ぐる子さんの便り No.28 タバコと糖尿病の関係

ぐる子さんの便り
【タバコと糖尿病の関係】
No.28
タバコは百害あって一利なし
喫煙は肺癌をはじめとする各種のがんや動脈硬化のリスクになることはよく知られ
ています。今回は、喫煙と糖尿病の関係について考えます。
喫煙はインスリンの効きを悪くします
2 型糖尿病の患者さんを対象にした研究では、喫煙者は非喫煙者に比べブ
ドウ糖処理能力が 45%低下しており、低下の程度は喫煙本数が多いほど大
きいという結果があります。またインスリン注射を行っている患者さんに
おいて、喫煙時は非喫煙時に比べてインスリン必要量が 15-20%増えると
報告され、喫煙がインスリンの皮下の吸収を遅らせるとされています。
逆に、禁煙によってインスリンの効きはよくなることが報告されています。
喫煙は、糖尿病の合併症を進展させます
喫煙は糖尿病の3大合併症である神経障害、網膜症、腎症を促進させることが分かっ
てきています。
腎症について例をとると、2 型糖尿病の喫煙者は非喫煙者に比べ、早期に腎機能が低
下し、透析に至ることがわかっています。日本腎臓学会発行の「CKD( 慢性腎臓病 )
診療ガイド」においても、
「禁煙は CKD 進行抑制と心血管疾患の発症抑制のために必
TOBACC
O
須である」とされ、CKD すべての病期において禁煙が推奨されています。
喫煙により、糖尿病の発症リスクが高まります
最後に、糖尿病でない方の禁煙についてお話します。
喫煙は糖尿病の発症リスクであることがさまざまな研
非喫煙者の糖尿病リスクを1とした時の
糖尿病発症率リスク
2.0
究で明らかになっています。この現象は、受動喫煙に
非喫煙者
よっても認められています。喫煙が糖尿病発症を高め
るメカニズムは必ずしも明らかになってはいません
喫煙者
1.44
1.0
が、喫煙が酸化ストレスなどを介しインスリン抵抗性
1.23
1.00
(1.14
∼ 1.33)
(1.31
∼ 1.58)
の増大を招いたり、交感神経を刺激することにより血
糖上昇を招いたりする可能性が考えられています。
0.0
非喫煙
禁煙
全体
糖尿病であるなしにかかわらず、各種のがん発生の予防や肺の損傷を防ぐなど、禁
煙には大きなメリットがあります。
とはいっても、喫煙している方の中には禁煙の決意ができない方もいらっしゃるで
しょう。まずは「禁煙の情報集め」から始めてみてはいかがでしょう。禁煙パンフレッ
トを読んだり、禁煙成功者の話を聞いたり、灰皿の数を減らしたり、そして是非海
外のタバコ事情を調べてみてください。タイのタバコパッケージをみられた経験は
おありですか?
発行:医誠会病院 糖尿病・代謝センター 2016 年 10 月
1.61
1.29
(1.43
∼ 1.80)
1日
20 本
未満
1日
20 本
以上
(1.13
∼ 1.48)