授業テクニック

NETAC Teacher Tipsheet
授業テクニック
ろう・難聴学生など
視覚学習者のための視聴覚機器の使い方
ろう・難聴学生に対して、いろいろなタイプの授業テクニックを考えるよ
り先にどうしてもやっておかなければならない配慮がいくつかある。主とし
て、視覚入力に頼る必要のある学習者にとって、授業環境を最適の状態にす
るには、教室のセッティング、表示装置の見やすさ、それぞれの技術が最も
効率よく使われるよう充分な配慮が必要である。通常の教室環境で機材を使
用することを考える場合、視覚学習者が機材を使用した授業のメリットを最
大限活かすためには、どの機材がよくてどの機材は避けるべきか、充分考慮
しなければならない。
教室のセッティング
・
学生からの要請があった場合、極力正面近くに立つこと。
・
教室の空間をたて方向に使うこと。
・
机/イスをU字型に配置すると、学生同士のコミュニケーションを最大
にすることができる。
・
窓がある場合、できる限り不透明なカーテンで覆うこと。
・
投影機を使う場合、画面と最後尾の学生の距離を投影画面幅(スクリー
ンサイズではなく)の5倍以内にするという「5:1ルール」を適用する
こと。
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マルチメディア機器の見やすさについて
・テレビ
事前に教室でビデオを再生し、学生が座る可能性のある最も遠い位置に
立ってみること。そして映像がはっきり見えるか、キャプションは読める
かを確認する。
・プロジェクタで投影したパソコンの画面
授業で提示したい部分を表示した上で、学生が座る可能性のある最も遠
い位置に立ってみること。画像ははっきり見えるか、文字は読めるか確認
する。
・OHPシート
目の前の床においた白い紙の上にOHPシートを重ね、直立状態で文字
が読めるか確認する。読めないようであれば投影した状態でも読むのは難
しいと思われる。
・視覚障害者への配慮
学生の中に視覚障害者がいる場合には投影する資料のハードコピーを配
布すること。
授業テクニック
・一度に一テーマを
注意を引きつけるビジュアルなキューは、一度にあまり多用しすぎない
方がよい。学生の注意は室内の極力限られたエリアに集中させる。あまり
歩き回らないようにする。板書中や学生に背を向けている間は話すのをや
める。
・二人同時に話さない
全員によるディスカッションは、野放しにしてはいけない。司会として
一度に二人以上が話さないようにコントロールすること。次に誰に発言さ
せるか決めておくとよい。そうすれば学生たちは次の発言者は誰で、いつ
発言してもよいか知ることができる。答える前に質問をもう一度くり返す
か、わかりやすく表現しなおすことである。
・ペースはゆっくりと
手話を使う、もしくは通訳やALD(補聴援助器具)を使う場合は、そ
れら補助環境がついてこられるようテーマとテーマの間に休みを入れるこ
と。
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・視覚内に余分なものを入れない
できる限り学生の方を向いていること。窓の前に立って講義するのは、
日よけがあってもなくてもしてはいけない。コントラストの強い光はコミ
ュニケーションの妨げになる。飲み物を飲んだり、チューインガムをかん
だりするのもいけない。
あごひげ、口ひげは短くカットしておくこと。長いと唇の動きを読むの
に支障がでる。
・質問を投げかけること
学生が教員のところにやってきて、情報の伝達に関して教員のティーチ
ングスタイルが妥当かどうか意見を述べるのをためらわないような雰囲気
を作ること。講義内容が聞き取れているか、学生の聴力について他の学生
のいるところでなく、個人的に話し合う。
・通訳者と友人関係を築く
音声、手話、キュードスピーチなどの通訳者と仲良くなって授業中の連
係プレーがうまくできるようにする。
・情報は事前に伝えておく
授業の概略と課題について予め知らせておく。
テクノロジーは有効に使う
・ALDS(補聴援助システム)
集合FM、赤外線、誘導ループ、サウンドフィールドシステムなどのA
LDSの存在を意識し、使い方をマスターしておく。
・キャプショニング
授業で使用する映画やビデオにはすべてキャプションを入れ、また可能
な限り事前に概要をプリントし配布しておく。
・同時キャプション(ライブキャプショニング)
CART、C-Print™、RTC、RTGD などコンピュータを使った授業補助機
器を使いこなせるようにしておく。
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・コンピュータを授業に導入する
設備上可能であれば従来のコースプランニングや運用方法から WWW、
データベース、スケジューリングソフト、オーサリングツールなど最新の
ツール類を使う方向へシフトする。これらのツールは視覚中心の授業へ移
行するとともに、コースデザインの基本型(テンプレート)になりつつあ
る。学生が教員の WWW サイトにアクセスすることでコース管理や課題提
出期日設定、宿題の提出、連絡等が容易になる。
・コンピュータソフト
設備上可能であれば 白板、OHP、フリップチャートなどの従来のツール
からウェブデザインソフトやプレゼンテーションソフト、ワープロソフト
などのツールへの移行を考える。
・書画カメラ
−
8.5 ×11 インチの用紙にランドスケープフォーマットで印刷したも
のを用いる
−
18ポイント以上のフォントを使用する
−
フォントは「Arial」または「Palatino」がよい
−
用紙の色に対してコントラストの強い色を使う(用紙を黄色にすると
よい)
・プレゼンテーションソフト
このタイプのソフトとして Microsoft PowerPoint、Corel Presentations、
Adobe Acrobat などがある。
−
フォントサイズは18ポイント以上にする。
−
背景色を濃紺、文字を白色にすると非常に見やすくなる。
−
フォントは「Arial」または「Palatino」がよい。
−
スライド1枚にチャートやグラフは1つだけとする。
−
グラフィックスはできるだけシンプルにする。
−
ソフトのノート機能を使ってプリントアウトしたものを学生に配布す
る。
−
パソコンなどがあれば資料を自分のホームページに公開して学生が復
習できるようにする。
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These materials were developed in the U.S.A. by the Northeast Technical
Assistance Center (NETAC) of the National Technical Institute for the Deaf at
aDepartment of Education. This tipsheet was compiled by Chas Johnstone ,
Seinor AV Specialist, NTID, and translated into Japanese by Prof. Toshiaki
Hirai a faculty member at Shizuoka University of Welfare as part of the
PEPNet-Japan program--a collaborative effort of Tsukuba College of
Technology and PEN-International at NTID.PEN-international is funded by
grants from The Nippon Foundation of Japan to NTID.
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