変調と復調

信号処理論
変調
と
復調(直交検波)
(20160422
資料 )
内容
 変調とは
 復調(検波)とは
 直交検波の例
超音波ドプラ法による血流計測
 演習問題
変調とは?
変調とは
波の振幅、位相、周波数が時間で変化すること。
もしくは、意図的に変化させること。
𝑓𝑓 = 𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴 𝜔𝜔𝑡𝑡 + 𝜙𝜙 = 𝑅𝑅𝑅𝑅 𝐴𝐴𝑒𝑒 𝑗𝑗𝜔𝜔𝑡𝑡
初期位相φ
Im
周期 T=2π/ω
ω
A
θ
振幅
A
Re
時間t
変調とは?
変調とは
波の振幅、位相、周波数が時間で変化すること。
もしくは、意図的に変化させること。
𝑓𝑓 = 𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴 𝜔𝜔𝑡𝑡 + 𝜙𝜙 = 𝑅𝑅𝑅𝑅 𝐴𝐴𝑒𝑒 𝑗𝑗𝜔𝜔𝑡𝑡
変調方式
Amplitude Modulation(AM) 振幅変調
Frequency Modulation(FM) 周波数変調
Phase Modulation(PM)
位相変調
(被変調信号の例)
電波の送信
ドップラ効果をうけた音波 など
信号,搬送波,被変調信号
搬送波(Carrier wave)
信号を伝送する波
被変調波(Modulated wave)
搬送波の振幅、周波数もしくは位相を
信号として時間的に変化させた波
Amplitude modulation:振幅変調
𝑓𝑓𝑐𝑐 = Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡
搬送波
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡
= 𝑓𝑓s + Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡
被変調波
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = As 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡 + Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡
𝑓𝑓𝑠𝑠 = As 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡 の場合
Im
ω
Ac
θ
Ascosωst
Ac
Re
t
Ac
cos(ωct+φ)
円の大きさが時間で変化する
変調度 m = As/Ac
被変調波の周波数スペクトル
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = As 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡 + Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡
= Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡
As
+
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c − 𝜔𝜔s 𝑡𝑡
+
2
As
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
2
𝜔𝜔c + 𝜔𝜔s 𝑡𝑡
信号波と搬送波のパワースペクトル
Signal
fs
Carrier
Carrier
fc
被変調波のパワースペクトル
f
fc-fs fc fc+fs
f
変調度と被変調波の時間波形
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = Ac 𝑚𝑚 ⋅ 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡 + 1 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡,
𝑚𝑚 = 𝐴𝐴𝑆𝑆 ⁄𝐴𝐴𝑐𝑐
被変調信号
変調度
1.5
1.5
1
1
0.5
0.5
m=0.1
m=0.5
0
0
-0.5
-0.5
-1
-1
-1.5
-1.5
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
10
5
0
15
20
25
30
35
40
45
50
15
2
1.5
10
1
5
0.5
m=1
m=10
0
0
-0.5
-5
-1
-10
-1.5
-2
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
-15
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
Frequency Modulation:周波数変調
搬送波
被変調波
𝑓𝑓𝑐𝑐 = Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜃𝜃
瞬時角周波数
𝜔𝜔𝑚𝑚 =
𝑑𝑑𝜃𝜃
𝑑𝑑𝑑𝑑
= 𝜔𝜔c + 𝑓𝑓𝑠𝑠 (𝑡𝑡)
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 +
𝑡𝑡
∫0 𝑓𝑓𝑠𝑠 𝑑𝑑𝑑𝑑
Frequency Modulation:周波数変調
𝑓𝑓𝑠𝑠 = Δ𝜔𝜔 ⋅ 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡 の場合
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
Im
ω
= 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
𝑡𝑡
𝜔𝜔c 𝑡𝑡 + ∫0 𝑓𝑓𝑠𝑠 𝑑𝑑𝑑𝑑
Δ𝜔𝜔
𝜔𝜔c 𝑡𝑡 + 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔s 𝑡𝑡
𝜔𝜔𝑠𝑠
変調指数 mf
Ac
θ
Re
回転速度が時間で変化する
t
ωm=ωc+∆ω
ωm=ωc-∆ω
Phase Modulation:位相変調
搬送波
被変調波
𝑓𝑓𝑐𝑐 = Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 + 𝜃𝜃
被変調波の位相
𝜃𝜃 = 𝑓𝑓𝑠𝑠 (𝑡𝑡)
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 + 𝑓𝑓𝑠𝑠 (𝑡𝑡)
Phase Modulation:位相変調
𝑓𝑓𝑠𝑠 = Δ𝜃𝜃 ⋅ 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡 の場合
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 + Δ𝜃𝜃 ⋅ 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡
Im
ω
Ac
θ
Re
回転速度が時間で変化する
t
ωm=ωc+∆θωs
ωm=ωc-∆θωs
周波数変調と位相変調
Signal fs
𝑓𝑓𝑠𝑠 = 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡
𝑓𝑓𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 +
Ascosωst
t
FM ffm
Δ𝜔𝜔
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔s 𝑡𝑡
𝜔𝜔𝑠𝑠
Assinωst
t
PM fpm
𝑓𝑓𝑝𝑝𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 + Δ𝜃𝜃 ⋅ 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔s 𝑡𝑡
t
変調指数と被変調波の時間波形
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 +
被変調信号
𝑚𝑚𝑓𝑓 =
変調指数
1
0.8
mf=1
Δ𝜔𝜔
,
𝜔𝜔𝑠𝑠
1
0.8
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
mf=5
-0.2
mf=10
0
-0.2
-0.4
-0.4
-0.6
-0.6
-0.8
-0.8
-1
-1
0
5
10
15
20
25
1
1
0.8
0.8
0.6
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
mf=20
0
-0.2
-0.6
-0.6
-0.8
-0.8
5
10
15
20
25
5
10
15
20
25
0
-0.4
0
0
-0.2
-0.4
-1
,
∆ω: 最大周波数偏移
0.6
0
Δ𝜔𝜔
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔s 𝑡𝑡
𝜔𝜔𝑠𝑠
-1
0
5
10
15
20
25
ただし,
𝜔𝜔𝑠𝑠
= 0.1
𝜔𝜔𝑐𝑐
被変調波の周波数スペクトル
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 + 𝑚𝑚𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔s 𝑡𝑡
ベッセル関数
= 𝐴𝐴𝑐𝑐 �𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠(𝜔𝜔c 𝑡𝑡)𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐(𝑚𝑚𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔s 𝑡𝑡)
−𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐 𝜔𝜔c 𝑡𝑡 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠(𝑚𝑚𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔s 𝑡𝑡)�
ただし,mF=mf/ωs
ベッセル関数
𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐 𝑚𝑚𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 = 𝐽𝐽0 𝑚𝑚𝑓𝑓 + 2 ∑∞
𝑛𝑛=1 𝐽𝐽2𝑛𝑛 𝑚𝑚𝑓𝑓 cos 2𝑛𝑛𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡
𝑠𝑠𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑚𝑚𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 = 2 ∑∞
𝑛𝑛=0 𝐽𝐽2𝑛𝑛+1 𝑚𝑚𝑓𝑓 cos 2𝑛𝑛 + 1 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡
∞
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 � 𝐽𝐽𝑛𝑛 𝑚𝑚𝑓𝑓 cos 𝜔𝜔𝑐𝑐 + 𝑛𝑛𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡
𝑛𝑛=−∞
信号の周波数の整数倍に複数のピークが表れる
被変調波の周波数スペクトル
∞
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 � 𝐽𝐽𝑛𝑛 𝑚𝑚𝑓𝑓 cos 𝜔𝜔𝑐𝑐 + 𝑛𝑛𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡
𝑛𝑛=−∞
 狭帯域の場合(変調指数が小さい場合)
𝐽𝐽0 = 1, 𝐽𝐽1 = 𝑚𝑚𝐹𝐹 ⁄2 , 𝐽𝐽𝑛𝑛 ≃ 0
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡
𝑚𝑚 A
𝑚𝑚 A
+ 𝐹𝐹 𝑐𝑐 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c − 𝜔𝜔s 𝑡𝑡 + 𝐹𝐹 c 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔c + 𝜔𝜔s 𝑡𝑡
2
2
パワースペクトル
fs
f
周波数スペクトルはAMと相似形になる!
fc
 広帯域の場合(変調指数 mf>1 の場合)
n>1 の項を無視できない
ωcの両翼に信号周波数だけ離れた無数の
スペクトル成分が振動しながら,小さくなる
fs
f
fc
復調(検波)とは?
復調とは
被変調信号から元の信号を取り出すこと
復調する方法: 信号の直交性を利用する
(直交検波の応用例)
電波の受信
ドップラ効果を用いた流れの測定 など
復調とは
被変調波
𝑓𝑓𝑚𝑚 (𝑡𝑡) = 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜃𝜃(𝑡𝑡)
被変調波は実信号
→ 振幅と位相の変化を独立して検出することが難しい
→ 解析に適した複素信号(解析)を作り出す
振幅、位相?
t
実信号と解析信号
観測される実信号は,
複素平面上で時間的に変化する複素信号の実軸上
(もしくは虚軸上)への投影と考える
Im
Re
実信号
A(t)
θ(t)
Re
t
実信号と解析信号
実信号を、
実数部と虚数部が直交関係にある複素信号に変換すれば
振幅変化と位相変化を独立して判別することができる
Re
Im
実信号
t
A(t)
θ(t)
Re
Im
直交関係
t
実信号と解析信号
実信号を、
実数部と虚数部が直交関係にある複素信号に変換すれば
振幅変化と位相変化を独立して判別することができる
Im
A(t)
θ(t)
Re
𝑆𝑆 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 𝑗𝑗𝜃𝜃 𝑡𝑡
= 𝐼𝐼(𝑡𝑡) + 𝑗𝑗𝑗𝑗(𝑡𝑡)
𝐴𝐴 𝑡𝑡
In phase Quadrature
成分
成分
= 𝐼𝐼 2 + 𝑄𝑄2
𝜃𝜃 𝑡𝑡 =
−1 𝑄𝑄
tan
𝐼𝐼
解析信号への変換手段

ヒルベルト変換

直交検波
ヒルベルト変換の考え方
実信号と解析信号を周波数領域で考えると,
実信号の周波数スペクトル
実信号I(t)の周波数スペクトル(パワー)は
正負対象の成分が現れる
f
実信号I(t)を変形すると,
1
𝐼𝐼 𝑡𝑡 =
𝐼𝐼(𝑡𝑡) + 𝑗𝑗𝑗𝑗(𝑡𝑡) + 𝐼𝐼(𝑡𝑡) − 𝑗𝑗𝑗𝑗(𝑡𝑡)
2
正の周波数
f
負の周波数
解析信号の周波数成分
負の周波数を除去するステップ関数U(f)を
実信号のスペクトルにかける
→ 解析信号の周波数スペクトルの取得
掛け算
解析信号の周波数スペクトル
f
ヒルベルト変換の考え方
時間領域における解析信号を得るためには,
実信号の周波数スペクトル
実信号I(t)にフィルタのインパルス応答u(t)を
畳み込む
0( 𝜔𝜔 < 0)
U 𝑓𝑓 = �
2( 𝜔𝜔 > 0)
u 𝑡𝑡 = 𝛿𝛿 𝑡𝑡 +
1
𝜋𝜋𝑡𝑡
1
𝑗𝑗 ∗
𝜋𝜋𝑡𝑡
𝐼𝐼(𝑡𝑡) + 𝑗𝑗𝑗𝑗(𝑡𝑡) = 𝛿𝛿 𝑡𝑡 + 𝑗𝑗
∗ 𝐼𝐼(𝑡𝑡)
= 𝐼𝐼 𝑡𝑡 +
𝐼𝐼(𝑡𝑡)
= 𝐼𝐼 𝑡𝑡 + 𝑗𝑗ℎ(𝑡𝑡) ∗ 𝐼𝐼(𝑡𝑡)
f
1
𝑗𝑗
𝜋𝜋𝑡𝑡
実信号I(t)に インパルス応答が1/πtである
h(t)を畳み込むことで、直交成分Q(t)を求め
ることができる
f
掛け算
解析信号の周波数スペクトル
f
ヒルベルト変換のブロック図
実信号
I(t)
I(t)
ヒルベルト
フィルタ
Q(t)
フィルタのインパルス応答と伝達関数
ℎ(𝑡𝑡) =
1
𝜋𝜋𝑡𝑡
𝐻𝐻 𝜔𝜔 =
𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒
0
𝜋𝜋
−𝑗𝑗
2
𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒 𝑗𝑗
𝜋𝜋
2
(𝜔𝜔 < 0)
(𝜔𝜔 = 0)
(𝜔𝜔 > 0)
直交検波
(前提条件)
実信号の周波数スペクトルが周波数0からある程度
離れた周波数帯に存在する場合のみに適用できる
×
○
0
f
0
f
直交検波の考え方
解析信号を得ることはx+(t)(もしくはx-(t))を得ること
𝐼𝐼 𝑡𝑡 =
=
=
=
1
2
1
2
1
2
1
2
𝐼𝐼 𝑡𝑡 − 𝑗𝑗𝑗𝑗(𝑡𝑡) + 𝐼𝐼 𝑡𝑡 + 𝑗𝑗𝑗𝑗(𝑡𝑡)
𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 −𝑗𝑗𝜃𝜃(𝑡𝑡) + 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 𝑗𝑗𝜃𝜃(𝑡𝑡)
𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 −𝑗𝑗(𝜔𝜔𝑐𝑐 𝑡𝑡+𝜃𝜃′(𝑡𝑡)) + 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 𝑗𝑗(𝜔𝜔𝑐𝑐 𝑡𝑡+𝜃𝜃′(𝑡𝑡))
𝑥𝑥− 𝑡𝑡 + 𝑥𝑥+ 𝑡𝑡
-fc
解析信号
0
fc
f
直交検波の考え方
実信号をI(t)に参照信号exp(-jω0t)を乗算した信号B0(t)を考える
𝐵𝐵0 𝑡𝑡 = I t 𝑒𝑒 −𝑗𝑗𝜔𝜔0 𝑡𝑡
1
= 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 −𝑗𝑗(𝜔𝜔𝑐𝑐 𝑡𝑡+𝜔𝜔0 𝑡𝑡+𝜃𝜃′(𝑡𝑡)) + 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 𝑗𝑗(𝜔𝜔𝑐𝑐 𝑡𝑡−𝜔𝜔0 𝑡𝑡+𝜃𝜃′(𝑡𝑡))
2
ω0→ ωc とすると,
𝐵𝐵0 𝑡𝑡 =
1
2
-2fc
𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 −𝑗𝑗(2𝜔𝜔𝑐𝑐 𝑡𝑡+𝜃𝜃′(𝑡𝑡)) + 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 𝑗𝑗𝜃𝜃′(𝑡𝑡)
ωcだけ周波数移動
-fc
0
fc
f
直交検波の考え方
ローパスフィルタによりB0(t)の第1項を除去した信号B(t)を考える
1
2
𝐵𝐵 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 𝑡𝑡 𝑒𝑒 𝑗𝑗𝜃𝜃′(𝑡𝑡)
 B(t)をベースバンド信号と呼び、実数部と虚数部はヒルベル
ト変換対の関係にある
 ベースバンド信号は厳密には求めたい解析信号A 𝑡𝑡 𝑒𝑒 𝑗𝑗𝜃𝜃(𝑡𝑡)
とは異なるが,振幅,位相情報は保存されている
 ローパスフィルタはヒルベルトフィルタより実現しやすい
ローパスフィルタ
-2fc
0
f
直交検波のブロック図
cos
実信号
LPF
I
(In-phase 成分)
LPF
Q
(Quadrature成分)
混合器
sin
ヒルベルトフィルタより
実現しやすい
変調した波の直交検波
被変調信号の解析信号 S 𝑡𝑡 = 𝐼𝐼 𝑡𝑡 + 𝑗𝑗𝑗𝑗 𝑡𝑡 をフーリエ変換
することで信号の振幅と位相を求めることができる
(例) 振幅変調した波の直交検波
搬送波信号を𝑠𝑠𝑐𝑐 = Ac 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡,伝送信号を𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑡𝑡 とすると,
被変調信号
𝑠𝑠𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴𝑐𝑐 + 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑡𝑡 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔𝑐𝑐 𝑡𝑡
= 𝑥𝑥 𝑡𝑡 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔𝑐𝑐 𝑡𝑡
被変調信号に直交検波を行うことで解析信号に変換し,
解析信号が伝送信号の振幅と位相情報を持っていることを示す
変調した波の直交検波
同相成分I(t),直交成分Q(t) は?
直交成分
𝑠𝑠𝑚𝑚 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔0 𝑡𝑡 = 𝑥𝑥(𝑡𝑡)𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡 ⋅ 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔0 𝑡𝑡
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
=
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡 +
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔𝑐𝑐 + 𝜔𝜔0 𝑡𝑡
2
2
2
2
同相成分
𝑠𝑠𝑚𝑚 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔0 𝑡𝑡 = 𝑥𝑥(𝑡𝑡)𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔c 𝑡𝑡 ⋅ 𝑠𝑠𝑖𝑖𝑖𝑖𝜔𝜔0 𝑡𝑡
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
=
𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐 𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡 −
𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐 𝜔𝜔𝑐𝑐 + 𝜔𝜔0 𝑡𝑡
ローパスフィルタで 𝜔𝜔𝑐𝑐 + 𝜔𝜔0 成分を除去
𝑄𝑄 =
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
2
𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡
𝐼𝐼 =
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐
2
𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡
変調した波の直交検波
解析信号は
𝑠𝑠 𝑡𝑡 = 𝐼𝐼(𝑡𝑡) + 𝑗𝑗𝑗𝑗(𝑡𝑡)
=
=
=
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
2
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐 𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡 + 𝑗𝑗
exp 𝑗𝑗 𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡
2
𝐴𝐴𝑐𝑐 +𝑠𝑠𝑠𝑠 (𝑡𝑡)
2
𝑥𝑥(𝑡𝑡)
2
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡
exp 𝑗𝑗 𝜔𝜔𝑐𝑐 − 𝜔𝜔0 𝑡𝑡
ω0を搬送波の角周波数 ωc と一致させると,
𝑠𝑠 𝑡𝑡 =
1
𝐴𝐴𝑐𝑐
2
+
1
𝑠𝑠𝑠𝑠 (𝑡𝑡)
2
解析信号
(元の伝送信号)
被変調信号
(振幅変調)
f
応用例:ドプラ現象による血流の測定
血流や臓器の動きの異常を
“周波数変化量”として評価
主な対象
腫瘍、心臓内の弁の動き
ドプラ効果
音源と観測者が同一で反射体が移動する場合(診断装置)
送信
送波周波数 f S
受波周波数 f R
送受波器
受信
移動速度 v
反射周波数 f ref
反射体
ドプラ効果は2回起こる
① 反射体が観測者として見なされる
(音源から音波の送信)
② 反射体が音源として見なされる
(反射体からのエコーの受信)
𝑓𝑓𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟
𝑐𝑐 + 𝑣𝑣
𝑓𝑓𝑠𝑠
=
𝑐𝑐
𝑐𝑐
𝑓𝑓𝑅𝑅 =
𝑓𝑓𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟
𝑐𝑐 − 𝑣𝑣
ドプラ効果
音源と観測者が同一で反射体が移動する場合(診断装置)
送信
送波周波数 f S
受波周波数 f R
送受波器
受信
移動速度 v
反射周波数 f ref
反射体
受信周波数と送信周波数の関係は?
𝑐𝑐 + 𝑣𝑣
2𝑣𝑣
2𝑣𝑣(𝑡𝑡)
𝑓𝑓𝑠𝑠 ≈ 1 +
𝑓𝑓𝑠𝑠 = 𝑓𝑓𝑠𝑠 +
𝑓𝑓𝑠𝑠
𝑓𝑓𝑅𝑅 =
𝑐𝑐 − 𝑣𝑣
𝑐𝑐
𝑐𝑐
ドプラシフト周波数
周波数変調(位相変調)
ドプラシフト周波数
2𝑣𝑣
𝑓𝑓𝑠𝑠
𝑓𝑓𝑑𝑑 =
𝑐𝑐
𝑓𝑓𝑑𝑑 :ドプラ周波数
𝑓𝑓𝑠𝑠 : 送信周波数
ドプラシフト周波数は?(vが一定の場合)
音速 約1500m/s,血流速は速くても1m/s以下
ドプラシフト周波数は送波周波数
の0.1%未満に過ぎない
(例)
送波周波数2MHz, 反射体速度1m/sなら
ドプラシフト周波数は約2667Hz
ドプラシフト周波数
𝑓𝑓𝑑𝑑 :ドプラ周波数
2𝑣𝑣
𝑓𝑓𝑠𝑠
𝑓𝑓𝑑𝑑 =
𝑐𝑐
𝑓𝑓𝑠𝑠 : 送信周波数
エコー信号のスペクトルは?(vが一定の場合)
fd
ドプラシフト周波数は送波
周波数の0.1%未満
fs
-fs
0
fs
f
ドプラシフト周波数の計測(直交検波)
血流による位相変化をx(t)=2v(t)ωst/cとし,
受波信号を𝐴𝐴sin 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 + 𝑥𝑥 として,直交検波の処理を適用する
𝐼𝐼 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 sin 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 + 𝑥𝑥 sin 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡
受波信号
参照信号
1
= 𝐴𝐴 cos 𝑥𝑥 − cos 2𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 + 𝑥𝑥
2
血流情報
LPFで除去
1
𝑄𝑄 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 sin 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 + 𝑥𝑥 cos 𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 sin 𝑥𝑥 − sin 2𝜔𝜔𝑠𝑠 𝑡𝑡 + 𝑥𝑥
2
受波信号
参照信号
血流情報
LPFで除去
解析信号は
𝑠𝑠 𝑡𝑡 = 𝐼𝐼 𝑡𝑡 + 𝑗𝑗𝑗𝑗 𝑡𝑡 =
𝐴𝐴
𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐
2
𝐴𝐴
+ 𝑗𝑗 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
2
=
𝐴𝐴 𝑗𝑗𝑗𝑗
𝑒𝑒
2 血流情報
解析信号の位相情報が血流の速度情報を持っている
ドプラ信号の波形
送波周波数2MHz, 音速1500 m/s,反射体速度15 m/s
1
0.5
参照信号
0
-0.5
-1
1
受波信号
0.5
1
1.5
2.5
2
x 10
-5
x 10
-5
x 10
-5
x 10
-5
x 10
-5
0
-1
参照信号
+
受波信号
0
0
0.5
1
1.5
2.5
2
1
0
-1
0
0.5
1
1.5
1
ドプラ信号 0
(同相信号)-1
0
0.5
1
1.5
0
0.5
1
1.5
2.5
2
1
ドプラ信号 0
(直交信号) -1
2.5
2
2.5
2
血流の向きは?
血流の向きは同相成分のみ(直交成分のみ)からは
判断できない(回転の方向はわからない)
𝑠𝑠 𝑡𝑡 =
Im
𝐴𝐴
2
𝐴𝐴
𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐
2
2𝑣𝑣
𝜔𝜔
𝑐𝑐 𝑠𝑠
θ
−
𝐴𝐴
+ 𝑗𝑗 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
2
=
𝐴𝐴
2𝑣𝑣𝜔𝜔𝑠𝑠
𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒
𝑡𝑡
𝑐𝑐
2
 遠ざかる場合(速度が負)
v
2𝑣𝑣
𝜔𝜔
𝑐𝑐 𝑠𝑠
Re
反射体
音源
 近づく場合(速度が正)
v
音源
反射体
演習問題1
変調信号を
𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔1 𝑡𝑡 + 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔2 𝑡𝑡
とし,被変調信号を
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 1 + 𝑘𝑘 � 𝑚𝑚(𝑡𝑡) 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔c 𝑡𝑡
とする。
ただし,ω2 << ωc , ω1 << ωcとする.
被変調信号に含まれる周波数成分を計算し、
そのパワースペクトルを図示せよ
演習問題2
変調信号を
0 𝑡𝑡 < −𝑇𝑇, 𝑡𝑡 > 𝑇𝑇
𝑚𝑚 𝑡𝑡 = �
𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜔𝜔𝑡𝑡 −𝑇𝑇 < 𝑡𝑡 < 𝑇𝑇
とし,被変調信号を
𝑓𝑓𝑚𝑚 𝑡𝑡 = 𝐴𝐴 1 + 𝑚𝑚(𝑡𝑡) 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜔𝜔c 𝑡𝑡
とする.
ただし,ω << ωc , Τ=π/ωとする.
被変調信号のパワースペクトルを図示せよ