このプレスリリースはサノフィパスツール(本社:フランス リヨン)が フランス現地時間 2006 年 9 月 19 日に発表したものを参考和訳として日本で翻訳したものです。 英語版はwww.sanofipasteur.comでご覧になれます。 参考和訳 サノフィパスツール 、細胞培養された H7N1 ワクチン第 1 回臨床試験により、 パンデミックインフルエンザ対策をより拡大へ フランス・リヨン発―2006 年 9 月 19 日―サノフィ・アベンティスグループのワクチン事業部門 であるサノフィパスツールは、欧州連合が資金提供する共同研究プロジェクトである FLUPAN において、H7N1 パンデミックワクチンの臨床試験用ロットを製造しました。 この試験によって、H5N1 ワクチン開発をはじめとするサノフィパスツールのパンデミック対策 プログラムがより進展することになります。 H7N1 ワクチンは、フランスにあるサノフィパスツールのマルシー・レトワル(Marcy l’Etoile) 製造プラントで、パートナー企業のCRUCELL N.V.が所有するPER.C6®細胞培養の技術を用いて 製造されました。これは従来からの製造方法よりも優れている可能性があるといわれています。 本日 ノルウェー・ベルゲンで開始された第 I 相試験は、細胞上で製造された分解不活化プロトタ イプパンデミック H7N1 ワクチンで免疫応答や安全性を検討するための初めての試験です。 FLUPAN コーディネーターの Dr John Wood は以下のように説明を行っています。 「H7N1 ワクチン株は、英国国立生物研究所 (NIBSC: National Institute for Biological Standards and Control)と英国リーディング大学(The University of Reading)によって、トリ インフルエンザウイルスから作製されました。これは 1999 年にイタリアの家禽類で大発生を引き 起こした高病原性 H7N1 トリインフルエンザウイルスを変化させて、哺乳動物の細胞において安 全に、かつ十分増殖できるようにしたものです。⎦ 最近では、H5 と H7 という 2 種類のインフルエンザサブタイプが高病原性トリインフルエンザを 引き起こす原因となりました。ほとんどのワクチン開発が H5N1 株に焦点を合わせてきましたが、 トリ H7 ウイルスは依然として重大なパンデミックの脅威であり、ヨーロッパにおいて過去 3 年 間でヒトへの感染例が認められています[1]。 ベルゲン大学(University of Bergen)治験責任医師 Dr. Lars R. Haaheim は以下のように説明 をしています。「FLUPLAN コーディネートスタディが、本日、ベルゲン大学ハウケランド大学 病院(ノルウェー)(Haukeland University Hospital, University of Bergen) において開始されま した。20∼40 歳の健康な成人合計 60 名にワクチンの免疫力を増強させるためによく使用される 物質である水酸化アルミニウムアジュバントが含有された、もしくは非含有の 12 マイクログラム と 24 マイクログラム製剤といった 4 製剤(formulation)のうち、1 製剤を接種しました。」 サノフィパスツールは、インフルエンザウイルスに対する感受性が高いという理由で、PER.C6® 細胞を選択しています。それによってパンデミックインフルエンザと季節性インフルエンザの両 方に対して大規模製造の可能性が出てきました。 インフルエンザについて インフルエンザは感染性の強いウイルスで、主に感染者が咳やくしゃみをしたときに、人から人 へと容易に広まります。インフルエンザパンデミックとは、重大な罹患率および死亡率をもたら すおそれのある非常に毒性の強いインフルエンザウイルスが世界的に大流行することです。世界 保健機関(WHO)によると、次のパンデミックによって、先進国だけで入院患者数が 100 万人∼ 230 万人、死亡者数が 28 万∼65 万人に達すると予想しています。発展途上の国々では、おそら くその衝撃はさらに破壊的なものになると思われます。このため、多くの国々がインフルエンザ のパンデミックに備えて国家的な対策に取り組んでいます。 数多くのインフルエンザウイルス株がパンデミックを引き起こす可能性があります。H7N7 株は、 2003 年にオランダで家禽疫病の大規模発生を引き起こし、感染者数は計 89 人に達しました。症 状はほとんどの場合軽症でしたが、1 例は感染のため急性呼吸窮迫症候群を合併した肺炎により死 亡しました。またこのウイルスはヒトからヒトへ感染する可能性があると考えられています[1,2]。 FLUPAN について FLUPAN は EU におけるパンデミック対策のより一層の強化を目的として欧州連合(EU: European Union)が資金提供する共同研究プロジェクトです。FLUPAN には、英国国立生物研 究所(NIBSC: National Institute for Biological Standards and Control)、英国リーディング大 学(The University of Reading)、イタリア高等衛生研究所(Instituto Superiore di Sanita)、英 国健康保護庁(HPA: Heath Protection Agency)、ノルウェー ベルゲン大学(The University of Bergen)と フランス サノフィ・アベンティスグループのワクチン事業部門であるサノフィパス ツールが参加しています。 より詳しい情報は www.nibsc.ac.uk/spotlight/fluplan.htlm.をご覧下さい。 Crucell について Crucell N.V.はオランダのバイオテクノロジー企業で(Euronext、NASDAQ、CRXL、スイス証 券取引所〔CRX Swiss Exchange〕)、感染症を予防、治療するワクチンや抗体の研究、開発お よび世界規模でのマーケティングに焦点を当てています。詳細につきましては、www.crucell.com をご覧ください。 サノフィパスツールと Crucell の独占契約について サノフィ・アベンティスグループのワクチン事業部門であるサノフィパスツールは、Crucell所有 のPER.C6®細胞系技術を用いた細胞培養による新規インフルエンザワクチンの開発、製造および 販売を行うため、2003 年 12 月 31 日に、Crucell N.V.と戦略的かつ独占的な契約を締結しました。 この契約では、パンデミックインフルエンザおよび季節性インフルエンザワクチンの両方がカバ ーされています。 CrucellのPER.C6®は、ワクチンをはじめとする生物製剤の大規模製造を目的として開発された細 胞系技術です。 サノフィパスツールのパンデミック対策 サノフィ・アベンティスグループのワクチン事業部門であるサノフィパスツールは、世界的規模 でパンデミック対策に取り組んでいます。インフルエンザワクチンの研究、開発、製造における 世界的リーダーとして、サノフィパスツールは米国やヨーロッパにおいてパンデミックインフル エンザウイルスから人々を守るワクチンの開発を目指す他の取り組みにも積極的に参加していま す。 サノフィパスツールは米国およびフランス(ヴァル・ド・ルイユ製造プラント)のインフルエン ザワクチンの製造能力の拡張を大規模に行っています。 ヨーロッパでは、サノフィパスツールが大規模なプロジェクトをすでに始動し、進行しています。 • フランスでは、サノフィパスツールがスポンサーとなり、H5N1 インフルエンザワクチン 候補のアジュバント含有ワクチンと非含有ワクチンを比較する最初の臨床試験を行いまし た [3]。 • 上記の臨床試験に用いる H5N1 ワクチン候補の備蓄ワクチン 140 万ドーズ分を製造する契 約をフランス保健省 (Ministère de la Santé)と締結しました。この契約により、実際のワ クチン株が同定され、パンデミックが宣言された際には、フランスにおいて 2,800 万人分 のワクチンを提供することが可能です。 • 2006 年 2 月には、イタリア当局に H5N1 ワクチン候補を提供し、万が一パンデミックが 宣言された場合には実際のパンデミックウイルス株のワクチンを提供する契約を締結しま した。 米国では、サノフィパスツールはパンデミックワクチン備蓄、臨床試験用のワクチンの製造、細 胞培養ワクチンの製造技術などで米国政府と多くの契約を締結しています。 • 2004 年 5 月、サノフィパスツールは米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID : National Institute for Allergy and Infectious Diseases)と臨床試験用ワクチンの製造に 関する契約を締結し、そのワクチンを NIAID に出荷しました。臨床試験は 2005 年に完 了し、その結果は New England Journal of Medicine 誌に発表されました。〔4〕 • 2004 年 9 月には、200 万ドーズ分の H5N1 ウイルス株に由来するワクチンのバルクを製 造する契約を締結しました。ワクチンのバルクは製造が済んで保管されており、政府の要 請に応じて調製、充填できる状態にあります。 • 2004 年 11 月、米国保健福祉省(HHS : Health and Human Services Department)はサ ノフィパスツールに対して、インフルエンザワクチンを製造し、候補パンデミックインフ ルエンザワクチンの治験用ドーズを毎年製造するために必要な鶏卵供給を拡大・保護する 契約を締結しました。 • 2005 年 4 月には、米国において細胞培養によるインフルエンザワクチンの開発を促進し、 同国におけるワクチン製造施設を設計する契約を HHS と締結しました。 • 2005 年 9 月には、H5N1 インフルエンザウイルス株に対するワクチンを製造するについて HHS と契約を結びました。この 1.5 億ドルの契約ではサノフィパスツールのアメリカ本社 があるスイフトウオーター(ペンシルバニア州)でバルク濃縮液の形でワクチンを製造する ことがうたわれています。またこの契約では政府の要請に応じてワクチンの貯蔵、製剤化 および充填にかかる追加費用のサノフィパスツールへの支払いが取り決められています。 • 2006 年 2 月には、NIAID がスポンサーとなる臨床試験に使用する H5N1 ワクチンの臨床試 験用アルムアジュバント含有ワクチンと非含有ワクチン 1.5 万ドーズを NIAID に供給しま した。 オーストラリア • パンデミックインフルエンザ流行時のワクチンの供給に関して、オーストラリア政府と契 約を締結しています。 サノフィ・アベンティスについて サノフィ・アベンティスは世界で第 3 位、ヨーロッパでは第 1 位の製薬会社です。サノフィ・アベ ンティスは世界クラスの研究開発組織を基盤とし、循環器、血栓症、がん、代謝障害、中枢神経 系、内科、およびワクチンの主要 7 治療領域で主導的な地位を占めています。サノフィ・アベン ィスは、パリ(Euronext:SAN)およびニューヨーク(NYSE:SNY)に上場しています。 サノフィパスツールはサノフィ・アベンティスグループのワクチン事業部門で、2004 年には 10 億 ドーズ分(10 億接種分)以上のワクチンを販売しました。これは世界中で 5 億人以上の人々をワ クチンで予防できる疾患から守ったことに相当します。また弊社は 20 もの細菌性、ウイルス性疾 患から人々を守る多くのワクチンを届けています。より詳しくは www.sanofipasteur.com もご覧 ください。 Reference: [1] Fouchier RA, Schneeberger PM, Rozendaal FW, et al. Avian influenza A virus (H7N7) associated with human conjunctivitis and a fatal case of acute respiratory distress syndrome. Proc Natl Acad Sci USA 2004 Feb 3 ; 101(5) : 1356-61 [2] Tweed SA, Skowronski DM, David ST, et al. Human illness from avian influenza H7N3, British Columbia. Emerg Infect Dis 2004 Dec ; 10(12) : 2196-9. [3] Bresson JL, Perronne C, Launay O, et al. Safety and immunogeneticy of an inactivated split-virion influenza A/Vietnam/1194/2004 (H5N1) vaccine : Phase I randomised trial. Lancet 2006 May 20 ; 367 (9523) : 1657-64. [4] Treanor JJ, Campbell JD, Zangwill KM, Rowe T, Wolff M. Safety and immunogenecity of an inactivated subvirion influenza A (H5N1) vaccine. N Engl J Med 2006 Mar 30 ; 354 (13) 1343-51
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