小骨除去を目的としたウォータージェットによる鮭加工装置の開発

穫獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲覚
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確
確 松村 昌典 [北見工業大学工学部/助教授]
確
確 熊耳
確
浩 [北見工業大学工学部/助教授]
確
確
洋 [(株)釧路丸水/課長代理]
確 小山
確
確 佐藤 敏則 [北見工業大学技術部/技術職員]
確
確
確
角獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲獲較
ウォータージェットの切削能力は、
ノズル出口から被切削物体
小骨除去を目的としたウォー
タージェットによる鮭加工装
置の開発
までの距離(スタンドオフ距離)Lや、
ノズル口径d、
およびノズル
の移動速度vによって影響を受ける。
そこでL, d, v の値の組
み合わせを系統的に変化させながら鮭の切断実験を行い、
各
パラメータの組み合わせ毎に、
切削能力の測定を行った。
その
結果、
ノズル口径dは大きい方が切削能力は高く、最小の
d=0.1mmでは、
鮭の身を皮側から切ることはできなかった。
ノズ
ル移動速度vは、遅い方が切削能力は高かった。
スタンドオフ
距離Lについては、被切削物体がノズルに近すぎる
(Lが小さ
い)
とかえって切れなくなることがあり、
切削能力が高くなる最適
背景・目的
鮭フレーク加工時の骨の抜き取り作業は、
自動化し難く、人
なスタンドオフ距離Lの存在することがわかった。
この傾向は特
手に頼るところが多い。
したがって加工コストを下げ、
製品の品
にd=0.3mmのノズルで顕著に現れており、
このとき切削能力の
質と競争力を高めるためには、
これを自動化する必要がある。
高くなるLは、
L=50mmとL=120mmの2カ所に存在することが
そこで本研究は、硬さの異なる物質を選択的に切断できる
わかった。金属を2000気圧を超えるウォータージェットで加工
ウォータージェットを水産加工に応用し、
骨を切らずに身
(魚肉)
すると、
切削能力の高くなるスタンドオフ距離は2カ所現れること
だけを切断することによって、
小骨の除去を容易にする鮭加工
が知られている。
これは噴流構造の変化(層流状態から微少
装置の開発を目的として行った。特に骨と身の選択的切断に
な粒子化水滴を含む乱流状態への変化)
によって切削メカニ
影響のある各種パラメータ
(ノズル径、
ノズル形状、噴出圧力、
ズムが変化するためと解釈されている。本実験で用いた鮭の
切断速度等)の最適値を実験的に明らかにすることによって、
様な軟物質においても、同様な傾向が認められたことは流体
実用的な鮭加工装置の開発を目指した。
力学的に興味深い。
最適切断曲線を求めるために、
鮭の半身をウォータージェット
内容・方法
中圧ポンプ
(最大200気圧程度)
を用いて、
ウォータージェット
で細かく刻み、
身の中に埋没している小骨の分布状態を調べ
による魚体切断試験装置の製作を行った。
この装置には、吐
た。
その結果、小骨は背骨部から上斜め後方に曲線を描きな
出圧力、
切断速度、
ノズルから切断面までの距離等のパラメー
がら分布していることがわかった。
また尾に近付くにつれて小骨
タを任意に設定できるようにするため、
圧力調整回路、
ノズル移
は細くて短くなっていき、
腹びれの後端部から尾にかけては、
小
動の自動制御装置を取り付けた。
またノズルは、口径0.1mm、
骨が存在しないことがわかった。
さらにこれらの分布状態を大き
0.3mmの市販品と、
口径0.5mmの自作品を用意した。実験は、
さの異なる4枚の半身で比較したところ、
小骨の分布状態は相
ウォータージェットの各種パラメータを変化させながら魚体を切
似性の強いことがわかった。
断し、切断面の状態(肉や骨の残り具合、切断深さ等)
につい
今後の展望
て詳細な観察・測定を行い、
その結果に基づいて、吐出圧力、
200気圧程度のウォータージェットで鮭を切断すると、
骨を切
ノズル孔径、切断速度等に関して骨除去に効果的な最適条
らずに肉だけを切断できることがわかった。
したがって、鮭の小
件についての検討を行った。
また魚肉に埋没する小骨の分布
骨除去にウォータージェットが有効であることが確認できた。今
状態を調べ、
骨除去に最適な切断曲線の検討も行った。
後は、切れずに残った小骨を効率的に抜き取る方法を検討す
結果・成果
る必要がある。
そのためには、
ノズル移動の3次元自動化と、
骨
使用した実験装置の最大吐出圧力(約200気圧)
の範囲
位置センサーの開発が不可欠である。
また本装置を実用化す
においては、
小骨は切断されることは無く、
皮や肉だけが切断さ
るためには、加工速度を上げ、生産性を高める必要がある。
そ
れた。
これはウォータージェットによる小骨除去の可能性を示す
のためには切削条件を決めるパラメータをさらに詳細に検討す
ものである。
また最大圧力においても小骨が切断されなかった
る必要がある。
ことから、本実験における吐出圧力pは、使用した実験装置で
最も切削能力が高くなる最大圧力の200気圧の一定とした。
― 44 ―