微分方程式Ⅰ 学期末考査採点講評

微分方程式Ⅰ 学期末考査採点講評
2016 年度前期
工学部 2 年
電気電子工学科 電気電子システムコース
担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教)
先ずは半年間の講義と学期末考査お疲れ様でした。毎週の小テストに広大な試験範囲と、皆さんに
とっては結構大変な講義だったのではないかと思います (2 年生からは専門講義も本格的にがんがん
なおさら
始まったようなので、尚更苦労されたことでしょう)。
まんべん
学力考査は、予告通り (そして昨年度同様) 講義で扱った話題から万遍なく出題しました。そのた
め分量が若干多くなっていますが、多くの答案が 2 枚の解答用紙の表裏までびっしり埋めてあり、微
いっしょけんめい
分方程式の勉強を一所懸命に頑張ったであろうことがひしひしと伝わって嬉しい限りでした。その一
方で、ほぼ白紙 (或いはほとんど問題を解いていない) 答案も少なからず見られたのは残念でした。
該当者は当然 D 評価 (単位未取得) となっていますが、その中には殆ど小テストを提出しておらず、
講義にも出席していないであろうと思われる人も多く見られます。数学は (微分方程式に限らず) ひ
とつひとつの知識を積み重ねて理解していくことが最も重要な学問ですので*1 、何の努力もせずに
「ワンチャン」で単位を取得出来ることなどほぼあり得ません (逆に言えば、努力すればした分だけ結
果に結びつく学問であるかと思います)。不合格者で来年度に再履修を考えている方は、特に自身の
学習態度等に於いて反省すべき点は反省し、心を入れ替えて意欲的に学習することに努めて下さい。
最後に一言。講義でも強調したように、皆さんのような工学系、情報系の方にとって、微分方程式
は 現象を記述し、解析するために 必須の道具 に他なりません。球技系のスポーツの経験がある人
なら、例えばテニスやバドミントンのラケットやラクロスのクロスのようなものです。しかし、これ
いく
らの道具は 幾ら使い方を学習しても、実際に使い込んだ経験が無ければ使い物になりません。例え
ば、テニスのラケットの振り方を初めて学んだ人が、プロテニスプレーヤーが打ち込んで来た球に対
して「この球は時速 120km 位でスライス気味の回転がかかってきてるから、地面の反発係数と球の
入射角を考慮すると……球に対してラケットをこの角度に固定して……ここだぁ!!」てな感じで華麗
に打ち返すことなど ほぼ 100% 不可能 です。最速で時速 200km を超える速度で飛んでくるボール
がそんな悠長に考えている暇など与えてくれるはずがありません (テニヌの○子様でもあるまいし)
し、仮に頭で分かっていたとしても、初心者であれば 頭に体がついていかず、ボールがラケットに
かす
擦りもしない でしょう。勿論こんな状態では実戦 (試合) で役に立つはずもありません。そこで、テ
ニスプレーヤーは先ずは とにかく球を打ち込んで ラケットをボールに当てる感覚をつかむ ところか
ら始めるわけです。そうしてどんどん球を打ち込んでいくなかで、ボールの打ち方やラケットの使い
ようや
方に習熟し、より高度なショットや戦術を身につける段階に移行する。その頃になって 漸 く 使って
きたラケットが「自分のもの」となった感覚 が現れ、実戦に耐え得る技術として「身についた」と言
える段階になるのです。
微分方程式も同様です。本講義は とにかく「ラケットにボールを当てる感覚をつかむ」ために集
中してボールを打ち込んでいる期間 であり、皆さんと微分方程式の長い長い旅路の 第一歩 に過ぎ
むし
ません。学期末試験が終わったからと言って感動のフィナーレというわけではなく、寧ろ「俺達の冒
か
*1
彼のユークリッドも「幾何学に王道なし」という金言を残しています。
険はまだ始まったばかりだ!!」の状態です (打ち切りマンガっぽいのはご愛嬌ということで)。今後皆
さんが専門課程に進む中で、どのような微分方程式と出会うことになるかは私には想像もつきません
が、いざ微分方程式が登場した際に「あ、微分方程式の講義でやった覚えがあるぞ?!」と思い出して講
義のノートを引っぱり出してみる。そして講義の記憶を呼び起こすとともに、講義の際には理解でき
なかったことについても新たな発見をする。そういった経験を積み重ねることで、初めて 微分方程
式が皆さんそれぞれにとっての「使い込まれた相棒」へと成長していく のであろうと私は思います。
今後皆さん一人一人が、それぞれのやり方で微分方程式を「自分のもの」とし、様々な場面で使い
こなされていくことを切に願います。半年間ご聴講ありがとうございました。
■基本データ [学力考査得点]
受験者数:
平均点:
143 名 (うち 2 名追試験、18 名欠席)
60.36 点
(115 点満点)
標準偏差: 16.09
最高点: 104 点 (1 名)
得点分布:
0–9
10–19
20–29
30–39
40–49
50–59
60–69
70–79
80–89
90–
人数
2
0
3
10
18
31
36
31
10
2
割合 (%)
1.4
0.0
2.1
7.0
12.6
21.7
25.2
21.7
7.0
1.4
!得点調整について!
期末試験の成績に於いて、第 2 問で EJ クラスが FI クラスより約 3 点、第 4 問で FI クラスが
EJ クラスより約 3 点平均点が高いという有意な差が生じました。このことを踏まえて、最終評
点を算出する際に 一律に期末試験の得点に 3 点加算したもの を用いて計算しています。
[最終評点]
(小テストの成績を合算したもの)
単位認定資格保有者数:
平均点:
71.58 点
得点分布:
143 名 (18 名放棄)
(100 点満点)
S: 12 名
A: 42 名
標準偏差: 14.76
B: 39 名
最高点: 100 点 (2 名)
C: 22 名
D (不合格): 28 名
0–9
10–19
20–29
30–39
40–49
50–59
60–69
70–79
80–89
90–100
人数
0
1
0
2
8
17
22
39
42
12
割合 (%)
0.0
0.7
0.0
1.4
5.6
11.9
15.4
27.3
29.4
8.4
■各設問についての講評 〇 第 1 問について:
微分方程式の基礎知識に関する設問。語句確認問題はすべて小テストで
扱ったものですし、
《語群》から選ぶ形式ですので、確実に満点を獲得したいところです (8 点はかな
り大きい)。また、その後に続く勾配場の図示の問題も斉次線形微分方程式の解の線形独立性の問題
も、小テストと全く同様の形式ですのでしっかり復習していれば全く難しい問題ではありません。こ
こはウォーミングアップだと思って、さらっと解けるようにしておきたいものです。19 点満点で平
均点は 14.53 点、満点は 27 名でした。まずまずの出来、といったところでしょうか。
Ⅰ. の語句確認問題については、特にコメントすることはありませんが、強いて言えば空欄 イ や空
なお
欄 エ の誤答が若干多かったようです。尚、参考までに本問の答えとして 選択されなかった語句 に
ついても、簡単に解説しておきましょう。
ラグランジェ:
空欄 イ
この人も様々なところに名前を残す有名数学者。講義では定数変化法の考案者として登場しま
したが、条件付き極値問題の解法である未定係数法も彼が考案したと言われています。ほん
と、どんな頭の構造をしてるんだか。。
消失点:
遠近法において、実際のものでは平行線になっているものを平行でなく描く際に、その線が
交わる点のこと。要するに 絵画や製図の技法 に関する用語ですので、当然 微分方程式とは一
切関係ありません。
ラヴェル:
単一のテーマの反復により壮大な音楽世界を作り上げる名曲「ボレロ」の作者として有
名。ボレロは必ず耳にしたことがあると思いますので、「知らん」と言う方はグーグル先生に
はず
訊いてみよう。……えっ? 微分方程式? 数学者でもない のに関係ある筈ない じゃないです
かぁー ww
ルンゲ・クッタ法:
常微分方程式の数値解法のひとつ。本講義では扱っていません。『数値解析学』
『数値解析』の講義で扱われるのではないでしょうか?
オイラー:
世に言う「天才数学者」の 1 人。皆さんにとっては、複素指数関数と三角関数の神秘的な
関係を表す オイラーの公式 eiθ = cos θ + i sin θ でお馴染みでしょう。他にもケーニヒスベル
クの橋渡しの問題の否定的解決 (トポロジー)、ゼータ関数の特殊値についてのバーゼル問題の
解決 (級数) など、その功績は数えきれないほど。……ですが、今回の問題では残念ながら出
番なしでございます。
リプシッツ:
第 7 問 (3)
常微分方程式の解の存在と一意性のための十分条件である「リプシッツの条件」で有名な数学
者。微分方程式を学習したのであれば、リプシッツの名前位は覚えておきたいものです。他に
も解析学の分野で様々な功績を残しています。
演算子法:
空欄 ウ
微分演算子の「逆数」(逆演算子) を代数的に計算することで特殊解を計算する、ヘヴィサイド
によって考案された (定数係数) 非斉次線形微分方程式の解法。かなりエキセントリックな計
算であるため、当時は数学者を筆頭に非難轟々であったとか。でも慣れるとさくっと特殊解が
計算出来て爽快でもあります。
ろう
ベートーベン: 『運命』
『交響曲第九番』など、ドラマティックな楽曲で有名な聾作曲家。さすがにこ
れを選んでいる人はいなかった……ですよね?
臨界点:
(偏微分可能な) 多変数関数に対して偏微分係数がすべて消える点。つまり、2 変数関数の
場合は fx (x0 , y0 ) = fy (x0 , y0 ) = 0 を満たす点 (x0 , y0 ) のことであり、ざっくばらんに言え
ば「極値をとる候補となる点」のことである。『微分積分学および演習Ⅱ』で登場した概念で
あって、今回は残念ながら全く関係ありません。
ロンスキー: 空欄 ア
ロンスキー行列式による 関数の線形独立性の判定 などで有名な数学者。微分方程式を学習し
たのであれば、流石にこれを間違えるのは恥ずかしいぞ?
ペアノ:
自然数の概念の公理化である「ペアノ公理」で有名な数学者。また、「ロンスキー行列式が
0 であるからといって、関数が線形従属であるとは限らない」ことを例を挙げて主張した人で
もあります。
ピカール:
非常に多才な数学者で数々の功績を残していますが、皆さんにはあまり馴染みがない数
かじ
学者かもしれません。講義では「ピカールの逐次近似法」で登場。他にも、複素解析学を齧っ
たことのある人ならば「ピカールの小定理」「ピカールの大定理」を耳にしたことがあるかも
しれません。今回は残念ながら出番なし。
転換点:
状況が大きく変わる契機となる点。「人生の —」のように使われますよね。というわけで、
そもそも 数学用語ですらございません。残念。
未定乗数法:
多変数関数の 条件付き極値問題 の解法です。したがって 微分方程式とは関係ありません。
空欄 イ で選んだ方は残念でした。ちなみにこちらの考案者もラグランジェだったりします。
どういう頭の構造をしてるんでしょうね。
担当の先生によっては『微分積分学および演習Ⅱ』で扱っているはずです (私は昨年度扱いま
した)。また、1 年次に用いた [石原・浅野] のテキストにも載っています。
ヘヴィサイド:
電気業界では有名人。演算子法の創始者として講義では登場。他にも「ヘヴィサイ
ドの展開法」や「ヘヴィサイド関数」などで有名だが、何れも電気工学等に関連して考え出さ
れたもののようです。空欄 イの直後の問題文にそのまま名前が載っているという、致命的な
出題ミスな人だったのですが、何故か 空欄 イ の答えに挙げている人が少数ながらいらっしゃ
いました。
ハーバー・ボッシュ法:
鉄を主体とした触媒上で水素と窒素を直接反応させるアンモニアの工業的
製法。現在は高校の『化学Ⅱ』(無機化学の分野) とかで学習するのでしょうか? 当然どの空欄
にも当て嵌まるわけがないのですが、化学未履修者にとっては良いダミーとして暗躍してくれ
たようです (笑)
平衡点:
空欄 エ
( ′) (
)
(
) ( )
x
f1 (x, y, t)
f1 (x, y, t)
0
連立微分方程式
=
に於いて、
=
を満たす点のこと。
′
y
f2 (x, y, t)
f2 (x, y, t)
0
もともとは「釣り合いの点」という意味であるため、連立微分方程式以外の分野では別の意味
で使われることもあるので注意。
ベルヌーイ:
有名な数学者一門の名称。微分方程式に於いても「ベルヌーイの微分方程式」として
名前を遺しています。他には、ゼータ関数の負の整数点での特殊値を表す有理数である「ベル
ヌーイ数」が有名でしょうか?
極小点:
関数の極小値を取る点のこと。それ以上でもそれ以下でもございません。
線形計画法:
条件付き極値問題の解法の 1 つ。変数 (x, y) の束縛条件や関数 f (x, y) が直線の場合
に良く用いられる方法です。内容は高校の『図形と方程式』の (特に領域の) 単元をしっかり
と理解していれば難なく理解出来るものなので、気になった人は是非グーグル先生に訊いてみ
ましょう。
Ⅱ. の勾配場の図示は、出来不出来がかなり明確に分かれました (残念ながら手つかずの人も少な
くありませんでした)。先ず 各点に線分を描き込む形で答えていないもの (曲線を描いているものな
ど) は 論外 です。該当者は、何はともあれ勾配場の図が何を表すものであるのか、を一からしっか
り復習しましょう。各点に於いて勾配 (傾き) を計算して描き込むだけの問題ですが、直線 x + y = k
の上では同じ勾配 k となっていることに気付けば早かったかもしれません。もちろん 25 個の点すべ
てで逐一傾きを計算しても、大して時間はかからないでしょう。模範解答と同様の形の図であれば 4
点満点とし、明らかに変な箇所があるものは減点してあります (傾きの大きさについては、大小関係
がきちんとしていればそれほど厳密に見てはいません)。
Ⅲ. については、(1) は小テストでも扱ったとおり ψ1 (x), ψ2 (x), ψ3 (x) を (⋆) の左辺に代入し
て 0 になることを確認するだけです。この問題が出来ていない人は 微分方程式が何を意味してい
るかがそもそも分かっていない 危険性が大です。しっかりと復習して、「何でこんな問題が解け
なかったのだろう!」としっかり反省して下さい。(2) は「線形独立性の判定」ということで、当然
ロンスキー行列式 の出番です。超簡単な関数のロンスキー行列式ですが、意外と計算ミスが多かっ
たです。該当者は大いに反省すること!! ロンスキー行列式の定義については大方の人がきちんと覚
えていたようですが、3 階微分まで計算して 4 行 3 列行列の行列式 (?!) を計算しようとしている人
が少なからず見られました。これはロンスキー行列云々以前に、行列式は正方行列 ( 行と列の数が一
致している行列 ) にしか定義されない という 超基本事実 を理解していないということになり、相当
な重罪です。該当者は、しっかりと『線形代数学Ⅰ, Ⅱ』の行列式の部分を復習すること!!
〇 第 2 問について: 1 階微分方程式についての設問。講義で扱った微分方程式についてはほぼ
網羅してあるため、全体的に理解していないと高得点は難しいかと思います。ある意味第 3 問、第 4
問よりも満点を取るのは難しいかも。32 点満点で平均点は 23.52 点、満点は 11 名でした。これはお
見事。
Ⅰ. は、昨年同様 (1) が 変数分離形 、(2) が 1 階線形微分方程式 、(3) が 同次形 からの出題
でした。当初の予測に反して (3) の出来が意外と良く、寧ろ (2) の出来が悪い結果となりました。
Ⅰ. (1) は y で括り出せば 変数分離形となる微分方程式。ただ、同様の問題は小テストでも扱い
ましたので、ここは確実に突破して欲しいところです。変数分離形であることに気付いた人は大体
答えに辿り着いていましたが、講義でも口酸っぱく注意したように、変数分離をする際に y で割り
算していることから y = 0 の場合 を別に考える必要があります。矢張り今回もそこの議論が適当な
ものが少なからず出てしまいました。他には、積分した際に積分定数 C を足し忘れているもの や
「log|y| =
1 2
1 2
x − x + C を y = . . . . . . の形にするときに y = ±e 2 x −x + C 」などとしている誤答が
2
相変わらずありました。いずれも大学生としてはちょっと恥ずかしいミスです。該当者は確認の上、
二度とこのようなミスをしないように 気を付けましょう。
Ⅰ. (2) の出来が想定以上に悪かったのは非常に残念でした。一階線形微分方程式だと気付かずに、
明後日の方向に爆進してしまっていたものも少なからず見られました。何があったのでしょうか? き
ちんと一階線形微分方程式の解法を用いている人については大体きちんと正答まで辿り着いていたと
∫
思います。最大の山場は C(x) =
xe−x dx の計算でしょうか? とは言え、これは高校の『数学Ⅲ』
2
の教科書に必ず例題として載っているようなレベルの超基本的な 置換積分 ですので、確実に計算
出来て欲しいところです。……が、残念ながら
部分積分を用いようとして泥沼に嵌っている とする
∫
誤答が少なからず見られました。確かに
xe−x dx の計算には部分積分を用いるため、混乱しやす
いところではありますが、そうは言っても大学 2 年でこの計算が出来ないのは やっぱり残念 です。
該当者はそのことを自覚して、きちんと両者の積分を区別して混同しないようにしましょう。その他
の誤答としては、C(x) を求める際の不定積分で C(x) =
1 −x2
xe
+ C と − の符号を付け忘れてい
2
るものもちらほら見られました。細かい計算ミスに気を付ける癖をつけましょう。
y
と置いた後の変形が巧くいっていない答案も少なくありませんでした。解きき
x
du
u2 + 4
れなかった人は是非再チャレンジして下さい。巧く整理出来れば x
=
という変数分離形
2u
∫
∫ dx
2u
1
の微分方程式に変形出来る筈です。したがって
du =
dx を計算することになります
u2 + 4
x
が、この式の 左辺の積分の計算
が本問の最大の山場で、分子 2u が分母 u2 + 4 を微分したものであ
∫
2u
る ことに注目して
du = log(u2 + 4) + C と計算出来たかどうかが勝負の分かれ目となり
u2 + 4
Ⅰ. (3) は、u =
ます。この箇所は想定以上に多くの人がクリアしていたように思います。頼もしい限りです。無事に
両辺の積分をきちんと計算出来た後も油断は禁物で、log を外すときに妙な変形をしてしまって減点
されている人も少なからずいました。最後まで気を抜かないように心掛けましょう。ちなみに今回は
u2 + 4 で両辺を割る操作がありますが、u2 + 4 > 0 で 0 となることはないため、場合分けの必要は
ありません。
Ⅱ. は積分因子と完全微分方程式についての問題。昨年度と同様、(1) で「積分因子であること」
を示させている時点で 完全微分方程式の解法を用いる問題であること が分かる仕組みになっていま
す。完全微分方程式は気付きにくい微分方程式の筆頭ですので、(1) はとても大きなヒントとなって
います。(1) は (若干白紙答案もありましたが) 良く出来ていたと思います。一方で (2) はミスが目
立ちました。特に、折角 積分因子を掛けたら 完全微分方程式となっていることを (1) で正しく示し
ているのに、積分因子を掛けないで 積分計算をしてしまっているもの は、そもそも 完全微分方程式
や積分因子についての理解が足りていない と判断せざるを得ません。どのような原理で完全微分方
程式が解かれるか、今一度しっかりと復習しましょう。さて、(2) を解く際に「原始関数」
∫
∫
x=x
y=y
(x − y − 1)ey dy
ey0 dx +
F (x, y) =
x=x0
y=y0
を計算する必要がありますが、2 つ目の (y に関する) 不定積分の際に (文字 y に関する) 部分積分
の計算が必要となります。とは言え、これは高校の『数学Ⅲ』の教科書でも必ず例題に挙がるような
非常に基本的な部分積分ですので、さっさと計算出来るようにしておきましょう。また、それ程多く
はなかったですが y0 の部分を通常の y にして計算しているために、原始関数 F (x, y) の計算結果が
おかしくなってしまっているものも見られました。さらに、「F (x, y) = . . . = (x − y)ey + C が解」
としている答案もありましたが、これでは F (x, y) という 2 変数関数 が (♯) の解 ということになっ
てしまっておかしなことになってしまいます (正しくは「(x − y)ey = C が解」)。このような答え方
をしている答案は減点対象としています。
〇 第 3 問について: 定数係数 (非斉次) 2 階線形微分方程式に関する設問。Ⅰ. は基本問題であ
る一方、Ⅱ. は若干厄介な問題であるため、Ⅱ. を如何に攻略するかが腕の見せ処だったのではないで
しょうか。傾向としては、未定係数法を用いている方が多く、定数変化法を用いている方も少なくあ
りませんでした (但し、Ⅰ. で定数変化法を用いると計算がとんでもないことになります)。昨年度と
比較すると演算子法を用いている答案も多数見られましたが、Ⅱ. を演算子法で最後まで解答出来て
いたものは残念ながらあまり多くはありませんでした (個人的にはⅡ. は慣れていれば演算子法が一
番スマートに計算出来るように思います)。17 点満点で平均点は 11.82 点、満点は 19 名でした。結
なお
構出来は良かったですね。尚、昨年同様、Ⅰ., Ⅱ. の何れも (1) で特性方程式の解を求め、(2) で同
伴方程式の解を求めているもの が幾つか見られました。そのような答案に対しては、(1) の点数のみ
付けています。
Ⅰ. (1) は、同伴方程式の特性方程式が 重解を持つ パターンの問題です。きちんと一般解を
y = C1 e2x +C2 xe2x と求められている人が大半でしたが、中には y = Ce2x や y = C1 e2x +C2 e2x (?)
などと答えているものも少数とは言え見られたのは残念でした (基本解は必ず 2 つあるとあれだけ強
むし
調したのに……)。(2) の特殊解は (定数変化法以外の) どの方法でも簡単に求められますので、寧ろ
なお
(1) より簡単かもしれません。こちらも良く出来ていました。尚、(1) が間違っていても、(2) で特殊
解を正しく求められていれば、(2) は満点を付けています (Ⅱ. でも同様)。
Ⅱ. (1) は、同伴方程式の特性方程式が 異なる 2 実数解を持つ 一番簡単なパターンです。さくっ
と瞬殺してメインである (2) に進みましょう。(2) は、未定係数法で解こうとすると セオリー通り
y = (Ax + B)ex と置いただけでは巧くいかない ケースです*2 。したがって y = (Ax2 + Bx)ex と
やは
置き直せるかがポイントでした。矢張りここで詰まってしまった答案も多かったですが、想定以上に
多くの人が解の形を置き直して、特殊解を正しく求めることに成功していました。小テストでしつこ
く演習した成果でしょうか? (⋆)2 のような微分方程式は、2 階線形微分方程式の中でも最も厄介なも
のの筆頭ですので、これを正しく解けるようになっているのであれば、2 階線形微分方程式について
なお
はかなりの実力が備わってきていると言えるかもしれません。尚、y = (Ax2 + Bx)ex と正しく置け
たとしても、y ′ , y ′′ の計算はそれなりに複雑になりますので、正しい解答に辿り着くためにはそれな
りの計算力が必要となります。
ちなみに Ⅱ. (2) は 定数変化法や演算子法の方が簡単に解けてしまいます ので、興味がある人は
チャレンジしてみて下さい。どの方法のユーザになっても構いませんが、個人的にはどの方法にもあ
る程度習熟しておいて、ケースバイケースで使い分ける のが一番賢いやり方である気がします。実
際、Ⅱ. では定数変化法を用いてあっさりと解いている答案が幾つも見られましたが、極めて懸命な
判断と思います。演算子法を用いる場合は、最初に公式 (d) を用いて
(
)−1
1
1
1 x1
D
x (d) x
(5x − 4)e = e
(5x − 4) = e
1+
(5x − 4) = . . . . . .
(D + 4)(D − 1)
(D + 5)D
5 D
5
)−1
(
D
と計算出来るかどうかが鍵となります。あとは 1 +
をマクローリン展開すれば比較的簡
5
単に特殊解が求まってしまいますので、興味のある人は是非演算子法でも特殊解を求めてみて下さ
い。こんなにも簡単かつ安直な計算で特殊解が求められることこそ、演算子法の醍醐味と言えるで
しょう。
〇 第 4 問について: (定数係数) 線形連立微分方程式についての設問。『線形代数学Ⅱ』の固有
値・固有ベクトルの単元をきちんと復習していればかなり簡単な問題ではありますが、ちょっと背伸
びして 複素固有値、複素固有ベクトル が登場する問題にしてしまったためか、平均点が落ち込んで
しまいました。まぁでもきちんと出来るようになって欲しいところですけどね。12 点満点で平均点
は 4.72 点、満点は 5 名でした。素晴しい。
*2
Be−x の部分が同伴方程式の解と被ってしまっているのが原因です。
(1) では、先ず固有値を求める際に特性多項式 ΦA (T ) = det
(
0−T
1
−2
−2 − T
)
= T 2 + 2T + 2
を計算する必要があります。しかしその根がなぜか −1 (重根) となったりしている解答が少なくな
かったのは非常に残念でした。もう大学 2 年生なのですから、因数分解が出来ないタイプの 2 次方程
式や虚数解を持つ 2 次方程式が解けない というのでは困ります。固有値 λ = −1 ± i を間違えた人
は、良く反省してしっかり復習しておくように。そして 固有ベクトルの正答率が非常に悪かったで
す。固有ベクトルの計算は、所詮 連立一次方程式を解くだけ であって、固有値が複素数になっても
やらなければならない計算は 全く同じ です。確かに『線形代数学Ⅰ, Ⅱ』では係数が実数の連立一
次方程式しか扱っていませんでしたが、連立一次方程式の解法で必要とされるのは「文字消去」くら
いですので、係数が複素数になった途端に計算が出来なくなってしまうのでは困ります。間違えた人
はしっかりと復習しておいて下さい。「複素数」とは言え所詮は実数や有理数と同じ「数」なのです
から、変な苦手意識を持たないようにすることが肝要です。そして「係数が複素数のケースはやった
ことがないから出来なかった」というのは、言い訳としてもあまりにもみっともないですよ。
( )
(
)
(
)
x
1−i
1+i
= C1 e(−1−i)t
+ C2 e(−1+i)t
のよう
y
1
1
に、複素指数関数を用いて 解答していました (e(−1±i)t の t が抜け落ちている解答も目立ちました)。
(2) は、多くの人が (1) の結果を用いて
これでも強ち間違いとは言い切れませんが、矢張り 実数関数解 を求めて欲しいところです。実数解
に直す方ためには、(定数係数) 斉次 2 階線形微分方程式の場合と同様に オイラーの公式 を用いて
(
)
(
)
(
)
1+i
1+i
−t it 1 + i オイラー −t
= e (cos t + i sin t)
e
=e e
1
1
1
(
)
(
)
(
)
cos
t
+
i
cos
t
+
i
sin
t
−
sin
t
cos
t
− sin t
−t
−t
−t cos t + sin t
=e
=e
+ ie
1
1
1
(
)
(
)
−t cos t − sin t
−t cos t + sin t
と展開した際に、実部と虚部に登場した e
,e
を重ね合わせれば
1
1
OK です。ここまで完璧に解答出来ている答案も、想定以上に多く見られました。良く復習されてい
(−1+i)t
て嬉しい限りです。(3) は、t → +∞ としたときに e−t が 0 に収束し、しかも三角関数 (振動する
関数) も登場していることから 安定渦状点 となります。(1), (2) が出来ていない人が多かったこと
も手伝ってか、山勘 (?) で解答して玉砕された答案も少なくありませんでした。
〇 第 5 問について (選択問題): 1 階線形微分方程式の応用問題。とは言え演習問題 5-2. の類
題となっていますので、選択問題の中ではかなり解き易い問題……だった筈なのですが orz。解答者
数は 29 名、18 点満点で平均点は 4.55 点、最高点は 17 点 (1 名) でした。惜しかったですね。
(1) は単なる 1 階線形微分方程式 なので、さっさと解いて欲しかったところですが、トンチンカ
ンな解答も多数見られたのは残念でした。文章題の形態に惑わされず、きちんと 1 階線形微分方程
式であることを看破していただきたかったところです。また、(†) は勿論変数分離形でもありますの
で、変数分離法を用いて計算しても構いませんが、解答にあるように T = 16 + Ce−kt の形に整理
しておかないと、後の問題で苦しむことになります (問題で解答の仕方を指定した方が良かったかも
しれませんね)。(1) の解を上記のように正しく求められていれば、(2) は問題文で与えられた条件
T (0) = 16 + C = 32, T (2) = 16 + Ce−2t = 28 を連立すれば C, k を求めるのは難しいことではあ
りません。(3) は T (t0 ) = 16 + Ce−kt0 が平時の体温 36 となるような t0 を求めれば良いことに気
付いてしまえばそれ程迷うところは無いでしょう。t0 を求める際に、対数の計算 をきちんと出来る
かどうかが勝負の分かれ目、といったところでしょうか? (4) は (1)—(3) が解けていなくても解答
可能なボーナス問題。要するに「ずっと早い時間に殺害されていたのに、体温の低下がそれ程でもな
い」状況を作り上げれば良いことになりますので、「遺体を暖める」などして遺体の温度が低下しに
くくする工夫が書かれていれば正解です。尤も、安易に遺体を暖めるとそれだけ腐敗が進行します
し、現在ではドラマ等でも良く目にするように、遺体の温度測定以外の方法で死亡推定時刻を割り出
す方法も劇的に進化しています。したがって遺体を暖めただけでは容易に隠蔽工作が分かってしまう
でしょうし、ミステリ小説としてもかなりのポンコツ作品になってしまうことは間違いありません
(笑) 取り敢えず実際にこんなことをしてもバレバレですので、決して真似しないように!
〇 第 6 問について (選択問題): クレーローの微分方程式についての設問。問題文の誘導に素
直に従って解いていけば、自然に答えまで辿り着けるようになっていますので、選択問題の中では解
き易い設問であったとは思います。実際、解答者も多く、完答者もいらっしゃいました。解答者数は
24 名、18 点満点で平均点は 7.00 点、最高点は 14 点 (1 名) でした。平均点も、他の選択問題と比較
すると随分高いですね。
(1), (2) は単なる 積の微分法と合成関数の微分法 の練習問題。さくっと解いてしまいましょう。
d
1
d
1
1
(2) の計算の際に、合成関数の微分法
(1 − 2y ′ ) 2 = (1 − 2y ′ )− 2 · (1 − 2y ′ ) の「おまけ」として
dx
2
dx
現れる −2y ′′ を忘れずに付けられるか、が最大のポイントでしょうか。(3) を (1), (2) の結果を (♣)
に代入して整理するだけの問題です。落ち着いて計算しましょう。(4) は y ′ = C を (♣) に代入する
だけの問題、(5) については、右辺が
1
を式変形して y =
2
′
1
1
になることは直ぐに気付けると思いますが、x = √
x
1 − 2y ′
(
)
1
1 − 2 として (♣) の左辺に代入出来るかどうかがポイントの問題でした。
x
種を明かせば大したことのない問題ではありますが、クレーローの微分方程式を一度も解いたことの
ない人にとっては (4), (5) の解答の方針が見えづらかったかもしれませんね。
〇 第 7 問について (選択問題): 常微分方程式の初期値問題の一意性についての設問。講義で
扱った例そのままですし、昨年度も似たような問題を出題していましたので、講義の復習をきちんと
こなしている人にとってはサービス問題かと思ったのですが、それ程出来は良くありませんでした。
それ程難しい問題ではなかったのですが……。解答者数は 10 名 (最少です)、20 点満点で平均点は
2.90 点、最高点は 6 点 (2 名) でした。
(1) は講義でも扱ったように、微分方程式
dy
√
= y は 変数分離形 の微分方程式ですから、いつ
dx
も通り変数分離法を用いて解けば良いだけです。これ位は難無く解いて欲しかったところですが、妙
な解答も目立ちました。ちなみに、変数分離の際の場合分けから生じる (特異) 解 y = 0 は、本問に
於いては非常に重要な役割りを果たしますので、これに触れていない解答は減点しています。(2) は、
これこそ講義で説明した通り、(1) の一般解 y =
(x
2
)2
+C
と特異解 y = 0 を適当なところで繋げ
れば、いくらでも (x, y) = (0, 0) を通る解曲線を構成出来ることを説明すれば OK です。ちなみに
(何名かいらっしゃいましたが) 「リプシッツの条件を満たさないから」という解答は不正解です。リ
プシッツの条件は、あくまでも常微分方程式の解の一意性が成り立つための 十分条件 に過ぎず、リ
プシッツの条件を満たさないけれど解の一意性が成り立つ常微分方程式の例も存在するからです。
(3) のリプシッツは、微分方程式を学ぶ人であれば必ず一度はその名を耳にすることになるほど有
名な方ですので、その功績も含めてしっかり記憶に留めておいていただければ幸いです。
(4) は常微分方程式の解の一意性定理の応用問題。1 年次の『微分積分学および演習Ⅰ』では、指
数関数のマクローリン展開 を用いてオイラーの公式を導いていたと思いますが、そんな大舞台 (?)
を持ち出さなくても、常微分方程式
dy
= αy の解 として指数関数を定義すれば、初期条件を比較す
dx
るだけでオイラーの公式が導き出せてしまう ということは、非常に興味深いのではないかと思いま
す。残念ながら (4) をきちんと解答した答案はありませんでしたが、演習問題 7-3. で全く同様の問
題を扱っていますので、興味のある方はそちらの解答を是非復習しておいて下さい。
〇 第 8 問について (選択問題): RLC 直列回路についての設問。本設問と第 9 問は、微分方
程式の現象解析への応用力が問われる設問です。文字 ω を含む式となりますので、若干解答の形が
複雑にはなりますが、そうは言っても チャレンジ問題 10. の類題ですし、昨年度も同様の問題を出
題していたのですから、前半部位は何とか手を付けて欲しいところです。まぁでも計算の複雑さは選
択問題の中でも一番でしょうね。選んだ人はお疲れ様でした。回路理論で RLC 直列回路は既に扱っ
ている筈ですので、本問は時間がかかっても良いのでしっかりと解けるようにしておきましょう。微
分方程式の電気工学への応用問題の典型的な例題です。解答者数は 35 名、25 点満点で平均点は 3.20
点、最高点は 15 点 (1 名) でした。
(1) は、同伴方程式が λ2 + 4λ + ω 2 = 0 であることから、解の公式を用いると λ = −2 ±
√
4 − ω2
となります。相変わらず 2 次方程式の解の公式を間違えている人がちらほら見られましたが、流石に
大学 2 年生なのですから、解の公式位間違えずに使いこなせるようにしておきましょう。また ω が
2 より大きいかどうか によって 根号の中身が正の数か負の数か が分かれますので、そこでの場合
分けもして欲しかったところです (が、問題文で指定すべきであったかもしれません)。(1) の解答か
ら、同伴方程式の一般解が

√
√
2
(−2− 4−ω 2 )t

+ C2 e(−2+ 4−ω )t
(ω < 2 のとき),
C1 e
−2t
−2t
I(t) = C1 e
+ C2 te
(ω = 2 のとき),
√
√


−2t
−2t
2
2
C1 e
cos( ω − 4t) + C2 e
sin( ω − 4t) (ω > 2 のとき)
となり、t → +∞ としたときに 指数関数部分が 0 に収束する*3 ことから従います。この問題は矢
張り ω の大きさで同伴方程式の解の形を場合分けして議論して欲しかったところですが、場合分け
していないものでも「指数関数部分が 0 に収束する」ことをきちんと論じてあるものについてはそれ
なりに点数を与えています。
(3) は、「定常電流」という用語を持ち出していますが、要するに (♢)′ の 特殊解を求めよ という
問題です。この問題は恐らく 未定係数法 で I∞ (t) = A cos t + B sin t と置いて求めるのが一番簡単
でしょう。計算間違いをしなければ、 I∞ (t) は
I∞ (t) =
4
ω2 − 1
cos t + 2
sin t
(ω 2 − 1)2 + 16
(ω − 1)2 + 16
と計算出来ると思いますので、最後に 三角関数の合成 を用いて I∞ (t) = √
(ω 2
*3
ω < 2 のときは −2 +
√
4 − ω 2 < 0 となることに注意。
1
− 1)2 + 16
cos(t−α)
と変形し直すのがポイントです。ちなみに 複素インピーダンス
(
)
(
)
1
Z = R + i βL −
= 4 + i 1 − ω2
βC
を用いると、
I∞ (t) =
1
V0
sin(βt − ϕ) = √
sin(t − ϕ),
|Z|
16 + (1 − ω 2 )2
ϕ = Arctan
Im(Z)
1 − ω2
= Arctan
Re(Z)
4
π
+ ϕ であることが分かるので、結局
2
(
(
1
π ))
1
I∞ (t) = √
sin t − α −
cos(t − α)
=√
2
16 + (1 − ω 2 )2
16 + (1 − ω 2 )2
と計算出来、ベクトル図から α =
と計算出来、微分方程式 (♢)′ を (未定係数法などで) 解いて得られる解と一致していることが分かり
ます。
1
(4) については、定常電流の振幅 √
が最大となるのは分母にある 16 + (ω 2 − 1)2
16 + (ω 2 − 1)2
が最小になれば良いので、ω = 1 であれば良いことが直ちに分かります。尚、ω = 1 のときは
1
√
= 1 = β となりますので、この RLC 直列回路は 共振回路 となっていることが分かります。
LC
(5) については、例えば講義で紹介した「ラジオの選局の原理」などを例に出して、共振回路の有用
性を適切に説明していれば正答となります。但し「共振回路では抵抗のみの回路と同様に扱うことが
出来る」など共振回路の技術的な扱い易さについてのみ言及されている解答は、「我々の来らしの中
で役立てられている例」を挙げていると見做すのは難しいため、減点対象となっています。
〇 第 9 問について (選択問題): リチャードソンの軍備拡張競争モデルについての設問。設定
はチャレンジ問題 13-1. とほぼ同一で、係数が文字になっているのがうっとおしいですが、目先の複
雑さに惑わされずに計算出来れば完答も夢ではないと思います。また、昨年度の FI クラスで同様の
問題を出題しています。解答者数は 25 名、25 点満点で平均点は 5.56 点、25 点満点が 1 名出ました。
これは素晴しい。
(1) は、文字が係数となっている行列
(
−2α
δ
δ
−2α
)
おく
に対して、臆することなくいつも通り
のやり方で固有値、固有ベクトルを求めることが出来たかどうかが勝負の分かれ目だったと言
えるでしょう。実際、この行列の特性多項式は ΦA (T ) = T 2 + 4αT + 4α2 − δ 2 となりますが、
4α2 −δ 2 = (2α+δ)(2α−δ) と因数分解出来ることにさえ気付けば ΦA (T ) = (T +2α+δ)(T +2α−δ)
の形に整理するのはそれ程難しくはなかった筈です。したがって固有値は
−(2α + δ), −(2α − δ)、
( ) ( )
−1
1
,
(およびその 0 でない実数倍) となります。(1) の計算結果か
1
1 )
( )
(
−(2α−δ)t 1
−(2α+δ)t −1
であることが分かりますので、(2) の答え
,e
ら、(♡) の解の基本系が e
1
1
固有ベクトルはそれぞれ
は当然これらの重ね合せとなります。
(3) は解の安定性と絡めた問題。t → ∞ としたときに x(t) も y(t) も 0 に収束するのだから、
e
−(2α+δ)t
と e−(2α−δ)t が 0 に収束すれば良いわけです。仮定から α も δ も正の実数なので、
e−(2α+δ)t は自動的に 0 に収束しますので、求める条件は e−(2α−δ)t が 0 に収束するための条件
−(2α − δ) < 0, 即ち δ < 2α となります。
まと
(4), (5) は、(3) で求めた条件 δ < 2α を実現するための方策を纏める問題です。数学的には、こ
の不等式を実現するためには当然「2α をなるべく大きく、δ をなるべく小さく」すれば良いだけで
すが、それぞれの意味を考えると α は「自国の経済的疲弊や社会的不満などが軍拡を抑制する作用」
を表しており、これを「大きくする」ということは国家の政策として明らかに不合理です (「経済疲
弊させる?」「自国の社会的不満を増長させる?」)。したがって、不等式 δ < 2α を実現しようとして
いたず
も、結局は 防衛係数 δ をなるべく小さくする 努力位しか出来ません。つまり、
「 徒 らに他国の脅威
に対抗しない」ことが要求されるわけですが、昨今の日本の情勢を見ても分かるように、「他国の脅
威に対する危機感」は一気に加熱しやすく、中々冷めないものですので、これを抑えるのは非常に厄
まと
介なことです*4 。(4) ではその辺りの難しい状況を纏め、(5) ではその打開策を自分なりに考えて主
張を明確に示していただければ文句無しの解答でした。このように、微分方程式は「状況をモデル化
した上で、その将来像 (解の振る舞い) を予測し、改善策を講ずる」ことにも用いることが出来ます。
ひ
ここまで色々な可能性を秘めた道具は、微分方程式以外にはなかなか思い付かないですね。
〇 第 10 問について (ボーナス問題): この設問は色々と独創的な解答を期待したのですが、
可もなく不可もなくといった解答や一言解答が多かった印象でした。取り敢えずなにかしら書いてあ
る答案には 3 点を加え、内容に応じて最大 5 点まで加点してありますが、殆どの人が 3 点となってお
ります (「振動」とか「力学で使われる」など、あまりにも短い解答は 2 点としています)。満点は解
答者 87 名のうち 2 名が獲得されました。
例えば次のような解答が多数見られました (プライバシー保護のため、表現等は適当に変えていま
す);
『例えばサバンナにシマウマとライオンがいるとき、ライオンはシマウマを食べることで数
が増え、シマウマはライオンに食べられることで数が減る。するとライオンは飢えて数が減
り、シマウマはライオンに食べられる危険性が減るために数が増える。そんな生態系の微妙な
バランスを表すのに微分方程式は用いられる。』
こちらは最後の講義で扱ったロトカ-ヴォルテラの微分方程式を説明した答案です。ぱっと見ると非
常にまとまっていて文句の付けところのない回答に見えますが、これではどう逆立ちしても 3 点しか
得点を与えられません。何故でしょうか……? その理由は 問題で尋ねられていることに適切に答え
ていないから に他なりません。
問題点を明確にするために、次の会話文を見てみましょう (以下の例文はフィクションであり、実
在の人物や店舗とは一切関係がありません)。
機介:
あ∼っ!
やっと昼休みだ∼!
超腹 減った∼!
…… よっし ゃ、今日は奮発して
MUZASHIYA でラーメン大盛り決めちゃるぜ!!
……… (ガラガラッ) すんませ∼んっ! ラーメン大盛りでっ!
*4
第 2 次世界大戦の際も、中国やロシアへの対抗措置から日本が全面戦争に突入していったことを考えると、非常に単純
いたず
化されたモデルとは言え、リチャードソンのモデルから得られた「他国の脅威への危機意識の 徒 らな増長が戦争を招
あなが
く」という教訓は、 強 ち的外れでも無いと言えましょう。
店員:
いらっしゃい! ちょうど良かった! 今期間限定で「野菜たっぷりラーメン」のセール
やってるんすよ! 今日はそっちでどうっすか?
機介:
え? いや、ラーメン大盛り……
店員:
いいからいいから! 何たって国産有機野菜 100% で 300g も使ってて 700 円! こんなお
買い得なことめったにありませんよ!! どうせ日頃野菜なんて食べてないんでしょ? この際
だからきっちり野菜取っときましょうよ!!
機介:
……… (イライライラ) ……
上の会話文で機介君が何故イライラし出したのか、もうお分かりですよね? そう、店員さんが 注文し
てもいない「野菜たっぷりラーメン」の宣伝を延々とし出したから です。幾ら「野菜たっぷりラー
メン」が国産有機野菜がふんだんに使われていてお買い得であろうと、大盛りラーメンモードになっ
ている機介君には何の魅力もありません。「要求されたことに的確に応じる」こと。これはレストラ
ンでの注文に限らず、日常生活でも非常に大切なことですね。
続いて、次の会話文も見てみましょう。
機介:
なぁなぁ、最近「位置情報ゲーム」っつーのが流行ってるらしいんだけど、何だそりゃ?
チャラ男:
おっ! よくぞ聞いてくれました! 今な、「パチモンで GO!」っつーゲームが流行っ
てて……
機介:
あ、聞いたことあるわ。
チャラ男:
だろ? でな、そのゲームは、出会ったパチモンにボール投げて掴まえるんだけど、
先ず出てきた瞬間を狙ってこう、角度を付けて投げるわけよ。んで……
機介:
え、ちょっと……
チャラ男:
まぁ聞けって、こっからが面白いんだって。んで、
、強くなったらジムで……んで、
てっとり速くレベルアップするにはボッボマラソンっつー裏テクニックがあって……
機介:
……… (イライライラ) ……
この会話文で機介君がイライラしている理由は分かるでしょうか? まぁチャラ男君の絡み方がウザ
い、と言うのもあるかもしれませんが、機介君が聞きたいのは「位置情報ゲーム」がどんなものか、
であるのに、チャラ男君がその一例である「パチモンで GO!」について、必要以上に延々と説明をし
出したからです。ぶっちゃけ機介君は位置情報ゲームをやるかどうかも分からないですから、「パチ
モンで GO!」の詳しい説明なんて (ましてやパチモンの捕まえ方なんて) 一切必要ないわけです。そ
れなのに、余計なことを延々とマシンガントークされたら、誰だってイラッとしますよね?
以上を踏まえて先程の解答例を見直してみれば、何処がまずかったのかもうお分かりでしょう。そ
う、先程の解答例は ロトカ-ヴォルテラの微分方程式という 微分方程式の一例 の説明に終始してい
て、肝心の「微分方程式が自然現象を記述する際に活用される理由」について一切触れられていない
のです。この解答例は 「ロトカ-ヴォルテラの微分方程式とは何を表す微分方程式か?」という設問
の解答としては文句なしの満点ですが、今回の設問に対する解答としては正直なところ「見当外れ」
と言わざるを得ません。「具体例を挙げる」ということは、人に物事を説明する際には非常に有用な
方法ですが、気を付けないとこのように 例の説明に熱中するあまり、肝心の本題についての説明が
蔑ろになってしまう ことがまま起こり得ます。「設問の意図をきちんと把握し、的確な解答を提示す
ること」は、今後皆さんが社会に出た際に色々な場面 (例えばプレゼンテーションや営業など) で要
求される非常に有用なスキルとなりますが、ただ漫然と毎日を過ごしているだけで身につくようなス
キルではありません。このような能力を養うのにうってつけなのは国語の記述問題などですが、理系
大学に進まれた皆さんにとっては、残念ながら記述問題は縁遠いものとなってしまっていると思いま
す。と言うわけで、将来への投資だと思って、意識して「目の前の問題をきちんと把握し、的確な解
答を見い出す」ことを少しずつ訓練してみては如何でしょうか?
■授業評価アンケートの自由回答欄について
授業評価アンケートの結果は、UNIPA から閲覧することが出来ますが、自由回答欄に書いていた
だいたご意見については公表されませんので、ここでコメントさせていただきます (基本的に原文マ
マ。誤字と思われる箇所については編注を付けてあります)。
〇 良かった点:
− 説明が簡潔でわかりやすかった。
− 解説が詳細で分かりやすかった。
− 授業わかりやすかった。
− 単純に講義自体もわかりやすい。
− 分かりやすかった。
− こっちの身になって授業をしてくれてわかりやすかった。
− 用語や公式の使い方などの説明が丁寧でわかりやすかった。
講義内での説明について好意的なご意見、ありがとうございます! 講義で解説する際には、学生の
皆さんに伝わるよう、説明の仕方を色々変えてみたりと試行錯誤していますが、説明をしている時点
では巧く伝わっているのかどうか判断が難しい場合も多く、不安に感じることばかりなんです。こう
見えてもガラスのハートなので。なので「説明が分かりやすかった」というご意見は大変励みになり
ます!
− 練習問題も数多く用意してくれた。
− 問題の解説が多めで助かった
− 演習する時間が授業内にあったこと。
やはり微分方程式には「習うより慣れろ」の側面があるのは否めませんので、なるべく毎回例題を
解いて貰うように心掛けています。ご好評のようで何よりです! 本当はもう少し講義時間内で問題演
習の時間を長く取って、しっかり解説したいところなのですが、週 1 コマの講義ではこれ位の「小演
習」の時間を取るので精一杯なのが現状ですね。
− 板書、教え方がとてもわかりやすかった。
− 字がきれいで見やすかった
− 字が大きく、見やすかった。
多人数講義なので、板書の大きさについては「後ろの人にも見えているか」を常に気にしながら大
きめに書くようにしているのですが、ちょうど良い大きさだったようで何よりです。とは言え、板書
が大き過ぎると「板書が直ぐに消されて写せない」と言われてしまうので難しいところですが (笑)
とり敢えず現行の板書の大きさで問題がないようでほっとしております。
− 小テスト
− 小テストで復習できるのでよかった。
− 毎週小テストがあるため、自然と復習しようと思えた。
− 毎回の小テストで理解度を確認できること
− 小テストを毎回行ったことにより、期末テストの勉強が少し楽になって良かった。
− 授業最後に行う小テストについて前回の授業の復習ができ、頑張れば単位が取りやすいと
いう制度は素晴しいと思った。
小テストについては、昨年度も好評でしたので今回も引き続き実施してみました。こちらとして
も、皆さんを苦しめるための「毎週小テスト」ではなく、日頃から復習する習慣を付け、モチヴェー
ションを上げてもらうための小テスト を心掛けたつもりですので、今年度もその意図を無事汲みとっ
ていただけて何よりです! 小テストをやるなら、しっかり自分の勉強に活かして欲しかったので、
「復
習を積極的に取りくめる」という前向きな報告をいただけたのは嬉しい限りです。
また、小テストは、最初に副手*5 の方に大雑把に採点していただいた後、細かい点を私がチェック
して最終的な点数を付けていました。ところがこのチェックが意外と時間がかかるんですよね……
(^^; と、結構手間のかかっているテストですので、間違えた箇所や添削された箇所をしっかりと復
習して学習に活かしていただけたのであれば、本当に報われます!
− 小テスト上位 5 つの点数が加算されるという方式が自分としてはよかった。
− 小テストの 30 点分は、ありがたかった。
− 小テストもしくは期末のみという評価の仕方が助かりました。
− 小テストを何回もして評価の最大 30 点分をとれるようにしてくれたのはありがたかった。
− 小テストにおける点数 30% 取得。
− 小テストを成績に反映する点。
趣旨としては、皆さんが (専門科目や実験レポートでお忙しい中) 少しずつでも毎週復習すること
を推奨するため、毎週復習した分の頑張りを成績に反映させよう、という制度であり、毎週コツコツ
と勉強することによって学期末試験の負担を少しでも緩和しようと思って導入したものです。こち
らに対しても好評であることは大変嬉しい限りですが、後にも苦言を呈するように フリーライダー
(ただ乗り犯) が出現してしまったことは大変残念でした。こう言う輩は、自分達のせいで 制度自体
が崩壊する ということを分かっているのでしょうか? 本当に腹立たしい限りです。
もりた つばさ
*5
昨年度に引き続き、大学院修士 2 年 原和裕研究室の森田 翼 さんに手伝っていただきました。毎週大変な作業をこな
してくださり感謝しております。
− (編注: 小テストで) 満点を取ると名前が載るので、モチベーションが上がった。
ご意見ありがとうございました!! 成績優秀者の発表については、あまり発表されたくない方もい
らっしゃるかもしれないと躊躇するところはあったのですが、このようにモチヴェーションを上げる
のに役立てていただけたのであれば、イチがバチかで実施してみて良かったな、と思います。
− 演習プリントを作ってくれた点
− 演習問題プリントがある点
− 分かりやすく、毎回演習問題が配られるので復習の役にたつ
− 演習問題が適当に選んだ参考書より良いし、チャレンジ問題の話題が豊富でそれもまた
良い。
プリントや資料へも好意的なご意見を沢山いただけて大変嬉しい限りです!! ここだけの話、あの演
習プリントって 1 つ当たりの制作時間が 3,4 時間は下らないので (冗談ではなく)、このような好意的
なご意見をいただけて「本当に作って良かった」としみじみと感じております。正直「今年は昨年度
の使い廻しが出来るので楽勝∼♪」とか思っていたのですが、演習問題の解答を作ったり構成を変え
たり、誤植を修正したりしていたら、結局また各プリントに 3,4 時間費やしてしまいました orz これ
だけ血と涙と汗が沁み込んだ (?) プリントですので、各自の自習に役立てていただけたのであればこ
れ程嬉しいことはありません!!
大分誤植は直したと思いますが、もし誤植 (と思われるもの) を発見された場合は、後進のために
こっそり教えていただけると助かります! ご協力をお願い致します!
− 授業サイトが分かり易くてありがたい
− ウェブページの授業資料が充実していたこと
− Web サイトの解答がとても助かる
− 配布資料などが見やすかった
演習問題の解答も含めた全てのプリントを印刷して配布すると、流石に環境に易しくありませんの
で (来ない人もいるから必ず余剰分の無駄が出るため)、プリントの一部はウェブページからダウン
ロード出来るようにしました。特に演習問題の解答は、途中式を省略すると「その省略したとこが分
かんねぇんだよ!!」とキーッとなるのは私も過去に経験済みなので、なるべく途中式も省略せずに丁
寧に書いた結果、毎回とんでもない分量になってしまいましたので (笑)、これを毎時間配布するのは
あまりにも現実的ではないですよね。資料の一部をウェブページ参照扱いにして配布しないことに対
しては、色々と意見があるかとは思いますが、意外と好評だったようでほっとしております。
− 毎回授業であつかった内容が現実にどう働いてるかを映像で見せてくださり、より興味が
わきとてもよかった。
− チャレンジ問題の紹介のときの謎の鑑賞会がほっこりして良いし、一区別り (編注: 一区
切り?) ついた感じでよい。
− ビデオが面白かった
− 最後に見るビデオがおもしろかった 笑
微分方程式の本当の醍醐味は、日常生活の色々な側面で微分方程式が応用されていること にある
と私は信じていますので、今年度の講義ではご存知の通り、チャレンジ問題で扱う事例についての映
いささ
像資料等を問題演習の時間に鑑賞していただきました。 些 か挑戦的な試みであったため「面白かっ
た」という感想をいただき励みになります!
− 授業の流れが一貫していてよかった。
「授業の流れが一貫していて」の部分が何を指していらっしゃるのかはちょっと分からないですが、
講義全体のストーリー性は重視するよう心掛けています。他のところでも言われたことがあると思
いますが、数学は「積み重ね」が重要な学問であり、簡単な事実を少しずつ積み重ねていくことで、
気付けば面白い事実が判明する、というところに醍醐味があると考えています。恐らく数学を「つま
らない」と感じていらっしゃる方の大部分が、この壮大な「ストーリー性」が見えずに、ただ延々と
「定義」「命題」「証明」を繰り返すだけ、と思ってしまっているのではないでしょうか? なるべくス
トーリー性を失わないように注意しながら講義をしてきたつもりですが、この講義を通じて少しでも
数学を「面白い」と思っていただけたのであれば幸いです。
− 身近にあるものを微分方程式で求めることが知ることができ非常に興味を持った。
うれ
この講義で特に重視してきた点なので、このご意見は本当に嬉しいなぁ。私が大学在籍時に受けた
微分方程式の講義も含め、どうしても大学の微分方程式の講義って「このタイプの微分方程式はこう
解きます、このタイプはこうです、実際にどういうときに出て来るかは他の講義で学んでね ♡」的な
流れの講義になってしまいがちで、正直微分方程式の解き方は学べるかもしれないですが、ぶっちゃ
やは
けなんも面白くないんですよね。矢張り微分方程式の醍醐味は、自然現象や社会現象が単純な微分方
程式で表され、それを解くことでその現象の解析や将来の予測が可能になる ところにあって、そこ
を省略してただひたすら「微分方程式を解く」ことばかりやっていたら、そりゃ誰だって微分方程式
を嫌いになると思います*6 。
とは言え大学の週 1 コマの講義では、そんなところにまで触れる時間は ぜ∼んぜん無い ので、苦
肉の策で演習問題やチャレンジ問題にそう言った話題を詰め込み、講義の際は映像資料等を演習時間
中に流したりして「こんなところでも微分方程式が使われている」ことを事ある毎に宣伝することに
*6
私は中学校のときの因数分解をひたすら (何の目的かも分からず) 覚えさせられた数学の授業が結構トラウマなのです
が、ただひたすら「微分方程式の解法を覚える」というのも同じ位の苦行な気がします。
しました。そんな小細工的な方法でしか微分方程式の使われ方をご紹介出来なかったのは残念でした
が、それでもこの様な感想を持った学生さんがいる限り、やって良かったと心から思います。
− わかりやすく面白い授業だったので、もっとちゃんと出席していればよかった。レポート
さえなければ
あれま。アンケート実施時の近辺のみ出席されていた方でしょうか? まぁ皆さんにとっては、実験
レポートがあり (私も学生時代は実験ノートやレポートには散々苦しめられました (^^;)、しかも木
曜 1 限でその直後に必修の電磁気学があり、という非常に厳しい条件下での講義となったと思いま
すが、厳しい状況下でも巧くやりくりすることも、社会に出る上では常に要求されるスキルです。皆
さんも大学生になって、「時間に限りがある」ことを段々と身に沁みて理解されていることと思いま
す。そう、勉強に遊びにバイトに……と、すべてのことを完璧にやりこなそうとすると、時間はいく
らあっても足りないのです。そのことを踏まえた上で、それでもやりたいことを出来る限りやり尽く
すにはどうすれば良いのか、一度自分の生活スタイルを見直してみると良いかもしれませんよ?
− 授業の雰囲気がよく、難しかったが、好きな科目であった。
これは講義担当者としては本当に嬉しいご意見ですねぇ。ありがとうございます!! 講義の雰囲気
については、正直黒板から皆さんを振り返る立場の私からはなかなか窺い知ることが出来ないのです
が、講義内容は決して簡単なものばかりではなかったと思います。それでも「好きな科目」と言って
下さる方がいらっしゃるのは本当に励みになります。
今後皆さんはどんどん専門性の増した講義を受講していくことになると思います。専門性が深まる
についれ、難易度もどんどん上がり、簡単には講義の内容が分からなくなることも多くなることで
しょう。そんなときは、とにかく「難しそうだけど、面白そう」な講義を見つけ、とにかくその講義
を「分かるようになるまで」集中して勉強してみるのも良いと思います。「面白そう」と感じたもの
には、必ずどこかに自分の琴線に触れたものがあるはずですし、それが専門分野の難解さを乗り超え
るためのきっかけになるかもしれないのですから。
− こんないい先生いない!!
う∼む、私なんぞには勿体ない程の過分なご賛辞をいただいてしまいましたが……。まぁ素直に受
け取らせていただきます! ありがとうございます! こちらこそ最後まで 100 人を超える人達に熱心に
講義に参加して下さって、楽しく講義をすることが出来ました!
− 特にありません
あ、はい……。精進します。
〇 改善した方が良い点、改善のための提案など:
− カンニングが多すぎた。
− 小テストの不正行為を防ぐため見回りをする人を増やす
− 小テストで不正する人がいるので、授業の後ではなく、授業の始めに行った方が良いと
思う。
− カンニング行為をした者への罰をもっと厳しくして欲しかった。期末受験資格をなくし
て授業にも来させなくするくらいのことをしても良かったと思う。
昨年度に続き、カンニングについてのご意見がこれ程寄せられたことは、申し訳ないやら情けない
やら複雑な心境です。FI クラスではこのような報告は出て来ないのに、何故 EJ クラスでは、こんな
に周囲にバレバレな状況でカンニングが発生するのでしょうか……? 本当に腹立たしい限りです。
この講義は、毎回 100 名以上が出席している大人数講義であり、しかも小テスト実施中に (遅刻者
への) 小テストの返却をしなければならないこともあり、どうしても私 1 人だけで不正行為の巡視を
行うことには限界があります。また、人員を増やすことについても、色々と面倒な手続き等が必要な
ため、そう簡単なことではありません。勿論明らかなカンニング行為が発覚した者については厳しい
処分をするつもりでしたが、明確な証拠がつかめない事例が殆どであるため、若干手をこまねく状況
になってしまったのは事実です。
まぁ正直、最大で 3 割にしかならない小テストですらカンニングを平気でするような、やる気のな
い学生に単位が取れる程簡単な科目ではないと思いますが、皆さんの利益になるような制度を悪用す
る輩が現れる以上、小テスト制度自体を見直さなければならないかもしれません。勿論真面目に講義
を受講されている方にとっては、「少数の不届き者のせいで自分達も不利益を蒙るのはおかしい」と
思われるかもしれませんが、フリーライダーを完全に撲滅するためには制度自体の廃止も検討しなけ
ればならない、ということにはご理解をいただけると幸いです。厳しい言い方をすれば、カンニング
を「見て見ぬふり」をしているのも、フリーライダーの暗躍を黙認しているという意味では同罪であ
る、とも言えましょう。
というわけで、不正行為を目撃した場合には (その場では言いづらいのであれば後でメールなどで
も構いませんので) 面倒くさがらずに報告していただければ幸いです。皆さんで協力して、フリーラ
イダーが発生しない環境を作り出すことが、この手の問題に対しては理想的な方法なのではないかと
思います。
− 後ろからの話し声が多かったので、その人たちを前に座らせた方がいいと思います。
一応講義の席順は、来た人から順に好きなところに座る、という形で行っているため、席順を動か
すのはなかなか難しいでしょうし、大学生を相手にこちらで席順を指定する、というのも馬鹿馬鹿し
い話だと思うため、席順を動かすことは現時点ではあまり考えていません。一応黒板で解説をしてい
る際の私語については厳しく対処していたと思いますが、それ以外の場面でのご指摘でしょうか? 取
り敢えず、私語に関しては (問題演習の時間以外では) 厳しく指導することで対応しようと考えてお
ります。ご意見ありがとうございました。
− 小テストの時間が短い
− 小テストの時間が短い
− 小テストをもう少し速く行なってほしい
− 最後の小テストの時間が足りないな、と感じた。
− 小テストが始まる時間が少し遅かった。
− テストを開始する時間が遅い
− もう少し小テストの時間に余裕を持たせて欲しい。
− 小テストをするならもう少し時間によゆうをもった方がいいと思う。
− ただ小テストの時間が少なかったので解ききれない問題が多々あった*7 。
小テストの時間については本当に何の申し開きようもございません。ご迷惑をおかけして大変申し
訳ございませんでした m(_ _)m 私としても本来ならば「授業終了 10 分前くらいに小テストを開始
して、チャイムが鳴ってもしばらく答案を受けつけて、大体 10–15 分位の時間は小テストを解く時間
が取れる」ようにするのが理想だと思っております。昨年度も同様の要望を幾つもいただき、講義の
時間配分などを再検討したのですが、矢張り講義の内容が多い回 (完全微分方程式等) ではどうして
も講義が延び気味になってしまい、小テストの時間が圧迫されてしまいましたね。今後も小テストの
時間については最低限確保するように努力致しますが、講義内容の密度を考えると、これ以上劇的に
時間を捻出するのは限界があるようにも思われます。そのような場合も考慮しての「上位 5 回分の得
点加算制」ですので、もし小テストの時間が短くなってしまったとしても、あまり神経質にならずに
「あ、また時間調整失敗してやがんの www」と生暖かい目で見守っていただければ幸いです。
− 小テストを授業の最後にやるのをやめてほしい。ギリギリになってやだ
− 次の時間には早めに行かなくてはいけないため、小テストの時間が短く感じ、十分に考え
ることができない。
「次の時間」というのは必修の電磁気学のことですよね? このことについても大変申し訳ないと
思っておりますが、1 限の講義では電車の遅延も多く (現に今学期だけで少なくとも 2,3 回は東海道
線や常磐線の大幅な遅延があったように記憶しております)、講義最初に小テストを実施したのでは
小テストを受ける機会に不平等感が生じてしまうことが避けられないため、講義の最後に小テストを
実施することにしています。遠方から来ている学生のことも考えて、授業最後に小テストを実施する
ことについてはご理解をいただけると幸いです。小テストについては、なるべく早めに実施して移動
時間を確保出来るよう今後も努めていきます。
*7
「良かった点」に挙げられていたご意見ですが、内容を考えてこちらに掲載いたします。
− 問題とくときに、動画を見せるときがありますが、スクリーンで黒板の問題が見えなかっ
たです。片方だけにしてください。
− 問題演習中に流してくれていた動画の音量が一度大き過ぎたこと
− 映像を流しながら解説してくれるが、音声がかぶってよく聞こえぬ
私の AV 機器の操作技術が拙かったことがすべての原因ですね。ご迷惑をおかけして大変申しわけ
ございませんでした。何分映像資料をこれ程積極的に用いるのは今回の講義が初めての試みでしたの
で、勝手が分からず適切な音量管理やスクリーン設置が出来ていなかったようです。ただ、私の技術
の拙さのために、映像資料自体が迷惑に思われてしまったのであれば、それは大変勿体無いとおもい
ます。もし講義時間中に見逃した (?) 資料がございましたら、ウェブページに URL が掲載されてい
ますので、ご自分に合った音響環境で心ゆくまでお楽しみいただければ幸いです。
− 内容が自分にとっては少しもの足りなかったので、いろんな解法や使える場面を紹介して
ほしかった。
うわ、これはまたかなり予想外のご意見、ありがとうございます。この内容で「もの足りない」と
は……なかなかやりますな (恐らく大多数の学生が「内容多すぎィィ!!」と悲鳴を上げていると思い
ますので)。私としても、微分方程式の解き方の紹介はそこそこにして、例えば懸垂線の方程式の導
出とか RLC 直列回路の過渡現象なんかで「こんな風に微分方程式が使えるんだ!」ということを解説
する方が圧倒的に楽しく講義が出来るのですが、恐らくこのような講義構成でついて来られる学生は
残念ながらごく少数ではないかと思います。ご意見をいただいた方のような、向上心あふれる方のた
めに「チャレンジ問題」をご用意しておりますので、もの足りない方は是非チャレンジ問題に取り組
んでみて下さい。講義では触れる時間が殆どないですが、分からない点やより発展的な事項について
は、個別に質問に来ていただければ喜んでご対応いたします!!
− 来年、カンニング等で小テストをするのか分からないが、小テストをその日、講義した全
員が受けなくてよいように小テストを受けたい人は残って受けて、受けたけなければ (編
注: 受けたくなければ?) 終わりでいいような気がする (一応、復習してなければ解けない
ですし、してなければあまり意味もないような) → (数が減れば、カンニングしづらくな
るだろうし、採点の数も減るので……)。
貴重なご意見ありがとうございます。「小テスト希望受験制」もひとつの方法ではあるかと思いま
すが、これはこれで「成り代わり」などの不正行為が横行しそうな気がしますし、やはり「毎週復習
すること」を促進する、という意味では、全員受験という制度にも利点はあるかと思います (採点数
へのご配慮もありがたいですが、仕事ですのでそこはお気遣いいただかなくとも大丈夫です)。小テ
ストをどのように実施するかについては、今後の検討課題とさせて下さい。
− テスト返しで名前で呼ぶの大変そうなので学籍番号でもいいんじゃないでしょうか
小テスト返却についてご配慮いただきありがとうございます。でも、学籍番号ってやっぱり人間味
がないじゃないですか……。これだけの規模の講義となると、皆さんひとりひとりと交流することは
ほぼ不可能ですので、小テストの返却位はせめてお名前でお呼びしようと思って、一人ずつ名前で呼
ぶように心掛けています。
とは言え、名前の読み間違いについては本当に申し訳ございません。テストの成績入力時に、ずっ
と名前を読み違えていたことに気付いた方も少なくありません。どうしても名前を読み間違えられた
くない方は、こっそりふりがなを付けておいていただけると大変助かります。
− 広い教室にする
− 人数が大くて座るのがきつい
− 受講者数に対して教室がせまい (座れずに帰ったことがある)
− 教室が狭かった
− 教室をもう少し大きい場所にするか、クラス分けるかしてほしい。人があふれているの
で、遅刻したときは入りづらい。
いやぁ、去年は履修人数 120 人位で、GW 明けには 100 名を切る感じだったので「教室の広さ問
題」はそんなに発生しなかったのですが、今年は何故か履修人数が 160 名ほどで激増したため、教室
のぎっしり感が半端なかったですね。すみませんでした。何故 1 年で 40 人も履修人数が増えたのや
ら…… (私が去年落とし過ぎた、というのもあるかもしれませんが (^^; でも再履修組の人数は去年
とそんなに変わらないんですよね……)
とは言え、皆さんもご存知の通り、2 号館の教室はどれも似たりよったりの大きさの教室しかあり
ませんので、これ以上大きい教室というと丹羽ホール (!) 位になっちゃうんじゃないでしょうか? 流
石に丹羽ホールはそう簡単に使わせてくれないでしょうし、あまり広い教室だと今度は板書が見にく
くなってしまいますしね。難しい問題です。
次年度も (私が担当するか分かりませんが) この規模の人数が履修されるようでしたら、事務部と
も相談して対策を練ってみますが、上記のような状況を踏まえると、劇的な改善策が出て来そうもな
いので、あまり過度に期待しない方が良いかと思います。
− 木曜 1 限
ご意見ありがとうございます。ですが、こればかりは……。学科の専門科目の時間割との兼ね合い
で、数学系列に「この時間にやって下さい」と指定されているものですので、私の一存ではどうこう
出来る問題ではございません。申し訳ございません (講義する方としたって、1 限は正直あまり嬉し
くはないんですよ? 皆さんと違って遅刻出来ませんし)。まぁ「早起きは三文の得」という (便利な)
諺もございますし、頑張って早起きして下さい!!s
− 特にありません
− 特にありません
− 特になし
色々と試行錯誤を重ねている科目ですので、「(改善点が) 特にない」というお言葉は大変嬉しい限
りです! これからも、改善すべき点は改善しつつ、ご好評いただいた部分はなるべくその持ち味を減
らさないようにして講義を行っていく所存です!