DOCTOR`S Column 『むくみ(浮腫)のお話』

むくみ!
DOCTOR‘S
ドクターズコラム
Column
H23 年 9 月
『むくみ(浮腫)のお話』
むくみ(浮腫)とは細胞組織に余分な水分が貯まって、手、足、顔面などが腫れる状態を
いいます。むくみには全身性のものと、体のある部分のみにみられる局所性のむくみに分
けられます。すねなど、すぐ下に骨があるところを数秒間押して放すと、ペコッとへこん
でしばらく元にもどらないなら、むくみがあると考えられます
一般的には水分や塩分の取りすぎが原因となります。また長時間の立ち仕事などで足がむ
くむ場合もあります。特に女性では更年期以降、女性ホルモンの影響のためむくみが出や
すくなります。通常であればこのようなむくみは生理的なものですので、病院で検査を受
けても異常なしとされ、生活指導などで様子を見ることになります。
一方、さまざまな内臓疾患のシグナルとしてのむくみがあります。代表的な病気は心臓
病、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能低下症、足の静脈瘤などです。心臓病が原因の場合は足
にむくみが出やすく、息切れなどの症状を伴います。腎臓病、肝臓病では全身がむくんで
きます。治療としては利尿剤などを用います。
静脈瘤では足の血管(静脈)がミミズのように曲がりくねり、痛み、足の疲労感を感じま
す。ひどい場合は外科的治療の対象となります。
最近よく耳にするエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)ですが、これも足の深い静
脈に血の塊が詰まることで足が腫れてくる病気です。重症例では呼吸困難を生じます。原
因として長時間同じ姿勢で居続けることが背景にあります。手術後や脳梗塞後など
寝たきり状態の人に多くみられます。また健康な人でも長時間の移動を伴う運転、
旅行などで発症することがあり注意が必要です。
その他、鎮痛剤などの飲み薬でもむくみ(薬剤性浮腫)が出ること事があります。
むくみで医療機関に受診した場合、症状がいつ頃からあるか、一日の中でむくみの程度
に変化があるか(日内変動)、体重増加の有無、息が苦しくなることがあるか、おしっこの
量が減っているか、過去に心臓病、腎臓病、肝臓病、が悪いと言われたことがあるか、な
どを問診で聞かれます。その後、必要に応じて血液検査、尿検査、レントゲン検査などを
受けることになります。常日頃から自分の体をセルフチェックし、体の異変を感じたら早
めに受診するよう心がけましょう。
Dr 名:岩下浩蔵
(イワシタ
コウゾウ)
診療科目:内科