おきなわ薬剤師会報No.247 2010(平成22年)7月号に掲載 話題のビタミン・サプリメント(30) 葉 酸 Key Word:造血、ビタミンB12、女性、胎児 「葉酸を取ってください!」女性なら一度は耳にしたことがあると思います。葉酸がどのような働きをして、私たちの体にどのような効果があるのか? 今回は葉酸を取り上げてみました。 【食品の葉酸含有量】 葉酸(プテロイルグルタミン酸)は、ほうれん草の抽出物から発見さ れた水溶性のビタミンB群の一種です。ラテン語で「葉」を意味する 「folium」と「酸」を意味する「acid」から命名されました。 葉酸はビタミンB12とともに造血のビタミンと呼ばれ、赤血球の生成 に深く関係があります。葉酸は、ホモシステインからメチオニンを生成 するのに必要とされるため、不足すると、ホモシステインが血中に蓄積 し、動脈硬化の危険因子となります。その他、造血機能が異常を来た し、巨血芽球性貧血、神経障害や腸機能障害などが起きます。また、 妊娠初期時に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害の発生率 が高くなると報告されています そのため妊娠中 または妊娠を予定し が高くなると報告されています。そのため妊娠中、または妊娠を予定し ている女性に摂取が推奨されています。その他、生活習慣病と呼ばれ るさまざまな疾病の予防にも効果的な働きを示すことが報告されてい ます。 【1日の摂取量】 葉酸は栄養機能食品として表示許可されています。 成人:200μg 妊婦:400μg 授乳婦:280μg 【相互作用】 葉酸は制酸剤やアスピリンおよびその関連物質と相互作用して、 こ れらの薬剤は葉酸のはたらきを阻害することが知られています。 また 抗けいれん薬(フ ニトイン フ ノバルビタ ル等)や 潰瘍性大 また、抗けいれん薬(フェニトイン、フェノバルビタール等)や 腸炎治療薬(スルファサラジン等)は葉酸の吸収を低下させます。 さら に、がん化学療法のメトトレキセートは葉酸との併用で、効果を減じる 恐れがあるといわれています。 ・・・-・参考文献・-・・・ 1 国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」 1.国立健康 栄養研究所「健康食品の安全性 有効性情報」 2.機能性食品素材便覧,薬事日報社 3.サプリメント事典,日経ヘルス 葉酸は、その名称と由来から植物性食品だけに含まれているように 思われますが、動物性食品である牛やブタのレバーなどにも多く含ま れています。 食品名 (μg/100g) 枝豆(ゆで) 260 アスパラガス(ゆで) 180 ほうれん草(ゆで) 110 アボガド 84 牛 肝臓 1000 鶏 肝臓 1300 豚 肝臓 810 生うに 320 ※葉酸を多く含む食品は、レバー、緑黄色野菜、果物など。ただし、調理 や長期保存による酸化によって葉酸は壊れるため、新鮮な生野菜や果 物が良い供給源となる。 【過剰摂取】 厚生労働省の基準によれば、上限は1000μg/日とされています。調理 による損失や吸収が良くないことを考えると上限を超えることはあまり考 えにくく、また、酸は水溶性ビタミンですので、過剰分は尿の中に排出さ え くく、また、酸は水溶性 タ ン す 、過剰分は尿 中 排出さ れます。しかし、過剰摂取はビタミンB12欠乏症を診断しにくくなることも 知られており、適切な量を摂取することが大切です。
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