【痔核・裂肛について】 Q1.痔とは? A1.痔核(外痔核、内痔核)いわゆるいぼ痔、裂肛いわゆる切れ痔、痔瘻いわゆるうみ痔 に分けることができます。 ♦内痔核:痔全体の約6割を占めます。排便や立ち仕事など腹圧がかかることで静脈瘤がで きることで発症します。症状としては出血があります。神経がないところなので痛みはあ まり認めません。内痔核がだんだんひどくなると痔核が次第に大きくなり肛門の外に飛び 出してしまいます。このような状態を脱肛といいます。自分の手で戻せないなどひどくな ると痛みも出現し、手術が必要となります。 ♦外痔核:肛門の外に血栓の固まりができ腫れと痛みを伴います。内痔核と違い神経のある ところにできるので激しく痛みます。多くは坐薬と温浴でしだいにおさまってきます。 ♦裂肛:便秘などで固い便を無理に排便したときに肛門管が傷つき切れたり裂けたりした状 態です。肛門管にはたくさんの神経があるので排便時に激痛が起こります。慢性化すると 肛門潰瘍となり肛門が狭くなってしまいます。そしてますます便の通りが悪くなり傷がひ どくなるという悪循環を繰り返すこともあります。便を軟らかくして出しやすくしてやり ます。 ♦痔瘻:直腸と肛門の境目の小さなくぼみから細菌が入り込み直腸および肛門の周囲が感染 し化膿したものを肛門周囲膿瘍といいます。そのとき直腸と肛門の間にうみの管ができる ことがあります。これが痔瘻です。出口がなかったり、ふさがったりしてうみが外に排出 されないと熱が出たり痛みが出たりします。再発を繰り返すことが多いので手術やそれに 準じる処置が必要となります。 Q2.痔の治療は? A2.多くの場合、鎮痛薬や坐薬、軟膏にてよくなります。それでも良くならないときは ゴム輪結紮術や痔核根治術などが必要となります。 ♦ゴム輪結紮:輪ゴムで内痔を結紮すると数日でその部分が壊死して脱落します。粘膜部分 には神経がないので通常麻酔は必要ありませんが場合によっては麻酔下に行うこともあり ます。日帰りですることができます。 ♦痔核根治術:痔核を切除して結紮する手術です。肛門括約筋を傷つけないように痔核を切 除し、吸収される糸で傷を縫うので抜糸は必要ありません。傷は半閉鎖といって半分だけ 縫い閉じるのがふつうです。麻酔は腰椎麻酔といって腰から下の麻酔で行います。手術後 は肛門に傷ができるので痛みや出血は多少認めます。個人差がありますが通常は飲み薬や 坐薬などの痛み止めを使って我慢できる痛みです。痔核は肛門括約筋より浅い層にできる ため、切除の時に括約筋を傷つけなければ後遺症として肛門がゆるくなったり、狭くなっ たりすることはあまり起こりません。基本的には1週間ほどの入院が必要です。 Q3.痔の手術は保険がきくのですか? A3.ほとんどの治療が保険診療でできます。(PPH や内視鏡を用いたものなど一部認めら れていないものもあります。) Q4.手術後の生活で注意することは? A4.とにかく傷が治るまでは肛門に強い力をかけないことです。適宜便を軟らかくする薬 を内服し便を出すように心がけてください。また重いものを持ったり長時間かがんだりす るのもよくありません。仕事や運動は激しいものでなければ可能です。 痔核・裂肛の治療とその実際 松田肛門科医院 院長 松田直樹 より抜粋
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