融点本当の意味

物理化学特論(最終回)
鈴木良尚
質問書(4月28日)その1
• 二次元核生成と三次元核生成の違いは?
→二次元核は、結晶表面と一部結合を作っている
が、三次元核は、空間中でクラスターを作っている。
→二次元核ができて横に広がるのを繰り返せば、
面は前進できて、三次元的な成長が実現する。
2D
基本的に、一層のみ
nucleation
不均一核生成は多層
で3次元核の一部
3D
nucleation
質問書(4月28日)その2
• 実際に観測されるステップは真っ直ぐか、曲がって
いるか?
→結晶の性質による。
質問書(4月28日)その3
• 疎水性水和は、矛盾した概念?
→水和のイメージは、水との間の結合形成だが、
もう少し一般化して、「水との相互作用」とすれば、
斥力的な相互作用も含まれる。
→疎水性水和は、水の中に疎水性物質がある場
合、その疎水性物質との相互作用によって水が構
造化したりすることをさす。
質問書(4月28日)その4
• でこぼこしない、まっ平らな結晶をつくれない?
→でこぼこは分子レベル。結晶サイズに比べれば、
ほぼ完全にまっ平らと言ってよい。
→同様に直線ステップも、分子レベルではでこぼこ
している。
→二次元島がぶつかれば、まっ平らになります。
質問書(4月28日)その5
• 低圧と高圧で結晶の生成速度に違いはある?
→Glucose isomeraseの場合、高圧力下では溶解
度が下がるので、駆動力が上がります。さらに、駆
動力が同じでも高圧力下のほうが速くなります。
V / nm s-1
10
5
活性化体積が負の値をとるという結論になる
0
0
5
C - C e / mg mL-1
10
質問書(4月28日)その6
• 沿面成長には、二次元核成長・スパイラル成長の
他に何がある?
→たとえば、刃状転位があるところは、ステップの
供給は直接はないが、表面構造の変化による核生
成の促進などが起こる。
螺旋転位
刃状転位
予定
• 結晶成長事始(結晶とは?結晶成長とは?
結晶成長はこんなに偉い!)
• 相変化の熱力学
• 結晶の誕生
• 理想的成長
• 表面構造とラフニング
• 表面kinetics
理想的成長
理想的な成長速度
∆µ
R≈K
kT
結晶の表面がキンクだらけ
過飽和度が小さいとき
のみ成り立つ
実際はキンクだらけではない
→キンクの供給様式で成長速度が決まる
表面kinetics
沿面成長
• 平らな表面を持った状態での
結晶成長→キンク生成機構
• 二次元核成長→完全結晶
• スパイラル成長
表面kinetics
二次元核成長その1
• 完全結晶の表面にキンクを供給
二次元島
• ステップ形成
→エネルギー増加
• 二次元島になれば化学
ポテンシャルが減少
• 三次元核生成と同様の
取り扱い可能
表面kinetics
二次元核成長その2
∆F2 = −
πr
2
as
∆µ + 2πrβ
r
as: 分子一個の表面積
β: ステップ自由エネルギー
βa s
πβ a s
& ∆F2,c =
rc =
∆µ
∆µ
2
∆F2 ,C
πβ a S
) = J 0 exp(−
)
J s = J 0 exp(−
kT
∆µkT
2
表面kinetics
二次元核成長その3
• 曲がっているステップ→前進速度遅い
N=
πr
2
aS
⇔ δN =
r
2πr
δr
aS
&
∆F2 = −
πr 2
as
∆µ + 2πrβ
∆ F2 = − N∆ µ + 2 πa s β N 1 / 2
as β
∂∆ F2
−1 / 2
⇔
= − ∆ µ + πa s β N
= − ∆µ +
∂N
r
K s ∂∆F2 K s
as β
rc
v=−
=
( ∆µ −
) = v 0 (1 − )
kT ∂N vkT= K s ∆µ r
r
0
kT
Ks
∆µ
Q v0 =
kT
表面kinetics
二次元核成長その4
a
1
待ち時間 τ 1 = J A
s
成長速度→無限!!
単一核様式
τ1
= aJ s A
待ち時間τで一層→一層中の個数
N n = J s Aτ →この個数の面積An?
An = N n × (v τ ) 2 = A
⇔ τ = ( J s v 2 ) −1 / 3
多核様式
R=
a
R=
v : 平均ステップ速度
a
τ
= aJ 0
= a ( J s v 2 )1 / 3
1/ 3
2
πβ
as
2/ 3
v exp(−
)
3∆µkT
表面kinetics
スパイラル成長その1
• 不完全結晶の表面にキンクを供給
二次元島
テラス
ステップ(レッジ)
吸着原子
穴
螺旋転位
刃状転位
表面kinetics
スパイラル成長その2
螺旋転位
表面kinetics
スパイラル成長その3
rc
v = v 0 (1 − ) ⇔ λ = 19rc
r
λ
βas
rc =
∆µ
Ks
v0 =
∆µ
kT
av0
a
aKs
2
R≈
=
=
( ∆µ )
λ / v0 19rc 19β a s kT
表面kinetics
ヨウ化カドミウムのスパイラル成長
まとめ第1回
結晶化の駆動力
∆µ = µL − µS
• 融液成長の場合
µ L = hL − T M s L = hS − T M s S = µ S
⇔ T M ( s L − s S ) = hL − hS = ∆ h
∂µ L (T , P ) ∂µ S (T , P )
∆h
−
⇔
=−
∂T
∂T
TM
∆h
∆µ L =
∆T
TM
まとめ第2回
結晶の核生成
∆F
4πR
2
∆F = − ∆µ
+ γ 4πR
3v S
3
∆FC
RC
16πv S γ
∆FC =
2
3v S ∆ µ
2
R
3
∆FC
16π v S γ
) = J 0 exp(−
)
J = J 0 exp(−
2
3 ∆µ kT
kT
2
3
まとめ第3回
理想的成長
• 気相成長
• 溶液成長
a 2 × a × ( P − Pe ) v S × ( P − Pe )
R=
=
2πmkT
2πmkT
− Edesolv
R = aν × vS exp(
)(C − Ce )
kT
• 融液成長
− Ed
− ∆S
− ∆µ
) exp(
)(1 − exp(
))
R = aν exp(
kT
k
kT
∆µ
R≈K
kT
結晶の表面がキンクだらけ
過飽和度が小さいとき
のみ成り立つ
まとめ第4回
二次元核成長
a
1
待ち時間 τ 1 = J A
s
成長速度→無限!!
単一核様式
τ1
= aJ s A
待ち時間τで一層→一層中の個数
N n = J s Aτ →この個数の面積An?
An = N n × (v τ ) 2 = A
⇔ τ = ( J s v 2 ) −1 / 3
多核様式
R=
a
R=
v : 平均ステップ速度
a
τ
= aJ 0
= a ( J s v 2 )1 / 3
1/ 3
2
πβ
as
2/ 3
v exp(−
)
3∆µkT
まとめ第5回
スパイラル成長
rc
v = v 0 (1 − ) ⇔ λ = 19rc
r
λ
βas
rc =
∆µ
Ks
v0 =
∆µ
kT
av0
a
aKs
2
R≈
=
=
( ∆µ )
λ / v0 19rc 19β a s kT
課題
提出期限→2010年5月26日
提出方法→Hard copies 514号室
分量→A4シングルスペース3枚以上5枚以内
文章でまとめて(全訳ではない)。意味が通じるの
ならば、箇条書きでもよい。でも難しいと思います。
• 内容1→「私の研究と結晶」 (図表入り)
Intro→Experimental→Results&Discussion
or
• 内容2→結晶もしくは結晶成長に関係する英語論
文の要約(図表入り)
•
•
•
•
H20年度の質問書その1
• 反応座標で結晶側も周期的に変調している理由?
→結晶中でも格子点ではenergyが低くなっている
から
E
Ed
結晶格子点
∆µ
結晶
液体
H20年度の質問書その2
• 過冷却水は何度まで?
→臨界核のサイズが水一分子程度になったら、そ
れ以上は冷やせない
2v S γ
2v S γTe
RC =
=
∆µ (T , P ) l (Te − T )
H20年度の質問書その3
• 何かのきっかけで島の成長が止まることは?
→ステップに強く結合する不純物がある場合、その
濃度が高くなるとステップが前進できなくなる。
H20年度の質問書その4
• ステップの前進速度は面全てで同じか?
→結晶学的に性質の違う面上では異なる。
→同じ面上でも、エッジの近くと面の中央では濃度
分布が出来て異なる場合がある。
等濃度線
成長に伴い物質移動による濃度場
が、結晶周囲に形成される。
結晶
H20年度の質問書その5
• 曲がっているステップはキンクが多くなると思
うので、真っ直ぐのステップより速いような気
がするのですが、なぜ遅いのですか?
→曲がることによってキンクが増えれば確か
に前進速度は大きくなる
→しかし、曲がることによる溶解速度の増加
の方が大きくなれば遅くなる。
H20年度の質問書その6
• 成長速度の式は横方向だけに使用できる?縦方向は?
R
V
V
V
V
V
V
H20年度の質問書その7
• 完全結晶の表面を物理的な衝撃や侵食などで荒らしてキ
ンクをつくり成長させる方法?
→Thermal roughening→熱的揺らぎによって
表面がでこぼこに
→Kinetic roughening→二次元核がいっぱい
できて表面がでこぼこ
H18年度の質問書その1
• チョコレートの口解けの結晶系制御による制御→
4つの結晶形(γ、α、β 、β)がある。全て融点
が違うし、結晶核生成頻度も異なる。
• マスキングって何ですか?
→フォトレジストという高分子の感
光剤を塗布し、回路パターンを感光
現像し、それ以外の部分を溶かす
ことで、基板上の金属薄膜を回路
状に残すことができる。その他不純
物イオンの選択注入も可能。
http://www.techplaza.city.higashiosaka.osaka.jp/word/keyword/etching.html
H18年度の質問書その2
• 1, 2次元結晶とは?
2d sin θ = nλ
http://kic.web.infoseek.co.jp/needs_seeds
/nano_tech/Yamashita/
H18年度の質問書その3
• 薬は錠剤ばかりではなく飲み薬でよいのでは?
→飲み薬でも良いかもしれないが、錠剤やカプセルの比
率が高い。錠剤は、どこで効くか、どの程度の速度で効く
かというコントロールがしやすい。→溶解速度などなど
• 金属の研磨により表面が鏡
面になる→どのような結晶構
造になっているのか?
→表面の状態は結晶内部と
異なり、空のボンドが露出し
ている。これらが再構成し固
有の表面構造をとることがあ
る。
http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/pdf/press65.pdf
H18年度の質問書その4
• 超好熱菌酵素の結晶化が常温菌酵素と比較して難しいか
否か?
→結晶化しにくいタンパク質は柔らかいタンパク質
→そういう意味では結晶化しやすいものが多いのでは?
• Pectin Esteraseは結晶化されているか?
→結晶化されています。Google Scholarなどで検索しま
しょう!!
• 金属の連続的な析出は結晶成長と関係あるか?→連続
的な析出という意味があまりよくわかりませんが、きっとア
モルファスではないでしょう。恐らく多結晶体だと思います
ので、大いに関係あります。
H18年度の質問書その5
• Siliconの結晶が他の半導体に比べて優れている
点?
→結晶性に優れています。
→資源が豊富
→安定した酸化膜→集積化が容易
• 今、特に注目されている結晶?
→有名なところでは、青色発光ダイオードのGaNで
すかね・・・・
→Photonic Crystal, Protein Crystal
H18年度の質問書その6
• 蛍光X線で得られる情報と通常のX線結晶構造解析で得
られる情報の違い?→前者は元素固有の電子状態の情
報がわかる。後者は構成元素が分かっていたとき、その
周期的配列から得られる回折像が分子の構造およびその
配列を反映したものとなることを利用。
• 結晶化した酵素は前の状態の性質を有するか?
→タンパク質の結晶はアミノ酸残基同士・水分子一個・二
個を介したアミノ酸残基同士の水素結合で形成されている。
→大丈夫。
• マイクロサーキットとは?
→微小回路のこと。集積回路(Integrated Circuit, IC)はこ
のマイクロサーキットの集まり。
H18年度の質問書その7
• DNAは何次元結晶か?
→3次元結晶です。水溶液か
ら塩析によって作ることができ
ます。
http://www3.tokai-sc.jaea.go.jp/sangaku/contents/titeki/santa/g/images/g-09-1.jpg
• 結晶の大小に最も重要に寄与するパラメタ?
→温度の精密コントロールにより結晶化の制御を
する技術が発達しています。そういう意味では、温
度は重要なパラメタですが、系内の状態を瞬時に
均一に変化できる圧力も優れたパラメタです。
H18年度の質問書その8
• ミラー指数について
→(h k l)=(1/x 1/y 1/z)
(111)面
• ディップコーティング法とコロイド結晶の関係?
→
H18年度の質問書その9
• DNAの結晶構造とSi等の結晶構造との関わり?
→
結晶が何の役に立つのか?
1. 機能性材料→半導体、超伝導体、各種金属、光学結晶人
工ダイヤモンド、Photonic 結晶などなど。。。。
2. 分子の立体構造の解明→DNA、タンパク質など生体高
分子の立体構造の解明、ウイルスの構造の解明
4. 精製法の一つ (再結晶)
3. 宝石→ダイヤモンド、サファイヤ、ルビーなど
H18年度の質問書その10
• −160℃、24000気圧もの条件が分かる装置?
→ダイヤモンドアンビルセルなどがあります。
• 相転移に伴う結晶形の変化が
分かるのか?
→ダイヤモンドアンビルのそ
の場観察ではわかる。
この装置で-103℃、52000気圧の結晶構造解析
http://www.spring8.or.jp/ja/current_result/press_release/2006/060404_fig/fig2_html
H18年度の質問書その11
• 固相成長の成長機構と∆µの関係?
→ひずみ・粒界エネルギーが駆動力→数式化困難→原子
が拡散の活性化エネルギーを乗り越える熱エネルギーを
得る温度でスタート???
• 空のボンド同士の結合とは?
→空のボンド同士が結合する
わけではない。隣り合うSi同
士が結合する。
http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/pdf/press65.pdf
H18年度の質問書その12
• 気相から液層、およびその逆で相境界線を越えな
い場合のエントロピー変化は二次相転移的?
→連続的な状態変化という意味では、二次相転
移と同じだが、二次相転移の様に、対称性の不連
続な変化はない→二次相転移とは異なる
→ちなみに相転移は二次相転移まで
• DNAレベルで難しい構造をとる結晶?
→最も複雑な構造をとる分子としてはタンパク質
複合体など。鎖状の高分子の結晶もDNAレベル
で構造解明が難しい。
H18年度の質問書その13
• 実際の実験で化学ポテンシャルはどれくらいの誤差で成り
立ちますか?
→誤差の内容によるが希薄環境相からの結晶成長であ
ればかなりの精度(数%とか)で成り立つ。???
• 結晶化したほうが良いものまた悪いものというのはある
か?結晶化している物質と非結晶の物質どちらが良く利
用されるか?
→アモルファスとして加工した方が性能が良くなる材料も
→アモルファス材料のコントロールは難しい
→多結晶体→結晶粒が小さい方が良いことが多い。
→固体→結晶化しているものの方が多い。???
H18年度の質問書その14
• 結晶形の名前のつけ方α・β・γ?
→融点の低い順→時間順など。。。
• 結晶に不純物が入ったときに結晶化の駆動力が
変化するか??
→不純物の種類や濃度によって変化する。凝固点
降下があれば当然過冷却度に影響を及ぼす。
H18年度の質問書その15
• 結晶化の駆動力をコントロールしやすいパラメタ?
→温度が一般的。圧力も有力候補。
• Siliconは結晶に限らず広く使われているが資源的・結晶
性以外に有用な点がどの位あるのか?
→Silicon単体としては、単結晶として使用するのが最も多
いはず(多結晶やアモルファスシリコンもある??)。ちな
みにシリコーンというオイルや接着剤で使用しているもの
はポリシロキサンです。
http://www.silicone.jp/j/products/oil/search/index.html
H18年度の質問書その16
• 結晶化の駆動力の計算通りに結晶は生成するの
か?
→気相成長など、希薄環境相からの結晶成長
→かなり高い精度でコントロール可能
→濃厚環境でのコントロールは、結晶化に限らず、
全ての化学反応において難しい。
• 熱くて重い氷を見ることはできるか?用途は?
→ダイヤモンドアンビルセルで見ることができる。
→用途は考えたことない。何かいいアイデアある?
H18年度の質問書その17
• 現在何次元結晶まで生成することができるか?
→準結晶という並進対称性のない固体がある
→ P型正20面体準結晶Zn-Mg-Ho(p-Zn-Mg-Ho) は回
折パターンが6次元結晶の逆空間を示す。
→6次元結晶
P型正20面体準結晶Zn-Mg-Ho(p-Zn-Mg-Ho)の構成要素
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/micro/report/2005/2005res08.html.ja
H18年度の質問書その18
• 結晶の欠陥を防ぐ方法?
→ネッキング法など。
H18年度の質問書その19
• 温度・圧力一定のもとで結晶化が進む?
→進みます。
• ディップコーティング法で粒子同士をくっつける
力?
→キャピラリーフォース。
H18年度の質問書その20
• 複数のものを混入して特異的な結晶を作ることは
できるか?
→新規機能材料の開発は組成をいろいろ振って粉
末の構造解析をすることによって進みます。
• 結晶化の駆動力はどの程度の値をとるのか?
→一般的な結晶ではln(C/Ce)=0.01とか。。
→タンパク質などの結晶ではln(C/Ce)=1~2とか。。
H18年度の質問書その21
• 水の相図について、固液共存線の傾きの異常性
→0℃付近・低圧力では、水の密度の方が氷Iの密
度よりも大きいから??
∂ ln K
− RT
∂p
= ∆V
• マスキングでの不純物イオンの選択法について?
→Si酸化膜が重要な働きを持つ。
http://nikon.topica.ne.jp/pec_j/society/story0202.htm
Si酸化膜
H18年度の質問書その22
• DNAの結晶化はどの位の時間でできるか?
→正確なデータがないので分からないが、もっと成長速度
の遅いタンパク質の結晶成長速度はnm/sのオーダー。
mmサイズになるには10日間ぐらいかかるでしょう。
• 天然の宝石と人工的に合成した宝石の違い?
→基本的には同じ
→しかし含有する不純物が天然の方が多い。
→人工的に大きなダイヤモンドを作るのは難しい。
→モアッサンの実験(鉄と炭素加熱後急冷)→偏執的
→弟子がダイヤモンドのかけらを投入!!
H18年度の質問書その23
• 熱揺らぎとは?
→系の中に熱エネルギーkT程度で変わりうる状態
が複数存在する場合→熱揺らぎによる状態変化
• アニーリング?
→系にひずみエネルギーの蓄積などがある場合→熱エネ
ルギーによって、融点以下温度でも分子の再配列を起こ
すことができる。
→熱のみならず圧力・電場・磁場などそのほかの外場でも
可能。
→結晶構造の変化なし→相転移が起こっていれば別
H18年度の質問書その24
• 準安定状態とは?
→最も安定な状態以外に存在する安定状態
→過冷却・過飽和状態もその一つ
→最安定状態の間に乗り越えるべきエネルギー障壁が存
在
• 結晶核とは臨界核のことなんですか?
→正式にはまさにそのとおり。臨界核(critical nucleous)
より小さいものはembryo, 臨界核より大きいものはcrystal
となります。
• 核生成には時間のパラメタはない?
→過飽和度など条件が決まれば、時間変化しない→それ
らが時間変化すれば時間変化するが。。
H18年度の質問書その25
• タンパク質の結晶化駆動力が一般的なものより
100倍程度も大きくなる理由?
→反応速度定数が小さいから
→表面での取り込み確率が小さい
→非対称な形をして、結合エネルギーの弱い物質
の結晶ではそのような傾向がある。
• 臨界核の大きさ?
→金属粒子生成時は2nm程度・原子数百個程度
→タンパク質結晶のときは10個程度
→But!測定は、ともかく難しい
H18年度の質問書その26
• 臨界核半径と結晶成長速度?
→臨界核半径が小さいときは∆µが大きいときなので、そ
の後の結晶成長速度も速くなる
∆FC
16π v S γ
) = J 0 exp(−
)
J = J 0 exp(−
2
3 ∆µ kT
kT
2
• 大きい単結晶を得るためには?
→結晶核生成を少なくする
→新たな結晶核生成が起こらない条件で
→原料が十分にある条件で低い∆µで成長させる
3
H18年度の質問書その27
• 過冷却状態を利用することで生成された身の回り
の物質?
→金属材料は全て過冷却状態で作られる
• 圧力により多結晶が単結晶に変化したのは何故?
→減圧により溶解が起こり、加圧により結晶化が
起こる相境界上(氷VIと水の)で、まず加圧により
多結晶ができ、減圧により溶解
→小さい結晶ほど溶解のスピードが速いので、最
後に大きいのが残る
→結晶構造は壊れない
H18年度の質問書その28
• 粒子のサイズ制御における核生成の制御を反応
物の供給(生成)速度で制御→他の方法は?
→氷のところで分かったと思うが、圧力などのかけ
方(圧力ジャンプ幅など)によってもコントロールで
きる
→当然温度でも同様なことができるし、電場・磁場
といった外場でもコントロールできると考えられる
H18年度の質問書その29
• 界面自由エネルギーの大きさは何に依存するか?
→先週の例では面積・方位に依存しない
→通常の結晶→結晶方位に依存
→結晶の結合エネルギーに依存
→表面構造に依存
• 界面自由エネルギーの測定法?
→毛管上昇法
→接触角測定法
→準弾性レーザー散乱法
ρgh =
h
2γ cos θ
r
H18年度の質問書その30
• 結晶の成長は結晶内部で起こるのか?それとも表
面で起こるのか?
→表面で起こる
→固相成長は多結晶の内部で起こるが、個々の
結晶粒が大きくなるためにはそれらの表面での分
子の再構成が必要
• ダイヤモンドアンビルセルのダイヤモンド?
→人工ダイヤモンド(1カラット(200mg)とか)
→天然ダイヤモンドよりずっと安いが純度ははるか
に高い
H18年度の質問書その31
• クラスター生成の自由エネルギー?
→物質、実験系によって大きく変化する
→Hen egg-white lysozyme(正方晶系結晶)の場合
→vs = 2.964X10-26 m3
→γ = 1.1X10-3 Jm-2
→∆µ = 1.381X10-23X293.15X2
→∆Fc=2.99X10-19J
2 3
→。。。時間かかった。。。
16πv γ
∆FC =
S
3∆µ
2
H18年度の質問書その32
• 臨界核の形?
→理想的には成長した後の結晶の平衡形と同じに
なるので、千差万別だが、本当の臨界核の形を見
るのは困難!!
• 結晶形の多い物質の特徴?
→ユニットの異方性が高い
→結合力が弱い(分子性結晶)
→カカオバター、薬剤結晶、タンパク質、アミノ酸な
どなど
H18年度の質問書その33
• 均一核生成で成長した結晶中から結晶核を見出
すことは?
→結晶と同じ構造をしているので、多分無理
• 不均一核生成と均一核生成ではどちらが良いか?
→臨界核の出来やすさは不均一核
→大きさがそろうという意味では均一核
→得られた結晶の取り扱いでは均一核
→Epitaxial 成長は不均一核生成
H18年度の質問書その34
• 結晶がきれいな形になる理由?
→その方が自由エネルギーが低いから。
α=5
G
Jackson’s α parameter
α=3
X
α=2
α=1
0
0.5
1
• 結晶表面から分子が脱離する原因?
→結晶成長を正反応とすると逆反応
→通常の化学反応と同様
Z ' ∆s
α= ×
Z R
H18年度の質問書その35
• Volmer-Weber型&荒い膜?
→全体を覆うまで結晶化進む
→ Frank – van der Merwe型の方が膜としての品質良し
FM
VW
↓これらが広がっても
×
○ 完全な濡れにならず
H18年度の質問書その36
• 新たな核生成が起こらずに結晶
A : ∆µ < 0
B , B' : ∆ µ > 0
C : ∆µ > ∆µc > 0
成長が起こる条件?
Ce
C
B
A
B’
∆µ = kT ln(C / C e )
T
H18年度の質問書その37
γSL
• 接触角?濡れ?
θ
完全な濡れ(γWL > γWS + γSL )
→Frank – van der Merweの層成長様式
Rsinθ
θ
O
R
γWL
γWS
→不均一核生成
吸着∼濡れ
部分的な濡れ(γWL + γSL > γWS > γWL - γSL )
→Volmer – Weberの島状成長様式
完全に濡れない(γWS > γWL + γSL )
H18年度の質問書その38
• 結晶成長速度と撹拌の関係
→これまで述べた成長速度
→全て界面での濃度が一定
→十分撹拌された状態に等しい
→撹拌速度と成長速度は単純な比例では
ない。
• 固相に区別がある(結晶構造の違い)よう
に液体や気体に区別はあるか?
→液液相分離はある
→気気相分離はない???
H18年度の質問書その39
• 潜熱や不純物の排出機構?
→潜熱は熱拡散、対流など
→不純物も同様
→その他、再結晶( Zone refiningなど )、分配
係数の考慮など
• 均一な薄膜を作製するには?
→膜構成成分&下地の基板の相性を熟考すべき
→エピタキシャル成長
→FM型式になるように?
H18年度の質問書その40
• 結晶面ははじめどのようになっているか?
→理想的には成長した後の結晶の平衡形と同じに
なるので、千差万別だが、本当の臨界核の形を見
るのは困難!!→先週と同様の答えです
• 気相成長、液相成長のメリット?
→分子レベルでの制御可能→気相成長
→バルクの結晶を得る為には不可欠→液相成長
H18年度の質問書その41の1
• Maxwell-Boltzmann(の速度)分布の導出
− mv 2
m 3/ 2
Pr( v )dv = (
) exp(
)dv
2πkT
2kT
N個の分子のうち速度成分が
( v x , v y , v z ) → ( v x + dv x , v y + dv y , v z + dv z )
にあるものの数を
F ( v x , v y , v z )dv x dv y dv z
Fは速度ベクトルの大きさのみに関係し、各成分について
のみの関数に比例しているはずなので、
F (v x , v y , v z ) = F (v 2 ) = f (v x ) f (v y ) f (v z )
H18年度の質問書その41の2
f ( 0) = a ⇔
F (v x ) = a 2 f (v x ), F (v y ) = a 2 f (v y ), F (v z ) = a 2 f (v z )
2
2
2
1
2
2
2
⇔ F (v x ) = 6 F (v x )F (v y )F (v z )
a
2
v x = ξ ,v y = η,vz = ζ ⇔ v 2 = ξ + η + ζ
2
2
2
より
1
F (ξ + η + ζ ) = 6 F (ξ )F (η )F (ζ )
a
H18年度の質問書その41の3
1
F (ξ + η + ζ ) = 6 F (ξ )F (η )F (ζ )
a
両辺をηで偏微分すると
1
∂F (η )
∂ (ξ + η + ζ ) ∂F (ξ + η + ζ )
= 6 F (ξ )
F (ζ )
∂η
∂ (ξ + η + ζ )
∂η
a
η, ξ = 0とすると
1
F ' ( 0)
F ' (ξ ) = 6 F (ξ )F ' (0)F (0) =
F (ξ )
3
a
a
1
Q f ( 0) = 2 F ( 0) = a ⇔ F ( 0) = a 3
a
H18年度の質問書その41の4
F ' ( 0)
F (ξ ) = −αF (ξ )
F ' (ξ ) =
3
a
⇔ F (ξ ) = A exp(−αξ )
全分子数がNなので
F (v x , v y , v z )dv x dv y dv z = A exp(−α (v x + v y + v z ))dv x dv y dv z
2
2
2
⇔ N = A∫∫∫ exp(−α (v x + v y + v z ))dv x dv y dv z
2
∫
∞
−∞
exp(−αξ 2 )dξ =
2
2
1 π
α
⇔ A = ( )3 / 2 N
2 α
π
α
π
⇔ F (v x , v y , v z )dv x dv y dv z = N ( ) 3 / 2 exp(−α (v x + v y + v z ))dv x dv y dv z
2
2
2
H18年度の質問書その41の5
α
π
F (v x , v y , v z )dv x dv y dv z = N ( ) 3 / 2 exp(−α (v x + v y + v z ))dv x dv y dv z
2
2
2
これを使って全運動エネルギーEを計算してαを求める
α
π
E = N ( ) 3 / 2 ∫∫∫
m
2
2
2
2
2
2
(v x + v y + v z ) exp(−α (v x + v y + v z ))dv x dv y dv z
2
3m
α 3/2 m ∞ 2
α 3/2 3 π
2
2
E = N( )
v exp(−αv )4πv dv = 2πm ( )
N=
N
∫
5/ 2
0
8α
4α
2
π
π
∞
∞
1 π
π
2
Q ∫ exp(−ξ )dξ =
⇔ ∫ exp(−αη 2 )dη =
0
0
2
2 α
⇔
∫
∞
0
1 π
⇔
η exp(−αη )dη =
3/2
4α
2
2
∫
∞
0
3 π
η exp(−αη )dη =
8 α 5/ 2
4
2
H18年度の質問書その41の6
分布関数から
3m
E=
N
4α
2
分子運動論から RT = E
3
m
全分子数N = NA(アボガドロ数)のとき α =
2kT
F (v x , v y , v z )dv x dv y dv z
m 3/ 2
m
2
2
2
= N(
) exp(−
(v x + v y + v z ))dv x dv y dv z
2πkT
2kT