東ティモール (252KB、2014年9月)

東ティモール医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴: 2014 年 8 月更新
1.赴任前の準備
(1)予防接種
他の東南アジア諸国と同様、A 型肝炎・B 型肝炎・日本脳炎・破傷風・狂犬病の予
防接種が必要である。
腸チフス接種も必要とされる。培養検査などによる確定診断が国内で出来ないた
め正確な頻度は不明であるが、首都ディリでは毎月数例の腸チフスの疑いのある患
者が受診している。国内の上水道の安全性は現時点で確認されていないため、全国
で腸チフス罹患のリスクが高いと考えられる。日本国内では腸チフスワクチンは未認
可であるが、トラベルクリニックなどで接種可能である。東ティモールにある在オースト
ラリア大使館クリニック、近隣国インドネシアやシンガポールで接種可能となってい
る。
ポリオワクチンは日本にて小児時にワクチン未接種の場合はもちろん、1975~
1977 年生まれの年齢の接種群において抗体価が低い傾向がありこの年代生まれの
人にはワクチンの追加投与が勧められる。
UNICEF による東ティモールの全小児に対しポリオワクチン接種キャンペーンが
2005 年 8 月に開始されている。麻疹は現地でも時々流行が見られている。感染力が
強く、成人発症例では重篤となりやすい。小児でも肺炎や脳炎などの合併症を起こす
ことがあるため、ワクチン接種が強く推奨される。破傷風は短期間の滞在であっても
土や家畜と接触する可能性のある方へは推奨している。
(2)その他の準備
眼鏡・コンタクトレンズ関連物品は補充も含めて購入困難のため、日本から持参す
るのが望ましい。歯科治療に関しては、必要時一時的な処置のみを勧める。医療器
械の滅菌状況やスタッフの清潔操作は十分とはいえず、安全とはいい難いため、赴
任前に完治させておく方が良い。
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2.医療事情
(1)医療機関事情
東ティモールにおける医療スタッフ数、検査や治療設備の環境は少しずつ改善され
つつある状況だが、いまだに医師は慢性的に不足している。ベッド数 300 の首都の
Hospital National では医師が70名在籍。(期間 1 週間から 2 年の契約外国人を含
む。インドネシア人、フィリピン人、アフリカ人医師に代わり、キューバ人医師が増えて
おり、英語での意思疎通が難しい。)救急外来には 10~12 人の医師が常駐してい
る。
医療物資の不足はいまだ続いている。血液検査に必要な試薬の入荷が滞り、使用
期限切れの試薬を使用する場合もあるのが現状である。CT は Hospital National で
のみ検査可能であるが頻回に故障が起こり、使用不可となる。MRI、内視鏡検査、血
液透析の機材や施設は導入予定であるが時期については未定である。
人工呼吸器は Hospital National での手術用に 2 台あるが 1 台は故障中により使
用されていない。適切な呼吸器管理が可能であるかは不明である。
輸血は HIV、マラリア、B 型肝炎、C 型肝炎、梅毒のスクリーニング検査が行われ
ているが採血直後 1 度しか実施されていない。現地での輸血の実施は、緊急性とリス
クを考慮し、実施が検討される。外来患者の場合、血液検査を受けられるのは平日
午前中のみである。詳細な検査は実施不可能か、オーストラリアに検体を送るため数
週間を要する。傷病によっては、近隣の医療先進国での受診を勧められることがあ
る。
(2)病院
Hospital National Guido Valadares
所在地:Bidau Toko Baru, Dili, Timor-Leste
電話:+670-3311000、救急外来:+670-3311008
FAX:***
診療科目:内科、一般外科、小児科、皮膚科、産婦人科、整形外科、耳鼻科、精神
科、眼科、泌尿器科、麻酔科、放射線科、歯科
診療時間:外来は月曜~金曜 8:00―17:00 まで。救急外来は 24 時間対応。
備考:国立病院の救急車あり。日本語は不可。キューバ人医師が多く、中国・インド
ネア・オーストラリアから医療チームが支援しているが、東ティモール人を含
め英語を話せるスタッフは限られている。ベッド数 300、外来患者:300 人/日。
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医師数 70 人(20 人の専門医含む)、内科、一般外科、小児科、産婦人科、
皮膚科、眼科、麻酔科等の専門医。看護師数 245 人。手術室、救急室、集中
治療室、血液バンク、検査室、X 線検査、薬局、VIP 用個室(外国人用)があ
る。手術数月約 100 例。内約は虫垂炎、イレウス、骨折後などである。透析
の為の設備はない。人工呼吸器 2 台(手術室用だが 1 台は壊れたまま)があ
る。尿検査、便検査が可能。血算、肝機能、腎機能、脂質検査などの血液検
査が可能だが、試薬が無い場合には検査不可能となる。血清検査は HCV,
HbsAg、HIV、TPHA、VDRL、Widal test が可能だが、これも試薬の在庫に
ついては保障できない。
レントゲン撮影も可能だが、いつ故障するか分からず、故障した場合は長
期間使用不可能である。フィルムの在庫があまりない。MRI、脳波、内視鏡
検査は不可能。心電図、超音波検査可能。
輸血血液は B 型肝炎、C 型肝炎、HIV、梅毒、マラリアの検査が行われて
いる。
東ティモール人が受診する際に医療費は無料であるが、外国人は医療費を
支払う。処方薬に関して、WHO 推奨の essential medicine は、揃えていると
いうことであるが、薬品供給、品質管理の状況が、安定性、信頼性,安全性
ともにやや欠ける。
Hospital National Baucau
所在地:Triloka,Villa,Antiga,Baucau
電話:+670-4130-115
診療科目:内科、外科、婦人科、整形外科、救急、
院内設備:手術室、薬局、検査、外来
備考:医師は東ティモール、インドネシア、キューバ、ケニア、フィリピンから来てお
り、外国人患者はそのうちのケニア人とフィリピン人医師が担当している。看
護師は 77 名、助産師は 21 名が勤務している。救急外来へは 1 日約 20 人
の患者が受診し、よくある傷病としては消化器感染症、呼吸器感染症、皮膚
疾患、交通外傷。検査機器はレントゲン、エコーがあり、CT スキャンは故障
中。精密検査にて CT 検査が必要なときはインドネシアかシンガポールで受
診する。バウカウでは公共の交通機関が少ないため、緊急時に車の確保が
難しい。
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在オーストラリア大使館クリニック
所在地:Avenida dos Martires da Patria,Dili Australian Compound 内
電話:+670-3311-555
FAX:+670-3322-247
診療科目:医師(Dr.Helen)は一般医であるので、一通りの相談が可能。
診療時間:月~金 10:00-12:30、火、木、金は午後診療あり 13:30-16:00
水曜日の午後と土曜、日曜日は休診
備考:予約制診療。夜間の救急には対応していない。予防接種や薬の処方も可能
だが、医薬品はすべてオーストラリアからの輸入品であるため、医療費は高
額となる。初診料 US$80。
Cindranita Clinic
所在地:Rua AV, Presidente Nicolau Lobato, Fatuhada, Dili
電話:+670-796-3962
診療時間:月~土:18:00-21:00.検査 8:00-21:00、歯科 17:30―20:30
備考:検査室と診療所が併設されたクリニック。昼間は検査のみ受け付けている。
診療は 18 時から国立病院の医師がきて診察する。レントゲンはあるが故障
することも多く、受診前に電話で確認が必要である。採血検査は一般、生化
学、感染症検査(HIV,HAV,HBV,HCV)が可能である。デング熱は血算デ
ータと IgM,IgG 抗体で診断している。マラリアの診断には顕微鏡を使用して
いる。腸チフスは WIDaL 反応と TUBEX を使用。他の診療所からも検査依頼
があり、首都ディリにおいて信頼性は高い。ワクチン接種は B 型肝炎のみ可
能。歯科治療は充填物の補てんなどの治療は外国人患者も利用している。
Biro Pite Hospital
所在地:Po Box259 Dili, East –Timor
電話:+670-700-6136
診療時間:月~金 8:00-18:00
備考:アメリカ人医師 Daniel Murphy 氏が 1999 年に開設し、NGO の支援で運営し
ている診療所。夜間・休日の診察はしていない。外国人には優先的に診察し
ている。下痢症や風邪症状の初期段階での受診はお勧めできる。
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Stanford Medical Clinic
所在地:Rua Martires Da Patria Mandarim,Dili
電話:+670-331-0141、救急外来:+670-7772-1111
備考:24 時間対応可能なクリニック。途上国での勤務経験も長い医師が、ポルトガ
ル、ドイツ、スペインからきている。血液検査可能、腹部エコー検査可能、レ
ントゲンなどの検査設備は無く、必要時は国立病院か Cindranita Clinic で行
う。短期間の入院も出来、シンガポールへの緊急移送の経験もある。ワクチ
ン接種のサービスを開始している。
(3)薬局を併設したクリニック
Foho Osan Mean
所在地:Audian 25,Dili
電話:+6703310-774(クリニック) +670-725-6978(携帯電話)
FAX:なし
営業時間:月曜から土曜の 8:00~21:00、日曜の 8:00~13:00 と 17:00~21:00
診療時間:月曜から土曜の 9:00~12:00 と 16:00~21:00
診療科目:一般医が夜間診療を行っているため、一通りの診療が可能。小児科、
歯科も併設。
備考:公立病院医師が非常勤で勤務している。血液検査や便検査などが可能であ
るが、マラリア以外の検体はすべてバリ島の検査センターへ送っているため、
結果を受け取るのに数日要する。
Bonita Farma
所在地:AV.Presidente Nicolau Lobato,Colmera,Dili,Timor-Leste
電話:+670-723-2857
FAX:なし
営業時間:毎日 8:00~21:00
診療時間:毎日 18:00~21:00
診療科目:一般医が夜間診療を行っているため、一通りの診療が可能である。
(4)緊急時の対応と措置
現地の医療レベルは極めて低い為、重症マラリアや外科的手術が必要な症例で
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は国内での治療は不可能であり、国外(シンガポールやオーストラリアのダーウィンな
ど)への緊急搬送が必要となる。国内で診断がつかず国外での検査が必要な場合は
自力移動が可能ならダーウィン、シンガポール、インドネシアのジャカルタ、デンパサ
ールの医療機関受診も可能である(以下参照)。
ア.豪・ダーウィン
Royal Darwin Hospital
オーストラリア公立病院であり、日本人の受け入れは基本的にできない。
Darwin Private Hospital
所在地:Rocklands Drive, TIWI NT 0810
電話:+61-8-8920-6011
診療科目:内科、外科、産婦人科、救急外来。
備考:私立病院、ベッド数 120。医師数 200 人。麻酔科、外科、整形外科、小児科、
形成外科、眼科、精神科、内科、耳鼻科、リハビリテーション、救急、循環器
の専門医。
イ.シンガポール
Nippon Medical Care(Gleneagles Hospital)
所在地:3rdLevel,Annexe Block,6A Napier Road, Singapore
電話:+65-6474-7707
備考:Gleneagles Hospital 内に位置し、日本人医師・看護婦が常駐。日本人医師
は一般医だが、必要時に専門医を紹介してくれる。
日本人会診療所
所在地:120 Adam Rd., Singapore 289899
電話:+65-6469-6488
備考:心療内科医の日本人医師が常駐している。
ウ.インドネシア・バリ
SOS Medika Klinik-Bali
所在地:Jl.By Pass Ngurah Rai 505X Kuta, Bali
電話:+62-361-701-505
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備考:A 型肝炎、B 型肝炎、日本脳炎、破傷風、狂犬病等の予防接種可能。受診前に
ストックの状況の確認が必要。日本人スタッフが常勤している。
Kasih Ibu Hospital
所在地:Jl.Teuku Umar No.20,Denpasar
電話:+62-361-223036
備考:A 型肝炎、B 型肝炎、日本脳炎、破傷風、狂犬病等の予防接種可能。
24 時間対応可能。入院可能、日本人スタッフが常勤している。
Bali-Siloam Hospital
所在地:Jl. sunset road no. 818 kuta, badung, Bali
電話:+62 361 779900
備考:検査設備の充実、専門医もいるためバリでは初期対応のために使用でき
る。
エ.インドネシア・ジャカルタ
MEDEIKALOKA Health Care Center
所在地:Gedung GRAHA IRAMA Jl. HR. Rasuna Said Kav, 1-2 Kuningan
電話:+62-21-526-1118 または+62-21-526-5122
R.S.Pondok Indah
所在地:Jl.Metro Duta Kav. UE, Pondok Indah, Jakarta-Selatan
電話:+62-21-750-2325(代表)
備考:設備、衛生面は充実している。多くの外国人が利用している。病院施設内に
J-Clinic という邦人クリニックがあり、日本人看護師が Pondok Indah 病院へ
入院する時や手術を受ける際にはサポートとして入ってくれる(有料)。
SOS Medikal Clinik Cipete
所在地:Jl. Puri Sakti 10 Cipete, Jakarta
電話:+62-21-750-5980 緊急:021-750-6001
備考:24 時間救急外来あり。日本人カウンターあり。日本語が話せる医師も勤務し
ている。
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3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
総合感冒薬などの一般薬に関しては国内でも入手可能であるが、日本製の医薬
品は入手出来ないので、常用している一般薬がある場合には必要分、持参すること
が望ましい。
(2)現地で調達できる医薬品
一般的医薬品なら現地で調達可能である。ディリ市内で以下の医薬品が入手可能
であることが確認できている。
•
総合感冒薬
•
抗ヒスタミン薬
•
抗生物質各種
•
吐き気止め、胃薬、下痢止め、
•
抗真菌剤入り軟膏、抗菌剤入り軟膏、かゆみ止め軟膏
•
ガーゼ、サロンパス、ビタミン剤、抗菌剤入り目薬、
•
痔疾薬、マラリア治療薬、中用量ピル
抗菌薬以外は医師の処方箋なしで薬局にて購入できるが、薬剤名などがインドネ
シア語で書かれており、インドネシア語が出来ない場合に薬剤購入に注意を要する。
店員は英語が通じない。常用薬がある場合は、近隣国の医療機関を受診し定期的に
処方してもらうか、あるいは主治医と相談して滞在期間分の薬剤のストックを持参し
て渡航することを勧める。
(3)現地で調達できる衛生用品
生理用品、消毒用品、包帯、ガーゼ、避妊具などは市内薬局で購入可能である。
(4)薬局
ディリ市内に数件の薬局があり、そのうちのいくつかはクリニックを併設している。
ほとんどの薬は医師の処方箋なしで購入可能である。抗菌薬に関しては医師の処方
箋が必要となるが、夕方より東ティモール人医師がアルバイトで夜間診療を行ってい
る薬局で処方可能である。
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4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
緊急時対応が出来ないため、日本での出産を勧める。
(2)出産後の対応
母子検診あり。インドネシア語&テトゥン語で書かれた母子検診用用紙をもとに実
施されている。BCG、DPT(ジフテリア/百日咳/破傷風)、ポリオ、風疹ワクチンがルチ
ーンとなっているが、薬品供給の安定化は図られていないため、確実性には乏しい。
(3)育児
哺乳瓶、紙おむつなど育児用品はスーパーなどで購入可能である。
5.手術
現地での手術、手術設備の状況
民間では虫垂炎、イレウス、子宮摘出術、帝王切開などの手術は可能であるが、
病院施設設備状況、技術レベル、清潔レベルまた入院環境状況(入院患者の所持品
や食事の盗難、個室の劣悪な環境など)を考えると、緊急手術以外は、お勧めできな
い。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
1 年を通じて最低気温が摂氏 20 度を下回ることがなく暑さが厳しいため、屋外での
作業で容易に熱射病や脱水状態となりやすいと思われる。水分、塩分を十分に摂取
するよう心がけることが望ましい。アルコール類は水分補給と捉えられる傾向がある
が、アルコールはその利尿作用から脱水の原因となるので注意を要する。
(2)風土病、感染症
マラリア、皮膚感染症、デング熱、腸チフス、破傷風、結核が重要な感染症である。
マラリア
マラリアは結核同様に大きな健康問題の一つである。2008 年のマラリア患者数は
46380 人/10 万人(MOFA データ)であったが、東ティモール政府の蚊帳の供給、早
期発見、早期治療へのサポートなどで、2011 年には患者数、死亡者数は減少してい
る。(World Malaria Report 参照)今後もマラリアの流行年が来ることも考えられるの
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で引き続き注意は必要。
雨期となる 1 月から 3 月にかけて患者が多くなるが、年間を通して患者の発生が見
られるので注意が必要である。現在、東ティモールでは予防薬の内服は推奨されて
いない。2008 年に東ティモール政府からマラリア治療プロトコールがだされ、医療機
関に対してマラリア診断迅速キットとコアテムの使用が指示されている。しかし、現状
はマラリアの診断には顕微鏡のみを使用しているところが多い。
マラリアの治療薬に関しては、現地ではクロロキンとファンシダール、プリマキン、
(アーテスネート製剤:病院のみ)、キニーネ注射薬、コアテムが入手可能で、マラロン
の入手は難しい。国内ではディリの Hospital National で治療を受けることが望ましい
が、重症マラリアとなった場合は同病院でも高度な治療は困難であり、国外への移送
が必要になると考えられる。
デング熱
首都ディリにあるいくつか外資系クリニックで、デング熱迅速キットを使用しており、
早い段階での診断が可能である。東ティモールでは 2011 年、2012 年とデング熱によ
る患者数も増加しており、普段からの防蚊対策と発熱時の早期受診を勧めている。
結核
結核の症例は 2010 年に国民の 40%程度の感染率といわれている。睡眠、栄養を
しっかりとり、体力を保持するとともに、常に結核を念頭において、咳をしている現地
人と狭い部屋で一緒にいるという状況を避けるようにする。2 週間以上咳が続いた場
合には、医療機関を受診し検査を受けることが重要である。
(3)有害動物、病害虫
野犬が多く、犬に咬まれた場合には狂犬病のリスクがあると考えたほうがよい。ワ
クチンの接種が推奨される。咬傷事故発生時には、状況によりワクチンの追加接種
が必要なので必ず医師のアドバイスを受けること。
地方では毒蛇やサソリもいる。ディリ市内ではほとんど発生はないが、マナツトでは
1 ヶ月に 1 例の頻度で症例があり、抗血清接種後に首都の国立病院へ搬送してい
る。
地方都市の保健省が抱えている大きめのクリニックでは大抵抗血清を保管している。
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7.保健衛生
(1)飲料水
現在、国内の上水道は安全性が確認されていない。地方では、水道水の安定供給
が出来ていない場所もあり、生水を飲用すべきではなく、氷やアイスクリームも同様
の理由により危険性が高いと考えられる。煮沸が最も安全であり、フィルターを利用
するより煮沸を行うほうが安全である。
ディリおよび地方都市で 1.5 リットルの輸入飲料水ボトルが購入可能である。ディリ
では 19 リットルボトルも購入可能。輸入されている炭酸飲料やボトル水、ワイン、ビー
ルは安全である。
(2)濾過器の入手
濾過器の入手は、当地では不可能である。
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