平成21年度先導的地域情報システムの開発・調査事業 地域における

平成21年度先導的地域情報システムの開発・調査事業
地域における安心・安全に関するシステム開発、調査・研究
(携帯電話を用いた沿岸モニタシステムの開発)
本開発・研究事業は、平成21年度自転車等機械工業補振興助事業により実施
した事業です。
1.事業概要及び目的
本事業の目的は、沿岸域の海洋環境の保全や水産資源の適切な管理や利用の
ために、GPS 機能付きの携帯電話を使って漁業関係者だけでなく、海に出ている
誰もが簡単に情報を発信したり、自船の周りの海況情報を取得できたりするサ
ービスを提供することである。そのために、交換される情報は文字情報だけで
なく、マップや画像・グラフといった視覚的なコンテンツも含まれ、さらに GPS
情報を利用することにより現場の時空間スケールに応じた精度の高い情報を提
供できるシステムを開発した。
2.事業の実施内容
本事業において開発したシステムは、海上におけるGPS携帯電話利用シス
テム(海上局)と、携帯電話からの情報を受け取り、関連するマップの作成や
海底地形や水温分布等の海況情報を逆に海上局やパソコンユーザー向けに送信
する陸上局システムの2つから成る。本システム開発においては、以下に示す
6つのモジュール開発やデータベース等の構築を行った。図1にシステムの概
要図を示す。
・GPS付き携帯電話による双方向の情報配信モジュール
・WEBサイト構築
・沿岸域における海底地形および水温等衛星画像コンテンツ作成モジュール
・海況データの配信およびデータベース構築
・的確な赤潮・エチゼンクラゲ発見情報のデータ送信モジュール
・赤潮マップ等漁海況マップの自動生成モジュール
赤潮マップ配信
PC
FAX
Webコ ンテンツ
配信用サーバ ー
赤潮マップ
作成システム
携帯電話
海洋情報配信
海底地形
海底地形
衛星画像
赤潮インデ ックス
衛星画像
赤潮マップ
潮汐
赤潮情報送信
赤潮インデックス
赤潮コンテンツ
データベース
沿岸情報コンテンツ
データベース
GPS
携帯電話陸上局
GPS付 き
携帯電話
赤潮
赤潮
(10マイル以内)
図1.GPS付携帯電話を利用した
沿岸海域におけるリアルタイム
モニタリングシステム
海底
図1.携帯電話を用いた沿岸モニタシステム
海上局および陸上局において生成或いは交換される情報は、GPS位置情報
をもとにマップを中心としたコンテンツであり、それらをまとめると表1のよ
うになる。
表1.
送信
受信
携帯電話で交換される情報
コンテンツ
内容
GPS情報
発信日時・緯度・経度
赤潮情報
色・形状・広がり範囲等
漂流物情報
流木・漂流ゴミ・危険物情報・海岸ゴミ等
画像情報
デジタル画像
自船位置
緯度・経度・日時
赤潮マップ
赤潮の発生分布
海況マップ
水温・海色・海面高等
海底地形図
等深線・底質
危険情報等
漂流物・危険情報
3.本事業実施による成果
本事業により、高価な GPS 航法装置を持たない小さなボートも海洋観測の基
地となり、これまでの少数の調査船によるデータ収集から一気に膨大な海洋情
報を即座に収集できるシステムを構築することが容易となり、赤潮等のハザー
ドマップをリアルタイムに生成することが可能となった。
これにより、赤潮やエチゼンクラゲの出現状況の詳細な速報が可能となり、
その被害を最小化できる他、現場付近の海況情報をリアルタイムに入手するこ
とにより、効率的な操業や漁場予測も可能となり、原油高に悩む漁業関係者の
負担を和らげる効果も大きいものと期待される。また、水産分野だけでなく、
様々な海況・海上情報を提供できることから、マリンレジャーを楽しむ人々の
「海の安全」確保にも寄与するものと考えられる。
4.本事業の活用状況等
本事業の活用により、これまでITC技術の導入が遅れていた水産海洋分野
において、携帯電話とインターネットを利用した新しい事業を興すことができ
た。また最近のICT技術の進歩は目覚ましい一方、陳腐化も早く、本事業に
より、短い期間でシステムを開発することが出来、開発の効率化や早期の事業
化に大いに役立ち、費用対効果は十分にあったと考えている
また、事業化に当たり新会社を設立し、専用のWEBサイトによるコンテン
ツ配信サービスを進めている。図2にトップページのイラストを示す。
発 見情報 はデモ 用の データ を用 いており、 実際の 状況と 異なりま す。
図2.本事業におけるWEBサイトのトップページ