女性の月経周期による肌と体調変化について~「水」

2007年10月16日
漢方医学的な体質を科学的に分析する新たな手段を発見!
皮膚真皮層水分の量と質の変化が女性の体調と密接に関係することを初め
て見出した。「水」の流れを良くすることがシミやニキビ防止にも大切。
クラシエホールディングス株式会社
ク ラ シ エ 製 薬 株 式 会 社
クラシエ製薬は、女性の月経周期による肌と体調変化について、漢方医学で言う「気・血・
お
水」*バランスを種々の皮膚計測と体調評価から解析を行った結果、黄体期から月経期の「
けつ
すい どく
血」**体質が色素沈着やニキビの原因になること、月経期の不調が「水毒」***と関連があ
ること、そして皮膚真皮層の水分の量と質の変化が、女性の体調と密接に関係することを明
らかにしました。
漢方では、体を構成する基本物質として「気・血・水」を考え、これらのバランスが保た
れている状態が健康といえます。そして、「気・血・水」がどのようにバランスを崩してい
るかを見極めることで体調不良の根本原因がわかり、病気を予防することも可能になります。
当社は、女性の快適生活をサポートするための基礎研究として、月経周期に着目し、13
名の20∼30歳代の女性について卵胞期、排卵期、黄体期及び月経期毎に、全顔撮影−画
像解析システムを用いた肌測定、分極電流計による額部皮膚真皮の水分の量と質の測定、皮
膚表皮の水分と皮脂の測定、サーモグラフィーによる皮膚温測定などの皮膚計測と、体調・
体質アンケートや種々ストレス検査を行い、肌状態の変化と体調との相互関係に関して、統
計解析を行ないました。
1)黄体期から月経期の女性の「血」体質は色素沈着やニキビの原因になることが統計的
に明らかになりました。特に、月経トラブルがあると色素沈着が生じやすく、ニキビが多
い人ほど色素沈着も生じやすいことがわかりました。また、瘀血体質のニキビは額部やほ
ほ部外側に現れる傾向がありました。
2)「水毒」体質では月経期の真皮水分値が高く、黄体ホルモンの影響により黄体期に貯留
した「水」が、月経期に排泄し難いことに起因するものと考えられます。黄体期には、黄
体ホルモン濃度が高くなりますが、この黄体ホルモンは水分貯留作用があるため、一般的
に黄体期ではむくみが認められ、黄体ホルモンが減少する月経期にむくみが改善されます。
しかし、月経期に疲れやすい、むくみが出る、イライラする、月経不調や月経痛などの自
覚症状がある人では、月経期の真皮水分が高値でした。このことは、月経期において水の
排出が上手くできないことが原因と推察されます。
3)このような月経周期の「水」の変化が、真皮水分を測定することにより捉えることがで
きることを発見し、漢方医学の「気・血・水」理論に関して、真皮水分の量と質の変化が、
「水」が影響する女性の体調と密接に関係することを初めて見出しました。
また、むくみ、めまいのような「水毒」の症状だけでなく、「水」の停滞は血管を外部か
ら圧迫して血流停滞「血」が生じやすくなるので、色素沈着やニキビのような肌症状、
イライラなど自律神経系への影響も示唆されました。
以上のような真皮水分と体調との関連性については、漢方医学的な体質を科学的に分析す
る新たな手段になり得るものであり、漢方薬の作用メカニズム解明にも役立てるものである
と期待されます。
以
*
**
***
上
気・血・水:体を構成する基本物質であり、「気」は生命エネルギー、「血」は血
液、「水」は体を潤す液体のことで血液以外の体液に当てはまる。
血:血液循環が悪く「血」が滞った状態。
水毒:「水」が体内に滞ったり、バランスが悪い状態。
<問い合わせ先>
クラシエホールディングス株式会社
03(5446)3042
総務・広報部
水滞
水滞
黄体ホルモン
黄体ホルモン

血

血
(水毒)
(水毒)
水分貯留作用
疲れ、むくみ、 色素沈着、ニキビ
めまい
イライラ、月経痛
黄体期 月経期
黄体期には、黄体ホルモンが生体に水分を貯留させる
働きがあるので、「水滞」の症状が現れやすく、そのため
血行が障害されて「血」を引き起こす。
:水毒傾向が高い人
:水毒傾向が低い人
*:p<0.05
真皮水分
μBP値眉間
A
眉間BP値
分割群の平均値
:
2400
2200
2000
1800
*
1600
0
1
1400
1200
*
1000
800
1-卵胞期
卵胞期
2-排卵期
排卵期
3-黄体期
黄体期
4-月経期
月経期
対応のないt検定
全体:のべ人数52名,周期別:n=13 対応のあるt検定
■
黄体期に色素沈着が増加する。
**
400
350
色素沈着の総面積
300
250
月経順調
月経不調
200
150
100
対応のないt検定
50
n=7
n=6
**:p<0.01
0
卵胞期
排卵前後
黄体期
月経期
(注)色素沈着総面積:左右顔における0.6mm2以上の色素沈着面積の合計,単位:mm2
各月経周期における色素沈着スコアの変化は、月経順調群よりも月経トラブルの有訴者群の方が、
黄体期で色素沈着スコアが顕著に増加した。
■
ニキビが多いほど、色素沈着が増加しやすい。
ニキビ多い群
30
色素沈着(L:小面積)
30
色素沈着(L:小面積)
ニキビ少ない群
35
35
25
20
15
10
5
標準回帰係数
0.816****
25
20
15
10
5
0
0
0
5
10
15
20
25
ニキビ左右合計数
30
35
40
45
y = 0.5412x + 5.5201
0
5
10
15
20
25
ニキビ左右合計数
30
35
40
45
y = 0.8333x + 11.833
単回帰分析
****:p<0.0001
左右ニキビ合計が多い群(5個以上)では、ニキビ数の増加に伴い色素沈着スコアが増加した。