概要 - 東京都青少年・治安対策本部

第24期東京都青少年問題協議会答申について
東京都青少年問題協議会は、青少年に関する総合的施策の樹立に必要な事項を調査・
審議し、知事の諮問に対して答申する附属機関です。
第24期東京都青少年問題協議会から答申がありましたので、お知らせいたします。
テーマ 「メディア社会の進展と青少年施策のあり方」
<答申の主なポイント>
①メディア・リテラシー育成のための実践プロジェクト
○インターネットや携帯電話等の普及により、個人が様々な情報を受発信できる
ようになっているため、メディア・リテラシーの育成が課題となっている。メ
ディア・リテラシーとは、①メディアにアクセスし、②情報を取捨選択し、③
自らも情報を発信する能力のこと。
○青少年が実際にテレビ番組やホームページなどの制作に参加、体験して創造性
を高めながらメディアを学ぶワークショップなどを実施する。
○その結果をカリキュラム化、ビデオ教材化して区市町村、学校に提供し広めて
いく。
②有害な情報についての対策の強化
○アダルトビデオ等自動販売機に対して青少年が購入できない措置を拡充するよ
う、監視・指導を強化する。
○インターネット上の有害情報に、青少年が触れないようにシャットアウトする
フィルタリングの精度向上や普及啓発を関係業界へ要請する。
○携帯電話への出会い系サイト勧誘などの迷惑メールを、青少年が受信しないよ
うにする対応を関係業界へ要請する。
③心の東京革命の推進による実体験の拡充
○子どもたちの成長には、メディアだけでなく生の体験が必要である。
○家庭、学校、地域社会が協力して行う体験事業を事例集にまとめて配布したり、
事例発表会を行うなど、活動の周知を図り、取り組みを広げていく。
○区市町村へも働きかけを行い、体験事業等の取り組みが活発に行われるよう、
地域の活動団体を支援する。
④都のホームページでの情報提供
○保護者に対して、子どもを有害な情報から守る自衛策(フィルタリング、迷惑
メールを受信しない設定など)や、メディアの利用にかかるトラブルや苦情を
受け付ける相談窓口の情報を提供する。
(問い合わせ先)
都民協働部青少年課
計画調整係 内線 29-551 ダイヤルイン 5388-3172
第24期東京都青少年問題協議会答申の概要
メディア社会の進展と青少年施策のあり方
第1章 電子メディア社会の中での成長
○ 子どもたちが電子メディア社会の中で成長することが、どういう問題を引き起こす
のか、功罪あわせて検討し、弊害を最小にする努力を重ねることが大事である。
○ 現在の子どもは、子ども部屋の中で、①自分専用の、②多くのメディアと接しなが
ら、③多くの情報を、④簡単に入手できるという状況にある。
○ 便利なメディアを駆使して知的な探求をすることもできるが、メディアに埋没して
人と会うのが億劫になる子どももいるなど、子どもの成長にとって電子メディアは、マ
イナス面プラス面の両方をもたらす。
第2章 青少年の現状
○ 週に 30 時間ほど映像、画像に触れている子どもが相当数おり、まさにメディア漬
けの生活と言える。
○ 小中学生にも携帯電話・PHS の所有者が増えている。友だちとのコミュニケーシ
ョンを増やし、深めるのに必須な道具として意識されている。
○ インターネットを遊びやコミュニケーションの道具として使っている。高校生の約
1割がインターネット、携帯電話等を通じて知り合った人と直接会っている。
○ ポルノ画像を見たメディアはビデオがもっとも多い。今後は各種の有害な情報をイ
ンターネットから入手するケースが増えていくだろう。
○ 有害な情報との接触について懸念し、子どもの判断力を育てる必要性を感じている
親が多い。
○ 個人が様々な情報を発信できる時代になっているため、従来のマスコミのように、
発信元の自主規制だけでは情報を管理できない。
○ このような状況から、①生の体験を積ませる、②友だち付きあいを大事にして、人
間関係を育てる、③自分の成長発達に役立つ情報を取捨選択する能力を育てることが課
題になる。
第3章 メディアリテラシーの育成
○ メディア・リテラシーとは、①メディアにアクセスし、活用する能力、②メディア
を主体的に理解・判断する能力(情報の取捨選択能力 )
、③メディアを通じてコミュニ
ケーションを作り出す能力(自己発信能力)である。
○ 現代の青少年は、小学生などの低年齢からメディアを通じて多様な情報に接するた
め、その影響を受けやすく、メディア・リテラシーの育成が重要である。
○ 海外では学校でのメディア・リテラシー育成の歴史があるが、日本ではあまり進ん
でいない。
○ メディア教育の中心は、メディアが伝達する多様な情報の中から、その真偽、質の
良い悪いを見極め、自分が必要とする情報を入手する、つまり情報の取捨選択能力の育
成である。
○ メディア教育が成果を上げるためには、これまでの知識伝達型の教育から、子ども
自身の探求、自発的な学習の支援による問題解決型へと変えていく必要がある。
第4章
事業者の取り組み
○ テレビの青少年への影響を考慮して、視聴者から放送と青少年に関する意見を受け
付けて放送局に伝える第三者機関が設置されている。放送と青少年について広く活発な
議論が行われることが期待される。
○ テレビゲームについて、業界団体では、刺激の強い暴力表現等が含まれるソフトに
「注意喚起マーク」を表示し、保護者の判断で購入を避けることができるように配慮し
ている。今後は、作り手とユーザーをつなぐ場を設けることや、より細かいレイティン
グ(格付け・表示)も検討するべきだろう。
○ インターネット上の有害な情報については、業界団体が、ポルノや暴力を含むサイ
トをシャットアウトするための、フィルタリングソフトを無償配布している。フィルタ
リングの精度を向上させるとともに、ソフトの普及に向け、啓蒙活動を強化することが
期待される。
○ 携帯電話に一方的に送りつけられる出会い系サイトの広告等の迷惑メールについて
は、その広告を希望しない旨の通知を送った者への再送信を禁止する法律の整備が検討
されている。青少年保護の観点から、あらかじめこうしたメールを受信しないようにで
きる設定を組み込むなどの検討等、業界の自主的対応を期待する。
第5章 メディア・リテラシーと法的地位
○ 有害な情報の規制は、情報から子どもを隔離することであり、子どもの立場からそ
の意義を法的に検討することが必要である。
○ 裁判例では、子どもは精神的に未熟であり情報を選択する能力を十分には有してお
らず、影響を受けることが大きいため、子どもの「知る自由」は一定の制約を受け、子
どもはその制約を通じて保護される必要がある、とされている。
○ 家庭、公的機関は、子どもが「情報を選別して自らの人格形成に資するものを取得
していく能力」(メディア・リテラシー)を身につけるための教育を進めなければなら
ない。
○ 情報の提供者に対しては、国内でも海外でも様々な法規制がされているが、行政に
よる規制の難しい場面では、事業者の自主規制が期待される。
第6章 提言−メディア社会の「生きる力」を求めて−
○ 電子メディア化はこれから急テンポで進んでいくため、①青少年のメディア・リテ
ラシーの育成、②実体験の拡充、③有害な情報への対応、④青少年とメディアに関する
情報提供の充実が課題である。
<家庭の役割>
○ 子どものしつけや教育を担うのは、第一義的には親である。子どもが自分の頭で考
え、情報を判断する力を身につけるために、親としてもメディアに対するしっかりとし
た考えを持つ必要がある。
○ 子どもを不健全な情報から遠ざける配慮をするとともに、保護者もメディアについ
て学び、子どもにアドバイスできる能力をつける。
○ 日常生活の中で、メディア以外に体と五感を使った豊かな実体験を積ませる。
<地域の役割>
○ 地域は、子どもが年齢の異なる子どもや大人との付き合いを通じて社会性を身につ
ける重要な場である。地域のイベントへの参加や商店での体験学習など、様々な体験を
する機会を提供する。
○ NPO 等の民間団体や大学等が、親子がメディアを利用しながら学ぶ実践的なワー
クショップを行うなど、子どものメディア活用能力の育成に関わっていく。
○ 日頃から地域の大人が、成人向け雑誌が子どもの手に取りやすいところで販売され
ていないかなど、子どもをとりまく環境に気を配る。
<学校の役割>
○ 「総合的な学習の時間」を活用し、積極的にメディアを学習テーマとして取り上げ、
情報の取捨選択能力を身につけさせる。
○ 様々な教科や委員会活動、クラブ・部活動等で、インターネット等のメディアを活
用し、メディア学習を進める。
○ 実践に適した新しい教材や、メディア制作などの体験学習の場を活用する。
○ 学校自体がインターネット等で情報発信したり、不登校の児童・生徒への指導にも
メディアを活用する。
○ ハード面の整備とともに、教員の資質向上を図る。
○ 保護者への情報提供やボランティアの協力、学校開放など、親や地域を巻き込んだ
取り組みが必要である。
<事業者の役割>
○ メディア関係の事業者は、子どもの成長に資するような優れた番組、ソフト、サイ
ト等の開発と提供に努める。また、メディアの学習に役立つ教材や制作体験の機会の提
供を行う。
○ インターネットのフィルタリングや迷惑メール対策など、青少年が有害な情報に接
しないための自主的な対応を強化する。
<都への提案>
○ メディア・リテラシー育成のための実践プロジェクトを行なう。
NPO、事業者等の協力を得て、青少年が実際にテレビ番組やホームページなどの制
作に参加、体験して創造性を高めながらメディアを学ぶワークショップなどを実施する。
その結果をカリキュラム化、ビデオ教材化などして区市町村、学校に提供し広めてい
く。都民に対しては、都の広報媒体を通じて周知する。
○ 有害な情報についての対策を強化する。
アダルトビデオ等自動販売機の事業者に対して、青少年が購入できない措置を拡充す
るよう、監視・指導を強化する。
インターネット上の有害な情報については、青少年が有害な情報に触れないようにシ
ャットアウトするフィルタリングの精度を向上させるとともに、保護者に対して、周知
・普及を図るよう、関係業界に要請する。
携帯電話の出会い系サイトの勧誘などの迷惑メールについて、青少年が受信しないよ
うにする技術的な対応を関係事業者に要請する。
国へもルールの整備や事業者の指導強化を提案する。
○ 「心の東京革命」を推進し、実体験の拡充を図る。
一部の地域では、家庭、学校、地域社会が協力して、合宿通学や商店街での仕事の体
験、祭りの準備や練習、キャンプなどの体験事業を行なっている。これらの先駆的な取
り組みを事例集にして配布したり、事例発表会を行なうなど、活動についての周知を図
り、他の地域へも取り組みを広げていく。
区市町村へも働きかけを行い、体験事業等の取り組みがより活発に行なわれるよう、
地域の活動団体を支援する。
○ 青少年とメディアに関する情報を提供する。
保護者に対して、子どもを有害な情報から守る自衛策(フィルタリング、迷惑メール
を受信しない設定など)や、メディアの利用にかかるトラブルや苦情を受け付ける相談
窓口の情報を提供する。
学校、地域に対してはメディア活用能力育成の取り組み実践例や教材を紹介する。
アウトサイダーを含む事業者に対しては、青少年保護のための規制内容を周知する。