ベルトドライブ CHAPTER1 ROKSAN 社のターンテーブルは日本国製のタ

アナログプレーヤーシステム−ベルトドライブ CHAPTER1
ROKSAN 社のターンテーブルは日本国製のターンテーブルに多いダイレクトドライブを採用しておりませ
ん。駆動時のモーター立ち上がりの速さや回転の安定度という意味合いにおいてはダイレクトドライブを否
定するものではありません。ROKSAN 社をはじめ海外製のターンテーブルの多くはベルトドライブを採用し
ています。ベルトドライブは駆動時の立ち上がりには時間がかかりますし、外的要因による回転の不安定
さがあります。何故ベルトドライブなのか?
ベルトドライブのメリットとしていくつか挙げられるのが、第一にモーターのサイズを小さくできるということで
す。これによりモーター自体が回転時に発生するノイズや振動を極力小さくできます。なおかつ、ベルトドラ
イブは回転し続けるプラッター(レコードを載せる回転部分)の真下にモーターを設置する必要が無いという
ことです。これはモーター自体が発生するノイズと振動がプラッターに直接伝わることを防止しています。
これに対しダイレクトドライブは回転しているプラッターの真下にモーターを設置する必要があります。ダイ
レクトドライブのプレーヤーのプラッター=レコードは、ほとんど直接モーターの発生するノイズと振動の影響
下にあるということがいえます。さらに 30cm 大のプラッターを回転させ続けるために大きな駆動力(モーター
の巨大化)が必要であることは言うまでもありませんし、回転軸が直接モーターと連動していることはレコー
ド針がトレースし続けるごくわずかな運動に悪影響が無いとは言いきれません。
ROKSAN社を始め、海外製のターンテーブルはダイレクトドライブのこれらの悪影響がレコード再生にお
いて本来有する音楽性の再現を損なうと判断したに他なりません。もちろん、ダイレクトドライブモーターの
開発で日本の開発力に勝てなかったということもあるかもしれませんが・・・。ROKSAN社においては、上級
機種のTMS2、XERXES-X やオリジナルのXERXES はベルトドライブである上に、AC 電源を一度 DC
に変換したうえで再度 AC 変換して AC シンクロナスモーターを動作させるということをしています。これは
AC 電源における周波数(日本では特に50Hz と60Hz の二つの地域があります)の悪影響を嫌った上で
のことです。よく知られたことですが、蛍光灯は50Hz の地域では1 分間に50 回点滅をし、60Hz の地域
では60 回点滅しています。すなわちAC 電源をそのまま用いると、モーターはごく微妙な運動ですが、1 分
間に 50 回ないしは 60 回、回転ムラを生じているといえるからです。ROKSAN 社が採用した AC→DC
→AC 変換は複雑なようでいて、まさに究極の解決方法といえるかもしれません。
ベルトドライブに話を戻しますと、よくベルトの寿命などが話題に上ります。よくいただくご質問の中には必
ずといっていいほどベルトは何年くらい使いえますかというものがあります。これはレコード針が何年使えます
かという質問と一緒であまり意味がありません。ベルトはゴム製ですから自動車のタイヤと一緒で寿命があ
ります。自動車のタイヤですと車検時にタイヤのサイドウォールに亀裂やひびが入っていますと車検を通りま
せん。これはもちろん安全のための点検事項ですから、プレーヤーのベルトと比較にはなりませんが、ある意
味では共通しています。それは自動車のタイヤは未使用時間が長く放置されたままでいると亀裂やひびが
入りやすいということです。ドライブベルトも同じとお考えください。なるべくターンテーブルを回してあげることに
よって、ゴムの本来の伸び、縮みという性格を長く保つことができるということを。
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この項続く
8th OCT 2004