世界史 B 世界史 B

第 4 回 8月センター試験本番レベル模試[世界史 B]講評
世界史B
基礎力が著しく向上。精度を高め,近現代史の克服にも努めよう。
Ⅰ.全体講評
Ⅱ.大問別分析
今回の第 4 回 8 月センター試験本番レベル模試の
第 1 問 世界史上の税と土地制度
平均点は 54.1 点で,6 月の 47.8 点から大きく伸ば
アジア史の基礎力が向上。知識の精度をさら
に高めよう。
し,夏休みの成果が顕著に表れた。近現代史を除
き,全般的な基礎力の向上が著しい。地域間の成績
第 1 問の得点率は 53.3% で今回の全体の平均点
格差は見られない一方,時代に関しては正答率ベス
とほぼ同じであるが,隋・唐の皇帝についての a・
ト 5 問がすべて 16 世紀までの問題で占められてい
b 2 文正誤組合せ(問 2)は正答率 23.0%,オスマ
るのに対し,ワースト 5 問のうち 2 問は 20 世紀史,
ン帝国の出来事についての年代整序 6 択(問 6)も
1 問は 19~20 世紀史である。一方で,既習範囲の
34.3% で振るわなかった。前者では b の唐の太宗に
隋・唐の皇帝(第 1 問問 2)がワースト 2 位(23.0
よる東突厥の服属化の判定がやや難であり,後者で
%)
,アメリカ原産の植物(第 4 問問 5)がワース
は出題形式と 19~20 世紀という年代の影響が出た。
ト 4 位(27.8%)で,学習の盲点を突かれた形と
両税法と一条鞭法の組合せを正解とするリード文中
なった。
空欄 2 箇所補充(問 1)は 69.5% で,第 1 問の最
近現代史については,これから学習が進めば前近
高値となった。とくに両税法は直前の「年 2 回課
代史分野と同様の成績が得られることが確実に見込
税」の語句から判定は容易である。8 世紀の出来事
まれるが,既習分野でも手薄になっている箇所が少
についての正文選択(問 3)も 63.3% で好調である
なからずあるはずなので,むらのない知識の構築に
が,選択肢はいずれも唐と関連する事柄で判定しや
心がけて学習を進めていこう。
すい。
イスラーム世界関連では,アッバース朝について
の正文選択(問 4)の 61.0% に対し,イクター制に
得点分布 世界史B
30
ついての波線部誤文選択(問 5)は 52.5% で,判定
平均 54.1%
25
は容易なはずであるがやや差がついた。ムガル帝国
についての a・b 2 文正誤組合せ(問 7)は 58.3%
受
験 20
者
数
の 15
割
合
10
(%)
であったが,b のアウラングゼーブがタージ=マハ
ルを建設したという誤りを判定できなかった受験者
が約 30%( ① と ③ の合計値)に上った。イギリス
東インド会社のインド支配に関わる地図併用問題
5
0
(問 8)は 60.7%,イギリスのビルマ支配について
10
20
0
第1問
30
20
40
50
60
第4問
80
大問別得点率(%)
40
60
80
53.3
第2問
第3問
70
得点率(%)
64.0
46.9
52.3
90
100
100
の正語句選択(問 9)も 58.5% とまずまずの成果を
出した。
第 2 問 地図と天文学,時間
全般的に安定度が著しく増大。近現代史の学
習を着実に進めよう。
第 2 問の得点率は 64.0% で,大問中の突出した
最高値となった。最低値の小問(問 8)でも約 50
% を確保できたことが大きい。新バビロニアにつ
いての正文選択(問 1)は 59.8% を確保したが,も
1/2
第 4 回 8月センター試験本番レベル模試[世界史 B]講評
う少し伸びていてもおかしくない。ヘレニズム時代
響も重なった。
「プラハの春」に関係して,ドプチェ
についての a・b 2 文正誤組合せ(問 5)は 65.6%
クを正解とするリード文中空欄 1 箇所補充(問 7)
と好調である。中世ヨーロッパ社会についての波線
は 45.3%,イラン革命の年代を問う年表問題(問 9)
部誤文選択(問 2)は 67.9% まで伸ばしたが,判定
は 44.4% であるが,現時点ではやむを得ない。
は容易である。コペルニクスを正解とするリード文
中空欄 1 箇所補充(問 4)は 84.5% と,今回の全小
第 4 問 街道をめぐる歴史
問中の最高値となったが,平易な設問で順当な結果
である。イギリスにおける穀物法廃止の年代を問う
古代ローマ史で健闘。既習分野の盲点を確認
し,安定した対応力を養おう。
年表補充(問 9)も 62.2% で,この種の出題形式の
第 4 問の得点率は 52.3% で第 1 問とほぼ同じで
設問としてはよく健闘した。
あった。20 世紀史の 2 問(問 7・問 9)が低いほか,
中国関係では,イエズス会士と明との関係につい
盲点を突かれた 2 問(問 3・問 5)も低迷したこと
ての独立文中空欄 2 箇所補充(問 3)が 61.7%,中
が影響した。ローマ共和政期の出来事の年代整序 6
国の文化と社会についての正文選択(問 7)が 65.3
択(問 1)が 56.8% を確保し,五賢帝についての波
% であったのに対し,清朝の鉄道についての a・b
線部正文選択(問 2)は 74.7% まで伸ばし,第 4
2 文正誤組合せ(問 8)は 49.8% と伸び悩んだ。清
問の最高値となった。一方,万里の長城についての
朝末期ということで学習進度の影響もあろう。
a・b 2 文正誤組合せ(問 3)は 41.7% と伸び悩ん
16 世紀の時期指定正文選択(問 6)は 64.4% と
だ。b の現存の長城が清代の修復によるとする誤文
健闘したが,日本史関連で判定しやすいという事情
の判定が意外な落とし穴となった。清代には長城は
がある。
北方への防御という意味を失ったことをよく確認し
ておこう。新大陸原産の栽培植物についての a・b
第 3 問 民衆の反乱の歴史
2 文正誤組合せ(問 5)も 27.8% で,第 4 問の最低
近現代史や地図併用問題で不振。弱点を確実
に克服していこう。
値という予想外の結果となった。b の茶を誤ってア
メリカ原産と考えている受験者が 60% 以上( ① と
第 3 問の得点率は 46.9% と伸び悩み,大問中の
③ の合計値)に達した。他方,同じアメリカ大陸関
最低値となった。第二次世界大戦後の 3 問(問 7・
係でもコルテスとクスコの組合せを正解とするリー
問 8・問 9)の低迷が大きく響いた。ヨーロッパ関
ド文中空欄 2 箇所補充(問 4)は 64.3% と好調であ
連の 14 世紀の出来事についての正文選択(問 1)
り,インカ帝国の地図併用問題(問 6)も 57.4% を
は 47.2% であった。正解肢 ② の三部会の最初の開
確保した。
催(1302 年)は年代的に微妙であるが,消去法で
20 世紀史については,1920 年代の出来事につい
容易に判定できるはずである。フス戦争に関連する
ての正文選択(問 7)が 34.6%,ナチ党政権の外交
地図問題(問 2)も 43.9% で,正確な地理的知識の
政策についての正文選択(問 9)が 44.5% と不振で
把握に努めたい。一方,宗教改革についての正文選
あった。他方,世界恐慌の原因についての誤文選択
択(問 3)は,重要テーマであるだけに学習がよく
(問 8)は 57.3% と善戦したが,内容の判定は容易
なされており,64.2% と健闘した。
である。
中国関係では,紅巾の乱と交鈔の組合せ選択(問
5)が 67.6% で第 3 問の最高値であったのに対し,
魏晋南北朝時代についての誤文選択(問 4)が 49.6
%,太平天国についての独立文中空欄 2 箇所補充
Ⅲ.学習アドバイス
◆基本を確実に身につけよう。
(問 6)が 48.8% と大きく差がついた。問 4 は ① の
センター試験では様々なテーマのリード文にもと
判定がやや細かいこと,問 6 は学習進度との関係
づいて設問が出されるが,各小問自体は教科書レベ
の影響が考えられる。
ルの基本的知識で十分に対応できるので,秋に向け
1950 年代の出来事についての a・b 2 文正誤組合
てさらなる幅広い基礎力の養成がポイントとなる。
せ(問 8)は 18.0% と,今回の全小問中の最低値と
その際に地図や図版などを合わせて参照し,立体的
なった。学習進度との関係はあるが,出題形式の影
な学習にも努めてほしい。
2/2