海水の密度の違いを調べる (1)密度を測る 海水の密度を調べることは,海洋の物理構造を理解する上で大変重要な課題です.海水の密度を直接測 る方法として,比重計を海水に浮かべて測る方法があります.ガラス容器に鉛のおもりを密閉した比重計 を,釣りの浮きのように海水に浮かべます.そうすると,比重計の目盛り部分が水面から浮き上がります. ちょうど水面のところの目盛り読んで海水の密度とします.実際に,船内で比重計を使って海水の密度を 測定してみました. しかし,この方法だと,船が揺れて目盛りが正確に読み取れない,海水の温度変化をどうやって防ぐか, など,測定に関わる様々な問題が浮上します.それで,現在では,海水の水温と塩分から海水の密度を算 出する経験式が確立していて,CTD データを使って,コンピューターですぐに密度が算出できるようにな っています. (2)成層構造 海水は液体なので簡単に混じり合うと,きっと皆さんは思っているでしょう.軽い海水と重い海水はな かなか混じり合わないのです. 表層水を用意して,角形のアクリル水槽に満たした.一方,同じ表層水にローダミンという染料(ピン ク色)を溶かし,それを 2℃に冷却した海水を細いチューブから写真のように水槽内に注入しました.冷 ローダミンを溶かし,2℃ に冷却したの表層水 冷たい海水がチューブから出て, 壁伝いに底層に潜り込む様子. 写真はいずれも参加者の横井大作 さんの提供による. たい海水はチューブから筋のように水槽の壁を伝って底に向かって沈降します.このように,同じ塩分の 海水でも,水温が低くなると密度が大きくり,温かい海水の下に,冷たい海水が潜り込む様子が写真から 観察できます.このように海水の成層構造ができあがります.
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