乳腺外科 東京山手メディカルセンターは日本乳癌学会認定関連施設です。またマンモグラフィー 検診精度管理中央委員会認定の読影医師と撮影技師のいる施設です。 乳腺外科では、乳がんはもとより乳腺炎、乳管異常分泌等の診療をおこなっています。 乳房に異常を感じたら、ためらわず乳腺外科を受診してください。 外来診療案内: 診療受付 月 火 9:00-11:00 診療 14:00-16:00 × 水 木 金 診療 診療 診療 診療 × × × 乳腺外来 乳腺外科では、月曜日から金曜日の午前中に診療を行っています。金曜午後には乳腺 外来をおこなっています。乳腺外来は完全予約制ですのであらかじめ乳腺外科外来へ の電話予約をお願いします。 病院代表電話番号 03-3364-0251 乳腺外科内線 2120 乳がんの症状 ■乳房にしこりを触れる ■乳頭異常分泌 ■乳頭陥没 ■皮膚のひきつれ ■乳房非対称 これらの中でしこりを触れることが乳がんの中で最もよく認められる症状です。明らかな しこりの場合もありますが、乳房の一部が他の部分に比べてやや硬いといった場合も 乳がんであることもありますので注意が必要です。 乳がんの検査 ■マンモグラフィー 乳腺のレントゲン検査です。 欧米では乳がん検診で触診とともに広くおこなわれており、早期の乳がんの発見率が 増加しています。乳がんの罹患率はいまだ上昇しているのに対して乳がんでの死亡率 は近年低下傾向をみせており、この改善にもっとも寄与しているのはマンモグラフィー 普及による早期の乳がんの発見と考えられています。日本においてもマンモグラフィ ー併用乳がん検診の有効性が認識され、多くの自治体がこの画像併用乳がん検診を 採用してきつつあります。 乳がんのマンモグラフィー 所見は辺縁に毛羽立ちを有する腫瘤影や微細な石灰化の集合等が特徴的所見で す。 乳房のマンモグラフィー 辺縁に毛羽立ちを有する腫瘤 (←腫瘍径 16mm の乳がん) ---------------------------------------------------------------------- ■ 超音波(エコー)検査 超音波により乳腺内部の画像を写し出す検査です。欧米の人に比べ痩せた体格の人 の多い日本人ではエコー検査で腫瘤が明瞭に見えることが多く、マンモグラフィーより乳 がん発見の感度が優れています。民間の検診センターではこのエコーを併用した乳が ん検診を採用している施設も多くあります。 当科では日本超音波医学会認定の医師、 臨床検査技師がこの検査を担当しており、微小乳がんの発見に努めております。 乳腺超音波検査 不整形の乳腺腫瘤 (←腫瘍径 6mm の乳がん) ---------------------------------------------------------------------■細胞診検査 乳がんの疑いがある腫瘤が発見された場合細い針を皮膚より穿刺し、腫瘤内部の細胞 を採取し、乳がん細胞の有無を検査します。エコーによりガイドしながら正確に腫瘤を穿 刺する技術が要求されます。当科では豊富な乳がん検診の実績からまだ乳がんの画像 的特徴がでにくい 10mm 以下の微小な腫瘤の場合でも乳がんを疑う所見についての豊 富な経験のもとに積極的に穿刺をして微小乳がんの発見に努めております。 ---------------------------------------------------------------------- ■生検(組織診) 多くの場合細胞診検査にて乳がんと診断可能ですが、一部の乳がんでは特殊な組織型 のために細胞のみでは診断が難しく、組織の採取が必要となる場合があります。やや太 い針を穿刺して組織を短冊状に採取するか腫瘤全体を手術にて切除する方法をとりま す。この検査にて乳がんか否かの最終的診断が得られます。 乳がんの治療 乳がんではその進行程度に応じて手術、内分泌療法、化学療法(抗がん剤による治 療)、放射線療法を組み合わせて治療を行います。 --------------------------------------------------------------------■手術 乳房温存手術 乳がんの存在する部位の直上に皮膚切開をおき、乳がんの腫瘤から 2cm 離れて正常 乳腺組織をつけたまま乳がんを切除し、腋窩に別の皮膚切開をおき、センチネルリンパ 節生検を行なう手術です。局所再発を防ぐため原則として残存する乳腺に放射線を照 射します。 当科では以下の適応にてこの手術を実施しています。 乳房温存手術の適応 1) 腫瘤の大きさが 3.0cm 以下 2) 腫瘤が乳輪直下に及んでいないもの 3) 各種画像診断にて広範な乳管内進展を示す所見のないもの 4) 多発病巣のないもの 5) 放射線照射が可能なもの 6) 患者が乳房温存療法を希望すること --------------------------------------------------------------------センチネルリンパ節生検 乳癌では 20-30%の頻度で腋窩リンパ節に転移をきたします。いままでは転移をしてい るか否かの診断が不可能であったため全ての患者様に腋窩リンパ節廓清を行なってき ました。しかし、近年最も転移しやすいリンパ節(センチネルリンパ節)を同定する方法が 開発されました。当院では赤外線観察カメラを利用した最新の方法である蛍光法にてセ ンチネルリンパ節生検を行なっております(図)。センチネルリンパ節の転移の有無を術 中に顕微鏡による病理診断にて判定し,転移を認めなかった場合腋窩リンパ節廓清を 省略することが可能になりました。これにより腕のむくみ,痺れ、痛み等の腋窩リンパ節廓 清によって引き起こされる術後後遺症の生じる可能性をゼロにすることができます。当院 では術前の検査にて明らかなリンパ節転移を認めない患者様に積極的に本方法を施行 しています。 蛍光を発するセンチネルリンパ節 ---------------------------------------------------------------------胸筋温存乳房切除術 胸筋(大胸筋や小胸筋という乳房の下にある胸の筋肉)を残して乳房をすべて切除し、 センチネルリンパ節生検を行なう手術です。以前は胸筋を合併切除する手術が標準術 式とされていましたが、現在では本術式を乳房温存手術の適応外の人の標準術式とし て実施しています。胸筋が温存されるため以前の様に皮膚の下に肋骨が浮き出るような ことはありません。乳腺組織が全て切除されるため原則として局所再発はなく、放射線照 射も不要です。 ---------------------------------------------------------------------■内分泌療法 乳がんは基本的に女性ホルモン(エストロゲン)の刺激を受け増殖する性質を持ちま す。したがって女性ホルモンが乳がんの細胞に結合するのをおさえることで再発を防止 することがある程度可能です。切除した標本からこの女性ホルモンの感受性があるか 否 かを検査し、ある場合には本治療をおこないます。 ---------------------------------------------------------------------■化学療法(抗がん剤による治療) 手術後の切除標本にて最終的な乳がんの進行具合が判定されます。以下に示す 6 つの指標 にて再発のリスクがどの程度あるか考慮し、リスクがあると判断した場合に抗がん剤を用いた化 学療法を実施します。 再発危険度の指標 1) リンパ節転移の有無, 個数 2) ホルモン感受性の有無 3) 腫瘍の大きさが 2cm 以上 4) 核異型度 5) 年令 35 歳以下 6)Ki-67 陽性率(腫瘍の増殖能の指標の 1 つ) 当科では FEC 療法(5FU, epirubicin, cyclophosphamide)を 3 週毎に 6 回計 18 週間おこ なっています。 1 回目の治療は入院しておこない、副作用が軽微な場合には、以後は外来にて治療し ています。 ■放射線療法 乳房温存手術を行った場合に、手術を行った側の残存乳腺に局所再発を防止する目的にて 放射線を照射します。約 5 週間外来にて治療します。 乳がんは唯一自分で発見できる悪性疾患です。定期的に自己検診をして異常がある場合 にはためらわず乳腺外科を受診してください。 触診は、入浴時石鹸をつけてすべりやすくなった状態でおこなうと分かりやすいですのでこの方 法をお勧めします。人差し指から小指の 4 本の指を伸ばした状態で、指のはらで手と胸郭との間 にある乳腺組織を柔らかく押しつぶすように触ります。あまり力を入れず硬い部分が無いかどうか を意識して手をゆっくり乳腺全体にわたりすべらせます。閉経前の人は生理前に乳腺がはって分 かりにくくなりますから生理後4-5 日目に触診してください。
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