シリア (278KB、2008年5月)

シリア医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2008 年 5 月 29 日
1.赴任前の準備
(1)予防接種
入国にあたって義務づけられているものはないが、赴任前に A 型肝炎、破傷
風、狂犬病の予防接種を受けてくることを勧める。派遣まで時間がない場合は、
前述の 3 種の予防接種に努め、可能な限り 2 回目まで接種し 3 回目(追加接種)
は一時帰国時、あるいは現地で(特に 3 回目狂犬病ワクチンは現地に持参すると
良い)受けるようにする。
乳幼児については主治医に相談し、基本的予防接種(BCG、ポリオ、三種混合:
DPT《ジフテリア、百日咳、破傷風》、二種混合:MR《麻疹、風疹》
)をできる限
り接種してから赴任するようにする。特に日本製の B.C.G や DPT ワクチンは高
品質であり、BCG は当地では皮下注射法であることから、出来る限り接種後の赴
任を勧める。終了できない場合は、シリアでも接種を継続できるが接種時期や
接種回数が異なるため、それまで受けた予防接種記録について英訳したものを
持参することが望ましい。
また、現地校に入学する際は、前述の基本的予防接種に B 型肝炎ワクチンを
加えた「ワクチン接種証明」の提出が求められる。アメリカンスクールでは A
型肝炎予防接種証明も必要になる。しかし、現在、日本での A 型肝炎ワクチン
接種は 16 歳以上が対象であり小児への接種はまだ認可されていないため、出発
前に接種することは困難であり着任後に接種となる。また日本では B 型肝炎ワ
クチン接種は、定期接種ではなく且つ接種対象を限定しているため、対象外で
あった児はあらためて接種を依頼するか(自費)、A 型肝炎ワクチン同様に着任後
に接種することになる。
シリアにおいて全てのワクチンは、National Vaccination Center、地方都市
においては National Health Servicies で管理されているために、予防接種を
受ける際に A 型肝炎ワクチン接種について、さらに日本では入手不可能な髄膜
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
炎菌性髄膜炎ワクチン、ヘモフィルスインフルエンザ b 菌結合型ワクチン(Hib)
接種の是非も含め、任地の医療機関を受診して相談する必要がある。
(2)その他の準備
居住ビザを取得するためにエイズ検査が義務づけられている。
眼鏡、ソフトコンタクトレンズは現地で作製できる。コンタクトケア製品(洗
浄・保存液等)も購入可能。
持病のある人は、現地での受診の可能性を考え、病名、治療内容(内服薬に
ついては商品名ではなく薬剤化学名を記載)、現在の状態、緊急時の対応方法な
どを記載した英文の紹介状を主治医に書いてもらい持参する。持病の治療薬に
ついては現地で主治医を見つけるまでの当座の量を持参する。
また例えば降圧剤や高脂血症治療薬などでは、日本で製造されている錠剤よ
りも薬剤量の多い錠剤が輸入、製造されている場合が多々ある。そのため内服
中の薬剤が糖衣錠等であれば、日本から持参するか、家族から送付してもらう
ように手配する必要が生じる。出発前までに現地での入手状況を確認し、日本
の主治医と着任後からの薬物療法について十分に話し合ってから赴任すると良
い。
たとえ健康上問題がない場合であっても、派遣前健康診断書の控え(英文版)、
予防接種歴(英文版)の記載されたものを必ず任国に持参する。
歯科治療は赴任前に必ず検診を終え、疾患がみつかれば治療を完了しておく。
デンタルフロスはスーパーマーケット、薬局で購入可能。
婦人科疾患問題が心配な人は、赴任前に検診を受けておくことが望ましい。
(低用量ピルは薬局で処方箋無しで購入可)
アメリカンスクール等入学に予防接種の証明が必要となるため、母子手帳を
持参するとよい。
2.医療事情
一般にシリアの公共医療は、無料だが衛生水準は低くサービス面でも見劣り
するため、主要都市での医療水準の高い私立あるいはミッション系の医療機関
の利用が望ましい。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
(1)医療機関
日本人に勧められる医療機関は次のとおりである。AI-Shami Hospital は全科
の診療が可能、救急外来は 24 時間受付けている。
<総合病院>
・Al-Shami Hospital(私立シャーミー病院)
所在地:マルキ地区(Malki West Park)
TEL:011-3734960/3735090/3734931
診療時間:一般外来は土∼木曜日 9:00∼14:00/17:00∼20:00、金曜休。
ただし救急外来は 24 時間受付。
診療科目:内科、心臓内科、消化器内科、神経内科、一般外科、消化器外
科、心臓外科、整形外科、小児科、眼科、皮膚科、産婦人科、
精神科、放射線科、麻酔科、泌尿器科、糖尿病外来、口腔外科
備考:一般的に専門医の受診を希望する際は、内科医等の診察を経て紹介
してもらうことになる。その他、病状に応じて専門医師を予約して
もらう。
料金:診察 1 回 1000 シリアポンド、諸検査約 1000 シリアポンド
<総合クリニック>
・Cham Clinic(私立シャームクリニック)
所在地:アブルマーニ、日本大使館、アサド橋付近(5 Al Timizi Street)
TEL:011-33387421/3322223
診療時間:救急外来は 24 時間受付。
診療科目:内科、消化器内科、神経内科、一般外科、消化器外科、呼吸器
内科、整形外科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、精神科、放射
線科、泌尿器科、作業療法科(OT)
備考:救急車なし。21 時∼9 時までは医師、検査技師、看護師が各 1 名ず
つ勤務し、他の医師は On Call 制
<眼科、耳鼻咽喉科、形成外科>
・E.E.S.H.
Eye and Ear Specialty Hospital
TEL:011-4464911∼3
FAX:011-4464913
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
医師:耳鼻咽喉科医 6 名、眼科医 7 名、形成外科医 1 名
その他:2001 年設立。20 床(10 部屋)。
<歯科>
・Dr. Nabil. Khurdaji
所在地:Abou Rommaneh
TEL:011-3338824
診療時間:10:30∼13:30、17:00∼20:30
休診日:金曜日
・Dr. Adnaan Sabri
所在地:Abou Rommaneh(Al-Jahez Park の向かいにある。)
TEL:011-3335732
診療時間:9:00∼13:30
休診日:金曜日
・Pro.Issa Wahbeh
TEL:011-44231172
診療時間:12:00∼20:30(月∼水曜日)、 11:00∼13:00(木∼土曜日)
休診日:日曜日
<内科>
・Dr. M Sarmel Al Nus
所在地:Al-Mouhajrin
TEL:011-3733382
診療時間:11:00∼13:00、17:00∼20:30
休診日:金曜日
<耳鼻咽喉科>
・Dr. Imaad Ribaat
所在地:Salhiyeh
TEL:011-2230000
診療時間:9:00∼16:00、9:00∼12:00(土曜日)
休診日:金曜日
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
・Dr. Jamal Qassoumah
所在地:Al Jisr Al Abiad
TEL:011-3316946
診療時間:13:00∼14:30、18:00∼21:00
定休日:金曜日
・Eye and Ear Specialty Hospital
<皮膚科>
・Dr. Suheil Diyaab
所在地:Salhiyeh
TEL:011-4452221
<検査室>
・Dr. Nizaar Al-Qatranji
所在地:Al-Hamra St.
TEL:011-2216760/2226030
診療時間:8:30∼17:00
休診日:金・土曜日
その他:日本語が少し通じる。
・BIOCENTER(Saba Lab.)
所在地:Omar Al-Moukhtar Lane 2026
TEL:011-3318695∼6
FAX:011-3318697
受付時間:7:45∼14:30、17:00∼20:00(土∼木曜日)
7:45∼15:00(金曜日)
休診日:日曜日
<X 線、超音波検査、核医学検査室>
・Dr. Zaki. Sheikh Ghazal
所在地:Jisr Abyad
TEL:011-3335191
受付時間:9:00∼13:45、17:00∼20:30
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
休診日:木曜日の午後と金曜日
・SAWAF INSTITUTE
所在地:Victoria Bridge
TEL:011-2221722 / 2221145
その他:MRI、CT スキャン、各種レントゲン(X 線)検査、マンモグラフィー、
超音波検査
<産婦人科>
・Dr. Anton Shalhoub
所在地:Al-Hamra St.
TEL:011-4457339/4454605
診療時間:10:30∼13:45、17:00∼20:30
休診日:金曜日
<小児科・内科>
・Dr. Nabil.Kasicho
所在地:Mazraa, Damascus
TEL:011-4458120/3331869
診療時間:10:00∼13:00、17:00∼20:00
休診日:金曜日
その他:中央銀行の西にある。往診可、予防接種可。
<アレッポ地区 総合病院>
・Al Arabi Hospital(私立アラビ病院)
所在地:Al Neel Street, Al Khalidieh Square
TEL:021-2683200∼4
FAX:021-2683220
診療時間:救急外来は 24 時間受付。*救急車あり
診療科目:内科、心臓内科、消化器内科、神経内科、一般外科、消化器外
科、心臓外科、脳神経外科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、精
神科、放射線科、麻酔科、泌尿器科
その他:1998 年設立、52 床(登録医師数 65 名)、看護師 27 名
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
・Al Shahba Specialized Hospital(私立シャハバ・スペシャライズ病院)
所在地:Halap Al Jadideh main Autostrad 若干郊外に位置する
TEL:021-5224300/5224304
診療時間:救急外来は 24 時間受付
その他:2004 年設立、35 床(26 個室、5 床デイケアベッド、5 床 I.C.U.)。
院内は非常に清潔で患者部屋も十分なスペースでかつ機能的。入
院費用 2,000SP。
・St.Louis Hospital
(ミッション系:セントルイス病院)
所在地:Ismailieh(Military Hospital 裏)
TEL:021-2214230
診察時間:救急外来は 24 時間受付
その他:65 床、清潔だが敷地が広く外来棟、検査棟、病棟と分かれている。
研修を多くはフランスで終えているために、フランス語を話すシ
スター、医師が多い。看護の質は前述の 2 ヶ所より良い。
(2)緊急時の対応と措置
一般に救急車の装備は貧弱で救命救急士の技能も未熟であるために、できる
だけ一部の私立病院の救急サービスを受けるようにする。救急車が利用できな
い場合は、タクシーあるいは自家用車で救急外来を受診することになる。この
場合は、最寄りの上記の私立、ミッション系の総合病院に搬送する。だが、遠
距離であったり、患者が重症である場合は、最寄りの公立病院(Ministry of
health)に搬送する。
首都では、Al-Shami Hospital に電話をすれば、救急車を呼ぶことができる。
一般の救急番号 Self Defense「111」でも救急車を呼べるが、英語は通じない。
アレッポ地区は、プライベートサービスの救急車アレンジ専用電話
「094-472147」に連絡し、前述の 3 カ所中の最寄りの医療機関に搬送してもら
う。シリアにおいて治療が不可能な重症ケースは、医療レベルの高いパリ、ド
バイ等へ緊急移送対象となる。
シリア国内では HIV の発生率は非常に低いが、輸血用血液はスクリーニング
の信頼度(National Blood Bank 管轄)と他疾患の感染の可能性も考慮し、輸血は
可能な限り避けることが望ましい。しかし時間の余裕がない場合は、現地の輸
血用血液を使用せざるを得ない。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
子供用の各種座薬(抗生物質、解熱剤)類のほかに、日頃使い慣れた常備薬
を持参すると良い。成人は各種湿布薬(当地では軟膏、ゼリーの塗布が湿布に代
わる)、常備薬(総合感冒薬等)、自分の肌にあった日焼け止め、漢方薬、便秘治
療薬、整腸剤、痔や水虫などの治療薬のほかに、花粉症、アレルギー疾患の人
は、常備の目薬や鼻炎薬スプレー等の携行が望まれる。
向精神薬、睡眠薬は種類が少なく入手困難。ハチアレルギーに対し、携行エ
ピネフリンペン注射薬は入手不可。
<現在、病気治療中の方へ>
現地で主治医を見つけるまでの当座の量を持参するが、その薬剤が購入可能
かどうか、出発前に確認した方が良い。または購入できない場合に代わる薬剤
を、日本の主治医と事前に話し合っておくことをお勧めする。
(2)現地で調達できる医薬品
薬局はいたるところにあり、医薬品の入手は容易である。
スイスのチバガイギー社やフランスのローヌプーラン社など、一流製薬会社
の製品を中心に、風邪薬、頭痛薬、鎮痛薬、解熱剤、抗生物質、胃腸薬、せき
止めシロップ、吸入薬(気管支拡張剤、ステロイド)、点鼻スプレー、抗アレル
ギー剤、消毒薬、抗生物質入り軟膏、ステロイド軟膏、絆創膏、鉄剤・ビタミ
ン剤を始めとする各種サプリメント、経口避妊薬(一相性低用量ピルほか)、緊
急避妊薬、ウオノメ&タコ用スピール膏軟膏など、一般的な医薬品は大半が入
手可能である。経口補液剤(商品名:SMO_4)も安価で入手可能。
(3)現地で調達できる衛生用品
最近、サウジアラビア製の薄型ウイング付きの生理用品が出回っている。日
本のものより質は劣るが使用上の問題はない。
日焼け止め、サンオイル、白色ワセリン、保湿クリーム、踵疲れや靴擦れ防
止用のクッション、ニッパ爪きり、医療用手袋などほどのものは購入可能。
防蚊対策グッズに関しては、蚊取リキッド等も店頭で発売されているが、高
質の蚊取り線香へのこだわりがある人は日本から持参すると良い。
花粉症用マスク、腰椎コルセット、各種サポーター、コンタクトケア製品(ソ
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
フト用洗浄保存液は高価だが入手可能、ハード用製品は入手困難)、アイスノン、
ホッカイロ等は、任国では入手が困難であるため必要に応じて持参するとよい。
女性は、基礎化粧品の化粧水や乳液は持参したほうがよい。
上腕用自動血圧計、自動体温計、簡易血糖測定器なども購入可能である。
(4)薬局
薬局は政府系と私立とがあり、いたる所にある。
日本では医師の処方箋を必要とする薬剤が、任国では処方箋なしで購入でき
るものも多い。薬局の店員の多くには英語が通じるが、必ずしも薬剤師が常駐
しているとは限らない上、薬品に関する知識が浅い者でも薬を販売しているた
め、購入に際しては細心の注意を払う必要がある。
また、ほとんどの薬が輸入品であり、日本のものより有効成分量が多い錠剤
であることも多い。そのため、用量を確認せずに内服すると副作用の出現を招
く場合があり注意を要する。必要な薬は日本から持ってくることを勧める。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
シリアでも出産や帝王切開術ができるが、特に母子ともに急変時対応におい
て輸血が必要となった場合の血液の安全性、新生児医療(N.I.C.U.はあるが小児
外科の技術力は未知)などには非常に不安が残る。合併症がない経産婦の場合、
妊娠中期までの検診をシリアで受けることは問題ないと思われる。現地で無事
に出産した日本人もいるが、できれば妊娠中期の安定期に日本へ帰国し、出産
することを勧める。
優秀な医師は、勤務している病院とは別にプライベートクリニックを持って
いる場合が多く、妊娠中はクリニックで検診し、出産は勤務している病院
(Al-Shami Hospital など)で行うことになる。
出産に関連して、緊急時に必要な薬が入手できないこともあるので、あらか
じめ担当医と薬局に確認し、薬を確保しておくことが安全に繋がる。流産にも
対応できるが、過去に必要な薬が手に入らなかった事例がある。
(2)出産後の対応
出産後 3 日程度で退院するのが一般的である。出産後の集団母子検診は全国
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
の病院で行っているが、邦人の場合は民間病院やかかりつけの開業医に相談し、
検診や児の予防注射を受けていくことを勧める。乳幼児については、基本的予
防接種をすべて受けることができる。日本の予防接種スケジュールに含まれて
いない B 型肝炎、MMR、ヘモフィルスインフルエンザ b 菌(Hib)ワクチンについ
ても、希望すれば私立の医療機関で接種することができる(ただし補償制度はな
い)。
(3)育児
哺乳瓶、粉ミルク、ベビーパウダー、ベビー石鹸、シャンプー、オイル、ク
リーム(ジョンソン社製)、おまる、離乳食など、ひととおりの物は揃う。ただ
し、既製の布おむつはない。紙おむつは販売されているが、高価である。おむ
つカバーもあるが、品質に問題がある。上に着る乳児用衣類は現地でも調達で
きるが、肌に直接触れるものは、ガーゼなどの吸汗性のよい柔らかいものを日
本から多めに持参すること。乳母車、歩行器なども入手できるが、安全性は確
かではない。
5.手術
(1)現地で可能な手術
消化器外科、呼吸器外科、心臓外科、泌尿器外科、脳・神経外科、整形外科、
形成外科、眼科手術など、最近では内視鏡手術も可能となり、虫垂炎から悪性
腫瘍まで対応できるが、術中後の管理などの技術水準を勘案すると、現地での
手術は急性虫垂炎、外傷の縫合など緊急手術を要する場合のみとし、それ以外
の場合は日本あるいは第三国で受ける方が良い。また、看護師の多くは英語が
通じない。
(2)手術設備の状況
主だった医療機関の設備内容は次のとおりであり、一通り揃っている。各種
臨床検査(尿、便、痰、血液など)や生検材料の病理検査を行うラボラトリー、
心電図・脳波・血圧の各記録装置、超音波検査装置、X 線(単純・造影・特殊撮
影)装置、断層撮影装置(CT スキャン)
、内視鏡機器、ファイバースコープ、酸
素吸入装置、輸螓装置、その他手術麻酔全般に必要な機器装置など。
入院加療設備については、一部の病院ではよく整っている。個室は、トイレ、
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
洗面台、ロッカー付きで、ベッドはリクライニング式である。車いすも利用で
きる。手術直後の患者は特別看護病棟(回復室)に集められ、モニターによる監
視を受ける。付き添いはあるほうがよい。
(3)その他の留意点
各種の検査を受けたい時には、あらかじめ病院に予約することが必要である。
一般的に私立病院を受診の際には、前払い(保証金)システムになっている。
輸血は可能な限り避けることが望ましい。やむを得ない場合は、邦人間(同じ
人種間)から供血者を募ることになる。しかし時間の余裕がない場合は、現地の
輸血用血液を使用せざるを得ない。(「2 医療事情 (2)緊急時の対応と措置」項
を参照のこと)
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
環境に順応するまでは、全身倦怠感、下痢、微熱、頭痛を訴える者が多い。
よくかかる病気としては、以下の次のようなものがある。
消化器疾患:旅行者下痢症、他の原因による下痢症、食中毒、胃腸炎など
呼吸器疾患:かぜ、咽頭炎、アレルギーによる咳嗽など
その他:交通事故外傷、虫さされ(ダニ、ノミ、ハチ等)、熱中症、結石症、
オリーブ花粉症、マンゴーアレルギー、紫外線角膜炎、アレルギ
ー性鼻炎・結膜炎(原因物質:ダニ、ほこり、オリーブ花粉等)
(2)風土病、感染症
注意すべき風土病は、ブルセラ症、A 型肝炎、リーシューニア症、腸チフス等
の感染症で、(内臓、皮膚)リーシュマニアは主にアレッポ・ラタキヤ・タルト
ゥース地方で発生している。ブルセラ症、マルタ熱の発生時には、チーズ、ヨ
ーグルトなどの乳製品の摂食時は十分に注意する(未殺菌の乳製品は禁忌)。
また、水や食物からアメーバー赤痢、ジアルジア症、A 型肝炎、食中毒に罹る
危険性は常にあると考え、着任直後からこれら感染症の感染予防対策(飲料水&
食品管理、手洗)を励行する必要がある。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency
(3)有害動物、病害虫
蚊、ハエ、ダニ、ノミ、ブヨ、ネズミは日常的に見られる。
毒グモ、毒ヘビ、サソリはめったに見ることはないが、砂漠地帯に向う際や
フィールド調査等で草むらに入る場合は、長袖・長ズボン・長靴・帽子・サン
グラスを着用し自身の身をガードする。
7.保健衛生
(1)飲料水
飲料水は、地方によっては売り水、地下水の所もあるが一般的には水道水が
使われている。硬水でカルシウム分を多く含む。
水道水は雨季には混濁が見られることがある。また給水タンク内、水道管の
メンテナンス、衛生状態も悪いことなどから、飲み水として安全と言えない。
そのためボトルウォーター、一度沸かした水、缶やビンの飲み物(炭酸水など)
にする事を徹底し、レストランで出される氷は、口にしない方が無難である(水
道水で作られている可能性が高い)。
(2)濾過器の入手
日本製の濾過器の購入が可能である。
(3)その他の留意点
露店の生ジュースは、目の前でよく調理されたもの(皮をむくなど)を飲用す
るように注意する。
夏場にホテルや高級レストラン以外で外食する時は、サラダなどの生ものは
避けたほうが無難である。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2008 Japan International Cooperation Agency