力学1 木曜日3・4限 4・5・6クラス L201 8回目 相対運動(p.74) z z 慣性系(O系)においてはニュートンの運動方程式が成り立つ 慣性系に対して相対的に運動している乗物に乗っている人が, その乗物内の物体の力学を考える z z z 乗物に乗っている人の目線(O’系)で考えるほうが都合がよい 地球も自転しているため,時間が長く,広い空間で生じる運動では,地球 の自転による力を受ける 相対的な座標を考える→座標系の変換が必要になる 並進座標系における運動方程式(p.75) z 原点をOとするx,y,zの座標系が慣性系とする z z これをO系,静止系とよぶ→運動方程式が成り立つ 原点をO’として,x,y,zに平行なx’,y’,z’軸を持つような座標系 z z O’の座標は,Oの座標から見たら適当な運動をする 下図のO’を並進座標系という,以後はO’系と呼ぶことにする z’ こちらが 慣性系 運動の法則が成 り立つ (動かない) P z r’ r y’ y O r0 x O’ x‘ 観察する人の 場所 (動く:移動+ 回転も) 並進座標系における運動方程式 z 原点OからみたときのO’の位置ベクトルをr0とする z z O’からみたPの位置ベクトルをr’とする. z z r0(x0,y0,z0)は時間とともに変化する r’=(x’,y’,z’) OからみたPの位置ベクトルrはr=r’+r0となる x = x ′ + x 0 , y = y′ + y 0 , z = z′ + z 0 z’ P z r’ r O y r0 x O’ y’ x‘ 並進座標系における運動方程式 z O系は慣性系のため,質点に働く力をFとすると,運動方程式 が成り立つ m&r& = F z O’における位置ベクトルr’については,加速度を計算して z O’における運動方程式を求める &r& = &r&′ + &r&0 m(&r&′ + &r&0 ) = F m&r&′ = F − m&r&0 z 実際の力のほかに見かけの力が 働いている( − mr && を慣性力という) 0 z’ P z r’ r O y r0 x O’ y’ x‘ 並進座標系における運動方程式 z O’系が &r&0 = a で等加速度運動をしているとき z z 慣性力は-maとなり,時間によらない一定の力になる O’系がv=(vx,vy,xz)で等速度運動をしているとき z z 加速度は0なので,慣性力は0になる その際のO’は慣性系になる(運動方程式が成り立つ) x = x ′ + v x t , y = y′ + v y t , z = z′ + v z t z z ガリレイ変換という ニュートンの運動方程式は ガリレイ変換でも形が変わらない z’ P z r’ r O y r0 x O’ y’ x‘ 例1 上昇するエレベータ中の単振り子 z 一定の加速度aで鉛直方向に上昇しているエレベーター z 静止系( O系)から見たO’系の加速度 &r&0 は(-a,0,0) z 通常の単振り子の問題で見かけ上, 重力加速度がgからg+aに変わった z y’ O’ a m&x&′ = mg − T cos ϕ + ma m&y&′ = −T sin ϕ ϕ l T 微小振動の周期 l T = 2π g+a X’ mg 例2 単振動する台につるされた単振り子 z z z z 水平面上を単振動する台を考える 静止系をO,台の一点O’から振り子がつるされている O’はOの周りを振幅B,角振動数ω0で単振動する 静止系から見たO’系の座標は O’ x 0 = 0, y 0 = B cos ω0 t z y’ 運動方程式は,r’=r0+rより ϕ l T m&x&′ = mg − T cos ϕ m&y&′ = −T sin ϕ + mω B cos ω0 t 2 0 X’ mg 例2 単振動する台につるされた単振り子 z O’における振り子の座標は,糸の長さと,糸がx’軸となす角度 によって, x ′ = l cos ϕ, y′ = l sin ϕ z 時間で2回微分する x& ′ = −l(sin ϕ)ϕ& y& ′ = l(cos ϕ)ϕ& && &x&′ = −l(cos ϕ)ϕ& 2 − l(sin ϕ)ϕ && &y&′ = −l(sin ϕ)ϕ& 2 + l(cos ϕ)ϕ O’ y’ ϕ l T X’ mg 例2 単振動する台につるされた単振り子 z 運動方程式から張力Tを消去する m(&x&′ sin ϕ − &y&′ cos ϕ) = mg sin ϕ − mω02 B cos ω0 t cos ϕ z さらに, &x&′, &y&′ を代入して整理する ω02 B g && = − sin ϕ + ϕ cos ω0 t cos ϕ l l z O’ y’ ϕ 微小振動の場合, ω02 B g && = − ϕ + ϕ cos ω0 t , (sin ϕ ≅ ϕ, cos ϕ = 1) l l l T X’ m g 2次元の回転座標系(p.77) z z 点Oを原点とするx,y,zの座標系(O系あるいは静止系) 同じ点Oを原点として,z’軸は共通,x’,y’軸がxy平面内で回転 する座標系をO’系とする z z z O’を回転座標系という z’はzと共通なので,(x,y)と(x’,y’)の関係について考える O’は角速度ωの等速回転運動を行う(t=0でx’はxと一致) Z,Z’ O j’ i i’ x y’ j y x’ 2次元の回転座標系(p.77) z z 回転する単位ベクトルの時間微分 軸に沿って,長さが1のベクトルiとjを考える z z z 同様にx’y’軸に沿うものをi’,j’とする 時間微分すると以下の関係を得る 長さが1ということを利用している &i = 0, &j = 0 &i′ = ωj′, &j′ = −ωi′ &i&′ = −ω2 i′, &j&′ = −ω2 j′ a=-ω2i’ j’ j v=ωj’ i’ z O’系の単位ベクトルは時間によって 変化する O ω 1 i 2次元の回転座標系(p.78) z &i = 0, &j = 0 &i′ = ωj′, &j′ = −ωi′ O’系の位置ベクトルをrで表す r = x ′i′ + y′j′ z &i&′ = −ω2 i′, &j&′ = −ω2 j′ 時間で2回微分する r& = x& ′i′ + y& ′j′ + x ′&i′ + y′&j′ &r& = &x&′i′ + &y&′j′ + 2 x& ′&i′ + y& ′&j′ + x′&i&′ + y′&j&′ ( z ) 単位ベクトルの微分の関係から &r& = &x&′i′ + &y&′j′ + 2ω(x& ′j′ − y& ′i′) − ω2 (x ′i′ + y′j′) 2次元の回転座標系(p.79) z 位置ベクトルrの時間による2回微分に対して質量mをかけると, 質点に働く力F( O’系において観察される)に等しくなる F = m&r& { } = m(&x&′ − 2ωy& ′ − ω x ′)i′ + m(&y&′ + 2ωx& ′ − ω y′)j′ 2 ′ ′ ′ ′ ′ ′ ′ & & & & & & = m x i + yj + 2ω(x j − y i ) − ω (x ′i′ + y′j′) 2 z 2 O’系における運動方程式は以下のとおりとなる m&x&′ = Fx′ + 2mωy& ′ + mω2 x′ ω3 m&y&′ = Fy′ − 21 m2 x& ′ + mω2 y′ 123 コリオリ力 遠心力 2次元の回転座標系(p.79) z 運動方程式から,遠心力は原点Oから質点の位置Pへ向かう z z 回転する座標では,実際に働く力以外に,コリオリ力と遠心力と いう見かけの力が加わると考える z z O’系で静止している質点にも加わる 回転する座標系に対しても,これらの力を考慮すれば,運動の法則が成 り立つともいえる コリオリ力と遠心力は等速円運動の速度,加速度と関係してい る 円すい振り子の周期(p.80) z 円すい振り子の周期を考える z z z 一端を固定し,他端におもりをつるす 水平面内で等速円運動させる 円運動の中心Oとおもりを結ぶ直線をx’軸と考える z z おもりには重力mg,糸の張力T,遠心力mω2rが働く これらの力の釣り合いを考える T cos θ = mg T sin θ = mω r 2 z コリオリ力は振り子がx’で移動してい ないために生じない h l θ r O X’ 円すい振り子の周期(p.81) z T cos θ = mg, T sin θ = mω2 r の関係からTを消去 ω2 r tan θ = g z Tanθ=r/hより, r ω2 r tan θ = = h g g ω= h T= 2π h = 2π ω g h l θ r O X’ ベクトル積の定義(p.81) z ここで,新たにベクトル積という考え方を導入する z ベクトル積は内積・スカラー積(A・B)と違って,ベクトルを作る C = A×B C = (A y Bz − A z B y , A z B x − A x Bz , A x B y − A y B x ) z A×BとB×Aを比較すると B × A = (B y A z − Bz A y , Bz A x − B x A z , B x A y − B y A x ) = −A × B z 同じベクトルどうしのベクトル積は0になる A × A = (A y A z − A z A y , A z A x − A x A z , A x A y − A y A x ) =0 ベクトル積の例(p.81) z 例となるベクトルA,B,Cを考える A = (A,0,0), B = (B cos θ, B sin θ,0) C = (0,0, AB sin θ) z ベクトル積はAとBが作るモーメントをあらわす z C Bsinθ A x y θ B コリオリ力と角速度ベクトル(p.82) z 各成分が回転軸(図はz軸)の角速度ωに等しいベクトル z z 図の角速度ベクトルはω=(0,0,ω) 大きさ軸の角速度で,右ねじが進む方向を持つ z O’系(x’y’系)で見た質点の速度をv’とする z v′ = ( x& ′, y& ′, z& ′) ω = (ωx , ωy , ωz ) = (0,0, ω) このときコリオリ力は 2m(v′ × ω ) z,z’ ω y’ A で得られる ω x ω x’ B y コリオリ力と角速度ベクトル(p.83) z コリオリ力の式 2m(v′ × ω ) にベクトルを入れて計算 2m(v′ × ω ) = 2m( y& ′ωz − z& ′ωy , z& ′ωx − x& ′ωz , x& ′ωy − y& ′ωx ) { { { { 0 0 0 0 = (2my& ′ωz ,−2mx& ′ωz ,0) z z,z’ 座標の微分で得られたコリオリ力が得られる ω y’ A ω x ω x’ B y コリオリ力の向き(p.83) z 計算したコリオリ力と速度ベクトルの内積を計算 2m( y& ′ωz − z& ′ωy , z& ′ωx − x& ′ωz , x& ′ωy − y& ′ωx )と( x& ′, y& ′, z& ′)の内積 = 2m( x& ′y& ′ωz − x& ′z& ′ωy + y& ′z& ′ωx − x& ′y& ′ωz + x& ′z& ′ωy − y& ′z& ′ωx ) =0 z コリオリ力はO’系での速度と常に直交(角度が90度)する
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