ササの有効利用 ~森林バイオマスとしてのササ資源の利用~ 北海道旭川農業高等学校2年森林科学科 森林環境班 須山佳彦 紙をつくるには、ササのセルロース繊維間の接着層であるリグ ニンを除去し、セルロースを取り出します。そのためには水酸 化ナトリウムなどの薬品を使うので、廃液の公害問題がありま す。ウスヒラタケの菌糸により、リグニンを分解したササ培地を 利用して、薬品使用を抑えたササ紙づくりに挑戦しました。 北海道の山林には膨大な量のササが覆っています。ササ は旺盛に繁殖し、樹木の侵入を妨げる厄介者です。 北海道のササの分布面積 500万㌶資源量1億5,000万トン は じ め に 指導教諭 ● フロログルシン塩酸反応 幼樹の保護のための育林作業にとって、 ササは大きな障害要因となっている。 ■ ササの需要を拡大し、利用することでこの問題を解決!! ササの有効利用の研究開始 ササの主成分にはセルロース、ヘミセルロース、リグニンが 含まれていることがわかりました。これは木の主成分と同じ です。おが屑を利用したキノコ栽培と同じように、ササ培地 を使ってキノコ栽培ができるのではないかと考えました。 研 究 研究の2本柱 ①ササ培地を使用したウスヒラタケの菌床栽培 ②廃菌床を利用したササ紙づくり ササくず ウスヒラタケ菌糸のササ ウスヒラタケ菌糸が蔓延したササの方が、赤紫色が薄く なりました。リグニンが分解していると考えられます。 ● 廃菌床を利用したササ紙づくり 概 要 ↑廃菌床に重曹、水を入れ、オートクレーブで加熱・加圧します と 研 究 概 要 と 成 学校の前庭で、野生のウスヒ ラタケを発見しました。このウ スヒラタケを使ってオリジナル ウスヒラタケを作ろうと考えま した。 PDA培地の代用として、ササ 蒸煮液寒天培地を開発しまし た。その培地に旭農産ヒラタ ケの組織培養をし、種菌を作 りました。 ササ刈りをし、 チッパーシュ レッダに入れ てササを粉砕 します。ふるい にかけ、ササ 屑を集めます。 これをキノコの 培地として利 用しました。 成 果 ↑廃菌床の蒸煮液を水洗いし、ゴムハンマーで叩きます(叩解) ② ↑水槽に水を張り、廃菌床を抄きげたで抄いた後、簾から外します 果 ↑新聞紙を板で挟み、アイロンで乾燥してササ紙の完成 ① 米ぬかなどの栄養源を使用しないササ100%の培地を殺菌し、 組織培養して作った種菌を接種してからおよそ50日で旭農産 オリジナルウスヒラタケが収穫できました。 ま と め 廃菌床のササ紙 成果として、 ①ササのみの培地からウスヒラタケが栽培できること ②廃菌床から薬品の使用を抑えたササ紙ができること がわかりました。ササの下刈りからキノコ栽培、ササ紙とサ サを廃棄することなく有効利用する、「ササのゼロエミッショ ン構造」ができました。 私たちの活動により、ササで覆われた無立木地が減少し、 豊かな森へ生まれ変わることを信じて研究をしていきます。
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