≪職場巡視チ チェックリ リスト導入 入事例調査 査結果報告 告書(病院 院編)から ら≫ 財団法 法人 地方 方公務員安 安全衛生推進 推進協会 1 職場巡視の必要 職場 必要性 労働 働者の生命・身体の保護 護、健康の の保持増進は は事業者の責 責務とされて ています(労 労働安全 衛生法 法第3条) 。これは、地 地方公共団体 体においても も適用される るものです。 。 公務 務災害を未然 然に防止し、 、快適な職 職場環境を作 作り上げてい いくためには は、自分の職 職場の現 状を把 把握し、危険 険で有害な要 要因を早め めに除去する ることが必要 要です。その のため、地方 方公共団 体にお おいても、職 職場を客観的 的に見つめ めなおす「職 職場巡視」が が安全衛生管 管理業務の中 中で重要 なもの のとなってい います。また た、安全で で快適な職場 場は、職員の の働きやすさ さを促すだけ けでなく 業務の の効率を上昇 昇させ、ひいてはより良いサービ ビスの提供に にもつながっ っていきます す。 なお お、労働安全 全衛生法及び びこれに基 基づく厚生労 労働省令で、次のとおり り職場巡視が が義務付 けられ れています。 。 業医(常時使 使用される者 者が50人以上 上の事業場に に必要) ・・・ ・・・・・少 少なくとも月1 1回 ○産業 生管理者(常 常時使用され れる者が50人 人以上の事業 業場に必要) ・ ・・・・・少 少なくとも週1 1回 ○衛生 2 職場巡視にあた 職場 あたって 職務 務として職場 場巡視が義務 務付けられ れているから らといって、上記の者の のみが職場巡 巡視を行 えば良 良いというも ものではありません。より効果的 的な巡視を行 行うためには は、むしろ、現場を 良く知 知る職員や管 管理監督者、 、安全衛生 生委員会委員 員なども巡視 視に加わるこ ことで、執務 務中の問 題点の の把握が容易 易かつ確実になるもの のといえます す。 なお お、病院にお おいては、職 職員の安全衛 衛生の目的以 以外にも「医療安全」 「感染症対策 策」など で巡視 視を実施して ている場合もあります す。見るポイントが共通 通しているの のであれば、 「医療安 全」 「 「感染症対策 策」チームな などのメンバ バーも含めて て、職員の安 安全衛生とそ その他の目的 的を兼ね て実施 施することも も考えられます。 限ら られた時間で で効果的な職 職場巡視を を行うには、年間計画を を立て、巡視 視を行う目的 的とテー マを明 明確にし、巡 巡視対象及び び巡視メン ンバーを決め めて実施する ることが必要 要です。 3 チェックリス チェ ストの準備 巡視 視の目的と何 何を見るのか かを明確に にせず、漫然 然と職場に出 出かけて巡 視を行 行っても、職 職場に潜むリスクを発 発見すること とはできませ せん。その 職場の の何が問題で で何が優れて ているかと という評価は は、巡視に慣 慣れていて かつ巡 巡視のポイン ントをつかん んでいる者 者が行うので であればとも もかく、大抵 抵は、どこを をチェッ クすれ れば良いのか かわからずに、巡視を を終えてしま まうことが多 多いのではな ないでしょう うか。 それ れを防ぐため めにも、事前 前に職場の の問題がどこ こにあるかを を把握するた ための指標と となる巡 視項目を設定し、それをリストにまとめておく必要があります。これを「職場巡視チェッ クリスト」と言います。このチェックリストを用いて職場巡視を行うことで、評価基準が 均一になるため、巡視者によって捉え方のぶれを防ぎ、巡視漏れを少なくすることができ ます。 なお、病院においては、各部門の業務や設備の特殊性を考慮して、共通項目と部門ごと の項目に分けてチェックリストを作成することも円滑な職場巡視を進めるうえでは必要で す。 4 巡視におけるポイント 職場巡視は、ただ見て回るだけではあまり効果が望めません。できるだけ作業者と同じ 視線で、同じ仕事をして、初めて指摘事項がわかることもあります。 特に、変化した職場は必ず巡視する必要があります。例えば、新設職場は一種の変化し た職場であり、新しいから安全というわけではありません。 また、1年に1度や数年に1度の非日常作業を行う場合には、思わぬ事故や大きな災害 が発生することも考えられます。そこで、非日常作業を職場巡視の年間計画に盛り込むこ とも必要になります。 巡視する職場はそれぞれ違った特性を持っていますが、巡視を行う際の共通したポイン トもいくつかあります。巡視ポイントとして以下の点に留意してください。 ① 視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚の五感をフルに働かせます。 ② 重箱の隅を突くようなあら捜しはしません。悪い点を摘発するのではなく、 みんなの力で職場を良くする活動であることを意識してください。 (職場にとっ て本当に必要なことを指摘しないと、次回からの協力は得られません。 ) ③ 改善すべき部分だけではなく、工夫がされていたり他の職場のお手本になる ようなことについてもきちんと評価します。 ④ 通り過ぎるだけでは分からなかったことが、しばらく同じ場所にいて初めて 分かることもあります。 ⑤ 職場巡視中に巡視者と現場の責任者や作業者を交えてフリーディスカッショ ンを行うことで、現場の悩み、本音や問題点が浮き彫りになります。 ⑥ 公務災害が発生した場所は必ず巡視します。 ⑦ 過去の巡視で指摘した箇所がどう改善されているか、改善したことで新たな 問題が発生していないかを確認します。 ⑧ 人の行動特性を常に念頭において、職員にとっての危険箇所、不衛生な箇所 を探す必要があります。 5 巡視の実施後 巡視の効果を上げるためには実施後のフォローが重要です。職場巡視 の実施結果は、 巡視後すぐに作成し、 現場に報告しなければなりません。 さらに、その結果を次回の衛生委員会に議題として提出する必要があり ます。 また、 職場巡視で指摘した事項については、 必ず事後処理の確認をする必要があります。 とくに、改善すべき問題を発見したときには、その改善点の現況や難易度に応じて、指摘 方法や対処の内容も変えていくことが大切です。 明らかな不具合やすぐに改善できるものは、その場で現場の管理監督者や作業者に直接 助言し、改善します。一方、施設や設備の改善を要する場合で経費や時間のかかるものに ついては、衛生委員会へ報告するとともに、管理者や監督者に対して問題点を説明し、具 体的な対策について話し合うことが重要となります。 6 モデルチェックリスト(病院用) ※次ページにモデルチェックリストを掲載しています。 このモデルチェックリストは、過去3年間において各職種を調査して作成したモデルチ ェックリストを参考に、病院特有の項目を追加したものです。ただし、あくまでも一つの 例であり、必ずしもすべての病院で使用できるというところまで志向したものではありま せん。特に病院では、それぞれの部門によって設備、機器、有害物等の取扱いなど、チェ ックすべき項目がそれぞれ異なるものと思われます。次の点を参考にそれぞれの職場に合 ったチェックリストの作成が期待されます。 ☞職場巡視チェックリスト作成にあたって (1) 不足と思われる項目、不要と思われる項目については、適宜つくりかえを行ってく ださい。また、チェックリストを作成した後も、巡視項目やリストの書式など適宜 見直し、より効果的な職場巡視を行うよう心がけてください。 (2) チェックリスト例では、評価の欄は「良好」 「要改善」 「要検討」の3段階の選択式 評価としましたが、 「特に良い事例」を加え4段階評価にすることや、空欄を設け「良 くできている」 「すぐに改善すべき」など自由記載として運用するなど、職場で使用 する前に評価方法について検討し、簡単でかつ結果につながりやすいと思われる方 法を採用してください。 (3) 調査結果報告書(P75以降)に掲載している各病院で実際に使用されているチェ ックリストも参考にしてください。 注)このモデルチェックリストは、当協会のホームページ(http://www.jalsha.or.jp) 「職場環境改善のページ」からダウンロードできます。 (病院職場用チェックリスト例) 日 時 年 月 日 時 ~ 時 (天候: 気温: ℃) 巡視場所 巡視同行者 職 場 概 要 職 員 数:計 人(内 男性 人・女性 人) 健 康 診 断 受 診 者:計 人(内 男性 人・女性 人)受診率 公務災 害発 生の有 無:有 人(過去3年 件)・ % 無 (災害の概要: ) 長 期 休 業 者 の 有 無:有 人 ・ 無 チェックポイント 文書・書籍、備品等の整理整頓がなされている ロッカー、棚が固定されている(地震対策など) 事務室 高いところのものをとる場合等のための安全な踏み台がある ・ 室内の床の清掃・管理が行き届いている ナースステーション等 室内の段差につまずき防止が施されている 電気配線、コンセント(水がかからない・埃がたまらない)等 が安全に管理されている 机、椅子の破損、ぐらつきがない 室内が暑すぎたり寒すぎたりせず快適である 室内の照明や換気が適切である 息苦しくないほどの広さが保たれている 機械等の、熱、騒音対策がとられている 通行に支障がない程度の通路が確保されている 医療用具、機械等の置き場所が定められている 廃棄物が定められた方法で分別されており、所定の場所に廃棄 されている(感染症廃棄物以外) 有害化学物質・放射線等 医薬品(放射性医薬品含む)、消毒薬、毒物劇物等の保管、管 理は適切に行われている(保管場所、保管方法、表示、地震対 策等) 有害化学物質を扱う場所において換気設備は正常に作動する 有害化学物質を取り扱う場合は、防毒マスク、保護めがね等適 切な防護具が用意されている 鋭利な器具等の危険物の収納が適切である 放射線防護具等適切な保護具を着用している 放射線管理区域(排気設備、排水設備含む)が適切に管理され ている 電離放射線の個人被ばく線量が管理され、適切である 放射線管理区域が適切に表示されている 評 良 気づいたこと 価 要改善 要検討 (改善・参考にすべきこと) チェックポイント 評 良 気づいたこと 価 要改善 要検討 (改善・参考にすべきこと) リキャップをしない教育・対策がとられている 感染症対策 針刺し防止器材を正しく使用している 使用済み注射針の廃棄用の専用容器がある 感染物の廃棄手順が徹底されている 廃棄物が適切に管理収納されている(ゴミ箱・集積場所等) 必要な場所に手指の消毒設備がある 個人保護具(ディスポ手袋・ガウン等)が用意されている VDT作業 VDT 作業時の照度(室内、画面、キーボードなど)が適切である VDT 作業時、ディスプレイに差し込む光の反射防止対策がなさ れている VDT 作業に適した机及び椅子が配備され、安全に使用できる 機械等 機械・設備は定期的に管理、点検が行われている 機械の正しい操作方法、手順が周知され、実行されている 駆動部には保護カバーがつけられ巻き込まれの危険がない 共 用 階段・廊下に物品が置かれず、安全に歩行できる 階段・廊下で、つまずいたり滑ったりしないよう対策が行われ ている(手すりの設置等) 設 非常口や消火栓・消火器の前に障害物がない 備 洗面所及びトイレが清潔に保たれている 給湯室が清潔で、換気も十分である 休憩室や仮眠室が確保されている 職員に健康教育が行われている 健 康 健康管理記録が適切に保管されている 作業環境測定が定期的に行われている 管 ストレス対策や長時間労働対策が講じられている 理 暴力事件等に対応する体制ができている 等 敷地内禁煙(又は建物内禁煙)が徹底されている 腰痛予防体操を行っている ベッド、作業台等について高さが適切で無理な姿勢にならない - 全体を通して気づいたことなど - ※その他、快適な職場環境作りを目指す観点から、 「職員同士のコミュニケーションが良好である」 、 「職務分担が 適切である」など、職場での聞き取り調査を伴うチェックポイントが考えられます。 7 職場巡視チェッ 職場 ックリスト導 ト導入事例調 調査結果 モデ デルチェック クリストの作 作成にあた たり、社団法 法人全国自治 治体病院協議 議会に加盟し している 公立病 病院(都道府 府県立、市町 町村立、一 一部事務組合 合立、広域連 連合立、公立 立大学法人)及び地 方独立 立行政法人の の病院957病院を対 対象に安全衛 衛生管理体制 制及び職場巡 巡視の実施状 状況につ いて調 調査しました た。その結果 果、483病院(回答率 率 50.5%)か から回答があ ありました。 。 (1) 巡視回数 回答 答のあった4 483病院の のうち産業 業医を選任し している37 74病院と衛 衛生管理者を を選任し ている る377病院 院において、 、産業医及 及び衛生管理 理者それぞれ れの職場巡視 視状況につい いて尋ね たとこ ころ産業医の の巡視回数で で最も多か かった回答は は「0回」の の100病院 院で、衛生管 管理者の 巡視回 回数で最も多 多かった回答 答は「年1回又は行っ っていない」の142病 病院でした。 図 図1 産業医が実 実施した年間巡視回 回数 0 (単位:事業所 所数) 40 20 60 80 0回 55(1 14.7%) 2回 4 42(11.2%) 12(3.2% %) 4回 5回 19((5.1%) 3(0.8%) 6回 7回 7%) 14(3.7 5(1.3%) 8回 0.3%) 1(0 9回 2((0.5%) 10回 11回 7(1.9%) 3(0.8%) 12回 13回 回以上 12 20 100(26.7%)) 1回 3回 10 00 76(20.3%) 4(1.1%) 4 〈母数 数:374事業所〉 〉 図 図2 衛生管理者 者の職場巡視頻度 無回答 11 (2.9%) 年1回 回又は 行って ていない 142 (37 7.7%) 毎週1回以 以上 14 (3.7%) 2週 週間に 1回 回程度 1 14 (3.7%) 回 月に1回 程度 86 (22.8%) 377事業所 年に2~1 10回 程度 度 110 (29.2% %) (単位:事業所数) ) (2) 職場巡視の のチェック項 項目 職場 場巡視時のチ チェック項目のうち、 「 「設備・作業 業環境」に関 関するチェッ ック項目とし して回答 の多か かった上位5 5項目は、図 図3のとお おりです。 図3 職場巡視チェ ェック項目(設備・ ・作業環境) 〈母数:452病院 院〉 0 (単位:事 事業所数) 50 100 150 200 250 300 289(63.9% %) 職場が が清掃されている ること 非常口に異常や障害物 物がない こと 2 276(61.1%) がなく広 通路に障害物や凹凸が いること さが十分確保されてい 27 71(60.0%) あること 室内の気温が快適であ 256(56.6%) あること 室内の照明が適切であ 6.4%) 255(56 職場 場巡視時のチ チェック項目のうち、 「 「作業方法等 等」に関する るチェック項 項目として回 回答の多 かった た上位5項目 目は、図4の のとおりで です。 図4 職場巡視チェ ェック項目(作業方 方法等) (単位:事 事業所数) 0 〈母 母数:452病院 院〉 150 100 50 放射線 線防護用具等適切 切な保護具を 着用し していること 144(31.9% %) 113(25.0%) 職務の の責任体制が明確 確であること ベッド ドの高さは作業者 者の視点から 適正で であるか 99(21.9%) VDT作 作業の姿勢が適切 切であること 97(21 1.5%) 患者移 移動の際の介助人 人数は適当で あるか か 97(21 1.5%) 職場 場巡視時のチ チェック項目のうち、 「 「健康管理等 等」に関する るチェック項 項目として回 回答の多 かった た上位5項目 目は、図5の のとおりで です。 図5 職場巡視チェ ェック項目(健康管 管理等) 〈母数 数:452病院 院〉 必要な場所に手指の消 消毒設備が ある 0 (単位:事 事業所数) 50 0 100 150 200 244(54.0% %) 置され、明 危険物等の容器が設置 確にされていること 220 0(48.7%) がとられて 針刺し事故防止対策が いること 219(48.5%) れ徹底され 感染症対策が確立され ていること 確立されて 感染物の廃棄手順が確 いること 217((48.0%) 214(4 47.3%) 250 (3) 針刺し事故 故対策 院内 内感染症対策 策の取り組み み状況の中 中で、職員にと とって大きな な問題は「針 針刺し事故」 」です。 これま までの公立病 病院における る公務災害 害認定状況を を見ても、 「針 針刺し事故」 」は依然とし して高い 水準に にあります。 。そこで、針 針刺し事故 故防止対策の のための取り り組み状況に について尋ね ねたとこ ろ、最も多かった 最 た回答は、 「 「針刺し事故 故防止対策製 製品及び器材 材を導入して ている」の3 372病 院(82 2.3%)でし した。 図6 針刺し事故防 防止対策 (単位:事業 業所数) 0 50 100 0 150 200 250 針刺し事故防止対策製 製品及び器材 を導入している 350 372 2(82.3%) 定期的に事故発生数、発生場所等 行う を報告し注意喚起を行 339(75.0 0%) 職場において 安全な取扱方法を各職 協議している 334(73.9%) は、目立つ危 専用廃棄容器などには 険マークを貼付する 295 5(65.3%) 射器や関連情 事故防止に役立つ注射 いる 報を迅速に提供してい 281(6 62.2%) 事前に提供し 患者の感染症情報を事 ている 250(55.3% %) 立つ実践的な 針刺し事故防止に役立 訓練を行っている 142 2(31.4%) 危険性につい ポスター等で事故の危 を行う て繰り返し注意喚起を 139 9(30.8%) その他 300 0 28(6.2% %) 〈母数:452病院〉 専用廃棄容 容器(ポータブル ル式) 専用 用廃棄容器(足踏 踏み式) 翼状針(安 安全装置付) 医療 療廃棄物(専用廃 廃棄容器内) 400
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