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(PDFファイル)第7章

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第7章
理想流体の流れと運動量の法則
- 189 -
第7章 理想流体の流れと運動量の法則
粘性を全く持たない理想的な流体を完全流体(perfect fluid)、または理想流体
(ideal fluid)という。理想流体では粘性の影響が除外されるから、流体間や流体
と固体との界面にせん断力が働かず、その理論的な取り扱いは容易となる。本
章の前半ではこの理想流体に関する問題について解説し、後半では、ロケット
エンジンやポンプ、羽根車など流体機械において、流体の持つエネルギを機械
的な仕事に変換する場合に重要な、運動量の法則について説明する。
7.1 ポテンシャル流れと流れ関数
理想流体は非粘性であるためせん断応力が働かず、うず度は一定に保たれる
という性質がある。また流体内の個々の微小要素が回転運動を行っていない流
れをうずなし流れ(irrotational flow)という。このように理想流体でうずなし
流れをポテンシャル流れ(potential flow)という。
7.1.1 ポテンシャル流れの基礎式
最初に、第2章で学んだうず度の定義を復習しておこう。うず度は流体の回
転運動を表したものであり、直交座標系 ( x, y, z ) においては、つぎのように定義
された。
z軸まわりのうず度 
v u

0
x y
( x  y 平面)
(2.17)
x軸まわりのうず度 
w v

0
y z
( y  z 平面)
(2.18)
y軸まわりのうず度 
u w

0
z x
( z  x 平面)
(2.19)
ポテンシャル流れとは、つぎのうずなしの条件と連続の式を同時に満たす流れ
である。すなわち、流れの速度ベクトルを V (u, v, w) とするとき
rotV  0
(うずなしの条件)
u v w
divV 


 0(連続の式)
x y z
(7.1)
(7.2)
これらの2つの条件を満足する流れを、ポテンシャル流れという。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆コーヒーブレイク:ベクトル A の rotA とは
ベクトル A に対して、 rotA はつぎのように表される。
 A Ay Ax Az Ay Ax 

rotA    A   z 
,

,


y

z

z

x

x

y


- 190 -
(7.3)
である。分からなくなった時は、第2章の出発点に回帰しましょう。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------7.1.2 速度ポテンシャル
つぎの関係式 (7.4)を満たす関数  ( x, y, z, t ) を速度ポテンシャル(velocity
potential)という。すなわち速度ポテンシャルとは、その関数  を導入するこ
とによって未知の速度成分 (u, v, w) が求められる便利な関数である。この関数 
と各軸方向の速度成分の関係はつぎのように定義される。



;v 
;w 
u
x
z
y
(7.4)
この式(7.4)はベクトル表示するとつぎのようになる。
V  grad
(7.5)
ここで、記号 grad とは物理量のこう配(gradient)を意味しており、スカラー
量 f 対して
 f f f 
gradf  f   , , 
(7.6)
 x y z 
と書かれる。
さて、うずなしの条件式(7.1)、すなわち rotV  0 にこの速度ポテンシャルを
代入すると、
 2
 2
 2
 2
 2  2

 0,

 0,

0
(7.7)
xy xy
yz zy
zx xz
となり、速度ポテンシャル関数  は自動的にうずなし条件を満たす関数となる
ことがわかる。
さらに、速度ポテンシャル  を連続の式(7.2)、 divV  0 に代入すれば
u v w              2  2  2


       


 0 (7.8)
x y z x  x  y  y  z  z  x 2 y 2 z 2
となる。これをベクトル表示すると、つぎのように簡単な形で表示できる。
(7.9)
 2  0
divV 
ここで、演算子  2 は
2
2
2
2
  2  2  2
x
y
z
(7.10)
で与えられ、  2  0 をラプラスの式(Laplace)という。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆7.1.2 速度ポテンシャルの研究課題
1.2 次元等速度ポテンシャル (d  0) 面は流れの流線に直交することを証明せ
よ。ヒント:流線の方程式とリンクして考えること。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
- 191 -
7.1.3 流れ関数
つぎの関係を満足する関数  ( x, y, t ) を流れ関数(stream function)という。
u


, v
y
x
(7.11)
この式をつぎの定常2次元非圧縮性流体における連続の式
u v

0
x y
へ代入すると、連続の式は
u v  2  2
(7.12)



0
x y xy yx
となる。このことから、流れ関数  は自動的に連続の式を満足する巧妙な関数
であることがわかる。
一方、つぎの x  y 平面内のうず度に対して、
Z軸まわりのうず度 
v u

0
x y
式(7.11)で定義された流れ関数  を代入すると
v u          2  2
  
 

0
  

x y x  x  y  x  x 2 y 2
(7.13)
うず度  はゼロとなる。ベクトル表示をすれば、
 2  0
となり、流れ関数  に関するラプラス(Laplace)の式となる。
(7.14)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆コーヒーブレイク:流れ関数の性質について
流れ関数  ( x, y)  const とは一体何を意味するかを考えてみよう。流れ関数が
一定、つまり  ( x, y)  const の全微分をとれば、
d 


dx 
dy  0
x
y
(7.15)
となり、流れ関数の定義式(7.11)を考慮すれば式(7.15)は d  vdx  udy  0 と
dx dy

で与えられるから、 =一
u
v
定 (d  0) となる線は流線を表すことになる。
なる。ところで、2次元の流線の方程式は、
---------------------------------------------------------------------------------------------------------7.1.4 流れ関数と体積流量の関係
図 7.1 に示すように、互いに密接した2本の流線    および     d の上
に、点 A、点 B をとれば A、B を結ぶ線を通過して単位時間あたりに流れる流
体の体積流量 dQ (奥行きを単位幅と考える)は
- 192 -
dQ  udy  vdx 


dy 
dx  d
y
x
  d
となる。これにより、流線が密なと
ころでは流れの速さが大きく、疎な
ところでは速さが小さいことがわか 
る。2つの流線  A 、 B の間に流れる
体積流量 Q AB は、
B
B
A
A
B
A
Q AB   dQ  d   B   A (7.16)
したがって、2つの流線間に流れる
流量は両者の流れ関数の差で与えら
れる。
u
dy
-v
dx
図 7.1
流れ関数と流量
--------------------------------------------------------------------------------------------------------☆コメントと復習:円筒座標系 (r , , z ) を用い、それぞれの軸方向速度成分を
(Vr ,V ,Vz ) とすれば、この場合の流線方程式は(第2章の流線を参照)
dx dy dz
dr rd dz
; 
(円筒座標系)

 (直交座標系)

Vr
V
Vz
u
v
w
(7.17)
である。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------☆7.1.4 流れ関数の研究課題
1.定常 2 次元流および定常軸対称流における圧縮性を考慮した流れ関数はど
のように定義すればよいか考察せよ。
ヒント:質量流量の保存を考え、連続式を満たすようにすればよい。


解答:1)2 次元流れの場合、 u 
; v  
x
y
証明:定常 2 次元定常圧縮性流れの連続式は 5.2 節で述べたように、
u v        
 
  0 となり連続の式を満たすから。

 
x
y
x  y  x  y 
2)軸対称流の場合 (V  0)
Vr  
1 

1 
;または Vr r  
;かつ; V z 
r z
z
r r
証明:定常軸対称圧縮流れの連続式は
1 Vr r  Vz
1       1  



 
  0 となり連続の式を満たすから。
r r
z
r r  z  z  r r 
- 193 -
☆補足:この  は2次元流における流れ関数に対応するものであり、ストーク
スの流れ関数とよぶ。
2.第6章総合演習問題 8 で得られた平行2次元平板間の流れについて、流路
入口における速度分布が次式で与えられるとき、
u
4y
  2 (y  H)
u max
H
H  50cm ; u max  20m / s として以下の問いに答えよ。
1) y  0,5,10,15,20,25cm における入口速度 u はそれぞれいくらか。
2)流れ関数値  を y  0,5,10,15,20,25cm について求めよ。
ただし、  y 0  0 とせよ。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆第 7.1 章の総合演習問題


1.流れ関数  ( x, y) が u 
;v  
で与えられるとき、2次元定常非圧縮
x
y
の連続の式を満たすことを証明せよ。
2.つぎのような速度分布をもつ2次元流れの流線を求めよ。ただし、
r 2  x 2  y 2 で A 、 B は正の定数とする。
a) u  Ay ; v  Ax
b) u  Ax r 2 ; v  Ay r 2
c) u  Ax ; v   Ay
d) u  A  By ; v  0
3.つぎのような速度ポテンシャルを持つ2次元流れの速度成分 u 、v を求めよ。
ただし、 r 2  x 2  y 2 で A 、 B は正の定数とする。
a)   A x 2  y 2
b)   Ax r 2
c)   Ax  By
d)   Axy


4.2次元ポテンシャル流れにおいては速度成分 u 、 v と等ポテンシャル線
(d  0) の勾配 dy dx との間に
dy
u

dx
v
の関係が成立することを証明せよ。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
7.2 運動量の法則
ここでは、質点の力学で学ぶ運動量の法則を熱流体の問題に適用する方法に
ついて順次学んでいく。
7.2.1 運動量の法則の基礎
- 194 -
質点の力学では、質量 m の物体の速度を V 、物体に作用する外力を F とすれ
ば、ニュートンの運動の第2法則から運動量 mV と力 F の関係はつぎのように
なる。
F
d
mV 
dt
(7.18)
または上式を積分して
F t 2  t1   mV2  mV1
(7.19)
より、外力 F は
mV2  mV1 mV2  mV1
F

;ただし、 dt  t 2  t1
t 2  t1
dt
(7.20)
となる。この式は運動量 mV の時間変化が作用する外力 F に等しいことを表し
ている。この法則を流体の運動に適用してみる。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆7.2 運動量の法則の研究課題
1.熱流体力学の分野において、外力 F として考えられるものにはどのような
ものがあるか。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------7.2.2 運動量の式の流体問題への適用
流線または固体境界面
図 7.2 に示すように、水平に置かれた管
D
A PdA
内の x 方向のみの流れについて、運動量の
D D'
A'
A
時間変化を考える。ただし、流体は非圧縮
性であり密度を  とする。
x
☆面 AB および面 CD の平均速度と断面
積をそれぞれ V1 , A1 および V2 , A2 とする。
このとき、体積流量 Q1 ,Q2 は
Q1  A1V1 , Q2  A2V2
( m3 / s )
(7.21)
B
B'
断面積A1
速度V1
密度ρ 1
圧力P1
である。
☆ABCD の領域にあった流体は微小時間
図 7.2
dt の間に A'B'C'D'へ移動し、この間に
断面 AB または CD を通過する流体の質量 m は
m  1Q1dt   2 Q2 dt ( kg )
C C'
断面積A2
速度V2
密度ρ 2
圧力P2
運動量の変化
☆運動量の変化はつぎのようになる。
領域 ABB'A': mV1  1Q1V1dt (運動量を失う。)
領域 DCC'D': mV2   2 Q2V2 dt (運動量が増加する。)
☆運動量の式(momentum equation)
- 195 -
(7.22)
(7.23)
(7.24)
以上から、流体運動に適用した場合、運動量の法則はつぎのよう書ける。
mV2  mV1 mV2  mV1  2 Q2V2 dt  1Q1V1dt
Fx 


  2 Q2V2  1Q1V1 (7.25)
t 2  t1
dt
dt
なお、流れの対象として考えた領域を取り囲む境界面、例えば図 7.2 における
領域 ABCD を熱流体力学では検査面という。
ところで、運動量変化による力 Fx として、圧力による流体の押し込み力と壁
面が流体に与える力を考えればよいので、 Fx はつぎのように与えられる。
D
C
A
B
Fx  P1 A1  P2 A2   PdA   PdA
(7.26)
ここで、上式において、右辺の第 1、2、3および 4 項はそれぞれ断面 AB、CD、
流路の側壁 AD および BC に働く圧力により流体が受ける力の x 方向成分である。
したがって運動量の変化は、つぎのようになる。
D
C
A
B
 2 Q2V2  1Q1V1  P1 A1  P2 A2   PdA   PdA
(7.27)
さて、断面積が一定な真っ直ぐな管路では A1  A2 、 dA  0 であるから、
 2 Q2V2  1Q1V1  A1 ( P1  P2 )
となり、体積流量 Q について、式(7.21)の関係を上式に代入すれば
 2V2 2 A1  1V1 2 A1  A1 P1  P2 
となり、最終的に次式がえられる。
P1  1V1  P2   2V2
2
(7.28)
2
7.2.3 より高度な運動量の式の考え方
図 7.3 に示した流線(流管)または固体境界壁面内を通過する定常流において、
この流れの中にさらに、何らかの物体(例えば翼、球など)が置かれている、
より一般的な問題として図 7.3のような流れを考える。管の内部にあり、かつ
時刻 t において、ふたつの断面 E(上流側)と A(下流側)にはさまれた部分を
占める流体に着目しよう。
時刻 t で空間(E---A)が占める体積: V
時刻 t  dt で空間(E’--A’)が占める体積: V 
ただし、 V  は E---A 上の流体が dt 時間後に占める体積とする。
着目した流体部分の、運動量の x 方向成分は、速度成分を u として、
- 196 -

時刻 t において
V

時刻 t  dt において
V
udV
udV
z
流線または固体境界面
E
'
E'
A A’
となるから、dt 時間内における運
動量の x 方向成分の変化はつぎの
ようになる。

V
'
udV   udV

物
体
y
(7.29)
V
ここで体積 V と V  との共通部分
では、上記の差は互いに打ち消し
あう。したがって、 V  に含まれ
V に含まれない A—A’部分の運動
量から、 V に含まれ V  に含まれな
い E--E'部分の運動量を差し引いた
ものとなる。
図 7.3、7.4 に示すように断面 A, E
Px
x
図 7.3
流線・境界に囲まれる運動量
A
微小面積
dA
上の微小面積 dA 、dE に対する法線
速度を VnA 、VnE とすれば dV ' 、dV は
微小流量
dV  VnA dAdt
それぞれつぎのように与えられる。
A--A'の部分; dV '  VnAdAdt
E--E'の部分; dV  VnE dEdt
図 7.4
これより、 dt 時間に対する運動量
法線速度と微小流量
変化は、 dt でわって

A
uVnAdAdt   uVnE dEdt
E
であり、単位時間当たりの運動量変化の割合は

A
uVnAdA   uVnE dE
E
である。運動量の法則から、単位時間当たりの運動量変化=外部から受ける力
であるから、いま、流体が体積 V の内部におかれた物体におよぼす力 P を
P  ( Px , Py , Pz )
- 197 -
と書けば、逆に物体が周囲の流体におよぼす力は
 P  (  P , P , P )
x
y
z
であり、また流体が外部から受ける力 F を
F  (F , F , F )
x y z
と書けば、これらの x 方向成分を用いて運動量の変化はつぎのようになる。

A
uVnAdA   uVnE dE   Px  Fx ( x 方向の運動量の式)
E
(7.30)
同様にして、 y, z 方向の運動量の変化は

vVnAdA   vVnE dE   Py  Fy ( y 方向の運動量の式)
(7.31)

wVnAdA   wVnE dE   Pz  Fz ( z 方向の運動量の式)
(7.32)
A
A
E
E
特に、流れが断面 A, E 上で一様であり、その速度成分が u A , u E , v A , v E , wA , wE など
で与えられるとき、
u A , u E , v A , v E , wA , wE  const を考慮して、
☆一般的な運動量の法則の結論
Qu A  u E    Px  Fx
(7.33)
Qv A  v E    Py  Fy
(7.34)
QwA  wE    Pz  Fz
(7.35)
ただし、 Q   VnAdA   VnE dE で与えられる体積流量。
A
E
(7.36)
となる。
7.2.4 運動量の法則の展開
ここでは、運動量の法則を具体的に適用し、様々の例題を紹介し、解説する。
1)管内流れ
管内流れで、内部に物体が存在しない場合、 Px  Py  Pz  0 であるから、運
動量の法則はつぎのようになる。
Qu A  u E   Fx ; Qv A  v E   Fy ; QwA  wE   Fz
- 198 -
(7.37)
☆具体的な例題1
1)曲がり管
例として図 7.5 のよう
な曲がり管を通る流体
の流れを考えれば、
u E  V1 ; v E  0
u A  V2 cos  ;
v A  V2 sin  (7.38)
y
P1 v1
ρ 1
x
D1 D1
θ
E
であるから、運動量の
式(7.37)に代入して、
Qu A  u E  
QV2 cos   V1   Fx
D2
A
P2 v2
ρ 2
Qv A  v E  
 QV2 sin  Fy となる。(7.39)
図 7.5
曲がり管の運動量変化
ここで、圧力は断面 E, A 面上で一
定と考え、それぞれ P1 , P2 とし、両断面上では粘性力および体積力は省略できる
ものと仮定する。さらに、管壁面が E, A 間の流体部分におよぼす力の成分を
 
Fx , Fy とすれば、断面 E, A 上における管径 D1 , D2 を用いると、外部から流体に
働く力 Fx , Fy はそれぞれつぎのようになる。
Fx   4D1 P1   4D2 P2 cos   Fx
2
2
Fy   4D2 P2 sin   Fy

2

(7.40)
(7.41)
また、E, A における流体の密度をそれぞれ 1 ,  2 とすれば E, A 断面における質量
流量 Q はつぎのようになる。
Q   41 D1 2 v1   4 2 D2 2 v2
(7.42)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆コーヒーブレイク:管壁面が流体におよぼす力とは
 
管壁面が E, A 間の流体部分におよぼす力の成分を Fx , Fy とは何か?
--------------------------------------------------------------------------------------------------------したがって、この場合、運動量の法則から、管壁面が E, A 間の流体部分におよ
- 199 -
 
ぼす力の成分 Fx , Fy はつぎのようになる。
 



2
2
2
2
Fx   4 D2  2 v2  P2 cos   D1 1v1  P1


(7.43)


2
2
Fy   4D2  2 v2  P2 sin 
(7.44)
 
このようにして、曲がり管壁面が流体部分におよぼす力の成分 Fx , Fy が式
(7.43)および(7.44)から求められた。
☆具体的な例題 2
2)自由空間の外部流れ中に置かれた物体が受ける力
流れの中に物体が置かれたとき、図 7.6 のようにこの物体を内部に含むよう
に閉曲面 S をとり S 上の微小面素を dS 、 S に対する流れの法線方向の速度成分
を v n とし、 v n は外向きを正とすれば、運動量成分の時間変化割合はそれぞれ、
n
 uv dS ;
S

S
n
閉曲面
S
z
vvn dS ;  wv n dS
S
(7.45)
速度ベクトル
V
dS
閉曲面(検査面) S 上で
物
体
vn  0 となる部分(E 面に相当)
P
vn  0 となる部分(A 面に相当)
y
vn  0 となる部分(固体壁面また
x
は流線)
上記の表現を用いると、運動量
の法則、式(7.45)はつぎのよう
に書かれる。
 uv dS  P
S
n
x
図 7.6
自由空間内の物体
 Fx; vvn dS   Py  Fy; wvn dS   Pz  Fz
S
S
(7.46)
なお、S 面に対して外向きにとった単位ベクトルを n 、流体の速度ベクトルを V
とすれば、 v dS  n  VdS と書けるから、力を表すベクトルを P, F として
n
- 200 -
s  n  V Vds   P  F
(7.47)
とも書ける。
☆具体的な例題 3
3)一様流中の物体が受ける抗力
図 7.7 のように、速さ U の一様流
の中に物体が置かれたとき、物体に
U
働く抗力 D を求めてみる。十分上流
側に E 面、下流側に A 面をとれば
u E  U ; u A  u ; v E  v A  0 で圧力
物体

A
u
A
図 7.7
一様流中の物体に働く抗力
uVnAdA   uVnE dE   u 2 dA   U 2 dE   D  Fx
E
x
ρ
PE  PA と考えてよく、Px  0 とおく。 E
運動量の法則から
抗力
D
A
(7.48)
E
が成り立つ。ここで、
dQ  UdE  udA であると考え、また E、A 面を十分離れた位置を検査面とすれ
ば、圧力は等しく、かつ両断面を通して交換される粘性力は0である。さらに、
外力は省略できるとみなせば、 Fx  0 となる。したがって、抗力 D は
D    U  u dQ
(7.49)
y
となる。ここで積分は U ≠ u なる範囲
のみについて行えばよい。
☆具体的な例題 4
4)静止平面板に働く噴流の力
図 7.8 に示すように、速度 v の噴流
が十分広い固定平板に衝突する場合
を考えてみよう。平板に垂直な方向
を x 軸、平行な方向を y 軸とし図のよ
うに検査面をとり、流体の密度およ
び噴流の体積流量を  、 Q とする。
x 軸方向運動量は E 面を十分上流
側にとれば、 u E  v sin  であり、A 面
- 201 -
流量Q1
速度v
流量Q
密度ρ
圧力P0
θ
力F
流量Q2
図 7.8
静止傾斜平板に働く力
x
を板面に衝突する位置を囲んだ、十分大きな円筒状とすれば流れは板面に平行
であるから、 u A  0 となる。これより、板が受ける x 方向の力を F とすれば、
大気圧力は噴流の両側から作用して相殺されるから
Qu A  u E    Qv sin    F
(7.50)
ゆえに
F  Qv sin 
(7.51)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆7.2.4 運動量の法則具体例の研究課題
1.図 7.8 に示した傾斜平板に噴流が衝突する場合、出口流量 Q1 、 Q2 と全体の
流量 Q との関係を y 方向の運動量に着目して求めよ。
解答: Q1 
1  cos   Q ; Q
2
2

1  cos   Q
2
---------------------------------------------------------------------------------------------------------速度v
☆具体的な例題5
5)静止曲面板に働く噴流の力
密度  、速度 v 、体積流量 Q の噴流が
A
図 7.9 に示すように曲面板に当たり、そ
速度v
流量Q
密度ρ
の方向を角度θ変えて流れ去る問題を
考える。
圧力P
角度θ
x
Fx
上流側に E 面、下流側に A 面をとる。す
ると、
u E  v ; vE  0
u A  v cos  ; v A  v sin  (7.52)
E
Fy
図 7.9
F
静止曲面板に働く力
曲面板が受ける力の成分 Fx , Fy は運動量の法則から、
Fx  Qu E  u A   Qv1 cos  
(7.53)
Fy  Qv E  v A    Qv sin
(7.54)
壁面に働く力 F は
F  Fx  Fy  Qv 1  cos    sin 2   Qv 2  2 cos 
2
 4
2
2
1  cos 
 
 
 Qv 4 sin 2    2 Qv sin 
2
 2
 2
- 202 -
(7.55)
☆具体的な例題6
6)タンクから流出する噴流による力
図 7.10 に示すようにタンク水位が一定である流体が、断面積 A のノズルから
噴出される場合のタンクが受ける力 F を求める。
この場合、 u E  v E  0 ; u A  V ; v A  0
圧力P0
となるから、
F  Qu A  u E   QV
(7.56)
すなわち、水槽には噴流の流出方向と反対
流体密度
ρ
の方向に力が働く。
ところでベルヌーイの定理(第5章参照)
から噴出速度は
V  2 gH
H
流量Q
面積A
力F
(7.57)
墳出速度V
であり、このとき流量は
Q  AV  CA 2 gH
(7.58)
図 7.10
タンクから噴出する噴流
で与えられるから、流量係数は C  1 とみなせば、 Fx はつぎのようになる。
Fx  QV  2 gHA
(7.59)
このことから、水槽はノズルの位置における静水圧による力(  gHA )の2倍
の力を逆方向に受けることが分かる。
☆具体的な例題7
7)ジエットエンジンの推力
入口
出口
密 度 ρ 1
平均流速v1
入口面積A1
密 度 ρ 2
平均流速v 2
出口面積A2
x
図 7.11
ジエットエンジン
- 203 -
ジェットエンジンは図 7.11 に示すように、吸入した空気と燃料を燃焼させ、
燃焼ガスを高速で後方に噴出することによって推力を発生させている。
入口および出口の流体密度を 1 ,  2 、平均流速を v1 , v 2 、断面積を A1 , A2 とすれ
ば運動量の法則から、流体に作用する力を F は
u E  v1 ; u A  v2 ; Q1  A1v1 ; Q2  A2 v2
(7.60)
F   2 Q2 u A  1Q1u E   2 v2 A2  1v1 A1
2
(7.61)
2
この反作用としてジェットエンジンは前向きに力 F の推力を受ける。ロケット
エンジンの場合は吸入側が存在しないから、上式の右辺第2項がゼロとなる。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------☆7.2.5 運動量の法則の総合演習問題
1.図 7.12 に示すように、内径 D の
d
円管の管端を絞りノズル形状とし、
V
D
空気を直径 d の噴流として大気中
に噴出させた。このときノズルが
受ける軸方向の力を求めよ。ただ
し、空気の圧縮および摩擦の影響は
図 7.12 ノズルが受ける力
無視できるものとする。
y
v
x
d
2.図 7.13 に示すように、体積流量が
1.0 m 3 / s の割合で水を送る内径 0.8 m
の管路の途中を 90°に曲げた曲がり
管がある。流れの方向変化のために、
Fx
3.水が速度 10.0 m / s 、流量 20.0 リット
ル / s の噴流となって図 7.14 のように
半円形の曲面板にあたり、180°向き
をかえて流れている。曲面板に働く力
を求めよ。
θ =90°
d
v
この部分が受ける力の成分 Fx , Fy およ
び合力 F を求めよ。ただし、水の密度
は 1000 kg / m 3 とする。
F
Fy
図 7.13
直角に曲がる管
半円曲面
u m/s
Fx
x
u m/s
4.ジェットが広い平板に垂直にあたる
とき、平板が受ける力はジェットの動
- 204 -
図 7.14
半円形平板が受ける力
圧とジェットの断面積との積の2倍となることを証明せよ。
5.速さ 40 m / s 、質量流量 100 kg / s の水噴流が曲面版に当たりその方向を 60°
だけ変えて流れ去っていく時、曲面板が受ける力の成分(はじめの噴流の
方向に平行な力および垂直な力)およびその合力の大きさを求めよ。また
噴流の方向が 120°であればいくらとなるか。
6.図 7.15 のように、内径 D の噴出口から速さ V で噴出する密度  の水噴流が、
D
V
Fx
θ
x
θ
図 7.15
ノズルと円錐による力
円錐状の物体に当たり広がり角 2 の膜状をなして去っていくとき、物体が受け
る力 Fx を求めよ。ただし、摩擦や重力の影響は無視する。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------7.3 角運動量の法則
羽根車を回して、流体エネルギと機械エネルギとの変換を行うのがターボ機
械であり、このような場合には流体が回転することに伴う運動量変化、すなわ
ち角運動量の考え方が必要となる。ここでは簡単に角運動量の考え方を紹介す
る。
7.3.1 角運動量とは
角運動量とは運動量のモーメントを意味する。すなわち、図 7.16 に示すよう
に点 O から半径 r の位置ベクトルの先端に mV の運動量があるとき、そのベク
トル積 r ×( mV )のことをいう。通常は角運動量と呼ばれる場合が多い。こ
れを時間微分すれば、ベクトル積であることを考慮して
d
r  mV   dr  mV  r  d  mV 
dt
dt
dt
ここで、右辺第1項の
(7.62)
dr
d
 mV は0であり、運動量と外力の関係は F  mV  で
dt
dt
あるから
- 205 -
図 7.16
角運動量
d
r  mV   r  F
dt
(7.63)
となる。上式は角運動量の時間的変化が力のモーメント、 r  F (  T トルク)
に等しいことを示しており、これを角運動量の法則という。式(7.63)における右
辺の r  F はベクトル積であり、その値をスカラー量で表すと、
T
d
mrVn   r d (mV n)  rFn
dt
dt
(7.64)
となる。ここで、図 7.16 に示されるように、Vn は r に直角方向の速度、 Fn はそ
の方向の力であり、式(7.64)右辺の rFn は力のモーメントという意味から、トル
クとよばれる。
さて、単位時間当りの体積流量が Q 、密度  の流体が dt 時間において、それ
ぞれ半径 r1 および r2 の位置において、 r に直角方向に V1n 、V2 n の速度成分をもっ
て流出するならば、質量は m  Qdt であるから、流体は
T  Qr2V2n  r1V1n 
(7.65)
のトルクを受けることになる。
7.3.2 流体機械への角運動量の適用
ここでは角運動量の法則を流体機械の運動に適用してみることにする。その
一例として、流体にエネルギを与えるターボポンプの場合を考えてみる。ここ
では作動流体は液体と考え、圧縮性はこの場合考慮しないことにする。なお、
作動流体として気体を使用した圧縮機のような場合には、圧縮性を考慮する必
要があるため、以下の考え方が適用できないので注意を要する。
- 206 -
図 7.17 にターボポンプの概略を
示す。軸中心から吸入された流体は
半径方向に流れの方向を変化させ
流出する。流れの方向を変化させる
ためのガイドベーンは羽根とよば
れ、この方法による流体へのエネル
ギ供給方式を半径流式または遠心
式ポンプという。
羽根は任意の半径位置 r  r にお
いて、周速度 u  r で動いており、
これは第2章で述べた強制渦に相
当する。羽根車内の流体は羽根に沿
って流れるので、その速度を w とす
れば、静止系から見た時、 u, w の合
成ベクトル v が絶対速度となる。さ
て、流体に与えられるトルクは、半
径 r とその直角方向速度成分、すな
図 7.17
ターボポンプ
わち、絶対速度 v の周方向成分につ
いて、羽根車の入口と出口で考えればよく、単位時間当たりの体積流量 Q に対
してトルク T は
T  Qr2 v 2 cos  2  r1v1 cos 1 
(7.66)
軸の回転角速度をωとすれば回転軸に必要な動力 L はつぎのようになる。
L  T  Q r2 v2 cos  2  r1v1 cos 1   Qu 2 v2 cos  2  u1v1 cos 1  (7.67)
ここで周速度はそれぞれ、 u1  r1 、 u 2  r2 で与えられる。
ポンプの損失がないと仮定したとき、この動力 L とポンプが水に与えた全水
頭 H th の関係は
L  gQH th
または
H th  L gQ
(7.68)
であり、全水頭 H th を理論揚程とよぶ。この理論揚程は式(7.67)の動力 L に代
入して
H th  u 2 v2 cos  2  u1v1 cos 1  / g
となる。
- 207 -
(7.69)
7.3.3 水車
図 7.18 に水車の例を示す。ポンプは羽根車が反時計方向に回転し、流体は内
側から外周側へ流れ去り、軸動力が流体のエネルギに変換されポンプ作用とな
る。
図 7.18
水車
一方、水車は流体が外周側から内側に流れ、羽根車は時計方向に回る。この
とき流体の角運動量変化が軸動力として取り出され、水車作用になる。
外周側が入口、内周側が出口となるので、外周側を添字1、内周側を添え字
2で表すと、流体に働くトルクは、ポンプのときと同様に
(7.70)
T  Qr2 v 2 cos  2  r1v1 cos 1 
となる。このときトルクはマイナス(-)の値となり、この反作用として羽根
車にはプラス(+)のトルクが与えられ、羽根車は流体からエネルギを受け取
ることになる。このとき軸動力 L は
(7.71)
L  T  Qu1v1 cos 1  u 2 v2 cos  2 
となる。
- 208 -
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