キャリア教育で小中をつなぐ

第4号
平成 25 年 6 月 12 日
佐久穂町教育委員会
小中一貫教育で、9 年間を通して計画的に学ぶ内容を紹介いたします。
キャリア教育で小中をつなぐ
文部科学省のホームページには、キャリア教育について、次のように書かれています。
今、子どもたちには、将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしなが
ら、自分らしい生き方を実現するための力が求められています。
この視点に立って日々の教育活動を展開することこそが、キャリア教育の実践の姿です。
学校の特色や地域の実情を踏まえつつ、子どもたちの発達の段階にふさわしいキャリア教育
をそれぞれの学校で推進・充実させましょう。
まだ、広く知られていない「キャリア教育」の「キャリア」とはどういう意味なのでしょうか。
ウィキペディア(インターネット辞書)で調べると次のように出ています。
・仕事の面から見た人生そのもの、仕事人生。 Working Life (英語での本来の意味)。
職歴、経歴。
・ある職で経験を積んだ(あるいは積みつつある)者。プロフェッショナル、本職。
・(引退または死去までの)職歴全体。生涯。
・キャリア (国家公務員)。日本の公務員試験のうち国家 I 種を受験・通過し採用された者。
・中途採用希望者。
・派生語としてキャリアウーマンがある。
現在、行われている「進路指導」は、卒業した後にどのような道に進むか、具体的にはど
の高校に進んでどのような学習をして、その後の人生につなげていくかを生徒と保護者、先
生が相談しながら高校受検につなげていくものです。これもキャリア教育の一部です。
では、小学校ではキャリア教育は必要ないでしょうか。今の小学校でも、実際はいろいろ
な場面で行われています。
キャリア教育の中の「人間関係形成能力」を例にして具体的に考えてみましょう。
小学校(低)1~2 年
(中)3~4 年
(高)5~6 年
(低)
・自分の好きなことや嫌いなことをはっきりと言う。
・友だちと仲良く遊び、助け合う。
・お世話になった人などに感謝し親切にする。
・あいさつや返事をする。
・「ありがとう」や「ごめんなさい」を言う。
・自分の考えをみんなの前で話す。
(中)・自分のよいところを見つける。
・友達のよいところを認め、励まし合う。
・自分の生活を支えている人に感謝する。
・自分の意見や気持ちをわかりやすく表現する。
・友達の気持ちを考え理解しようとする。
・友達と協力して、学習や活動に取り組む。
(高)
・自分の長所や欠点に気付き、自分らしさを発揮する。
・話し合いなどに積極的に参加し、自分と異なる意見も理解しようとする。
・思いやりの気持ちを持ち、相手の立場に立って考え、行動しようとする。
・異年齢集団の活動に進んで参加し、役割と責任を果たそうとする。
中学校
・自分の良さや個性が分かり、他者の良さや感情を理解し、尊重する。
・自分の言動が相手や他者に及ぼす影響が分かる。
・自分の悩みを話せる人を持つ。
・他者に配慮しながら、積極的に人間関係を築こうとする。
・人間関係の大切さを理解し、コミュニケーションスキルの基礎を習得する。
・リーダーとフォロワーの立場を理解し、チームを組んで互いに支えあいながら
仕事をする
・新しい環境や人間関係に適応する。
(国立教育政策研究所「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」より)
「学校は勉強するところで、遊ぶところではない」という方もいますが、キャリア教育の
視点で遊びをとらえなおすと、友達との関わりやコミュニケーション力を培う大事な内容を
含んでいます。
5 月 28 日 2 時間目休みの八千穂小学校での子どもたちの姿を見てみます。
1 年生が一輪車の練習をしています。早く乗れるようになりたいと、一生懸命です。
3 人それぞれですが、負けたくないというライバル心があるように見えました。
校庭の遊具では、学年の枠を越えて大勢が遊んでいます。話し声を聞いていると、鬼ごっ
このようです。落ちないように気をつけながら、仲良く楽しんでいました。
何気ない子どもたちの遊びの中に、人と人の関わりのもとになる大事な要素が含まれてい
ます。このような遊びの中に入れないでいる子どもをどうしていくか、遊びの質を高めてい
くにはどうしたらよいか等が学校の課題になります。
中学 3 年までに自分の将来の進路を決められるだけの力を付けておかなければ、そのとき
の学習成績や、志望校の倍率などで迷ってしまい、自分の進路がなかなか見いだせないとい
うことになります。
そこで、小中一貫教育では、9 年間で付けたい力を明確にし、段階的に育てていくことを
小学校と中学校の先生が協力して行い、自分にふさわしい進路を目指すことができるように、
キャリア教育の小中一貫カリキュラムを作り、実践していきます。
今年度は、小中学校の先生方を中心に、検討委員会を設置して準備を進めます。