マリ - JICA

マリ医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2016 年 07 月 01 日更新
1.赴任前の準備
(1)予防接種
マリは黄熱流行国に指定されており、入国の際は黄熱予防接種証明書(イエロー
カード)の提示が義務付けられている。渡航前に必ず接種を済ませ、黄熱予防接種
証明書(イエローカード)を携帯して持参すること。他に、髄膜炎菌性髄膜炎、腸チフ
ス、破傷風、狂犬病、A 型肝炎、B 型肝炎、ポリオなどの予防接種も、現地での接種も
可能ではあるが、渡航前に済ませておくと安心である。
マリ国内でワクチンを接種する際は、薬局でワクチンを購入後、医療機関を受診し
接種を依頼する。首都バマコでは、ワクチンを管理し接種を行っている私立病院もあ
るが、事前にワクチンの在庫の有無を確認することが望ましい。
(2)その他の準備
マラリアの汚染地帯であるため、防蚊対策として蚊取り線香・防蚊スプレー・蚊帳の
使用が必須である。それぞれ現地の薬局でも入手可能であるが、香りの強くない日
本製を好む人は持参すると良い。
持病のある人は、傷病経過がフランス語または英語で記載された診断書と、医師
の処方箋(商品名ではなく成分名が記入されたもの)を持参すると便利である。また、
飲みなれた家庭常備薬がある場合は、持参することが望ましい。
現地での虫歯の治療は可能だが、感染などのリスクを避けるためにも、歯の治療
は渡航前に完全に済ませておくことを勧める。
眼鏡類の予備を用意することも大切。マリは、砂・埃が多いため、基本的にコンタク
トの使用は勧めない。また、コンタクトレンズのケア用品の入手は困難であるため、使
用する場合は日本から持参する必要がある。
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3.医療事情
(1)医療機関
首都バマコにおいては、ある程度の検査治療が実施できる総合病院があるが、医
療レベルはあまり期待できないため、精密検査が必要とされる場合、長期にわたる治
療や入院が必要な際は、早めにフランスや日本など、第三国へ移動することを勧める。
日常の診療には、私立病院を受診することが便利である。フランス語の他、英語での
診療も可能な医師が多いが、日本人医師はいない。
【総合病院】
■ Policlinique Pasteur (ポリクリニック・パストゥール)
所 在 地 : Hamadallaye, BP.E4794, ACI 2000,
BAMAKO
電話: +223 20 29 10 10
Mob: +223 66 76 43 70 (事務長携帯)
診療時間:月‐土 9 :00-18 :00 (土曜半日)
24 時間救急対応可能
診療科目: 内・外・整・循・脳神経・泌尿・耳鼻・皮・眼・小児・産婦人・精神・
歯・他 (ただし、専門科の診療は曜日により異なる)
備考: レントゲン・内視鏡・エコー・CT などの検査設備が整っている。
比較的清潔な個室入院設備もあり。
肝炎・狂犬病・破傷風・髄膜炎・腸チフス・インフルエンザワクチン等を
常備している。
フランス語のほか英語での診療も可能。
■ Policlinique International de Bamako (ポリクリニック・インターナショナル・ドゥ・バマ
コ)=通称 Clinique du GUINDO (クリニック・デュ・ギンドー)
所在地: Badala-Est, Rue 18, Porte 19, BAMAKO
電話: +223 20 22 22 07
FAX : +223 20 22 01 95
診療時間: 8:00~17:00 (月~金、土曜午前)、 24 時間救急受け入れも
可
診療科目: 内科・循環器科・消化器科・小児科・皮膚科・産婦人科・精神科・
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放射線科・泌尿器科・歯科衛生科
備考: レントゲン・内視鏡・エコー検査は可能だが、CT 設備はない。
比較的清潔な個室入院設備もあり。
フランス語のほか英語での診療も可能。
■ Clinique Medico-Chirurgicale El Shaddai
(クリニック・メディコ・シルージカル・エル・シャデ)
所在地: Derriere l’ambassade de Russe, NiarelaⅡ,BAMAKO
電話: +223 20 21 77 57
MOB : +223 66 73 02 15 / 76 43 76 50
(Dr Alain NZEFA, Director)
診療時間: 8 :00-17 :00 (月-金、土曜午前) 24 時間救急対応可、往診可
診療科目: 内科、外科、神経内科、呼吸器科、婦人科、小児科、心臓外科
備考: 基本的な血液検査は実施でき、エコー・レントゲンもあるが、レントゲン
の仕切りはなく、放射線防護対策が十分とはいえない。
フランス語のほか英語での診療も可能。
【歯科】
■ Chirurgien Dentiste (シルージェン・ドンティスト)
所在地: Cite du NigerⅡ
電話: +223-20210421
診療時間: 8:00~13:00、15:00~17:00
(月~金) 要予約
備考:レバノン人医師が経営する診療所。レントゲン設備もあり。
■ Laboratoire Charles Merieux (シャーリーメリオー研究所)
所在地: Rue du Dr. Charles Merieux, Ex Base Aerienne, BP2283,
BAMAKO
電話: +223 20 22 51 54
診療時間:7 :30-16 :00 (月-金)、 7:30-11:00(土)
診療科目: 血液検査
備考: フランスリヨンに本部がある研究機関。研究所自体は政府や他国の援
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助を受けて運営されているが、検査機関は独立採算制で一般利用可。
バマコでは一番精度の高い検査が出来る。
(2)緊急時の対応と措置
マリでの医療レベルには限界があるため、重症例はなるべく早く第三国への移送
を検討することが望まれる。また、地方で重傷者が発生した場合には、まず首都バマ
コへ移送する手段が必要になるが、そのような際は、国内・国外移送の調整を請け負
っている民間移送サービス会社を利用すると良い。
■ Afric Trance Services
所在地: BP2917 BAMAKO
電話: +223 44 90 44 35
FAX: +223 20 22 94 50
備 考: 大手の移送会社や保険会社(International SOS 、AXA 、Europe
Assistance 他)の現地エージェントとして、病院手配・同行医師の手
配・搬送手段手配(航空機・救急車 等)・遺体搬送手配などを行って
いる。
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
日本製の薬は販売されていないため、使い慣れている日本での薬があれば持参
が望ましい。特に小児用風邪薬、冷湿布、粉末スポーツ飲料、整腸剤(乳酸菌製剤)、
虫刺されの薬・痒み止め軟膏、酔い止め薬、などは入手困難なため、必要であれば
持参することを勧める。また、コンタクトレンズ使用の人はコンタクト装着中にも使用可
能な目薬が便利である。コンタクト用洗浄溶液も、日本から持参する必要がある。婦
人体温計は流通が少ないので持参したほうがよい。
(2)現地で調達できる医薬品
風邪薬、解熱鎮痛薬、胃薬、下痢止め、痒み止め、うがい薬、目薬、抗生物質、絆
創膏、リップクリームなど一般的な薬は現地の薬局でも購入することができるが、薬
局により在庫は不安定。製品の説明はほとんどがフランス語であるため、使用法を間
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違えないよう十分に気をつける必要がある。また、日本人には作用が強すぎる場合も
あるので、内服量に注意が必要。
(3)現地で調達できる衛生用品
包帯、ガーゼ、脱脂綿、避妊具、生理用ナプキンやタンポンは、容易に入手可能。
(4) 薬局
薬局で医薬品を購入する際は、原則として医師の処方箋が必要である。ただし、常
備薬として使用されている、かぜ薬、解熱剤、寄生虫駆除剤、予防薬として使用する
抗マラリア薬などは処方箋がなくても購入可能である。
■ Pharmacie du 2em Pont
所在地: Badalabougou- BP 1142 BAMAKO
電話: +223 20 22 96 41
備考: 多くの種類の医薬品を取り扱っており、ワクチンの在庫もある。国内で調
達できないものはフランスから調達することも行っている。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
妊婦健診、正常分娩には対応可能であるが感染症流行国のため本邦で妊娠や出
産の経過を見ることを強く勧める。妊婦健診は日本の頻度や考え方が異なっている
部分もあるので、注意すること。緊急時、安全性の高い処置および対応を考慮し、第
3国(フランス等)または日本での出産を強く勧める。
(2)育児
乳児のワクチン接種については、現地の小児科医に相談することができる。哺乳
瓶、おむつ、粉ミルク、チクビ、乳児用衣料など、必要なものはひととおり入手可能で
ある。
5.手術
(1)現地で可能な手術
首都バマコであれば、小切開や虫垂炎などは手術を受けることも可能と思われる。
しかし、大手術の場合は輸血での感染の心配があり、第三国または日本で受けるこ
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とを勧める。また、地方医療機関は医療設備もサービスの水準も十分ではないため、
外科的治療は避けたほうが良い。
(2)手術設備の状況
首都バマコには、比較的設備の整った医療機関もあるが、感染予防対策などにつ
いては不安が残る。
(3)その他の留意点
輸血が必要な時は、現地の輸血センターよりストックしている輸血製剤を使用する
ため、輸血した場合はその後、感染に対し長期の経過観察が必要になる。現地での
輸血は避けることを勧めると共に、そのような事態にならないよう怪我や事故等を起
こさないよう最新の注意を払って生活することが大切である。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
かぜ、消化器病(腹痛、下痢)、熱中症、脱水症、皮膚病などがある。
(2)風土病、感染症
マラリア、デング熱、黄熱、住血吸虫症、髄膜炎菌性髄膜炎、肺結核、HIV/AIDS、
狂犬病、A 型肝炎、腸管寄生虫症、細菌性赤痢、眼病(結膜炎、トラコーマ)、腸チ
フス、パラチフス、性感染症、ポリオ、麻疹、などがある。
(3)有害動物、病害虫
蚊、ハエ、毒蛇、ブユ、ネズミ、サソリ、ダニ、ノミ、シラミなどがいる。
害虫駆除については、ゴキブリやアリが多いので専用の殺虫剤や駆虫剤があれば便
利。マリ国内でもフランス製・マリ製の蚊取り線香や殺虫剤を購入することは可能であ
る。
7.保健衛生
(1)飲料水
飲料水は、市販のボトルウオーター(1L、5L、10L のボトル)、または水道水を濾
過後沸騰させたものを使用すること。水道水を直接飲用するのは好ましくない。
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(2)濾過器の入手
現地での濾過器の入手は可能(1 台約 10 万 FCFA)である。日本から持参する場
合は、フィルター交換のできるタイプのものがよい。ただし、濾過器の使用頻度により
フィルターの交換時期が早まる可能性があるため、十分な数のフィルターを持参する
必要がある。
(3)その他の留意点
平均気温が摂氏 35℃を超える時期もあり、熱中症や脱水を予防するため、こまめ
に水分を摂取すること。また、外出時は、帽子を着用するようにし、日焼け止めクリー
ムの利用により過度な日焼けを予防することも勧める。体力の消耗が激しいので、過
労に注意して十分に睡眠をとることが望ましい。また、ストレス防止に、スポーツ等で
気分転換をはかることを勧める。
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