看護記録① 看護記録とは 看護記録とは • 看護師の責任で記載する公的な患者個人の 記録」(看護学大辞典第2版) • 「看護記録とは、看護過程の実施を証明するも の」(看護体制検討会1984年) • 看護実践の記録は、看護職の思考と行為を示 すものである。看護実践の内容等に関する記 録は、他のケア提供者との情報の共有や、ケ アの継続性、一貫性に寄与するだけでなく、ケ アの評価及びその質の向上に加え、患者情報 の管理及び開示のために貴重な資料となる。 看護職は必要な情報を効率よく、利用しやすい 形で記録する」(看護業務基準2006年改訂版) 診療情報とは • 診療情報 – 診療の過程で患者の身体状況、病状、治療等につ いて、医師またはその指揮監督下にある医療従事 者が知りえた主観的、客観的情報。 • 診療録 – 医師法第24条所定の文書 • 診療記録等 – 診療録、手術記録、麻酔記録、各種検査記録、検 査成績表、エックス線写真、助産録、看護記録、そ の他診療の過程で患者の身体状況、病状等につい て作成、記録された書面、画像等の一切 日本医師会「診療情報の提供に関する指針より」 看護記録の法的位置づけ • 助産録 – 保健師助産師看護師法第42条所定の文書 • その他の看護職が記載する看護記録 – 明確な法的な規定はない 看護記録に関する指針の整備 1997年 医療法にインフォームド・コンセントが努力規定として明記される。 1998年 「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」報告書(厚生省)におい て、看護記録を含む診療記録の開示と法制化が提言される。 「医療提供体制の改革について」(医療審議会中間報告)にて、医療に おける情報提供の推進が盛り込まれ、レセプトが開示される。 1999年 「国立大学付属病院における診療情報の提供に関する指針(国立大 学医学部付属病院長会議常置委員会) 「診療情報の提供に関する指針」(日本医師会) 「都立病院における診療情報の提供に関する指針」(東京都) 「看護記録の開示に関するガイドライン」(日本看護協会) 2000年 診療報酬改定において、患者への情報提供を推進し、診療情報の提 供・管理体制整備を図る観点から診療報酬上の評価がなされる。 2003年 「診療情報の提供等に関する指針」(厚生労働省) 2005年 「看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針」(日本看護協会) 看護記録の開示に関するガイドライン • 看護記録を含む診療記録等 の開示がなぜ求められてい るか、開示の意味は何か、 看護記録をどのように整える か等、記録開示を推進する ために必要とされる事項をま とめたもの。 • このガイドラインの作成に至 るまでの関係省庁・団体の動 向や、看護記録の法的位置 づけ、情報提供の推進のた めの環境整備、それにともな う看護管理者の役割、今後 の展望などについて書かれ ている。 看護記録および 診療情報の取り扱いに関する指針 • • 2003年の個人情報保護法の成立 および、「診療情報の提供等に関 する指針」(厚生労働省)を受け、 1999年に作成した「看護記録の開 示に関するガイドライン」を改定し たもの。 看護者が専門職として社会的責任 を果たすために必要な看護記録お よび診療情報の取り扱いに関する 基本的な考え方を示すものとされ、 ①診療情報の提供の目的と看護 者の役割を明確にする、②診療情 報の提供における看護者の主体的 な役割を示す、③診療記録開示の 目的に適う看護記録のありかたを 示す、④看護記録を含めた診療情 報等の個人情報の保護に関する 基本的考え方を示す、の4点を目 的としている。 看護記録の構成要素 ① ② ③ ④ 基礎(個人)情報 看護計画 経過記録 看護サマリー 日本看護協会編(2005)看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針、日本看護協会出版社、p31 看護記録の構成要素① 基礎(個人)情報 • 看護を必要とする人についての属 性・個別的な情報が記載されたもの。 • 看護を必要とする人を理解し、現在 あるいは今後必要とされるケアや問 題を判別したり、ケアを計画し、実行 したりするうえで基礎となるもの。 日本看護協会編(2005)看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針、日本看護協会出版社、p31 看護記録の構成要素② 看護計画 • 看護を必要とする人の問題を解決するための個別 的なケアの計画を記録したもの。 • 看護計画は患者に説明し、患者・家族の同意を得て いることを記録する。入院後速やかにその患者に応 じたケアを提供するため、患者・家族のニーズを考 慮し24時間以内に立案することが望ましい。 • 標準看護計画は、看護を必要とする人の特定の問 題を解決するために研究結果を活かした共通する 看護実践をあらかじめ記載したもの。実際に患者に 適用する場合は個別性を考慮し、追加・修正を行う。 日本看護協会編(2005)看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針、日本看護協会出版社、p31 看護記録の構成要素③ 経過記録 • 看護を必要とする人の問題の経過や治療・処 置・ケア・看護実践を記載したもの。 • 看護記録には、叙述的な記録と計画一覧表(フ ローシート)がある。 • 叙述的な記録には、経時記録、SOAP、フォーカ スチャーティングなどがある。 • 経過一覧表(フローシート)は、ルーチンのケア、アセ スメント、特定の問題の経過等について、項目を 設定し、図や記号などで簡潔に状況を記載する ものである。 日本看護協会編(2005)看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針、日本看護協会出版社、p31 看護記録の構成要素④ 看護サマリー • 看護を必要とする人の経過、情報を要約した もの。 • 必要に応じて作成する。施設を変わる際や在 宅ケアへの以降の際に、ケアの継続を保証 するために送付する。 日本看護協会編(2005)看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針、日本看護協会出版社、p31 本日のまとめ • 看護記録は、診療記録の一つとして非常に 重要なものである。 • 看護記録を残すことについて、法的に明確な規定は ない • 日本看護協会の看護記録および診療情報の 取り扱いに関する指針によれば、看護記録 「基礎(個人)情報」「看護計画」「経過記録」 「看護サマリー」の4つの構成要素からなる。 参考文献 • • • • • • • • Tony Harington.早野真佐子訳(2002).アメリカの看護記録の発展とその 未来.インターナショナルナーシングレビュー.25(1).48‐50 日本看護協会(2000).看護記録の開示に関するガイドライン.日本看護 協会 井部俊子他監修(2005).看護管理概説.日本看護協会出版会 井部俊子他監修(2004).看護経営・経済論.日本看護協会出版会 井部俊子他監修(2005).看護情報管理論.日本看護協会出版会 井部俊子他監修(2005).看護管理基本資料集.日本看護協会出版会 上泉和子他著(2003).看護管理.医学書院 日本看護協会看護業務サポートデスクHP 看護記録.(2007.6.8). http://www.nurse.or.jp/tools/support/kiroku/kiroku_1.html 引用文献 • 南裕子.日本看護協会(2000).看護記録の開示に関するガイドライン. 日本看護協会 • 日本看護協会編(2005).看護記録および診療情報の取り扱いに関する 指針.日本看護協会.
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