ガボン (373KB、2015年6月)

ガボン医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2014 年 12 月更新
1.赴任前の準備
(1)予防接種
入国に必要な予防接種として黄熱病が義務づけられている。義務ではないが、ほ
かに破傷風ワクチン、狂犬病ワクチン、HB ワクチン(B 型肝炎ワクチン)、HA ワクチ
ン(A 型肝炎ワクチン)、ポリオワクチンなどは必要に応じて接種するとよい。これらは
現地でも一応接種可能であるが、着任前に済ませておくか、本邦にて終了しなかった
3 回目のワクチンは一時帰国時に受けるのもひとつの方法である。接種を行う医療機
関ではディスポーザブルの注射器を使用している。現地で流行する髄膜炎、腸チフス
の予防接種は、現地で接種可能である。日本国内では、髄膜炎・腸チフスワクチンは、
接種可能な医療機関が限られている。
母子手帳は持参することが望ましい。
(2)その他の準備
歯科疾患は現地でも対応可能であるが、言葉の問題等もあり、本邦で処置を済ま
せてからの赴任を勧める。細かい処置になる歯髄の治療は難しい。
欧州製を中心とする一般薬はあるものの日本の医薬品は入手できないので、飲み
なれた常備薬があれば持参したほうが良い。持病のある人は、フランス語か英語に
翻訳した既往症の経過と、医師の処方箋(商品名ではなく属名または化学名が記入
されたもの)を持参すると便利である。総合感冒薬や湿布は入手が困難である。
乱視などで細かな調整を要する眼鏡やコンタクトレンズは予備を含めて持参したほ
うが無難である。
2.医療事情
(1)医療機関
首都や中心地方都市では、検査施設が整った総合病院はあり、受診は可能である。
ガボンは道路事情が大変悪く、車での移動にとても時間がかかる。そのため地方都
市で、治療を開始して症状に改善の見られない場合は、出来るだけ早い時期に首都
に上京するべきである。地方都市では、CENTRE HOSPITALIER REGIONAL を受
診するとよい。
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リーブルビル
<一般>
La Polyclinique EL-RAPHA(ラ ポリクリニック エル-ラファ)
所在地:リーブルビル
電話:44-70-00、44-70-47
FAX:44-71-61
診療時間:月~金 8:00~12:30 14:30~18:30 緊急 24H 休日なし
診療科目:一般内科、神経科、産婦人科、小児、新生児科、一般外科、整形外科、
耳鼻咽喉科、美容整形外科、歯科、検査科。CT、MRI、エコー、レントゲ
ン、マンモグラフィー、消化器内視鏡、気管支鏡、心電図、ホルター心電
図あり。予防接種可能。検査は、24 時間可能。
備考:医師 8 人、看護師 54 人、ベッド 50 床、手術室 4 室、蘇生室 4、救急車 3 台
所有。
医師のレベルは変わりないようであるが、最近、受付や検査部門などの人材
の問題がある。予約が取り消されていたりなど、トラブルが多い。
Clinique Chambrier(クリニック シャンブリエ)
所在地:リーブルビル
電話:723876 予約電話 07599332
診療時間:24 時間受付け。
診療科目:一般内科、循環器科、消化器内科、脳神経内科、一般外科、消化器外
科、整形外科、小児科、耳鼻科、皮膚科、産婦人科、放射線科、麻酔科、
泌尿器科。専門科は予約した方が良い。
備考:医師 15 人、看護師 15 名、検査技師 3 名、レントゲン技師 3 名。ベッド数 30
床、手術室あり。救急車あり。入院費:55,000/45,000FCFA(約 1 万円)(個
室/2 人部屋)に税金 18%が加算(トイレ・シャワー・クーラー・電話・TV 完
備)。
La Polyclinique ST.ANDRE(ラ ポリクリニック サンアンドレ)
所在地:リーブルビル
電話:04-38-41-41/04-38-41-38
診療時間:月~土 8:00~18:00 緊急 24H 休日なし
診療科目:一般内科、神経科、循環器科、消化器科、産婦人科、小児、新生児科、
一般外科、消化器外科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、歯科、
検査科。CT、エコー、レントゲン、消化器内視鏡、心電図。予防接種不
可。
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備考:常勤医師 5 人、看護師 20 人、ベッド 12 床、集中治療室 4 床、手術室、救急
車保有。
<歯科>
Cabinet de Dr. FOUCHET(キャビネ ド ドクター フシェ)
所在地:リーブルビル
電話:74-23-43
営業時間:月~金 9:00~12:00、15:30~18:30
要予約
ポール・ジョンティ
<一般>
Cabinet de Group(キャビネ ド グループ)
所在地:ポール・ジョンティ市内
電話:55-28-46/07-36-36-09
診療時間:DR.ARAGAN(仏人医師);月~土 15:00~18:00
その他医師;月~土 午前中 ただし、24 時間対応可能
備考:検査室・レント ゲン室あり。入院施設はないため、入院となる 場合は、
Clinique Ayine に入院となる。
ランバレネ
Fondation Internationale de l’Hopital ALBERT Schweizer Lambaréné
所在地:ランバレネ
電話:58-11-45/58-11-96
診療時間:月~金 7:30~19:00、救急受付可。
診療科目:内科、消化器科、一般外科、消化器外科、整形外科、眼科、耳鼻科、
小児科、産婦人科、歯科、精神科、放射線科、麻酔科、泌尿器科、
口腔外科
備考:血液検査、検便検尿検査、レントゲン検査、超音波検査が可能。
内視鏡検査が可能であるが、実施は勧めない。市内中心から離れているた
めタクシー等の利用が必要。入院病棟もあるが病院食が無いため食事の手
配が必要となる。
CENTRE HOSPITALIER REGIONAL de Lambaréné
所在地:ランバレネ
診療時間:救急は 24 時間受付、時間外は救急外来を直接受診する。
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備考:血液検査、検便検尿検査、レントゲン検査、超音波、心電図検査可能。入院
施設もあり、個室(トイレ・シャワー・クーラー・テレビ付き)あり一泊 20,000
FCFA(約 3,500 円)。施設は新しく(2008 年完成)清潔に管理されている。
入院費用には薬代と病院食が含まれている。
フランスビル
CENTRE HOSPITALIER REGIONAL AMISSA BONGO DE FRANCEVILL
所在地:フランスビル
電話:773769
FAX:761190
診療時間:24 時間診療。時間外は救急外来を直接受診する。
診療科目:内科、消化器科、一般外科、整形外科、眼科、小児科、産婦人科、放射
線科(技術者)、麻酔科。専門医は予約を勧める。
備考:血液検査、検便検尿検査、レントゲン検査、超音波検査が可能。2012 年 7
月くらいに CT が稼働予定。血液透析施設も準備中。
病院は街の中央から来るまで 5 分程度離れた所にあり。タクシーや、病院患
者運搬用バスも運行している。
La Polyclinique Medico-Social de Franceville(CNSS/Caisse Nationale Securite
Sociale)
所在地:フランスビル
診療時間:月~金、7 時 30 分~15 時 30 分。救急受付不可。
診療科目:内科、歯科、眼科(月 1 回予約制)
備考:血液検査、検便検尿検査、マラリア検査、生化学検査、レントゲン検査が可
能。
クラムトゥ
CENTRE HOSPITALIER REGIONAL DE KOULAMOUTOU
所在地:クラムトゥ
電話:07598957(医師携帯)
診療時間:24 時間診療。時間外は救急外来を直接受診する。
診療科目:内科・外科・産婦人科・麻酔科・歯科・泌尿器科・小児科(キューバ人)・
放射線科(キューバ人)・薬剤師(キューバ人)。
専門医は予約を勧める。
備考:血液検査、検便検尿検査、レントゲン検査、超音波検査が可能。
病院は街の中央から来るまで 5 分程度離れた所にあり。タクシーや、病院患
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者運搬用バスも運行している。
ロペ
Centre Medical a LOPE
所在地:ロペ
備考:ロペで唯一の医療機関ではあるが、医師は不在で検査もできないので利用
は勧められない。
ガンバ
CLINIQUE STRUCTURE MEDICAL BILONGOUA KANGO
所在地:ガンバ
電話:07500444
診療時間:24 時間診療。医師在室時間 8:30~12 時、15 時~18 時。それ以外の
場合電話で医師を呼び出す。
診療科目:内科・歯科
歯科の受診は勧めない。
備考:簡単な血液検査、検便検尿検査、マラリア検査可能。
チバンガ
CENTRE HOSPITALIER REGIONAL de Tchibanga
所在地:チバンガ
診療時間:救急は 24 時間受付、時間外は救急外来を直接受診する。
備考:血液検査、検便検尿検査、レントゲン検査可能。入院施設もあり、個室(トイ
レ・シャワー・クーラー・テレビ付き)あり。施設は新しく(2008 年完成)清潔
に管理されている。入院中の病院食の提供あり。
ムイラ
CENTRE HOSPITALIER REGIONAL de Mouila
所在地:ムイラ
電話:86-13-14/86-10-71 診療時間:救急は 24 時間受付、時間外は救急外来を直
接受診する。
備考:血液検査、検便検尿検査、レントゲン検査可能。入院施設もあり、個室(トイ
レ・シャワー・クーラー・テレビ付き)は一泊 12,500FCFA(約 2,200 円)。
(2)緊急時の対応と措置
邦人緊急移送の場合、リーブルビルの La Polyclinique EL-RAPHA、もしくは
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Clinique Chambrier にまず収容する。
公的な救急車サービスの呼び出し番号は、13-00。
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
整腸剤や下痢止め、その他、常備薬・常用薬があれば本邦から持参するほうがよ
い。基本的な薬品は入手可能であるが、投与量が日本人には多い傾向にある。また、
総合感冒薬や湿布薬は入手が難しい。
消毒石鹸、消毒薬、うがい薬、虫除けスプレー、蚊帳、蚊取り線香、電気蚊取り線
香は入手可能である。皮膚や咽喉が弱い方は、日本製の方が身体に優しい。蚊取り
線香は、煙がひどくてその割に効果が良くない。
眼科にてコンタクトや眼鏡の処方はできるが、フランスからの取り寄せになるので
時間がかかる。細かい調整の必要なレンズは入手が困難である。日本からの持参が
望ましい。
ナプキン・タンポンの生理用品はフランス製が入手可能であるが、コンパクトサイズ
は入手困難である。避妊具は入手可能であるが、品質や保管状態の面から本邦から
持参が望ましい。
(2)現地で調達できる医薬品
一般の市販薬(含虫除けスプレー、蚊取り線香など)は現地で購入できる。処方薬
についても、リーブルビル市内の薬局で購入可能。店頭にないものは 1〜2 週間でフ
ランスから取り寄せてくれる。破傷風、狂犬病、髄膜炎、腸チフス、A・B 型肝炎のワク
チンも調達できる。マラリア予防薬のメフロキンやドキサイクリンは入手可能。
(3)現地で調達できる衛生用品
生理用品、包帯、ガーゼ、避妊具など欧州製の物が入手できるが、質は劣る。
(4)薬局
医薬分業制であり、基本的に医薬品は処方箋を提示して薬局で購入する。
時間外や休祭日には、当直薬局が 24 時間営業している。その町でどの薬局が当
直になるかは、各薬局の入口に表示されている。
薬局はどこの町にもある。解熱鎮痛剤、マラリア治療薬、抗生剤、抗炎症剤、消化
器感染症治療薬、抗アレルギー薬など、薬品名を指定しなければ入手可能である。
抗ヘビ毒血清や犬咬傷暴露後ワクチンを保管している薬局もある。
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Grand Pharmachie des Forestiers (グラン・ファルマスイー・デ・フォレスティエ)
所在地:リーブルビル スーパーマーケット Mbolo 内
電話:72-23-52
営業時間:月~土 8:15~13:00、15:00~20:00
備考:ガボン最大の薬局である。一般的な医薬品やワクチンなら処方箋なしで購入
可。在庫のないものについては注文も可能。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
妊婦健診、正常分娩は対応可能である。ただし、異常分娩や輸血の必要な場合な
どの対応は困難であるため、当国での出産は控えたほうがよい。
(2)出産後の対応
母子検診や乳幼児の予防接種は可能である。予防接種はフランス式で、ポリオを
含む五種混合、ROR(おたふく風邪、風疹、麻疹)、BCG を接種する。
(3)育児
哺乳瓶、おむつ、粉ミルク、離乳食、ベビーパウダー、ベビー石鹸はフランス製品が
各種ある。薬局で購入可能である。ガーゼハンカチ、離乳食用食器は携行すること。
ベビーシッターは知人の紹介で見つけやすい。食品やベビー用品の扱いを任せる時
は、衛生観念が違うので、あらかじめの指導が必要。たとえば、育児上の留意事項と
して、粉ミルクを作る場合にはミネラルウォーターを使用すること、哺乳瓶・チクビなど
の消毒は濾過器を通した水道水で煮沸すること、おむつや衣類は洗濯後、アイロンを
かけることなどが挙げられる。外国人家庭で働いた経験のある人を雇うのが望まし
い。
5.手術
(1)現地で可能な手術
ガボンの医療レベルを鑑みて、緊急を要する場合や、簡易な手術を除いては第三
国(主に欧州)で処置するのが一般的。
(2)手術設備の状況
CT、内視鏡、心電図、超音波などは備わっているが機械の故障も多く、手術室内
の清潔が十分保たれているか疑問である。
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(3)その他の留意点
輸血が必要になった場合は HIV 等の輸血後感染症の可能性は否定できない。し
かしながら、輸血はその緊急性と重要性を十分考慮した上で、やむを得ず現地で輸
血を実施した場合は、その後の感染の有無についてモニタリングが必要である。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫などの腸管寄生虫疾患をはじめ、コレラなどの細菌
感染症が多い。食べ物や飲み物などからの経口感染なので、飲食物には注意が必
要であり、手洗いの徹底が望ましい。下痢症状が持続する場合は水分補給を十分に
するとともに、早めに医療機関を受診し検査を行い、適切な治療を受けることが肝要
である。
乾季と雨季で気候が大きく変化する上に、都市部では自動車の排気ガスが大変多
く、呼吸器系の疾患(上気道炎、喘息など)が多い。特に喘息の既往がある方は、吸
入薬や内服薬を持参することが望ましい。また、雨季は高温多湿で脱水や熱中症予
防のため、水分補給に心がける必要がある。
(2)風土病、感染症
脳脊髄膜炎、マラリア、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫、破傷風、ジフテリア、百日
咳、その他 A 型、B 型肝炎、狂犬病、腸チフスなども見られる。
上記のなかでも、特にマラリアに関しては注意が必要である。年間を通しマラリア
の発生が見られるが、雨季の始まりから乾季になっても蚊の発生は多く、この時期に
マラリア罹患率はピークになる。早めに検査し治療を開始しなければ重症に至るので、
日ごろの予防対策もさることながら、高熱・頭痛・下痢などの体調不良時は早めに医
療機関を受診し、診察を受けることが重要である。
マラリア予防対策として、1)長袖・長ズボンを着用する、2)夜間の外出をできるだ
け避ける、3)虫除けスプレーを使用する、4)就寝時の蚊帳の使用などの蚊に刺され
ない工夫をすることで、マラリアに感染するリスクをかなり軽減できる。予防内服も有
効である。WHO”が推奨するのは、メフロキンやドキシサイクリンである。
また、サハラ以南のアフリカは HIV が最も流行している地域で、感染のおそれのあ
る行為は慎む。2007 年末の WHO の推計では、ガボンでの成人(15~49 歳)の HIV
感染率は 5.9%である。
その他、地域により、住血吸虫、オンコセルカ、トリパノソーマ、エボラ出血熱も見ら
れる場合あり。現在、国の東南部ではチクングニア熱やデング熱の流行も見られてい
る。
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(3)有害動物、病害虫
マラリアを媒介するハマダラカは、主に夕方から夜間に活動するので、就寝時には
蚊帳をつることが必要である。
ハエ類の幼虫が人体に寄生する蠅蛆(ようそ)症も見られる。ハエの寄生予防には
裸足やサンダル履きで歩かないことである。屋外に干した洗濯物には、アイロンをか
けるのも効果がある。
7.保健衛生
(1)飲料水
リーブルビルの水道水は十分消毒してあるといわれるが、濾過、煮沸したほうが無
難である。ミネラルウォーターは数種類販売されている。農村等を訪問する際は、ミネ
ラルウォーターを十分な量持参し、浅井戸や水たまりの水の飲用は絶対に避けること。
深井戸の水は比較的安全であるが、やむを得ない場合を除き飲用は避けたほうがよ
い。
(2)その他の留意点
新型・鳥インフルエンザは、現在アジアを中心に流行しているが、アフリカでも鳥イ
ンフルエンザの流行の恐れがある。鶏肉、卵、豚肉などは十分加熱して食する必要
がある。
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