授業科目名 倫理学概論(全学共通科目) (Intro duction to Ethics) 必修の区分 ※ 単位数 2.0 開講年次 1 講師名 丸橋 裕 所属 看護学部 哲学系 オフィスアワー・場所 ※ 連絡先 ※ 講義目的及び到達目標 倫理学とは、人と人とが対等な交わりを通してよりよく生きるための哲学です。人間 世界の諸問題の根はことごとく対人関係にあります。したがって、いかなる学問を修 め、いかなる職業に就き、いかなる社会生活を送ろうとも、私たちが何らかの倫理的 問題に直面しないことはありません。とりわけ近現代の科学技術とグローバル経済の 展開は、人間を自然から解放し、その生活を豊かにしたかに見える反面、自然環境と 人間生活に予期せぬ反作用をもたらし、世界とその中に生きる人間とを破局へと導き かねない窮境を生み出しています。 本講義の目的は、アリストテレスの徳倫理学、ヒュームの社会契約論、カントの道徳 哲学、ミルの功利主義など、西欧哲学の伝統のなかで緻密に形成されてきた倫理学説 を概観したうえで、現代社会における医療や経済に関する応用倫理学の諸問題を発見 し、その解決のために他者と対話し、自ら考察する力を養うことにあります。 したがって、到達目標は、受講生自身が (1)重要な倫理学説について説明することができ、 (2)医療や経済に関する応用倫理学の諸問題について筋道を立てて考察できることで す。 (2)の内容をより具体的に示せば、以下の三点です。 a) 自分自身が「よく生きること」とはどういうことなのかを倫理学的に説明できるこ と。 b) 各学部の専門領域において生じうる応用倫理学の諸問題を発見できること。 c) その問題を、他者との対話によって、より深く、より正確に考える習慣(モラル) を身につけること。 講義内容・授業計画 序 Ⅰ テキスト 浅見昇吾/盛永審一郎編『教養としての応用倫理学』(丸善出版) 参考文献 永井均『倫理とは何か』(ちくま学芸文庫) 黒崎剛/野村俊明編著『生命倫理の教科書 ─ 何が問題なのか』(ミネルヴァ書房) 岸見一郎『よく生きるということ ─ 「死」から「生」を考える』(唯学書房) 成績評価の基準 対話討論(10%)、プロトコル(25%)、中間レポートないしプレゼンテイション(1 5%)、期末試験ないし最終レポート(50%)などによって総合評価します。 履修上の注意・履修要件 グループによる対話討論を取り入れますので、受講者制限をする場合があります。受 講希望者は初回時に必ず出席してください。 倫理学とは何か 倫理学の諸学説 1 真の幸福とはなにか(プラトンとアリストテレス) 2 社会契約は可能か(ホッブズとヒューム) 3 真の自由とはなにか(ルソーとカント) 4 功利主義はどこまで正当化されるか(ベンサムとミル) Ⅱ 応用倫理学の諸問題(以下の諸問題から受講者の関心の高い問題を取り上げます) 1 情報社会と情報倫理 ─ 統計学は「最強の学問」か 2 医療情報と情報倫理 ─ EBMの限界とNBMの重要性 3 生命倫理と自己決定権 ─ インフォームド・コンセントと意思決定 4 市場社会と生命倫理 ─ 「脳死」下の臓器移植は推進されるべきか 5 性と愛と家族の倫理 ─ あなたは出生前診断を受けますか 6 市民社会と技術倫理 ─ 科学者の社会的責任について 7 技術の発達と動物倫理 ─ 人間のためなら動物実験は許されるか 8 グローバル化とビジネス倫理 ─ 内部告発者は保護すべきか 9 自由主義と環境倫理 ─ 放射性廃物をいかに管理すべきか 10 民主主義と合意形成 ─ 多元的世界における合意形成はいかにあるべきか まとめ 地域に関する学修 該当しません。 備考 倫理学概論は、看護学部のディプロマ・ポリシー、DP4、DP8と、とりわけDP1、D P2と強く関係づけられています。また、生命論(3年次専門関連科目)、哲学ゼミ(4 年次専門関連科目)を履修するための基礎科目でもあります。看護学部生は、人間学 的医学を学ぶための基盤として、哲学概論、倫理学概論の少なくともどちらか一方を 履修してください。
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