA 6 ><J'全rvvr.r' 68Z 丸~ 691 . 0 ¥ 1 e ・~....,. 。 • 70 REGNVM REGNVM TRIMISEN FESS REGNVM NVBIA TRIPOLI DE BARBARIA REGNVM MAROCCO BAR R-GNVM GVFRAN BARIA ETIOPIA 図2 r 地中海図 J(トレース図) などが確認できる。なお,ちなみに河川の描写法に r 他のポルトラノ型海図の地名や現代地名と対照して のそれは,フランシスコ・ 関していえば. 地中海図 J みた。比較の対象としたポ Jレトラノ型海図は,本稿 rancescoO l i v a図 ( 1 6 0 3年)12)にも類似して オリヴァ F の第 V主主で推定する「地中海図」の製作年代に基づ いる。 .オーメン D . き,ポルトガルの装飾的地図製作者 D r ( 4 ) 地中海図」では内陸部についての情報はほと Homenの地図帳 ( 1 5 6 1年)収録の海図,ヴェネツィア んど示されていない。しかし,方位盤や海図の縁飾 の地図製作者ミロ A.Mi 1 10の地図帳 ( 1 5 8 6年 ) ,1 6 世 りなどは適度に描かれており,装飾的表現を全く欠 artinez 紀後半のカタロニア型の製作者マルテイネス M いたイタリア型とも断定できない。また.r地中海図」 による図 ( 1 5 9 1年).およびイタリア型の製作者ヴォ の装飾的表現は,カタロニア型ほどの華やかさを備 D .V o l t i u sによる図 ( 1 5 9 2年)である。 ルティウス V. えてはおらず,結局「地中海図」は,先述のイタリ また,代表的なポルトラノ型海図であるカタロニア ア型とカタロニア型の融合型に分類することができ 1 3 7 5年)も参考としてこのなかに含めた 14)。なお, 図( る 。 表 1~4 中の..は判読不可能な文字の意である。 ( 5 )r 地中海図」では装飾的な方位盤が併せて 1 4 個 描かれている。とりわけ,左上のーっと下部の二つ 以下,主要な地名について地域別に説明したい。 ( 1 ) ヨーロツパ の方位盤はその上部に「とさか」のような飾りを付 「地中海図Jの西端はジプラルタ J レ海峡付近から げている。このときかはフランス王家の紋章である 始まっているが,染みとしわのため沿岸部の地名は 「ユリの紋章 F l e u rdel i s J を示すものとされてお ほとんど判読不能である。内陸部には, VALLENCIA レトラ り,カタロニアやポルトガルで作成されたポ l (ヴアレンシア), ARAGON(アラゴン), CATALOGNIA ノ型海図に一般的にみられる表現である 13)。 (カタロニア)などの地方名が記されている。沿岸部 ( 6 )数少ない内陸の記載の中でひときわ目を引くの の地名では赤インクで記された m a l i c a (マラガ,図 2 は,南フランスの一隅に描かれた,ある一つの都市 中の番号 1,以下向じ)が判読しうる。その東に,同 の鳥敵国である。内陸部の都市の鳥敵的表現はカタ じ地名が黒色で繰り返されているのは,航海の際に r ロニア型の表現上の特徴であるが. 地中海図」では 目印となるマラガ岬を示すものであろう。さらに東 唯一,南フランスの一都市が描かれているのが興味 l m a r i a (アルメリア, 2 ) .t ωl e n s i a (ヴアレン には,a 深い。後述のように,筆者はこれをマルセイユであ a r a g o n a( タラゴナ, 5),b a r s a l o n a(/'~ シア, 3),t るとみている。 J レセロナ. 6)などの赤色地名が判読でき,また,都 I V .r 地 中 海 図 Jに記された地名 o s a( トルトサ?, 4) 市の規模があまり大きくなしに t やr o s a s (ロサス, 7)も,岬や湾といった特徴となる r にも ポルトラノ型海図の例にもれず. 地中海図J 沿岸部を中心に多くの地名が記されている占ただ残 地形を備えているためか赤色で記されている。 フランスでは,内陸部に LANGVADOG(ラングドッ 念ながら,黒インクで記された地名のほとんどは, グ)や PROVENGZA(プロヴァンス)の地方名がみら 長い年月を経るなかで湿気のために生じた染みやに れ,さらにローヌ川ないしはヴアール川の流域部に, じみのために判読不可能となっている。かろうじて, 先述の都市の鳥敵的措写がみられる。その位置から 赤インクで書き入れられた地名は同じ条件下でも判 みてこの都市はアルル,アヴィニョン,マルセイユ 読の可能性が高い。筆者は主として赤インクの地名 のいずれかであろうが,当該の都市はマッシリア(現 の判読を試みたが,その結果は表 1~4 のとおりで レセイユ)であろうと筆者は考える。 マJ ある。なお,表 1~4 では. r 地中海図Jの地名を, 紀元前 6世紀,ギリシアの植民地として建設され -5- 表 l ポルトラノ型海図に記された都市名(ヨーロッパ) カタロニア図 ( 1 3 7 5 ) m o n tg i b e l t a r MALICHA D .オーメン図 ( 15 61 ) GIBRALTARU MAL l CA 6 ) ミロ図 ( 15 8 マノレテ 5 イ 9 1 ネ )ス図 ヴォルティウス図 ( 15 9 3 ) 。 ∞ ∞ ∞ ∞ -6- 現在の地名 「 ( 地 1 6 中 c後海半図) J m : g i b a l t a r m : g i b i l t e r a MALEGA MAL l CA M A L I C A m a l i c a c : d em a l i c c : m a n d u c a SALAMBRA SERAUIGNA S A L O B R E N I A S E L O B I R N I A S E LL lNNA ALMARIA ALMARIA ALMARIA ALMERIA ALMATIA c a pd ep a l s cdp a l s . p a l s c . d ep a l i c : d e p a l i U A L E N S I A U A L E N S I A V A L L E N C I A UALENCA UALENZA 吋0 器a TORTOSA . . T O S A t o TORTOSA TARTOSA TERAGAONA TARAGONA TERRAONA TARAGONA TARAGONA t a m a r i t t a m a r i t t a m a r i t t a m u l i t t a m a r i t BARSALONA BARCELLONA BARCELONA BARSALONA BARZALONA 毘S r o R O S E S R O S A S r o s a R O S E S n e r b o n a NARBONA NARBONA NARBONA UARBO c a pd es e t a m . d ec e t a m : ds e u t a m: s e u t a . . s o u t a A R L E S A R L E S A R L E S ARLE A R L E S MASELA M A S I L I A MARSELLA MARSEGL lA M E R S I GL lA ANT lU E R I A N T I U A R I ANTIBOL l ANTIBO m s a m田a N I Z A N I Z Z A m s a m o n a g o MONAGO MONAGO MONACO MONAGO ALBENGANA ARBENGA ARBENGA ARBENGA ARBENGA N O R I N O R I n o n NO L l n o n n o n SAONA . O N A SAONA SANOUA SAUONA SAUONA IANUA GENOA IENOUA GENOUA GENUA GIENOUA P I S A P I S A P I S A P I S A P I S A P I S A L l GORNA L l O R N I L I U O R N O L I O R U A i I u o m i p l u n b i PROMTINO PUNBLINO P I U N B U I O P R O N B I N P I O N B I N O m o n t a [ 1 1 t o m o n t a l t o m : a l t o m . a l t o m : a l t o ma l t o I U T N U C H I A C I U E T AUEYA C I U I T A U E C A C I U I T AU E C H I A C C Y U I T A L E L Y A C I U I T A c a u od e l i n a r c . Ji n a r c : l i n a r cd em a r c : l i n a r o c : l i n a r a ROMA ROMA ROMA ROMA ROMA ROMA h 曲 t i a o s t i a o s t i a o s t i a o s t i a o s t i a n a t a u i N ATAUI NATOM NATORI o a t o o i : e r c e m : c e r c e l l m : 悶 c l o c . c o r c e l i c . c o r c e l i m : c e r c e l l i t e r . . i n a TERRACINA TERACYNA TARACINA t e r a c i n a t e r a c i n a GAYTA GAETA G A I E T A GAETA G A I T A GAETA NAPOLS N A P O L I N A P O L I N A P O L I N A P O L I N A P O L I SALERNO SALERNO SALERNO SALERNO SALERNO SALERNO 間L UCA P O L I C A S T R O P O L I C A S T P A N I R O P O L I C A S T R O P U L I C A S T R O t e r r n i n e TRANA t r a n i t r a n a T E R M I N I T E R N I BARLETA ARLONA BARLETA BARASTO PESCAYRA P E S C A R A P民CARA P I S C A R A P I S C A R A P I S C A R A ANCHONA ANCONA ANCONA ANCONA ANCONA ANCONA f a n o f a n o f a n o FAM FAM FANO p e z a n o P I S A C O P E S A R O P E S A R O PASARO PESARO RAUENA RAUCUA RAVENA n m e n o RAUENA RAUENA l a u r e t o LORCTTE L O R C O LORYTO l o r c o V E N E C I A U E N C I Y A u i n e t j a U E N E T I A U E N C T I A CIUTONOUA C I T ANOUA c i t an o u a FUM FLUMEN F I U M I F I U M E F I U M E F I U M E JAYRA ZARA ZACA ZARA ZARA ZARA SCARDONA SCARDONA S C L A N I C H O SCARDOUA SCARDONA CAGULLA RAGU . . C A G U L I A RAGUSA RAUSA RA SA CATARA CATARO CATARO CATARO CATARO CATARO a n t i u e r a n t i u a r i a n t i u a r i A N T I U E R I A N T I U A R I ANT ・ DULC H ¥ ENO D U L S I N O D . . L I G N O A L E S I O LSYGNO L C I G N O DURAZO DURASSO D I R A C P DURAZO DURAZO RACZO l e p a n t o LEPATO LAPANTO LEPANTO LEPANTO LEPANTO MODOM MODOM MOSAN MORO MADO MAOO LARMIRO LARMIRA ALMIRO LARMICO LARMIRO UOLO UOLO UOLO UOLO S A L O N I C H s a l o n i c h S A L O N I C H I O S A L O N I C A S A L O N I C S A L O N I C H I ASPROSA A S P R O S A [ A S P E R O S A l A S P E R O S A ASPROSA ASPROSA MARAINA [ m a r o n a l MAGARIR MAROINO MAMARA G L L I P O L I G A L L I P O L L I g a l i p o l y g a r b a n e i G A L I P O L I G A L I P O L I . . T I N O P O L l O N S T A N T I N ( ) . C C O S A T A N T I N O . C O . . T A N T I N O . COSTANTINOPOL NSTANTINO. C 問L I P O L L I P O L I P O L J s i s o p o l Ji s i s o p o l i S I S O P O L I S Y R O P O L I S I S O P O L I s i s o 卯 I i [ M E S E M B E R l m e s e m b r e MASENBAR MISENBRA M I S E N B R I A m 1 3 s c a G I B I L T A R A MALACHA m a l i al i s SOLONBRINA T lA ALMA c : p a l i s UALENCA TORTOSA TARAGONA t a m a r i t BARCALONA r o s a NARBONA 配n t e r A R L E S M A R S I L G I A A N T U G I A R I N I U A MONAGO ∞ G i b r a l t a r 1 1M a l a g a P t aM e l o n a r? P t ad e lS a b i n a l? 2 1A l m e r i a C .dP a l o s 3 1V a l e n c i a 田 4 1T o r t o 5 1T a r r a g o n a 6 1B a r c e l o n a 7 1R o s a s N a r b o n n e S e t e 8 1A r l e s 9 1M a r s e i I l e A n t i b e s 1 0 1N i c e 1 1 1M o n a c o A ¥ b e m g a N o l i 1 2 1S a v o n a e n o v a 1 3 1G 1 4白血 1 5 1L iv o m o P i o m b i n o M o n t a 1 t od iC a s t r o C i v i t a v e c c h i a C .L i n a r o 1 6 1R o m a O s t i a N e t t u n o 目回 M . C i T e r r a c i n a G a e t a 1 7 1N a p o l i 1 8 1S a l e m o G . d iP o l i c a s t r o 1 9 1T r a n i B a r l e ! t a 2 0I P e s c a r a 2 1 1A n c o n a f a n 2 2 1P e s a r o 2 3 1R a v e n n a L o r e t o 2 4 1V e n e z i a 。 2 5 1F i u m e ( R i j e k a ) 2 6 1Z a r a ( Z a d a r ) 2 7 1S c a r d o n a ( S p l i t o ) R a g u 掴のu b r o v n i k ) C at t a r 6 A n t i n a r i D r i n i t P e l l gi D ur a z 却の阻む) 2 8 1L e p a n t o ( N a v p a k t o s ) 出6 n i ) 2 9 1M o t o n ( M e 3 0 1L a m i a V 6 1 0 s 3 1 1S a l o n i k i ( T h e 阻I o n i k i ) A b d e r a ? 3 2 1M a r o n e i a I l i p o l i ( 1 白 ,l i b o l u } 3 3 1G a 3 4 1C o n s t a n t i n o p l e 日 司a n b u J ) 3 5 1S o z o p o l 3 6 1 M 臨 e n b e r ( N 田 ,b u r ) 表 2 ポルトラノ型海図に記された都市名(アフリカ) カタロニア図 ( 13 7 5 ) t a n j e r S E P T A TERGA B E D I S L A L C U D I A M I L L E L A ORAM ARZEU MOSTEGANI TENお B R I S C H C E R C E L c a pd el a l b a t a l c a x m 田 ALGER m e t i f u x b e r e n g e r o TEDE L l S B U G I A g o I fd eb u g i G I G E R a u c o l STORA 町 田l o r d B E S E R T T U N I S c a b o n m a o m e t a S U S S A A F F R I C H A c a p u l i a S F A C H I S ef r i x o l s i l由 d C A P I S m u r o t o TRlPOLDE B A R B A R I A i I c h o d i a s a l i n e s m i l e l B E Y N I C H t a o c a r a TOLOMETA BONANDREA l ¥ i . . c e p o r t ed e LUCH ALEXANDRIA l 1 um悶 . t DAMIAT D .オーメン図 ( 15 61 ) t a g e r S E P T A TARGA L E D I S L lL A ME o r z e o MOSTEGARI TENEYE BR l SOBA C E R A L I c : d o b a t a r c a n n e ALGER m e t i p l y u s b e r e n g e r o L ! S T I D E B U G I A g . d eb u g i a G I G E R I STORA c . d e r o s a B I S E R T E TUNES c . b o n i m a o m e t S U S A A F R I C H A c a p u l a f a c u k e i d ef r o x o l i s C A P S A m u r o t o T R I P OL l ミロ図 6 ) ( 1 5 8 TANGIER XEUTA TARGAN B EL lS l a r c h u d i a M IL lLA ORAN ARZAO MOSTAINAN TENESA b i r s a C I R C E L I c : b a c r i c n m c o A L G I A R m e nI r i s b a r i n g e r a t o T I N D E L lS B U C I A G I G A R STARA d o s o r o r B I S A R T A T U N E S I C . B O N MAUMETA A F R I C H A t a p u l a S F A S E l S F R S OL C A P S I m u r o t o T R I P OL l L 1 CU D l A s a l i n u m i l e l BONAODA t o a c h a r a P . T O L O M E T A BONADUA f o r c e l i p . t r a b u e LUCHO AL l SANDRIA R O S E O DAMIATA S AL lNE m i l e ¥ B O R N I C H t a r h o r a TO ! J οMETA BONANDREA f o r c e l i p . t r a b u c h o LUCHO ALESANDRIA ROSETO DAMIATA 7 ノレテイ 1 ネ )ス図 ( 15 9 TANGIR SEUTA TARGA B E L lS A L C U D I A ME L lL L A ARZEO MASTAGANJ TENES BR lS O B C I R A E L S cd a l b a t a l l c a r i n e s ALGER m e n t i c a b e n i g e n a t TADE L l S B U G I A cdb u g i a G I G E R A L L C O L ∞ ST A d 町 田l o r B I Z E R T A T U N I S cb o n o MAOCARTA S U S S A A F R I C A l ac a p u l a FACHS i l l adf r i x o l C A P I S m u r o t o T R I P O L l NAYM l i c o d i a 田 s a l i n m i l e l l B E R N I C O t r o c a r a TOLOMETA BONANDRJA f o r c e ¥ l i p . dt r a b u c h LUCHO a l l i x a n d r j a ROSSETTO DAMIATA - 7ー ヴォルティウス図 ( 15 9 3 ) 「 ( 地 1 6 中 c後海半図) J 現在の地名 . . A N G L lRA T a n g e r 3 7 伝u t a ( C e u t a ) S E I T A TARGA TARGA T e t o u a n ? B EL L l S B a d i s L l S B E L ALCO D lA A l c u d i a A L C O D I A M IL lL L A ME L lL L A 3 8 1M e l i l l a ORAN ORANO 3 9 10 ra n ARSEU A r z e w MOSTAGAN 4 MOSTAGAN 01 M o s t a g a n e m お TENES T e n e s TEN B r i s c h a ( B i 閤) B R I S C B R I E Z c a r 現r αe 凶1 e l 1 C E R C E L c : d a r t a t a l c : b a t a r c a x m a K o l e a ALGER 4 1 1A I g e r ARGER m . . o t e c a C . m a t i f o u c : m a t a f u s b e n i g c m C . d eB o r d jE IB a h r i b 町i g e n t T A D E L L I S C . T e d l e s TADEL L lS 4 2 1B o u g i e ( B e i a Y a ) B U G I A B U G I A c : d e b n g u G . d eB o u g i e c : b u g i a c i g i c t G I G E R J i j e l L A C O L L O ω 1 1 0 A L C O L L O STORA S t o r a ( S k i k d a ) STORA c : d i s r l o r t a d a s c o l o r BESORTA 4 3 1B i z e r t e B I S E R T A 4 4 1T u n i s T U N I S T U N I S I c : b o n c : b o n a C . B o n MAONICTA H a m m a m e t MAOMETTA 毘 SUTSA S o u . 4 51 C .A f r i q u e 側a h d i a ) A F R I C A A F R I C A c a p u l l R a s sK a b o u d i a c a p u l l i a ALFACH FACHS S f a x i ldf r i . o l e yd ef r i s o l i 4 6 臼p i s i ( G a b e s ) C A P I S C A P I S m a r a t ω M u l l a h a ta ¥B u r a y q a h m a r o t t o T r i p o l i ( T a r a b u ¥ u s ) L lD I T R l P O T R l P O L lDE BARBARIA BARBARIA NAIM N a y i m NAYM I a s i d r a A ¥S i d a r l i c o d i a S I N A I N S i r t e ( S u r t ) s a l i n i m i l l e l m i l e l 4 7 1B e m i c h ( B e n g h a z i ) B E R I N O B E R N I C H T o c r a ( T u k r a h ) . . D c a r a t o c u r a βMETTA T o ¥ m a i d e ( T u Jm a y t h a h ) TAl TALOMETA B o n a n d 悶 ( A ¥B a y d a ) BOUADRIA BONANDRIA f a 田 u i f . p : dt r a b u c o T u b r u q p : t r a b u c o 4 8 1L u c o ( ! J u k k ) LUCO L U C AL l SANDRIA 4 9A l e x a n d r i a l SANDRIA AL R o s e t t a ( R a s h i d ) ROSALTO ROSETTO . . A MITA 5 0 1D u m y a t DAMIATA 。 ∞ 表 3 ポルトラノ型海図に記された都市名(レヴァント カタロニア図 ESCHALON J A F F A a r z u f f o D .オーメン図 ( 15 6 1 ) SOALONA G I A F A a r z u f o ACRE SUR BARUT t r i p o l l id e町 田 l a l i t x a p o r t ou aJ lo SOLAM? a l e x a n d r e t a l a y a z o CURCO ACLYE SUR B A R U T I T R I P O L I L A L A C H I A p . b a 1 0 S A L D I M ALESANDICTA L A I S A CHURCHO ( 13 7 5 ) p a p a d o l J a i n s u l ad eo J li u e ANTIOCETA 国t a l e au e y a SATALLEA M A C R I m e田1 ∞ ALTOL o l a c o l i c i LANDERMI T l C A S T E L L E S I N O P I P A L O P O L I ミ ロ6 図 ) ( 1 5 8 SRALONA ZAFO a r c i c h u f o XESAR lA A C H R I SURO l BARUT T R I P O L l lCA L AL S A L R O I N E A L I S A N L A G I A C A CHUCCO 1 ab a g a s a P A L I O P O L I . i d o l i u e A N T I O C H I A s a t a l i al u e c h a S A T A L I A M A C Z I r n e S l P A L A T O R I A ALTOLOGO l a u c h o LANDENUTRE C A S T E L E S I N O P I ANNOC H lA s a t a l i ad a S A T A L I A MACHRl PALANO ALTOLAGO LANDEMI T l C H I T O R E Z S I N O P I ( 1 5 イ 9 1 ネ )ス図 ヴォルティウス図 マルテ ( 15 9 3 ) ESCAIβNA ZAFFA a r a i f f o S P I Z A I R A AC SUR B A R U T I T R I P O L I L A L I T R A p : u aJ lo S O I D I a l e x a n d r e t a LAYASSA CURCHO 1 e n g u ad eb a g a s a J la p . p a d o o l i u a ANTJORA s at a i I au e r c a S A T A L I A MAGRI M E S S I PALATIGA ALTOLAGO l a u r o LADENI T l C A S T E L S S I N A P I 小アジア) 「 ( 地 1 6 中 c後 海 半 図 ) J A喧l q e l o n ? SOALENA 5 1 1J a f f a ( T e l . A v i v . Y a f o ) J A F F A . . 田f f a S P I S O U A e ( A k k o ) 5 2 1A c r ACRE ACRY S o O r SUR SUDA e i r u t 5 3 1B BARUTT l BARUT T r i p o l i ( T r a b l u s ) T R I P O L IDES U R I A P O L I 5 4 1L a 句k i a ( A IL ad h iq ! y a h ) L A L I Z A L A T I L A p : u a l o p : u c h i o S a m a n d a g S O L D I N S O L D I N 1 e χ a n d r e t t a ( l s k e n d e r u n ) A L I S A N D I C L A 5 5A a l i s a n d r e t a L ai a z a ( Y u m u r t a l i k ) L A I A S A L O I A Z O C u r c h o ( S a r i l 四v a k )? CURCO CURCO a g a 閏 B r . l i n g u ad eb a g a x x a l a i g u ad eb a g a s a5 6B p : p a d o l a p : p a d u a O v a c i kB r .? 。 I i u a nt i o c h e i a ( G a z i p a s a ) 5 7 1A A N T I O C I A ANTIOCA S a t a l l i a ( A n t a l y a ) s a t a l i au e c h i a s a t a l i a S A T A L I A 5 81 S a t a l l i a ( A n t a l y a ) S E T A L I A M a c r e ( F e t h i y e ) MACRI MAGRA M i l a s ? M E S S I M A S I PALATIGOA PALATOGA ALOTOCHO ALTOL o e s m i r e ( I z m i r ) 5 9 1L l a c o l i c a l a z i r o 6 0 1L a n d r e m i t i ( E d r e m i t ) LADANITE LANDRIM I T l C a t a l a g z i ? [ C A S T E L L A S l C A S T E L L A S 6 1 1S i n o p S I N O P I S E N O P I SCALONA Z A F F O a r z u f f o ∞ 表 4 ポルトラノ型海図に記された島名および都市名(島 カタロニア図 ( 13 7 5 ) MAIORCA 5 0 1 e r m a o C A L U I B O S S A URlSTANY C A L L A R I c a r b o n y r e PALERMO MESINA s c a l a g r e g a m a l t a 叩n o c i f f a l u n i a [ I im e 1 [ m i t i l i n o 1 [ s i o 1 [ s x a m o 1 c a n [ d i a 1 s c a! ] la n t o RODUS FAMAGOSTA D オーメン図 ( 15 61 ) MALLORCA mam c a l u i BATRA b a c s a ARESTANI C A L A R I A c o r l c i n a p a l e r m MESINA SARAGOSA MALTA UF O Cl ZAFOLANCA STALMUCI METELIN SYO SAMA CANEA CANDIA SCARPATO RODY FAM 図 ) ミ ロ6 ( 15 8 m a g l o r i c a c h a l u i e r b a l o n g a b o s s a m e s m a m a l t a c h o r f v o e f a l o n i a l i m n e m i t e l i n S I O s a n 】O c a n e a c a n d i a s c h a r p a n t o マルテイ 1 ネ )ス 図 ヴォルテ 9 ィ 3 ) ウス図 ( 15 9 MALLORQUES SOLLAR MAO CAL B O N I F A BOSA O R I S T A I C A L L A R I c i c a r b o M E S S I N A SARAUSA MALTA R F F U X I F A L O N I A S T A L I M I N O M E T E L I X I O XAMO CANIA CANDIA SCARPANTO RO D l FRAMAGOSTA ∞ 現在の地名 ( 15 M A I O L I C A P 加 a o C A L U I B A S T I A BOSA ORISTANO C A G L I E R I c : c a r b o n a r o PALERMO M E S S I N A SARAUSA MALTA CORFU Z I F A L β N I A l i m n o METELINO S I O SAMO CANEA CAND l A SCARPANTO RO D l FAMAOSTA 興) 「 ( 地 1 6 中 c後 海 半 図 ) J MCARORCA SOLLORA MAON C A R N I B A S T I D A BOSA l STAN OR C A L L A R I c a r b o n c i PALORMA M E S S I N A S A I A G MALTA c o r f o c i s a l o n i a SLIMNO M I T I L I N O X I O XIAMO CANIA CAND l A SCARPANTO RODO FAMAGUSTA 現在の地名 1 l 0 r c a 6 2 1Ma S o 1 l e r 6 31 M a h o n ( M e n o r c a ) C al v i 6 4 1B a s t i a B o s a r i s t a n o 6 5 1O 6 6 1C a g l i a r i C . C a r b o n a r a 6 7 1P a l e r m o 闇 i n a 6BIM 6 9 1S i r a 印拍 7 01 M a l t a 7 1 1C o n u ( K e r k i r a ) 7 2 1C e p h a l o n i a ( K e f a l l i n f a ) 7 3 1U m n o s 7 4 1M i t i l ! n i s ( K h f o s ) 7 5 1C h i o 7 6 1S a m o s Kh a n i a ) 7 7 1C a n e a ( 7 8 1C a n d i a( l r a k l i o n ) S c a r p a n t o ( K a r t p a t h o s ) 7 9 1R o d e s ( R o d h o s ) a m a g u s t a 8 0F (注)・地図上の赤色地名は大文字で,黒色地名は小文字で示した。ただし,ミロ図の島娯に関しては, 77クシミリアトラスに収録されているポル トラノ型海図とは別の地図から地名を引用したため,地名の色分げはなされておらず,すべて小文字で示さざるをえなかった。 c e r tによるカタロニア図(13 3 9年)から引用した聞ものである。 ・カタロニア図の欄にあるは, ドゥルサート Du1 地中海図 Jの欄の地名の後に示した数字は,図 2中の番号と一致する。 ・現在の地名の欄で( )内に示した地名は,現在の呼称である。また,比定した地名に疑問が残るものには,地名の後に?を付した。 ・判読不可能な文字については, . . で 示 し た 。 ・省略文字については.以下のとおりである。 Pta=岬(スペイン語), C.=抑 , M.=山 , G.=湾 , Br.=岬(トルコ語)。 .r -8- たマツサリア(ロ}マ時代以降,マッシリア)はロー f i u m e (フィウメ,現リエカ, 25)や z a r a (ザダル, 2 6 ) ヌ川河口東端に位置し,天然の良港と周囲に丘陵を などの地名が見いだされる。また,現在は廃櫨と化 有する天然の要塞を兼ね備えていた 16)o15~16世紀頃 c a r d o n a (スカルドン, しているダルマティアの都市 s は,港湾都市としてやはり名高いアルルとも競合し 現スプリート, 2 7 )の名もみえる。 ていたが,より大型の船が入港できるマツシリアの a p a n t o( レパ さらに,現在のギリシアの範聞では l 方が一歩抜きんでていたようである。「地中海図」に ント,現ナフパクトス, 2 8 ),s a l o n i c a( サロニカ,現 描かれているローヌ川河口の北方の水辺を囲むよう ) , m a r a i n a( マロニア, 3 2 )などの テッサロニキ, 31 に広がる都市の鳥敵図には,湾の出入口に対侍する 地名が判読できる。 こつの要塞があるが,これがマルセイユのサン・ジャ バルカン半島の北側には, ALBANIA(アルパニ ンとサン・ニコラのニ要塞と想定しうる。フランシ ア ) , SCLAVONIA(スラヴォニア), D-LMATIA(位 スコ・オリヴァの図 ( 1 6 0 3年)やフランソワ・オリヴ 置に問題があるが,ダルマティア), ROMANIA(ルー F r a n c o i s01 1 iv eの図(1662年)口}の周囲に描かれたマ マニア), VALACHIA(ワラキア)の地方名がある。ま J レセイユの鳥敵国などとも類似している。中世にお た地図の北の端には, RVSSIA(ロシア)の名がみえ, いても重要であったこの都市だけが, r 地中海図」に ダーダネルス海峡には g l l i P o l i( ガリポリ,現ゲリボ 捕かれたものであろうとするのが筆者の解釈である。 ル , 3 3 )がある。黒海への出入口には c . .t i n o p o l iと その他,フランスの海岸部の都市名としては,a r l e s あるが,もちろんこれはコンスタンティノープル(現 ( アJ レル, 8), n i z z a( ニース, 1 0 ), m onago( モナ 1 )などが判読される。 コ , 1 イスタンプJ, レ3 4 )を指すものであろう。 ( 2 ) アフリカ イタリア半島には,半島の西側のつけ根から北に 北アフリカの沿岸部には多数の地名が記されてい 向かつて内陸に MILAN(ミラノ), FERRARA(フェル る。まず,地方名としては REGNVMFESS(フェス地 ラーラ), PADVA(パドヴァ), VINECTIA(ヴェネツイ 方 ) , REGNVMMAROCCO(モロツコ地方), REGNVM ア)の地方名ないしは国名が,半島部には TOSEANA TRIMISEN(トレムセン地方), R-NVM ALGER(ア (トスカナ)と,大書された ITAL lA(イタリア)の地方 ルジエリア地方), REGNVMTVNIS(チュニス地方), 名が見られる。長靴型のイタリア半島の足首から足 TRIPOL l DE BARBARIA(パルパリのトリポリ), 先にあたる部分は,海図が二つ折りされる際の折り REGNVM BARCA( パルカ地方), AL lSANDRIA DE 目となったためか,海岸線の輪郭・地名ともに判読 EGIPTV(エジプトのアレクサンドリア),などが判読 不可能である。都市名としてはテイレニア海側に, できる。ところで,チュニスの爾にある REGNVMNVBIA 2 ),g e nω (ジェノ 北西から抑制御(サヴォーナ, 1 はナイル川流域のヌピアをここに位置させたもので 3 ),ρ おa (ピサ, 1 4 ), l i o n ω(リヴォルノ, ヴァ, 1 あろう。また,ナイル川中流部には FNILVの地名が 1 5 ),r o m a (ローマ, 1 6 ),n a p o l i( ナポリ, 1 7 ),s a l e r n o l u v i u sNi 1 u s (ナイルJ II)を意味する あるが,これは F (サレルノ, 1 8 )などが読み取れる。さらにアドリア と考えられる。さらに上流部の, R-GNVMGVFRAN, e r n i(トラニ, 1 9 ),ρ i s c a r a( ペス 海側には,南から t CAIPY,ETIOPIAの地方名については, ET lOPIAは カラ, 2 0 ), a n c o n a( アンコナ, 2 1 ),ρ e s a r o( ペザ エチオピアで自明であるとして,その他の地方名の 2 ),r a u c ω (ラヴェンナ, 2 3 ),u e n c t i a( ヴェネ ロ , 2 うち, CAIPYは表記からはカイロであろうがその位 ツィア, 2 4 )の地名がみえる。なおティレニア海側で 置は大きく南にずれている。地図の下縁に沿って大 は,航海時の目印となる山や岬も記されている。 きく書かれた BARBARIA(パルパリ)の文字は,アフ アドリア海東岸の現クロアチア共和国の領域には, リカ内陸部の情報の欠如を物語っている。 -9- 一方,ナイ l レ川は,三つに分流して地中海へと注 された l a z i r o(レズミル,現イズミル, 5 9 )が,さらに ぐ大河川として描かれているが,支流の中にはシナ 黒海沿岸には s e n o ρ 2 ・(シノツプ, 6 1 )の名を見出す イ半島方面から発しているものもあり,確かな情報 が,判読できない地名も多い。 のみに基づいて描かれたとは考えがたい面もある。 ( 4 ) 島幌 河口の北の海中に描かれた三つの島は,デルタ部分 地中海に描かれた島艇を見ると,島名は記されて の分流によって生じた中洲を描いたものであろう。 いないが,地中海西部には,パレアーレス諸島,コ e i t a( セウタ , 3 7 ),m i l i l l a アフリカ北岸には西端から ,s ルシカ島,サ Jレディニア島,シチリア島が描かれて (メリリャ, 3 8 ), o r a n (オラン, 3 9 ),a ,l旨er( アル いる。特に,コルシカ島とサ Jレディニア島には寄港 u n i s( チュニス, 4 4 )などの都市名があ ジェ, 41 ) , t a s t i d a( パスティア, す る 回 数 が 多 か っ た の か, b る。エジプトの海岸部には l u c c o( ルコ , 4 8 ),a l i s a n d r i a 6 4 ), o r i ・ s l a n (オリスターノ, 6 5 ), c a l l a r i( カリア (アレクサンドリア, 4 9 ), .• z m i t a (ダミエッタか?, リ , 6 6 )の各都市は,やや強調された入江の奥に,い 現ドゥムヤート, 5 0 )などの地名がみられるが,リビ ずれも赤色で記されている。また,シチリア島の南 ア付近の海岸地名は読み取れないものが多い。 に置かれた m a l t a (マlレタ島, 7 0 )は十字の切り込みが 以上がアフリカにみられる主だった地名であるが, 入った赤色の島として表現されている。 イオニア海北東部には,C01プ i : I ( ケ 1レキラ島, 7 1 )や ヨーロッパに比べてその数は見劣りがしない。特に, イペリア半島・イタリア半島に近い北西アフリカ(マ c i s a l o n i a( ケファリニア島, 7 2 )が黒色で記されてい グリプ地方)とエジプトには多くの地名が集積し,そ る。さらにエーゲ海には,数多くの島艇が描かれ, の内容も岬の名称など,航海に関連する地名にまで l i m i n o まさに多島海の様子を呈している。北から ,s 及んでいる。一方,今日のリビア北岸に記された地 (リムノス島, 7 3 ),x i o (キオス島, 7 5 ), r o d o( ロド 名は極めて少ない。リビアはヨーロッパからすれば, 9 )の島名が赤色で記入されている。ところ ス島, 7 地中海沿岸部でも最奥の地であり,砂浜海岸のため で,ロドス島にも先のマルタ島と同様の表現が見ら に港湾も少なし船が寄港する頻度も少なかったも れる。エーグ海南端に位置するクレタ島や地中海東 のとみられる。 端のキプロス島には島名はないが, c a n i a (カニア, ( 3 ) レヴァント 7 7 ), c a n d i a( カンディア,現イラクリオン, 7 8 ), 小アジア j a m a g u s t a (プアマグスタ, 8 0 )の都市名が記されてい 「地中海図」の右縁に沿うレヴァント地方には, 地方名は見当らぬものの,数多くの地名が記入され る 。 以上, a j j a (ヤツファ,現テ Jレアヴィプ・ ており,南から順に j r 地中海図」にみられる主要な地名を紹介し ヤフォ, 51 ) , a c η(アッコ, 5 2 ), b a r u t( ベイルー た。アフリカ a t i l a( ラタキア,現エルラジキヤ, 5 4 ), ト , 5 3 ), l 域には中世以来その名称を変えた都市も多く,また, a l i s a n d i c l a( アレクサンドレツタ,現イスケンデル 地図の縁辺部に当っては判読しうる地名にも限りが ン , 5 5 )などが判読できる。 あった。そのためにこれら地域に関する地名考証は 次に小アジアには NATOL lA(アナトリア), ARMENIA(アJレメニア)の地方名がみられる。また,ト ロス山脈の位置に記された CARAMAIAはカラマンを 小アジアにかけての地 十分なものとは言えない。 v .r 地中海図 jの作成年代 「地中海図」の記載内容から特に次の諸点が注目 n t i o c i a( アンティ 指すものであろう。海岸部には,a 7 ),s a t a l i a( アンタリ オケイア,現ガジパシャ付近, 5 レヴァント される。 ア , 5 8 )などの地名が,エーゲ海沿岸には,黒色で示 - 1 0ー ( 1 ) 先述のとおり,ボルトラノ型海図には中心にー っとその周囲に 1 6の方位盤があり,それらの方位盤 3 0 8 年にロドス島にその 後は,キプロス島を経て, 1 2本の航程線が周囲に からは原則として,それぞれ3 1 3 0年に,ロー 拠点を移した。この騎士団がすでに 1 発せられている。しかし,中心の方位盤から発する I世より下賜されていた マ教皇インノケンティウス I 航程線は,初期のポルトラノ型海図においては,本 軍旗の図柄が赤地に白い十字架である。すなわち, 来の目的が周囲の方位盤の位置を設定することにあっ 「地中海図Jのロドス島の表現は聖ヨハネ騎士団の 6の二次的中心とをつな たために,その数はこれら 1 軍旗の図柄そのものであり 2 3 hロドス島の領有状況を ぐ1 6本に限られていた。これが, 3 2本になるのは 1 5 示すものである。 世紀半ばのことである 18)。ところで「地中海図」の中 ロドス島に本拠を構えた聖ヨハネ騎士団は,医療 2 本であるため,少なくとも 1 5 心方位盤の航程線は 3 事業に従事する傍ら海賊業にも携わった。あたかも 世紀後半以降のスタイルに属すると考えられる。 この時期に興起し,勢力を広げつつあったオスマン ( 2 )r 地中海図」では,海岸線は一般に黒インクで トルコ帝国は, 1 4 8 0年に大軍をロドス島に送った。 描かれているが,一部の島や半島の海岸線にはさら この襲来にはよく抗しえたものの, 1 5 2 1 2 2年のス にその上から他の色が彩色されている。西から順に レイマン I世による執効な攻撃には衆寡敵せず,聖 マリョルカ島・シチリア島・ぺロポネソス半島およ ョハネ騎士団はその軍門に揺ることとなる。翌 2 3年 , びキプロス島(以上,緑色),コルシカ島・サルディ 騎士団はついにロドス島を後にし,新たな拠点をマ ニア島・エピア島・クレタ島(以上,赤色)がこれに ルタ島に定め, 1 5 3 0年よりマ Jレタ騎士団として再出 該当する。これは, 1 4 2 6年のベッカリ B .B e c c a r iの 発した 24)0 地中海図Jのマルタ島に描かれた赤地・ 図に初めて出現した手法であり,それ以前のポルト 白十字も,聖ヨハネ騎士団の軍旗に由来し,その領 ラノ型海図ではその例をみない問。 有を表すものである。 r ( 3 ) 先述のとおり「地中海図Jでは,装飾を施した 時代を異にし,相互に相容れないロドス島とマ J レ 1 4の方位盤のうち,左上のーっと下部の二つにフラ タ島の領有状況が,一枚の地図に図示されているの ンス王家の「とさか」型の「ユリの紋章」が飾られ は確かに奇異であり,矛盾に満ちている。ただこの ている。ユリはライオンや鷲とともにヨーロツパの ような矛盾は前出のフランシスコ・オリヴア図(16 0 3 レトラノ型 三大紋章の一つに数えられているが,ポ J 年) 2叫こもあり,依然としてロドス島に赤地・白十字 4 8 6年のフランスによるプロヴア 海図への導入は, 1 を描き入れている。 ンス併合をみた後の 1 6 世紀以降のことである回、この 古今東西を問わず,不名誉・不都合な事柄は容認 装飾は最初はカタロニア型に登場し,後にはイタリ しがたいとするのは一般的な心情である。ポルトラ ア型の海図にもみられるようになる 21)が「地中海図」 ノ型海図の製作は主として,キリスト教徒であるヨー int 巴r のようにユリを細長く描くのは,ヴインタ -H.W ロッパ人の手になっていた。聖ヨハネ騎士団の惨敗} によればカタロニア型の特徴であるとされる 2九 に終わったロドス島攻防戦 (1521~22年)は,キリス r ( 4 ) 地中海図 Jではロドス島とマルタ島が,中央 ト教徒にとってはまさに容認しがたい出来事であっ に白十字を浮かび上がらせた赤地一色で塗り込まれ た。すなわちロドス島の図柄は当時のキリスト教徒 , 7 0・7 9の島)。 ていて印象深い(図 2中 のこの島に対する思い入れの反映とみることができ 十字軍時代に誕生した騎士団の一つに聖ヨハネ騎 ょう。一方,マルタ島は,聖ヨハネ騎士団の後身, 士団がある。聖地イェルサレムの巡礼者の安全確保 マJレタ騎士団が 1 5 6 5年のトルコ戦で勝利を収めた地 や負傷者の治療などのほか,聖地の保持・防衛がそ である。それゆえ,マルタの図柄に誇らしげに聖ヨ の主な事業であったが,敗れて本拠地から撤退した ハネ騎士団の軍旗が登場することは当然であった。 -11ー 以上の諸点を総合すれば,中心から発せられる航 r 程線の本数,海岸線の彩色などの表現様式から, 地 中海図Jは少なくとも 1 5世紀中頃以降の製作と判定 できる。さらには,地図中のロドス島・マルタ島の 扱いからすれば, r 地中海図」の作成年代は,ロドス 島を撤退した聖ヨハネ騎士団がマルタ島移住を完了 した 1 5 3 0年以降,おそらくはトルコとの因縁の対決 5 6 5年以降と考えられる。 で勝利した 1 V I .おわりに Tooley,R . V ., ( 1 9 4 9 ) : M a p sand Map-Makers , B .T . B a t s f o r d,pp.9~ 1 8 . 2 ) Woodward,D .( 1 9 8 5 ) :‘ R e a l i t y,Symbolism, TimeandSpacei nMedievalWorldMaps' ,A . A .A. G ., 7 5 4,pp.510~521. 3 ) 清水康一郎 ( 1 9 7 6 ):中世ガレー船覚書,一橋論 叢 , 7 6 6,582~601頁。 4 ) Campbell,T .,( 1 9 8 7 ) :前掲 1 ),p . 3 7 8 . 5 ) 前掲 1 ) ,p . 3 7 8 . ) ,p . 3 8 7 . 6 ) 前掲 1 7)織田武雄(19 7 4 ) :r 地 図 の 歴 史 世 界 篇J , 講談社, 73~76頁。 わが国に現存するポルトラノ型海図としては,日 本近海,東南アジア海域のものがよく知られてい るZ九しかし,京都大学文学部所蔵「地中海図」に関 しては, r 京都大学文学部博物館図録J など でその 27) Ne b e n z a h l, K . ,( 1 9 8 6 ):M ゆs Lands ,TimesBooks ,p . 1 6 4 . ) , pp.392~398. 8)前掲 1 9)京都大学文学部編 ( 1 9 8 7 ) : r 京都大学文学部博 0頁。 物館図録J京都大学文学部, 7 存在が紹介されていたが,その内容が本格的に吟味 1 5 図にみる世界と日本』神戸市健康教育公社, 1 地図を研究対象とする立場から,幸いにも,このた 頁,では,地図のサイズは,縦5 3.0cmX横 7 4 . 5 c m r 地中海図」に接する機会を得,本稿において, その特徴を述べ,地名判読や作成年代の考証を試み た。しかしながら,保存状況が最適でなかったこと にも起因して,地名の判読には限界があり,地名か ら「地中海図」を十分に評価するには至らなかった。 また,地図自体にも作成過程に未着手の部分があっ たと考えられる 28)ところから,製作者や製作地に結び 付く十分な手がかりを見出すことも不可能であった。 近い将来,赤外線写真等による方法で地名を詳読す ることにより,これらの点が解明されることを期待 する。本稿が, r 地中海図」研究にいささかの貢献が r 8 3 ) : 古地 上記以外に,神戸市立博物館編(19 されたことはかつてほとんどなかった。筆者は,古 び , 0 1t h e B i b l e と紹介されている。 1 0 ) No r d e n s k i o l d,A . E .( 1 8 9 7 ) :P e 1 ψl u s(Ba白 e r, F .A.t r a n s . ),Stockholm,p . 6 9 . 1 1 ) 河 川 名 の 後 の ( )内の英小文字と図 2中の記 号は一致する。 1 2 ) La Ronci~re , M. and J o u r d i n,M.M. e d s . ( 1 9 8 4 ) :L e sP o r u t u l a n sC a r t e sM a r i n e sduX l l l e auXVlles i e c l e, O f f i c eduL iv r e, p . 2 9 5 . .,( 1 9 5 0 ) :‘ AL a t eP o r t o l a nC h a r ta t 1 3 ) Winter,H MadridandL a t eP o r t o l a nC h a r t si nG e n e r a l : ImagoMundi ,7 ,pp.36~46. 14)表 1~4 に示した地名については以下の文献を あったとすれば幸いである。 参考にした。 ①カタロニア図とヴォルティウス図 (大阪市立南高等学校) Nordenskiδld, A.E . ( 18 9 7 ) : P e r i p l u s < Bather, F.A. t r a n s . ), Stockholm, p p . 25~44. ( 5 主 〕 1 ) Campbell,T .,( 1 9 8 7 ): ' P o r t o l a nC h a r t sfrom t h eL a t eT h i r t e e n t hC e n t u r yt o1 5 0 0 ' JB . and Woodward,D .e d s . : The ( H a r l e y,, H i s t o r y0 1CartograPhyVol.1,TheUniversityof C h i c a g oP r e s s ),p p . 3 7 1~463. -12- ②D .オーメン図 Hernandez,F .1 .M. e d .( 1 9 7 5 ) :A t l a sd e D i e g oHomen1561, A l t a m i r aR o t o p r e s s , p . 6 1 . ③ミロ図 Zogner,1 . com.( 19 8 8 ) :W orld A t l a s0 1 A n t o n i oM i l l o 1586,ActaHumaniora,p . 1 0 0 . ④マルテイネス図 Tato,] . F . G .( 1 9 5 5 ) :‘ AnU n p u b l i s h e dA t l a s ,I magoMundi,1 2, p p . o f] . M a r t i n e z( 1 5 9 1 )' 106~126. 2 0 ) 前掲1) , p . 3 7 4 . ) , pp.392~398. 2 1 ) 前掲 1 2 2 ) 前掲 1 3 ) , pp.36~46. 2 3 ) レオンハート,W. (須本由喜子訳) ( 1 9 7 9 ):r 西 6 6 頁 。 洋紋章大図鑑』美術出版社, 3 2 4 ) 橋口倫介 ( 1 9 9 4 ):r 十字軍騎士団J 講談社, 3 3 1 ②と③については,ファクシミリアトラスより 頁 。 2 5 ) 同様の表現は,クレツセンティオ図 ( 1 6 0 1年)に 筆者が判読した都市名に基づき表を作成した。 0 )。また,ロドス島陥落(15 2 3 もみられる。前掲 1 また,現在の地名と比定する際には,以下の地 年)後もロドス島に聖ヨハネ騎士団の軍旗が描かれ 図帳および地図を主として利用した。 r 1 9 9 4 ) : グランド新世界大地図j全教出 人文社 ( 6 7 頁 。 版 , 1 Bartholomew,] .( 1 9 8 7 ) :T he T i m e sA t l a s0 1 t h eW o r l d,Comprehensive7 the d i t i o n,Times Books,p . 2 2 8 . 1 9 7 9 ) :P u t z g e r H i s t o r i s c h e r L e i s e r i n g, W.( o r n e l s e nV e r l a g,p . 1 5 6 . W e l t a t l a s,C 19 8 8 ) :I n t e r . l t a l i a n Hydrographic I n s t i t u t e( n a t i o n a l C h a r t S e r i e s, Medit巴rranean Sea a s t e r n Part-No. ( W e s t e r n P a r t N o . 4 3 0 1, E 4 3 0 2 ),1 : 2, 2 5 0, 0 0 0,T a u n t o n . 前掲 1 ),F i g . 1 9ム p . 3 7 9 . なお,手書き文字の判読の指標として以下の辞 si d e r i図 ( 1 5 6 5年)があ た例としては,シデリ G' 2 )。 る。前掲 1 2 6 ) 南波松太郎・室賀信夫・海野一隆編 ( 1 9 6 9 ) :r 臼 本の古地図j創元社, 1 9 2 頁 。 2 7 ) 京都大学文学部編 ( 1 9 8 7 ):前掲 9),7 0頁 。 1 9 8 3 ):前掲 9),1 1 5 頁 。 神戸市立博物館編 ( 2 8 ) 一都市のみが鳥敵的に表現されているポルトラ ノ型海図は,筆者が知る限りにおいては,他に例 をみない。 [付記] 9 8 8年度関西大学修士論文の一部を加筆修 本稿は 1 9 8 8年度 正したものであり,その内容については, 1 9 8 9年度の人文地理学会大会 の歴史地理学会大会, 1 C a p p e l l i, A .( 19 8 7 ): D i z i o n a r i o du A b b r e v i において口頭発表した。地図学史については,織田 ,Ulr i c oH o e p l i,p . 5 3 L a t u r e 武雄先生・故矢守一彦先生にご教示賜りました。本 0 ) ,p . 3 0 . 1 5 ) 前掲 1 稿で取り扱った京都大学所蔵ポルトラノ型海図は, ,W.e d .( 19 8 6 ) : C o l l i e r ' sE n c y c l o p e d i a, 応地利明先生・金田章裕先生・松田隆典先生のご厚 1 6 ) Halsey 書を参考にした。 Vo1 . l5 , Macmi 1 lan Educational C o ., p p . 意により,貴重な海図にもかかわらず研究させてい ただく機会を得ました。さらに,金目先生には,京 445~447. 瀬原義生( 1 9 7 2 ):ヨーロツパ中世都市の起源 2,41~96頁。 (二),立命館文学, 3 都大学文学部より本論文に写真を掲載する許可をい ただく際,お世話になりました。また,地名の比較 17)前掲 1 2 ),p . 6 8, pp.89~90. .オーメン図を収録したファクシミ 対照で使用した D また,ブラウン=ホーへンベルクの都市図帳に リアトラスも,金坂清則先生のご配慮で大阪大学よ あるマルセイユの鳥敵図に描かれた要塞や林立す りお借りしました。なお地名判読に際しでは,関西 る風車群の表現とも酷似している。 大学の新谷英治先生から,近世地中海航海史の視点 Goss, ] .( 1 9 9 2 ) :C a r t e sA n c i e n n e sd e sG r a n d e s o l a r,p . 1 4 3 . V i l l e sD ' E u r o t e,S 邦訳にゴス, ](小林章夫監訳) ( 1 9 9 2 ):r ブラ からの有益なご助言をいただきました。記して深く 感謝いたします。そして,永きにわたりご指導いた ウンとホーへンペルフのヨーロッパ都市地図 J同 申し上げます。 だき,励まして下さった末尾至行先生に心よりお礼 2 8 頁がある。 朋舎出版, 1 1 8 ) 前掲 1 ) , pp.396~397. 1 9 ) 前掲 1 ) ,p . 3 9 8 . -13-
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