博物館学課程専門科目

 博物館学入門
ミュージアムとはなにか
村田 真
3年 前期 2単位 博物館経営論
美術館の理念と、未来
竹山 博彦
3年 前期 2単位 【授業のテーマ・目標】
ミュージアム(美術館・博物館など)に関する基礎知識を修得し、
なぜミュージアムが必要なのか、いかにミュージアムはあるべきか
を理解する。前半は、ヨーロッパを中心にミュージアムの成り立ち
をたどり、後半は、それがいかに日本に伝わり、いかに定着したか
を学ぶ。最後は、ミュージアムを超えた活動についても触れ、今後
のミュージアムのあり方を考える。ただし、そのつどミュージアム
に関する新鮮な話題や重要なニュースがあれば採り入れていく。
【授業の内容】
第1週 博物館学とはなにか 博物館法について
第2週 ミュージアムの歴史①コレクションの形成
第3週 ミュージアムの歴史②ルーヴル美術館誕生
第4週 ミュージアムの歴史③万博と博物館
第5週 ミュージアムの歴史④展示の移り変わり
第6週 ミュージアムの歴史⑤MoMAの功績
第7週 学芸員の役割
第8週 日本のミュージアム①東博の成り立ち
第9週 日本のミュージアム②東京都美術館の功罪
第10週 日本のミュージアム③私立美術館と百貨店
第11週 日本のミュージアム④バブル以降の美術館
第12週 日本のミュージアム⑤アートツーリズム
第13週 脱ミュージアム①オルタナティヴスペース
第14週 脱ミュージアム②アートプロジェクト
第15週 ミュージアムの未来
【事前・事後学修】
[事前学修]週1回は美術館(展覧会)を訪れること(週1時間)
。
[事後学修]訪れた美術館(展覧会)について、授業で学んだ点を
中心に小レポートを作成すること(週1時間)。
【テキスト・教材】
とくにない。
【成績評価の方法・基準】
試験50%、平常点(小レポート、授業中の発言、発表)50%
【参考書】
そのつど紹介する。
【注意事項】
課題として、美術館・博物館に行ってもらうことがある。
【授業のテーマ・目標】
美術館は、形態、活動の両面において日々変化し、進化していく生
命体であるという考えに基づき、適切な管理・運営のあり方を理解
し、美術館経営(ミュージアム・マネージメント)に関する基礎的
能力を養う。さらに、今後多様化する社会における美術館像につい
て考える。
【授業の内容】
第1週 美術館という生命体
第2週 ミュージアム・マネージメントとは
第3週 芸術資本論で始まる、行財政制度と財務
第4週 多様化の時代に対応するハード・ウェア
第5週 活動体としての美術館(組織と職員構成)
第6週 美術館見学
第7週 美術館の使命、計画と評価
第8週 美術館の行動規範(倫理規定)
第9週 福祉社会と危機管理
第10週 文化創造基地としての美術館(情報とセキュリティー)
第11週 市民参画(美術館支援とボランティア)
第12週 ネットワークの構築
第13週 行政・教育研究機関等との連携
第14週 環境と美術(地域社会と美術館)
第15週 美術館の未来
【事前・事後学修】
【事前学修】毎回、次回の授業に関連する課題を提出するので、事
前に作成しておくこと。(学修時間 週2時間)
【事後学修】授業の復習を行うこと。特に授業で指摘した専門用語
等の理解をはかること。(学修時間 週2時間)
【テキスト・教材】
適宜、プリントを配布します。
【成績評価の方法・基準】
レポート(30%)、テスト(70%)で評価します。
【参考書】
授業中に指示します。
【注意事項】
美術館見学は、通常の授業と別の日時で実施します。その週の授業
日は休講扱いとなりますので、注意してください。なお別の日の授
業を美術館見学にふりかえる場合があります。
― 418 ―
-1-
博物館資料論
資料が意味するもの
塚田 美香子
3年 前期 2単位 博物館教育論
教育機関としての美術館
竹山 博彦
3年 後期 2単位 【授業のテーマ・目標】
美術館における「学び」とは何かを命題にして、教育活動の基盤と
なる理論や実践に関する知識と方法を習得し、教育機関としての美
術館に関する基礎的能力を養う。
【授業の内容】
第1週 授業の目的説明・ガイダンス
第2週 「学び」の意義、品格形成としての「美育」
第3週 生涯学習と美術館教育
第4週 学術研究機関としての美術館
第5週 美術館教育の意義
第6週 美術館教育の方針と評価
第7週 美術館利用の促進のために(支援とボランティア)
第8週 美術館見学
第9週 美術館教育の特性(体験と鑑賞)
第10週 美術館教育の専門性(担い手と役割)
第11週 美術館と学校教育
第12週 企画と実施① 教育プログラムの作成
第13週 〃 ② 教育アイテムの開発と活用
第14週 拡張する教育活動① 館内から館外へ
第15週 〃 ② 地域との共生
【事前・事後学修】
【事前学修】毎回、次回の授業に関連する課題を提出しますので、
事前に作成しておくこと。(学修時間 週2時間)
【事後学修】授業の復習を行うこと。特に事業で指摘した専門用語
等の理解をはかること。(学修時間 週2時間)
【テキスト・教材】
適宜、プリントを配布します。
【成績評価の方法・基準】
レポート(30%)、テスト(70%)で評価します。
【参考書】
授業中に指示します。
【注意事項】
美術館見学は、通常の授業と別の日時で実施します。その週の授業
は休講扱いになりますので、注意してください。なお別の日の授業
を美術館見学にふりかえる場合があります。
博 物 館 学
【授業のテーマ・目標】
博物館・美術館の資料の収集、分類、整理等の基本的な技術の取
得と調査研究と公開について学びながら、さらには調査研究活動に
ついての理解を深めるために、系統別の博物館・美術館や最新情報
をもとに解説する。
講義は、パワーポイントや映像、配付プリント等で具体例等を紹
介し、意見交換の場を設けて、博物館・美術館資料の多義性を理解
する。資料に関する基本的な知識をもとに、その理論と博物館・美
術館の調査研究活動への理解を通して、実地に対応できる力を養成
する。
【授業の内容】
第1週 ガイダンス 授業目的の説明、課題について
第2週 博物館・美術館の資料とは 資料の価値と多義性
第3週 資料の収集理念、手段と方法
第4週 資料の分類 一次資料と二次資料、その他の資料
第5週 資料の整理 資料整理と台帳登録、データベース化
第6週 資料の管理 資料化への過程
第7週 資料の写真撮影 撮影方法、整理、活用
第8週 資料の展示と公開の意義
第9週 資料の調査研究の対象、公開、還元、事例研究
第10週 資料の活用 展覧会、教育普及、図録制作、特別利用
第11週 地域と資料 博物館・美術館との関わり
第12週 資料に関する最新の博物館・美術館活動
第13週 国立や私立美術館の見学
第14週 研究課題の発表と意見交換
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
美術館や博物館にはどのような作品や資料があるのか、事前に収蔵
品目録等で調べておくこと。授業時に配布した資料、ノートをよく
読む。1時間以上の復習をする。研究発表の課題を発表日までに調
査してまとめること。
【テキスト・教材】
授業時に独自のプリントを配布する。
【成績評価の方法・基準】
試験 70%、課題 20%、授業態度・積極的な発言等 10%
試験は論述形式。研究課題は博物館・美術館の資料に関するテーマ
について。発表形式はグループ発表。
【参考書】
授業時にその都度指示する。
【注意事項】
美術館見学に要する入場料・交通費等は自費。見学日時は未定だ
が、日曜日に実施予定。
― 419 ―
-2-
生涯学習概論
―学習を重ねることの意味を探る―
岡田 純一
3年 前期 2単位 博物館情報・メディア論
野口 剛
3年 後期 2単位 【授業のテーマ・目標】
本講義では、生涯学習及び社会教育の本質と意義の理解を図り、
教育に関する法律・自治体行財政・施策、学校教育・家庭教育等と
の関連、並びに社会教育施設、専門的職員の役割、学習活動への支
援等の基本について理解することを主なねらいとする。
この際、とくに下に掲げた講義概要における16項目に触れ、幅広
い領域である生涯教育・生涯学習におけるさまざまな視点からの総
合的な把握を図るとともに、教育学の視点から学芸員や司書として
現場で役立つ知識や考え方を身に付けることを中心に捉えたい。
加えて、講義においてほぼ毎回行うことに、「自己をみつめなお
す作業」がある。具体的に述べればB5用紙1枚の分量で20分程度の
時間を使い、テーマに沿った内容で自らを捉えなおし、それを書き
留めていくことを行う。これは、教育とくに、生涯教育・生涯学習
の場ではきわめて重要な点のひとつとされる自主性や、自己主導的
学習とも深い関連があるため、これを履修者自らが身に付けること
を目的とし、実施するものである。
【授業の内容】
【指針】1.生涯学習の起源と当時の情勢 2.生涯学習の原理と必
要性 3.社会、文化の発展と生涯学習の関係 4.わが国の生涯学習
の変遷 5.発達段階・発達課題と生涯学習 6.生涯学習態度形成 7
.生涯学習関連施設 8.資格と生涯学習 9.メディアと生涯学習(
広報、学習情報提供、学習相談) 10.ボランティアと生涯学習 11
.障害のある人と生涯学習 12.学校と生涯学習の関係 13.企業と
生涯学習の関係 14.まちづくりと生涯学習 15.評価と生涯学習 1
6.今後の生涯学習の発展方向【内容】第1回:オリエンテーション
(講義の目的、課題の提示、内容、すすめ方、評価方法)第2回:自
己をみつめなおす作業(以下「自己」と略)①、生涯学習の起源と当
時の情勢(講義)① 第3回:自己②、生涯学習の起源と当時の情勢②
第4回:自己③、生涯学習の原理と必要性① 第5回:自己④、生涯
学習の原理と必要性② 第6回:自己⑤、社会、文化の発展と生涯学
習の関係 第7回:自己⑥、わが国の生涯学習の変遷 第8回:自己⑦
、発達段階・発達課題と生涯学習、生涯学習態度形成 第9回:自己
⑧、生涯学習関連施設、資格と生涯学習 第10回:自己⑨、メディ
アと生涯学習(広報、学習情報提供、学習相談)第11回:自己⑩、ボ
ランティアと生涯学習、障害のある人と生涯学習 第12回:自己⑪
、学校と生涯学習の関係、企業と生涯学習の関係、まちづくりと生
涯学習 第13回:自己⑫、評価と生涯学習 第14回:自己⑬、今後の
生涯学習の発展方向① 第15回:今後の生涯学習の発展方向②
【事前・事後学修】
事前学修としては、テキストを読み、生涯学習に関する理解を深
めること。事後学修としては、講義後わからない箇所を放置せず、
徹底した復習を心がけること。
【テキスト・教材】
岡田純一『評価の探究 これからの生涯学習社会へ向けて』(樹
村房)
【成績評価の方法・基準】
基本的に定期考査により評価する。但し、出席については厳しく
扱う(学生は勉学が本業であり、講義を大切に受講することが必要
と考える。また、講義に出席しなければ当然のことながら定期考査
の問題を解くことが困難となる)。このため、1回欠席する毎に
-10点とする。講義中の態度が著しく不良と判断する場合、減点す
ることがある。この他レポート課題を1回設ける。レポートについ
ては20点満点で評価し、これを定期考査の結果に算入する。総合点
が60点を超えない場合は不可とする。
【参考書】
テキスト以外の図書については講義内で指示する。
【注意事項】
授業計画については、履修者の学習深度により、順序等を変更す
ることがある。
【授業のテーマ・目標】
情報化が進む現代のあらゆる分野と同様、博物館(美術館)にお
いても、情報とそれを媒介するメディアの役割が重視されています
。しかし、博物館が情報をめぐって有する多機能性、すなわち博物
館が取り扱う資料(作品)の多くが歴史的にメディアの一種である
こと、そしてまた博物館そのものがメディアであることを思えば、
そこでの情報やメディアは多義的です
この授業では、博物館における情報の意義とメディアを通じた情
報発信の現状について、実際の事例にもとづきながら学び、博物館
情報の提供、活用に関する基礎的能力を養います。
【授業の内容】
第1週 序論 博物館における情報とメディア
第2週 情報とメディアの発達史
第3週 メディアとしての博物館
第4週 情報とメディアの基礎理論
第5週 メディアを活用した展示手法
第6週 校外実習:江戸東京博物館(予定)
第7週 メディアとしての音声ガイド
第8週 博物館メディアリテラシー
第9週 インターネットと博物館
第10週 デジタルアーカイブ
第11週 博物館とユニバーサルデザイン
第12週 校外実習:国立科学博物館(予定)
第13週 著作権と博物館
第14週 展覧会カタログというメディア
第15週 総括
【事前・事後学修】
【事前学修】テキストの指定個所を読み、予習すること。
【事後学修】配布したプリントを復習すること。指示に従い小レポ
ートを提出すること。
【テキスト・教材】
日本教育メディア学会編『博物館情報・メディア論』(ぎょうせい
2013年)2,381円+税
また、上記テキストとは別に毎回プリントを配布します。
【成績評価の方法・基準】
小レポート30点、期末試験40点、平常点(授業態度)30点で評価し
ます。
【参考書】
参考図書や文献は、授業において示します。
【注意事項】
美術館・博物館での見学授業(校外実習)を2回程度行う予定に
しています。土曜日もしくは日曜日に実施します。見学は、上記の
順番とは異なる場合があります(詳細は授業中にお知らせします)
。
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-3-
博物館展示論
「展示」の理論と実践
長谷川 珠緒
3年 後期 2単位 博物館資料保存論
山盛 弥生
3年 後期 2単位 【授業のテーマ・目標】
美術館や博物館には、大切に守り伝えられてきたさまざまな種類
の資料が収蔵されています。それらの資料を、良好な状態で保存し
次世代に伝えていくことは、美術館・博物館の大きな役割の一つで
す。しかし、資料は時間とともに劣化していくものでもあります。
資料の劣化を最小限にとどめるためには、資料保存に関する基本
的な知識が必要とされます。本講義では、資料保存の意義、資料の
修理、資料の劣化要因とその対策、資料に適した保存環境、保存と
公開の両立の問題点などについて学び、資料保存に関する基本的な
知識と技術についての理解を深めることを目標とします。
【授業の内容】
第1週 授業の目的・内容・進め方
第2週 資料保存の意義
第3週 資料の状態調査
第4週 資料の修理① 修理の目的
第5週 資料の修理② 修理の方法
第6週 資料の劣化の要因と対策① 温湿度・光
第7週 資料の劣化の要因と対策② 大気
第8週 資料の劣化の要因と対策③ 生物被害
第9週 資料の劣化の要因と対策④ 災害
第10週 資料の劣化の要因と対策⑤ 衝撃、振動
第11週 資料の保存と活用① 収蔵庫、展示室、展示ケース
第12週 資料の保存と活用② 伝統的保存方法
第13週 美術館・博物館見学 資料保存対策とその効果、問題点
第14週 資料の保存と活用③ 資料の科学調査
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
【事前学修】次回の授業に関連する課題を出しますので、各自で調
べて、小レポートを作成し提出すること(学修時間:週2時間)。
【事後学修】前回の授業ノート・配布プリントを次回授業までによ
く読んで復習しておくこと(学修時間:週2時間)。
【テキスト・教材】
プリントを使用します。
【成績評価の方法・基準】
レポート70%、平常点(授業態度、課題提出)30%で評価します。
【参考書】
授業中に適宜指示します。
【注意事項】
美術館・博物館見学授業は、土曜、日曜、祝日のいずれかに振り替
えて実施します。特別な事情がない限り欠席しないこと。見学のた
めの交通費、入館料は、各自負担となります。特別な理由で見学実
習を欠席する場合は、必ず事前に申し出て、別の日に見学をするこ
と。
― 421 ―
-4-
博 物 館 学
【授業のテーマ・目標】
美術館・博物館における展示という機能について多角的に検証し、
理論および方法に関する基礎的な知識・技術を習得することを目標
とする。日本の美術館で行われる一般的な大規模企画展の展示をモ
デルに、美術館における展示の重要性、展覧会企画全般の作業のな
かでの展示のプロセス、目的、展示にまつわるさまざまな実務等に
ついて具体的な事例をもとに考察する。さらに現代美術の展示、海
外の美術館の展示についても考える。
【授業の内容】
第1週 はじめに(授業内容の確認、注意事項など)
第2週 美術館・博物館における展示の役割と意義
第3週 展示の諸形態(近代美術館の展示から現代美術まで)
第4週 展覧会調査 1(展覧会構成要素の確認)
第5週 展覧会調査内容の検証(発表、討議)
第6週 展示の実際① 企画立案と展示設備との関係性
第7週 展示の実際② 出品条件、作品の扱い、展示設備の検討
第8週 展示の実際③ 作品管理と関係者との協力
第9週 展示の実際④ 展示リストの確定から展示の実現まで
第10週 展示の実際⑤ 展示作業、専門人員との協力
第11週 展示の実際⑥ 展示解説と関連印刷物(図録類との連携)
第12週 展示の実際⑦ 会場での解説活動
第13週 現代美術の展示(作家との協力、多様な展示例)
第14週 展覧会調査 2(総合的検証)
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
事前学修
・予習を兼ねた関連資料を配布するので、目を通してくること。
事後学修
・美術館・博物館などを訪れ、様々な展示の形式に触れることはも
とより、「展示」という視点をもって見学することを心がける。
・展覧会カタログを手に取り、前/後付け部分の文字情報および章
だて(構成)に留意して目を通す。
【テキスト・教材】
・テキストは使用せず、必要に応じて資料を配布する。予習復習を
兼ねた配布物となるので、授業時に必ず持参すること。
・授業では実例を紹介するために多くの画像を使用する。
【成績評価の方法・基準】
・期末試験(50%)、課題(40%)、平常点(10%)。平常点は毎回
の授業に対する積極的な取り組み、および授業内提出物において
評価する。
・期末試験は論述形式で、問題は予め公表する。課題は展覧会見学
に関するレポート。
【参考書】
・日本展示学会編『展示論―博物館の展示をつくる―』(雄山閣、
2010年)
・大堀哲・水嶋英治編著『博物館学II 博物館展示論・博物館教育
論』(学文社、2012年)
・黒沢浩編著『博物館展示論』(講談社、2014年)
・講義内容に応じて授業中に指示する。
【注意事項】
・展示論を学ぶにあたり、実際の展示を検証することが不可欠とな
るため、期間中に都内で開催されている展覧会を1回ないし2回行
う予定(授業の振り替えとする)。なお見学のための費用は自費
とする。
・見学する展覧会の会期の関係上、講義の順番が記載されたものと
変更になる場合がある。
博物館実習1a
作品の取り扱いと学芸員の実務について学ぶ
佐々木 英理子・廣海 伸彦・水田 至摩子
3年 前期・後期 1単位 博物館実習1b
学外実習に出るために必要なことを身につける
児島 薫・中村 友代・中村 玲
3年 集通 1単位 【授業のテーマ・目標】
博物館学課程では4年次に学外の施設に受け入れていただいて実
習をおこなうことになるが、3年次にはそのための準備学習をおこ
なう。この授業では、少人数クラスに分かれて、美術館学芸員の講
師のもとで、学芸員の仕事、倫理、マナーの実際について、実習を
通じて理解を深める。
授業のなかでは実際に様々な種類の作品に触れ、取り扱いを学ぶ
ので、服装や持ち物など、授業中の指示をよく聞き、従うこと。
作品に対する敬意をもって安全、丁寧に、ものを扱うこと、礼儀
正しくふるまうこと、間違いなく正確に物事を理解すること、互い
にコミュニケーションを取りグループで行動することなど学芸員に
必要な態度、能力を身につけることを目標とする。
実習は前期2クラス、後期2クラスの4クラスに分かれておこなう
が、クラス分けは博物館学課程からの指示に従うこと。前期後期と
もその時間帯に他の授業を登録しないこと。 【授業の内容】
1.イントロダクション 美術館の活動と施設について
2.美術館の活動と施設について(見学実習1)
3.美術工芸品を扱う心構えと注意事項
4.掛け軸と箱の取り扱い(1)各部の名称と機能、構造
5.掛軸と箱の取り扱い(2)取り扱い練習
6.巻子・掛軸と箱の取り扱いの心得、各部の名称と機能、構造
7.巻子・冊子・帖の取り扱い
8.屏風の取り扱い練習
9.美術館の展示について(見学実習2)
10.展覧会の作り方(1)展示プランの作成
11.展覧会の作り方(2)図録の作成
12.茶碗などの取り扱い
13.冊子、帖の取り扱い
14.茶碗・茶器の取り扱い
15.まとめ、ノートの作成
(授業内容は見学館、教材使用の都合等からクラスによって順番が
異なる。クラスごとの授業内容は、最初の授業時に配布する。)
【事前・事後学修】
事前学修:授業以外にも自主的に美術館、博物館見学をおこなうこ
と。
事後学修: 授業後に学んだことを整理してノートに記し、次回の
授業までによく読み、理解しておく。
【テキスト・教材】
授業中に指示する。
【成績評価の方法・基準】
平常点(授業への積極的な取り組み、実習への熱心な参加、実習内
容の習熟度)70%、レポート30%。
【参考書】
授業中に適宜指示する。
【注意事項】
遅刻、やむおえない事情以外の欠席は認めない。実習には見学実
習も含まれる。日曜、祝日に振り替ることがあるが、特別な事情が
無いかぎり、自己都合で欠席しないこと。万一欠席する場合は、事
前に申し出て指示に従うこと。見学のための交通費等は自費となる
。実習にふさわしい身だしなみに気を配ること。
【授業のテーマ・目標】
授業を通じて、4年次におこなう学外実習のために必要な心がま
え、社会人としてのルール、マナー、言葉遣いなどを身につける。
また「博物館実習1a」とともに、学外実習のための予備学習をお
こなう。学内の施設である香雪記念美術資料館を活用し、その設備
、運営、展示・収集・研究活動などについて学ぶ。また学外の美術
館の見学実習をおこない、多様な施設、活動についても理解を広げ
る。実際に物を扱う練習、外部講師を招いての梱包実習もおこなう
。
一年間を通じて、随時、学外実習館への応募のための個別指導も
行う。履歴書、応募レポートなどの作成や提出の指導を通して、4
年次に学外実習に主体的に参加できるよう準備する。
【授業の内容】
1.ガイダンス 履修登録、履修の注意、日程表配布(集中授業のた
め、時間割表に表示されない授業なので、充分注意すること)
2.事前指導:身上書など書類の記入方法、manabaでのレポート提出
方法について。
3.事前指導:受講手続きの注意と自己点検
4.来年度実習したい博物館、美術館の事前調査
5,実習希望館についての調査レポート、履歴書などの書き方
6.実習希望館見学に基づくレポートの作成と検討 7.香雪記念資料館見学実習(1)収集と研究
8.香雪記念資料館見学実習(2)展覧会活動
9.実習ノートの使い方
10.作品の取り扱いと梱包:作品の種類と運搬、梱包、輸送の注意
11.梱包実習
12.実習ノートの書き方
13.見学実習①公立の美術館(収集品、展示方法、設備など)
14.見学実習②私立の美術館(収集品、展示方法、設備など)
15.来年度の実習に向けてのまとめ
【事前・事後学修】
事前学修:キャンパス・メンバーズやぐるっとパスを活用し、自主
的にできるだけ多くの美術館、博物館を見学すること。
事後学修:適宜授業内で指示されたとおり、提出物を準備し、よく
確認し、遅延なく提出するようにスケジュール管理する。ノートや
配布物を読み返し、理解を深めること。
【テキスト・教材】
授業中に配布するプリント、実習ノート。
【成績評価の方法・基準】
授業への積極的な参加態度50%。遅刻は欠席とみなす。無断欠席は
認めない。レポートなど提出物50%。期日におくれた提出物は受理
しない。
【参考書】
指定図書コーナーに指定図書として配架する。
【注意事項】
不定期に集中形式でおこなう授業のため、時間割内に表示されない
ため、受講の登録には充分注意すること。掲示で日時を周知するの
で掲示に注意すること。授業は5時限後などにおこなうことが多く
休日に見学をおこなう場合もある。絶対に自己都合で欠席しないこ
と。期限内に提出できなかった提出物は原則として受理しない。博
物館学課程の掲示板やmanabaに注意し、呼び出しには速やかに対応
すること。展覧会見学にかかる交通費等は学生の自己負担である。
― 422 ―
-5-
博物館実習2
―学外で美術館活動を体験する―
仲町 啓子・児島 薫・中村 友代・中村 玲
4年 集通 1単位 美術史概論a
国宝でたどる 日本美術史
三戸 信恵
3年 前期 2単位 【授業のテーマ・目標】
美術の展覧会で、一人でも多くの来場者を迎えるためには、どんな
作品が鑑賞できるのか、見どころは何かなど、アピールポイントを
明確にすることが重要です。日本美術を対象とした場合、時代やジ
ャンルを問わず、有効な告知効果を持つ手段の一つとして、「国宝
」というキーワードが挙げられます。「国宝」の語は、うたい文句
として、展覧会だけでなくテレビ番組や出版物などにも広く活用さ
れており、皆さんも少なからず目や耳にしたことがあるのではない
でしょうか。
本授業では、古代から近世までを対象に、国宝に指定された作品を
中心に据えながら、日本美術の歴史を概観します。また、「国宝」
という切り口を通じて、日本美術に対するアプローチの方法や、社
会と美術史のつながり、ミュージアムの社会的役割についての理解
も深めてゆきたいと考えています。
【授業の内容】
第1週 はじめに:授業内容の確認、教材の説明など
第2週 「国宝」とは何か
第3週 縄文時代:火焔型土器と縄文のヴィーナス
第4週 弥生・古墳時代:銅鐸と副葬品に見る国際交流
第5週 古墳~奈良時代:装飾古墳と高松塚古墳壁画
第6週 奈良時代:仏教美術と正倉院宝物
第7週 平安時代(1):密教美術と浄土教美術
第8週 平安時代(2):世俗画と絵巻
第9週 鎌倉~南北朝時代:ゆらぐ像主、「源頼朝像」
第10週 室町時代(1):東山御物と座敷飾り
第11週 室町時代(2):漢画とやまと絵
第12週 桃山時代:狩野永徳「洛中洛外図屏風」と長谷川等伯「松
林図屏風」
第13週 江戸時代(1):風俗画と出版文化
第14週 江戸時代(2):琳派と文人画を中心に
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
【事前学修】レポート、宿題等の課題に取り組むこと(学修時間 週2時間)
【事後学修】前回の授業のノートを読み直し、専門用語等は調べて
次回までに理解しておくこと(学修時間 週2時間)
【テキスト・教材】
教科書は特にさだめず、授業中にプリントを配布します。
【成績評価の方法・基準】
平常点(授業態度、コメントペーパー)25%、中間レポート25%、
試験50%で評価します。
【参考書】
各講義内容にあわせて授業中に紹介します。
【注意事項】
普段から美術館、博物館で開催される展覧会に足を運び、実際の作
品世界になるべく触れる機会を作るように心がけてください。
― 423 ―
-6-
博 物 館 学
【授業のテーマ・目標】
学芸員資格取得希望者は、学外の博物館、美術館、香雪記念資料
館などの実習先に、決められた期間通い、実際に美術館や博物館な
どのスタッフがどのような仕事をしているかを学ぶことになる。事
前指導として、実習に関する注意事項や心構えなどについて講義
し、提出書類については適宜個別指導もおこなう。実習後には、実
習ノート・レポートを作成し報告をおこなう。
博物館・美術館の仕事の内容はそれぞれの館によって異なり多岐
にわたるため、実習先の機関の特性によって学ぶ内容は様々である
ので、実習先の方々の指示をよく聞き、従うこと。博物館学課程の
総仕上げともいうべき貴重な機会なので、積極的な気持ちで臨んで
ほしい。
【授業の内容】
1.博物館実習の目的と意義
2.事前見学とアクセス方法、緊急時の対応などについて確認
3.事前レポート、履歴書の作成
4.実習についての注意事項、心構え、マナー等の確認
5.実習ノートの配布と記入方法の確認
6~13.各自の実習先(学外の博物館・美術館・香雪記念資料 館など)で学外実習
*実習先の指示に従い、積極的に参加すること。
14.実習ノートの整理と提出
15.レポートの作成および報告
【事前・事後学修】
事前学修:実習館への経路、所要時間、緊急の場合の連絡方法、迂
回経路を確かめる。ガイダンスなどでの配布プリントをよく読み、
注意事項を確認する。実習ノートにあらかじめ必要な事項を記入す
る。
事後学修:実習ノートを清書し、実習で学んだことをよく復習する
。
【テキスト・教材】
ガイダンス授業で適宜プリントを配布する。また、実習ノートを
配布する。その他は実習先の指示に従うこと。
【成績評価の方法・基準】
実習先での評価50%、ガイダンス授業の出欠状況等の平常点
30%、実習ノート・レポート20%とし、総合的に評価する。実習の
遅刻欠席は認めないが、万一そのような場合には大幅な減点となる
。提出物の遅延も大幅な減点となる。
【参考書】
無し。
【注意事項】
資格に関する科目であるという性質上、原則として、ガイダンス
授業の欠席・遅刻は認めない。提出物に関しては締切りを厳守する
こと。
実習先では実際に仕事をしている方々のなかで学ぶので、指示を
厳守し、社会人になったつもりで、責任ある行動を取ること。実習
先では課題に積極的に取り組むこと。遅刻・欠席は絶対に許されな
いので、体調管理に気をつけること。
実習の終了後は、すみやかに報告し、レポート、実習ノートを指
示にしたがって提出すること。
美術史概論b
日本の近代・戦後美術
中村 麗子
3年 後期 2単位 工芸史概論a
中国陶磁史
山田 正樹
3年 前期 2単位 【授業のテーマ・目標】
展覧会を企画するには、基本となる知識を土台として、独自の切り
口を見つける作業が欠かせない。この講義では、1. 日本の多くの
美術館が扱う日本近代美術、戦後美術の基本的知識を身につけ、2.
実際に開催されている展覧会を例として取り上げ、こうした知識
がどのように展示に応用されているかを分析することで、自ら展覧
会を企画できる力を養う。
【授業の内容】
第1週 授業について
第2週 概論・事前学習(1)明治 美術をめぐる制度・西洋美術
の導入
第3週 概論・事前学習(2)明治 新たな表現の創出に関する諸
問題
第4週 概論・事前学習(3)大正 『白樺』の影響力
第5週 概論・事前学習(4)大正 日本画・彫刻・版画界の動き
第6週 概論・事前学習(5)昭和 前衛芸術
第7週 概論・事前学習(6)昭和 戦争と美術
第8週 概論・事前学習(7)昭和 戦後美術の出発、実験工房、
具体美術協会
第9週 概論・事前学習(8)昭和 アンデパンダン、反芸術、も
の派、概念芸術
第10週 見学 MOMATコレクション(於 東京国立近代美術館)
第11週 分析 MOMATコレクション
第12週 事前学習 山田正亮
第13週 見学 山田正亮展(於 東京国立近代美術館)
第14週 分析 山田正亮展
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
【事前学修】「テキスト・教材」に記載されている書籍の該当頁を
読み、専門用語等を理解しておくこと。(学修時間 週30分)
【事後学修】小テストに備え、「テキスト・教材」に記載されてい
る書籍の該当頁と授業中に配布したプリントを読み直すこと。(学
修時間 週1時間)
【テキスト・教材】
辻惟雄・泉武夫編『日本美術史ハンドブック』(新書館、2009年)
2000円(税抜)
授業中に配布するプリント
【成績評価の方法・基準】
小テスト40%、レポート60%
【参考書】
『日本美術館』小学館、1997年
【注意事項】
2回見学授業を実施する。美術館の夜間開館の時間帯(金曜19時~
20時)に行う。具体的な集合場所等は授業中に指示する。展覧会の
スケジュールによっては通常講義と見学授業の順番が入れ替わる場
合がある。
授業中の見学以外にも、積極的にさまざまな美術館を見学するこ
とが望ましい。その際、どのような切り口で展覧会が構成されてい
るかに留意すること。
【授業のテーマ・目標】
東洋陶磁の基礎的な装飾技術とその発展について学習しながら、
中国陶磁史を概観する。あわせて中国陶磁が日本・朝鮮半島・東南
アジア・西アジア・ヨーロッパの各地域に対して及ぼした影響につ
いても考察したい。日常の食器などとして、我々の生活のなかでも
身近な工芸品である「せともの」「やきもの」とのつながりを感じ
ながら、美術品である中国陶磁についての理解を深め、その鑑賞を
楽しんでもらいたい。
【授業の内容】
1.やきものとは何か
2.中国古代の文化と土器
3.青磁と鉄釉の発達
4.白磁の誕生と展開
5.鉛釉と三彩
6.白化粧の陶器―磁州窯系の広がり
7.宋代の名窯①(華北)
8.宋代の名窯②(華南)
9.元青花 釉下彩技法の誕生
10.明代の青花と五彩①(洪武~正徳)
11.明代の青花と五彩②(嘉靖~崇禎)
12.清朝の陶磁―粉彩と色釉、「写し」のやきもの
13.世界へ広がる中国陶磁―アジア、イスラム諸国およびヨーロッ
パへの影響
14. 美術館見学(日時未定、土曜もしくは日曜に実施予定)
15. まとめ
【事前・事後学修】
陶磁器を含む工芸に対し、積極的な関心をもち、美術館・博物館
等へ足を運ぶこと。日本および世界史(とくに中国史)に関する基
礎的知識をもっていることを受講の前提とする。また世界史におけ
る横軸の時代観念をもっていることが望ましい。
事前学修としては下記の参考書を読むこと。事後学修としては美
術館・博物館等で講義中に挙げられた作品やその類品を実見するこ
と。
【テキスト・教材】
授業ごとに適宜資料の提示、プリントの配布を行う。
【成績評価の方法・基準】
毎回授業の最後に、授業内容もしくは授業中に提示した作品等に
関する小レポートの提出を求める。この小レポートを授業(受講)
態度の評価基準とする。また美術館見学に関するレポートを課題と
する。
平常点(授業態度、小レポート)50点、課題(期末レポート)50
点
【参考書】
・『中国の陶磁』1~12巻、平凡社、1995~99年
・佐藤雅彦『中国陶磁史』、平凡社、1978年
・矢部良明編『やきものの鑑賞基礎知識』、至文堂
【注意事項】
受講者には、前期中に実施する美術館見学のほかにも、各自積極
的に美術館へ足を運び、実際に様々なジャンルの美術作品を見に行
くことを求める。
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-7-
工芸史概論b
日本陶磁史入門
安河内 幸絵
3年 後期 2単位 文化史概論a
西アジアの歴史と文化を美術作品から読み解く
宮下 佐江子
3年 前期 2単位 【授業のテーマ・目標】
現代社会の基本的枠組みは、古代オリエント世界から始まったと
言っても過言ではない。しかしながら、我々には西アジア世界はな
じみが薄く、紛争地帯、石油産出国といった現在の姿にしか思いが
及ばないことが多いかもしれない。これは大学で学ぶものにとって
誠に惜しい。本講座では、この地に育まれた造形芸術を通して、そ
の豊かな歴史と文化を知り、理解することを目標とする。
授業では様々な映像を見ながら、古代芸術のおもしろさと奥深さ
を理解し、現代に及ぼしている影響に思いをはせて欲しいと考えて
いる。また、実物に多くふれる機会をもつために、積極的な博物
館・美術館見学を勧める。
【授業の内容】
第1週 西アジアの風土 エジプトとメソポタミア
第2週 契約と印章 文字の始まり
第3週 都市の発達I ウルク 大杯と神官王
第4週 都市の発達II ウル 王墓からの出土品 第5週 メソポタミアの暮らし I古代の金属加工 IIゲームの起源
第6週 ハンムラビ法典の意義 第7週 帝国の発達 アッカド王国~バビロニア~アッシリア
第8週 新アッシリア帝国の宮廷美術 第9週 新バビロニア王国のイシュタル門
第10週 アケメネス朝ペルシアの新年祭の都
第11週 アレクサンドロス大王の進出
第12週 アレクサンドロス大王の遺産
第13週 隊商都市パルミラ 第14週 古代の香りと化粧
第15週 総括
【事前・事後学修】
事前学修:地形図・国名白地図を繰り返し確認する。(週1時間)
事後学修:配布資料は必ず眼を通し書き込み欄を完成させること。
(週2時間)
【テキスト・教材】
参考文献は適宜提示
【成績評価の方法・基準】
展覧会見学レポート(400字2枚、スケッチあり)20%、定期試験
70%、平常点(授業への積極的参加)10%
【参考書】
田辺勝美他『世界の美術 西アジア編』 小学館
古代オリエント博物館篇『古代オリエントの世界』 山川出版社
― 425 ―
-8-
博 物 館 学
【授業のテーマ・目標】
日本人は古来より、日本製・海外製にかかわらず、さまざまな生活
の場面でそこにふさわしいやきものを見立て、選び、こよなく愛し
てきました。日本陶磁史は産地、陶工、陶芸家など「作り手」の歴
史であると同時に、茶人、数寄者やコレクターなど「受容者」が賞
玩した品々の歴史でもあります。この講義では日本陶磁史を概観し
ますが、時々視点を変えて、かつて陶磁の名品優品を賞玩した、あ
るいはオーダーした「受容者」たちにも、適宜光を当てていく予定
です。
【授業の内容】
授業の内容
第1週 日本のやきものの基礎知識
第2週 縄文・弥生時代の土器
第3週 奈良時代・平安前期 施釉陶の展開
第4週 平安後期・鎌倉・室町時代 いわゆる「六古窯」とその周
辺
第5週 茶の湯とやきもの(1)桃山時代
第6週 茶の湯とやきもの(2)江戸時代
第7週 江戸時代(1)肥前磁器 誕生と展開
第8週 江戸時代(2)京焼 仁清と乾山
第9週 江戸時代(3)「御庭焼」とは何か 第10週 江戸時代(4)幕末の京焼名工
第11週 明治時代(1)絢爛たる輸出陶磁
第12週 明治時代(2)帝室技芸員
第13週 茶の湯とやきもの(3)明治・大正時代
第14週 20世紀の陶芸思潮と人間国宝
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
【事前学修】テキストの講義内容にあたる箇所を読んでおくこと。
(学修時間 週1.5時間)
【事後学修】毎週の講義の最後に課す「復習課題」に取り組むこと
。(学修時間 週3時間)
【テキスト・教材】
・『日本やきもの史』矢部 良明【監修】美術出版社 1998年
【成績評価の方法・基準】
毎週の講義の最後に課す「復習課題」を提出すること。
期末に、こちらから指定した陶磁作品についてのレポート課題を1
回課す。
復習課題 50% レポート 50%
【参考書】
・『やきものの見方』荒川 正明【著】角川学芸出版 2004年
【注意事項】
陶器市やデパートでの展覧会、ギャラリーでの個展など、ぜひ積極
的にやきもの展示の場へ足を運んでください。
講義の進み具合により、講義内容が前後することがあります。
文化史概論b
西洋工芸史 アール・ヌーヴォー、アール・デコを中心に
高波 眞知子
3年 後期 2単位 知的財産研究
酒井 麻千子
3年~ 後期 2単位 【授業のテーマ・目標】
西洋の工芸について、特にアール・ヌーヴォー、アール・デコの時
代に焦点をあてて解説いたします。
日本でもよく知られているマイセン、セーヴルといった西洋陶磁器
、ガレ、ラリック、ドームなどのガラス工芸、カルティエ、ティフ
ァニーなど宝飾工芸について知識を深めます。
みなさんにとっては人気のブランドというイメージが先行するかと
おもいますが、歴史に裏付けされた確かな技術と高い芸術性を示す
作品を通して、各工房の独自性を理解していただきます。かれらを
支えたパトロン(庇護者や顧客)についてもみていきます。
またこれらの西洋工芸と日本美術との関わりについても触れ、知見
を広めます。
【授業の内容】
第1週 イントロダクション、西洋工芸史の流れ
第2週 アール・ヌーヴォーとその時代
第3週 アール・デコとその時代
第4週 アール・デコ建築、朝香宮邸(東京都庭園美術館)の室内
装飾(輸入品と国産品)
第5週 東京都庭園美術館(朝香宮邸)建物公開展見学
第6週 西洋陶磁器 マイセン、セーヴル他
第7週 ガラス工芸 エミール・ガレとドーム兄弟 第8週 ルネ・ラリック 宝飾工芸とガラス工芸、両分野の成功
第9週 ティファニー 宝飾工芸とL.C.ティファニーのガラス工芸
第10週 カルティエ 宝飾工芸とデザイン画
第11週 香水瓶の歴史-古代からファッションブランドの時代まで
第12週 宝飾工芸展の開催まで─カルティエ展、ティファニー展
第13週 陶磁器デザインの歴史展見学
第14週 ジャポニスム-日本美術が西洋工芸に与えた影響
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
授業に関する内容について、事前に学内図書室や国立新美術館等の
美術館図書室などで検索をして、関連する書籍や展覧会カタログに
目を通すことを勧めます。また授業で配布した資料コピーを授業後
もよく読んで知識と関心を深め、講義全体の流れを理解するように
努めてください。
【テキスト・教材】
授業ごとに資料コピーを配布します。
【成績評価の方法・基準】
レポート60% 平常点(授業態度、課題提出)40%
【参考書】
授業時に指示します。
【注意事項】
授業を別の日の展覧会見学授業に振りかえる場合があります。
その場合、見学に要する交通費、入館料は自費となります。展覧会
見学日程により、授業内容の順番を入れ替えることがあります。
【授業のテーマ・目標】
現代社会では、知的活動の成果を保護する権利(知的財産権)の重
要性が増している。特に文化活動やそれを伝達するメディアなど、
人々の表現を取り扱う分野においては、著作権の知識は欠かせない
。また情報通信技術の発達に伴い、これまでとは異なる形での文化
芸術活動、それに関するビジネスなどが生じつつある。本授業では
、知的財産法の基礎的知識を学ぶとともに、デジタル・ネットワー
ク技術によって変化する創作活動や、コンテンツビジネスと知的財
産権との関連を幅広く理解し、表現活動へ直接的・間接的にたずさ
わる上で必要な知識を身につけることを目標とする。
【授業の内容】
第1週 イントロダクション:著作権とは何か
第2週 著作権(1)著作物とは
第3週 著作権(2)著作者とは
第4週 著作権(3)著作権にはどんな権利があるのか
第5週 著作権(4)著作権の侵害とは
第6週 著作権(5)権利制限規定:許される著作物の利用とは
第7週 著作権(6)諸外国の著作権法の仕組み
第8週 著作権(7)パロディと著作権
第9週 著作権と他の知的財産権(特許権・意匠権など)との関係
第10週 インターミッション:質疑応答
第11週 デジタル技術と著作権(1)作品創作と技術
第12週 デジタル技術と著作権(2)作品の享受や流通と技術
第13週 アートマネジメントと知的財産権
第14週 小レポート検討、質疑応答
第15週 授業のまとめとテスト
また授業の中で、知的財産権の訴訟に携わる弁護士と、美術館等で
のアートマネジメントの経験のある方などの専門家をゲストにお迎
えし、お話をいただく。
【事前・事後学修】
【事前学修】知的財産権や法律に関する事前知識は特に必要ないが
、普段の生活の中で、著作権などの知的財産権関連の話題に関心を
持ち、疑問や問題点などを意識しつつ授業に臨むことを推奨する。
【事後学修】配布したレジュメを復習し、翌週冒頭(あるいはmana
baページ上)で行う小問題に解答することで、知識の定着を図る。
【テキスト・教材】
教科書は特に指定しない。レジュメを配布して授業を行う。
【成績評価の方法・基準】
試験40%、小レポート30%、平常点(コメントシートへの記入及び
授業中の小問題解答)30%で評価を行う。
【参考書】
授業内で適宜紹介する。
― 426 ―
-9-
アート&パブリッシング
橋本 愛樹
3年~ 後期 2単位 パブリック・プログラム研究
藤田 百合
3年~ 前期 2単位 【授業のテーマ・目標】
幅広い層の利用者を対象とする美術館。そこで行われているプログ
ラムに焦点をあて、その教育的意義や役割を理解するとともに、そ
の基盤となる理論と実践に関する方法論について概観します。プロ
グラムを通して得られる学びとは何か、そのプログラムはどのよう
な目的のもと企画・実施され、さらには利用者にどのような作用を
与えるのか、美術館の教育的役割について幅広く考察します。美術
館見学も交えながら実態を理解し、プログラムを企画、実施するた
めの基礎的能力や必要となる視点を養うことをねらいとします。
【授業の内容】
第1週 ガイダンス、利用者の美術館体験
第2週 美術館を知るアクティヴィティ
美術館における学びの特性
第3週 美術館で行われるプログラムの特性と教育的意義
第4週 美術館と利用者の関わり・利用者の行動観察
第5週 美術館と利用者をつなぐ取り組み:モノ(利用者の視点)
第6週 美術館と利用者をつなぐ取り組み:モノ(美術館の視点)
第7週 美術館と利用者をつなぐ取り組み:ヒト
第8週 美術館と利用者をつなぐ取り組み:コト
第9週 ハコ・モノ・ヒト・コトを考える(見学)
第10週 ミュージアム・キットを通して考える
遊びの中から育まれる自発的・能動的な学び
第11週 美術館訪問のきっかけ作り
デザインコミュニケーション評価
第12週 ハンズ・オン展示から考える体験を通した学び
第13週 ひろがる・ふかまるデジタル鑑賞システム体験(見学)
第14週 課題発表・講評1
第15週 課題発表・講評2
【事前・事後学修】
事前学修
受講者自身にとっての体験を通した学びを得る機会にもなるため、
授業外でも積極的に博物館・美術館に足を運ぶこと。
美術館の教育プログラムの情報を積極的に集めること。
事後学修
積極的に博物館・美術館に足を運び、展示のみならず、プログラム
への参加を推奨する。
【テキスト・教材】
テキストは用いず、必要に応じて適宜資料を配布する。
【成績評価の方法・基準】
授業への取り組みの積極性40%、課題の評価60%で評価します。
【注意事項】
展覧会の会期などの都合で、見学日が前後する場合があります。
― 427 ―
-10-
博 物 館 学
【授業のテーマ・目標】
出版界の現状、全体像を把握できるようにする。
書籍・雑誌・文集などを編集し、制作するための基本的な知識を与
える。実際的な編集実務を教示するにあたっては、現在制作が進行
中の書籍の実例も提供する。
特に美術書の出版・編集について、必要な知識を理解してもらいた
い。
授業の概要:編集とは、著者の書いた原稿の内容をまず編集者が十
分に把握し、読者が理解しやすいように「料理する」ことである。
そのための作業を、編集(原稿整理、レイアウト)、校正、印刷、
装幀、製本の流れに沿って解説する。
【授業の内容】
第1週 あいさつ。出版とは何か。出版界とはどんな世界なのか。
現在の出版界の状況とはどういうものか。
第2週 編集とはどういう仕事なのか1:編集者になるための情報。
第3週 編集とはどういう仕事なのか2:様々な編集者の世界。
第4週 書籍が誕生して、読者の手に渡るまでの流通過程について
。
第5週 本の解剖:書籍(本)はどのようにしてできているのか。
実例(実際の本)を解剖してみる。
第6週 編集実務1:原稿依頼、原稿入手から、本ができるまでの過
程を解説。
第7週 編集実務2:様々な原稿の扱い方。日本語表記の方法。
第8週 編集実務3:美術書を編集するうえでの特別な知識と方法。
第9週 校正についての注意事項と、実際のゲラ(校正紙)を用い
ての演習。
第10週 レイアウトについての基本的な知識。
第11週 印刷についての基本的な知識。
第12週 製本と装丁の知識。実例を示しながら。
第13週 改めて、出版、編集とは何なのか考えてみる。期末レポー
ト提示。
第14週 期末レポートを材料に、出版、編集に関する疑問、質問等
について質疑応答。
第15週 まとめ
【事前・事後学修】
事前学修:編集には、専門知識のみならず、幅広い知識が必要であ
る。そのためには、とにかく本を読むこと。
事後学修:授業で提示する書物を読んで欲しい。さらに編集者の目
で本を「評価する」ことも大切である。日頃から、「本」について
疑問に感じていることなど、授業中に質問してほしい。
対話的に授業を進めたい。
【テキスト・教材】
テキスト、教材は特に必要ない。
授業内容に関連する参考図書、プリント等はその都度閲覧、配布す
る。
【成績評価の方法・基準】
授業内でのレポート50%、平常点(授業への積極的な参加)50%
保存修復b
古代仏像の保存修理
明珍 素也
3年~ 後期 2単位 【授業のテーマ・目標】
仏教が日本へ伝わり現代にいたるおよそ1500年もの間、たくさん
の仏像が生まれている。現在まで大切に守られてきたこれらの仏像
は世界中の彫像と比べ質・量ともにハイレベルにあるといえよう。
くわえてその作り方(造像技法)はプリミティブなものから、様々
な造像環境に合わせるため高度な技術を要する技法へと進化し、日
本固有のものとして発展していった。
仏像は造像から長い年月を経てさまざまな損傷を抱えているのが
現状である。現代まで信仰され伝世する像を後世に伝えるためにど
のような保存処置および修理が必要であるのか。
仏像を宗教と文化財、双方の視点からとらえ、多数の写真による
実例を挙げながら修理工程を解説する。そして修理を進めるうえで
の問題点を指摘しながら最新の修理方針を考察する。また、文化財
を対象とする科学的な分析法をやさしく概説し、理系のものの見方
を紹介する。通常は見ることのできない内部構造の画像を多数みて
いくことで、様々な視点から文化財修理の概念を修得することが本
講座の目標である。
【授業の内容】
第1週 授業の進め方と概略
第2週 仏像の造像技法1(鋳造・塑造・乾漆)
第3週 仏像の造像技法2(木造とその進化過程)
第4週 近代までの修理
第5週 修理前の処置
第6週 構造の修理例1(補強の必要性)
第7週 構造の修理例2(造像時と後補時における改変事例)
第8週 荘厳の修理例1(クリーニングと剥落止め)
第9週 荘厳の修理例2(補修と補彩)
第10週 欠損部位の修理例
第11週 虫蝕部位の修理例
第12週 科学の眼から見た美術
第13週 文化財における科学分析結果のみかた
第14週 修理の問題点
第15週 後期のまとめ
【事前・事後学修】
事前学修:小テスト・レポート等の課題に取り組むこと。(学修
時間 週2時間)
事後学修:小テスト等を復習すること。次回の授業範囲を予習し
、専門用語等を理解しておくこと。(学修時間 週2時間)
【テキスト・教材】
適宜指示する。
【成績評価の方法・基準】
試験(50%)、小テスト(30%)、平常点(授業態度20%)
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