加工食品の栄養成分表示について

加工食品の栄養成分表示について
昨 年 の 4 月 1 日 に 食 品 表 示 に 関 す る 3 つ の 法 律 ( 旧 JAS法 、 食 品 衛 生 法 、 健 康 増 進 法 )
の 規 定 を 一 元 化 し た 新 た な 食 品 表 示 法 ( 以 下 、「 新 法 」 と い う 。) が 施 行 し 、 表 示 基 準 が
統合されました。併せて、健康の維持及び増進に役立つことを表示できる機能性表示制度
が創設されました。その他、新法では一括表示欄表示項目が細かく見直され、製造所固有
記号、アレルギー表示、原材料と添加物の区分等の表示ルールが変更されています。
また、加工食品の栄養成分表示が義務化されたことから、今回はこの概要や今後必要と
なる対応について解説します。
1
栄養成分表示とは
栄養成分表示とは、その商品に含まれている熱量(エネルギー)や栄養素の量を示した
ものです。これまでは、義務ではなく事業者が任意で行っていましたが、原則として容器
包装に入れられた消費者向けの加工食品及び添加物は栄養成分表示をしなければならなく
なりました。
・ 栄 養 成 分 表 示 の 基 本 は 、 熱 量 (k ca l)、 た ん ぱ く 質 ( g ) 、 脂 質 ( g ) 、 炭 水 化 物 (g ) 、
ナ
ト リ ウ ム ( mg) の 5 項 目 で す 。 ナ ト リ ウ ム の 量 は 、 消 費 者 に と っ て わ か り や す い 食 塩
相
当 量 (g )
栄養成分表示
で表示します。
(100mlあたり)
エネルギー
70 kcal
たんぱく質
20.7 g
脂質
飽和脂肪酸
炭水化物
糖質
・熱量、栄養成分の記載順序は変更できません。
・飽和脂肪酸の量、食物繊維の量は積極的に表示す
るように努める栄養成分となっています。食物繊
0.6 g
維の量を表示する場合は、糖質の量も合わせて表
13.7 g
示します。飽和脂肪酸は脂質の下に、糖質と食物
0.0 g
5.6 g
食塩相当量
0.2 g
2
いずれかを表示します。
1.4 g
食物繊維
ポリフェノール
・ 食 品 単 位 は 、 100g 、 100mL、 1 食 分 、 1 包 装 分 の
繊維は炭水化物の下に記載します。
・食品表示基準に規定されていない栄養成分を表示
するときは基本5項目の枠外に記載するか線を引
いて区別します。
260mg
栄養成分表示の設定方法
栄養成分値の設定方法は、主に3通りあります
(1)分 析 値
食品表示基準に定められた方法により、検査機関などで栄養成分を分析します。ただ
し、原料の季節間差や個体間差によって栄養成分にばらつきが生じる場合を考慮しなけ
ればなりません。
(2)計 算 値
文 部 科 学 省 が 公 表 し て い る 日 本 食 品 標 準 成 分 表 2015年 版 ( 7 訂 ) な ど の 公 的 な デ ー タ
ベース等から原料の栄養成分値を得て、加工品の配合レシピや調理法から計算します。
(3)参 照 値
公的なデータベース等を基に、表示しようとする食品と同一または類似する食品から
栄養成分を類推します。
-1-
3
実 際 の 設 定 方 法 (計 算 値 の 求 め 方 )
それでは、カスタードプリンの例を挙げ、計算値で表示する場合の実際の計算方法を
解説します。
【表1】
カスタードプリン(4個分)
純使用量(g)
・使用する原材料と分量を書き出します。計算
牛乳
200cc
206
し や す く す る た め 、 mLや L、 ccな ど は g に 換
全卵
1個(60g)
51
算 し 食 品 か ら 食 べ ら れ な い 部 分( 皮 、種 、骨 、
卵黄
2個(40g)
40
砂糖
大2(30g)
30
練乳
大1(20g)
20
バニラエッセンス
少々
砂糖(カラメル用)
50g
50
殻 等 ) を 除 い た 純 使 用 量 (g ) と し ま す 。
全卵の廃棄率
15%
(表 1 )
・ 食 品 標 準 成 分 表 か ら 100g 当 た り の 値 を 確 認
します。
(表2)
・レシピの純使用分量の数値に換算します。
(表 3 )
・4個分の栄養成分なので、4で割って1個分
の栄養成分値とします。
【表2】食品標準成分表
可 食 部 100g 当 た り の 成 分 値
100g当たり エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量
(g)
(表4)
牛乳
(kcal)
67
(g)
3.3
3.8
全卵
151
12.3
10.3
卵黄
387
16.5
砂糖
387
練乳
331
(g)
純使用量に応じ換算して合算
【表3】
(g)
4.8
エネルギー
745 kcal
0.3
0.1 ×2.06
0.4 ×0.51
たんぱく質
21.2 g
33.5
0.1
0.1 ×0.4
脂質
28.1 g
0
0
100
×0.8
炭水化物
101.3 g
7.8
8.3
56.3
0.2 ×0.2
食塩相当量
0.49 g
÷4
【表4】
・表示値が公定法によって得られた値とは一致しない可能性
がある場合は、次のいずれかの文言を表示します。
「推定値」
栄養成分表示(1個あたり)
エネルギー
たんぱく質
「この表示値は目安です」
また、消費者への的確な情報提供を行う観点から、例えば
「日本食品標準成分表の計算による推定値であり、商品その
も の の 分 析 値 で は あ り ま せ ん 。」 と 値 の 設 定 根 拠 を 追 記 す る
こともできます。
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脂質
186 kcal
5.3 g
7g
炭水化物
25.3 g
食塩相当量
0.1 g
4 栄養成分表示の省略等
栄養成分表示は以下に該当する場合、省略または不要とすることができます。
(1)省 略 規 定
① 表 示 可 能 面 積 が 30㎠ 以 下 と 小 さ い も の
②酒類
③栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの(水、香辛料等)
④ 極 め て 短 期 間 で 原 材 料 が 変 更 さ れ る も の (日 替 わ り 弁 当 等 )
⑤消費税法第9条第1項において消費税を納める義務が免除される事業者(課税売上
げ 高 1000万 円 以 下 の 事 業 者 ) が 販 売 す る も の
⑤については、事業者による全ての事業の合算課税売上げ高で判断されます。
ま た 、加 工 品 の 製 造 販 売 事 業 者 が ⑤ に 該 当 し て も 、商 品 の 卸 先 で あ る 販 売 者 (ス ー パ ー 、
直売所等)が⑤に該当しない場合は表示の省略はできません。
(2)義 務 表 示 の 特 例
①食品を製造し又は加工した場所で販売する場合
② 不 特 定 又 は 多 数 の 者 に 対 し て 譲 渡 (販 売 を 除 く ) す る 場 合
新法では、新基準への移行期間として5年間が認められており、移行期間中は旧基準の
表 示 で も 可 能 で す が 、 平 成 32年 4 月 1日 か ら 完 全 実 施 と な り ま す の で 、 加 工 食 品 を 販 売 さ
れている事業者の方は早めに準備を進めましょう。
なお、食品表示法に関するお問い合わせは県の各地域振興局の相談窓口(下表参照)で
受 け 付 け て い ま す 。( 新 潟 市 に お い て は 新 潟 市 保 健 所 食 の 安 全 推 進 課 )
相
談
内
容
相談窓口
・衛生事項
健 康 福 祉 (環 境 )部
アレルゲン、消費期限など衛生に関する事項
・保健事項
生活衛生(衛生環境)課
健 康 福 祉 (環 境 ) 部
栄養表示、保健機能食品など保健に関する事項
地域保健課
[新 発 田 ・ 新 潟 ・ 三 条 ・ 長 岡
南魚沼・上越・佐渡]
・品質事項
農 林 水 産 (農 業 ) 振 興 部
原材料、原産地など品質に関する事項
【経営普及課
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農業革新支援担当
河内由紀子】
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